転生オリ主ウマ娘が死んで周りを曇らせる話   作:丹羽にわか

15 / 49
6/21追記
 活動報告に載せましたが、私事により執筆再開は7月です。お待ち下せえ。



 レース描写はこれが限界だぁ……ご都合主義&ガバガバ知識ゆるして……

 史実や原作に無いレースつらい……今後はなるべくダイジェストにします……

 出走ウマ娘は97年菊花賞の馬を若干改変してます。たぶん現実には居ない筈。

 あと今回デイカスの霊圧はほぼゼロです。


第14R 菊の舞台

Side:others

 

 

 

 

<京都第10レース、続いてパドックに登場するのはこのウマ娘>

 

 

 実況の声にパドックを取り囲む観客がざわめく。

 

 

<皐月賞1着、ダービー1着。かの皇帝、シャドーロールの怪物に続く三冠達成なるか!?>

 

 

 パドックの赤いカーテンが開き、姿を現した一人のウマ娘。

 

 

<1番人気!! 2枠3番、サイレンススズカ!!>

 

 

 肩にかけたジャージを振り払う。

 白を基調にした勝負服。風を切って走る為だけにあるようなその身体。先にお披露目を終えたウマ娘達は息を呑み、観客たちは言葉にならない叫びを持って彼女を出迎える。

 

 

<異次元の逃亡者と称される彼女がこの長丁場のレースにおいてどう立ち回るのか、三冠の偉業が達成されるのか、目が離せません>

 

 

「菊花賞は3000メートル。これまでクラシックを走ってきたウマ娘にとっては未知の距離だ。それはどのウマ娘も、サイレンススズカも変わらない。そこで重要になってくるのはスタミナ、そして作戦だ」

「どうした急に」

「スズカは逃げを得意とするウマ娘であり、その特徴はなんといっても他の追随を許さない圧倒的スピードだ。神戸新聞杯では終盤マチカネフクキタルに差され2着だったが、その時よりも遥かに仕上がっているし油断も慢心も無いだろう。しかし、スピードを保ったまま3000メートルを逃げ切れるスタミナがあるかというと厳しいと言わざるを得ない」

 

 

<次に登場するのはこのウマ娘!! 神戸、そして京都に続きこの菊の舞台にも福を招くことはできるのか!! 2枠4番、マチカネフクキタル!! 2番人気です!!>

 

 

 マチカネフクキタルは背負った招き猫型のリュックが目を引くセーラー服姿。ジャージを脱ぎ捨てると前のスズカと比べて小さめだが歓声が起こり、フクキタルは笑顔で両手を広げてそれに応える。

 

 

「それは他のウマ娘も同じじゃないか? シニアならともかくクラシックでそんなスタミナのあるウマ娘は……」

「だからこそ作戦が重要になるんだ。序盤から中盤にかけては抑えて走り脚を残しながら位置を整え、最終コーナーから直線あたりでスパートをかけて勝負する。これは菊花賞、いや長距離レースにおける定石と言っていいだろう」

 

 

<神戸新聞杯ではサイレンススズカを差して1着、続く京都大賞典でも見事勝利を収めています。このレースでもその末脚が炸裂するのか注目です>

 

 

「マチカネフクキタルの走りはまさにそれだ。上がり3ハロン34いや33秒台。その末脚は神戸新聞杯でスズカを捉え、突き放した。スズカが中距離の時と同様にハイペースで逃げたとしても」

「フクキタル達差しや先行のウマ娘はリードするスズカに対して距離を保ってスタミナを温存しながらついて行き、終盤スズカのペースが落ちた所で追い上げるって事か」

「ああ。だからスズカが勝利を狙うなら同じように抑えた走りをさせるべきなんだが」

「先頭に強い拘りを持つ彼女の性格を考えると……難しいか」

 

 

 その考えは、菊花賞に出場する他のウマ娘達のトレーナーも同様だった。

 

 

「(サイレンススズカが逃げを打つのなら無理に追う必要はない。1000メートル1分を切るような走りをすれば、二度目の坂でスタミナが切れて落ちる)」

「(先行や差しなら周りを囲んで思い通りに走らせなければいい。これまで逃げしかしてこなかった彼女は駆け引きやプレッシャーに慣れていない。抜け出すことはまず不可能)」

 

 

<続きまして3枠5番は……>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 他のウマ娘達もパドックを終え、ゲート入りのためにコースに足を踏み入れたフクキタルにスズカが駆け寄る。

 

 

「フクキタル」

「スズカさん」

「今日は……負けないから。全力で勝ちにいくわ」

「!! フフフ、受けて立ちます!!」

 

 

 宣戦布告。

 二人は笑顔だがその気迫は凄まじい。

 と、そこに近付くのは一人のウマ娘。

 

 

「……っ!! ……っ!!」

 

 

 黒鹿毛のショートヘアで後ろ髪を一つにまとめ、黒の勝負服に身を包んだウマ娘が、口パクと身振り手振りで何かを訴えている。

 

 

「?? あなたは……」

「あ、この人はキンイロリョテイさんです」

「……! …………。………!!」

「えっと?」

「この前、京都で一緒に走ったときは普通に喋っていたんですが……ふむふむ」

「…………!? ………!!」

「さっぱりですね!!」

「……!!??」

 

 

 ガーン、と明らかに落胆しているリョテイ。

 

 

「フクキタル……それは流石に……」

「てへへ」

「……っ!!」

 

 

 舌を出すフクキタルに対して、ガルルルと今にもリョテイは噛み付きそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ファンファーレが鳴り響く。

 

 

<さあクラシック戦線もいよいよ大詰め。京都第10レースG1、菊花賞。芝3000メートル、18人フルゲートでの出走です>

<ゲートインは順調ですね。ファンファーレ中に大体の子が収まっています>

<3000メートルという事で客席からかなり離れているのですが、まるで地響きのような歓声に驚いている子もいますね>

 

 

 実況解説の言葉通り、観客席の歓声はそれはもう凄まじかった。

 シンボリルドルフ、ナリタブライアンに続く三冠。新たなスターの誕生を一目見ようと13万人を超える観衆がスタンドに詰めかけている。

 

 

<ゲートインは順調に進んでいます。さあ18番シガーテスコ、収まりまして各ウマ娘ゲートイン完了。出走の準備が整いました>

<最も強いウマ娘は誰か。G1菊花賞>

 

 

 ガタンッ!!

 

 

<ゲート開いてスタートしました!>

<揃いました18人、大歓声が京都レース場を揺らします>

<注目の先行争いはまず2番セイランタイフーンいやサイレンススズカだ! 3番サイレンススズカが飛び出した!!>

 

 

 観客席がざわめく。

 

 

<後続をあっという間に突き放していくぞサイレンススズカ! 2番手はセイランタイフーンそしてなんと3番手にマチカネフクキタル。それから5番ウェスタンロード、ヤマトマサムネ、キンイロリョテイと続く>

 

 

 1バ身、2バ身と着実にリードを広げていくサイレンススズカ。後続の17人を引き連れて最初の第3コーナーをロスなく最短距離で進んでいく。

 観客席からは気持ちのいい逃げっぷりに対する興奮の歓声と、破滅へ突き進む走りに対しての怒りや失望の混じった声が聞こえてくる。

 

 

<ハナを主張するサイレンススズカに対して後続は落ち着いた様子>

<あのペースについて行くと後半スタミナ切れになる恐れがありますからね。各ウマ娘よく堪えています>

<さあ一度目のホームストレッチ。隊列はかなり縦長になっています。先頭からお終いまで20バ身はあるでしょうか>

<先頭サイレンススズカ、2番手セイランタイフーンに8いや9バ身。続くマチカネフクキタルは1バ身後方につけています。中団はその2バ身後ろから。位置取りが熾烈になりそうです>

 

 

「(1000メートル58秒台!? 何を考えてるんだ東条トレーナーは……勝負を捨てた? それともサイレンススズカが逸ったのか?)」

 

 

 ストップウォッチを片手にレースを見ていた男性トレーナーは目を大きく見開いた。

 サイレンススズカの適性は明らかにマイルから中距離で、仮に三冠がかかっていなければ彼女は秋の天皇賞に出ていただろうと推測されている。素晴らしいスピードを持つがステイヤーとしての能力に欠けるスズカを勝たせたいのなら、逃げを止め抑えた走りをさせるのがベストのはずだ。

 

 

<第2コーナーを抜けて向こう正面へ。先頭はサイレンススズカ。意気揚々と先頭を進みます。リードは8バ身。2番手は位置を上げウェスタンロード、続いてセイランタイフーン、キンイロリョテイ、ヤマトマサムネが並びマチカネフクキタルが機会を伺っている>

 

 

「(いや、慌てる必要はない。疲れ果てたサイレンススズカ相手なら10バ身離れていても第4コーナーから最終直線で差し切れる。だから焦るな。今は耐えるんだ)」

 

 

 男は担当ウマ娘に願った。

 

 

 だが。

 

 

「あ」

 

 

 再度ストップウォッチを見る。2000メートルを超えて2分と少し。

 レースを見る。差は未だ広がったまま。

 ストン、と全てが腑に落ちた。

 

 

「やられた……」

 

 

 

<あーーーーっ!? マチカネフクキタルが上がっていく!! 7バ身、6バ身、どんどんリードを詰めるぞマチカネフクキタル!!>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:サイレンススズカ

 

 

 

 

 

「(っ!? まさか!!)」

 

 

 サイレンススズカは徐々に大きくなる足音にチラリと後ろに目線をやった。

 

 

「(っ!! フクキタル!!)」

「逃がしませんよスズカさん!!!!」

 

 

 距離を詰めてくるのはマチカネフクキタルだった。

 ここでスズカは作戦が破綻したことを悟る。

 

 東条から伝えられた作戦。それは『レース中盤でリードを保ったまま息を入れ、終盤で再度加速し逃げ切る』というもの。

 これは逃げウマとして『異次元の逃亡者』という異名を持ち長距離を逃げ切るにはスタミナ不足と見られているスズカに対する、各陣営の『リードされても終盤失速するから無理に追わない』という思考を逆手に取った作戦だ。もっとも、ラップタイムを正確に刻むような走りをするウマ娘が居る場合は息を入れた所で差を詰められてしまったり、上手くコースを取れないとスタミナが更に不足して作戦通り走っても脚が残っていないという少々博打な部分はあるが。

 

 そして、フクキタルはその作戦に気づいて差を詰めてきた。

 

 

<第3コーナー淀の坂をサイレンススズカが上る!! 4バ身後ろにマチカネフクキタル、後続はまだ6バ身は離れているぞ!! これは追いつけるか!?>

 

 

 スタミナで劣るスズカがここでフクキタルに合わせてペースアップするのは愚策だろう。フクキタルも生粋のステイヤーという訳ではない。今からペースを上げれば終盤で思うように伸びないはずだ。

 だが、一方でスズカは先頭以外でのレースをしたことが無いし、出来ない。

 一度躱されてしまえば差し返す事は不可能だろう。

 

 

 何より。

 

 

「先頭は……絶対に譲らない! 譲りたくない!!」

 

 

<第4コーナーサイレンススズカが加速!! ぐんとマチカネフクキタルを突き放して>

 

 

「私が勝ちます!!」

 

 

<マチカネフクキタルもペースを上げた!! これはサイレンススズカとマチカネフクキタルの一騎打ちか!? 後続メグロラミアス、トキノグレイト、カシミアヒーロー上がってくる!!>

<第4コーナー抜けてサイレンススズカ先頭!! マチカネフクキタルも迫る!! 迫る!!>

 

 

 スズカとその少し後ろにフクキタル。二人が最後の直線に入ってくると一斉に観客たちは声を上げ始めた。

 応援もある。悲鳴もある。怒号もある。

 

 13万の大観衆。その轟きが何故か遠く感じる。

 

 

「(あっ)」

 

 

 スズカは思わず声を上げそうになった。

 

 

「(なに、これ)」

 

 

 どこかぼんやりとした意識で考える。

 

 色の無くなった景色。全てがゆっくりと流れていく。歓声も、息遣いも、鼓動すら置き去りにして。

 

 静かだった。綺麗だった。何人たりとも立ち入れない、神聖不可侵の領域。

 

 

「(これが、わたしだけの)」

 

 

 

 

 

 

 

「走れええええええええええええッ!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「っ!!」

 

 

 大切な彼女の声。

 

 

「(違う!! アレは違う!! 誰もいない!! 何もない!! そんながらんどうで寂しいだけの景色を私は求めてない!!!!)」

 

 

<残り200メートル!! マチカネフクキタル先頭だ!! 強い!! 強いぞマチカネフクキタル!!>

 

 

「行かせ、ないっ!!!!!」

 

 

<サイレンススズカ巻き返してきた!! 両者ともに一歩も譲らない!!>

 

 

「スズカさん!!!!」

「フクキタル!!!!」

 

 

 お互いが横に並ぶ。負けたくない。譲りたくない。勝ちたい。

 スタミナなんてとっくの昔に尽きている。二人を突き動かしているのは燃えるような想いだけだった。

 

 

 

 

 

「「らあああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!」」

 

 

 

 

 

<菊花賞を制するのはどっちだあああああああああっ!!??>

 

 

 

 

 

 

 二人はゴール板を駆け抜ける。

 そのまま数十メートルを走り、

 

 

「「あっ」」

 

 

 ペースが緩んだところで二人同時にコケた。

 

 

「「へぶっ」」

 

 

 そして正面から芝にダイブする。

 

 

<勝ったのはどっちだ!? サイレンススズカか!! マチカネフクキタルか!!>

<結果は……1着マチカネフクキタル!!!! ハナ差で2着サイレンススズカ!!>

<3着は3バ身差でヤマトマサムネ、4着メグロラミアス、5着トキノグレイト>

 

 

「……おめでとう、フクキタル」

「……ありがとうございます。スズカさん」

 

 

 スズカはゴロンと仰向けになり、フクキタルは身体を起こしてターフに座り込む。

 二人は顔を見合わせて笑い合うとコツンと握り拳をぶつけた。

 

 

「次は、負けないから」

「次も、勝ちますよ」

 

 

<神戸、そして京都に続いて菊の舞台でも福が来た!!>

<菊花賞を制したのはマチカネフクキタル!! サイレンススズカ三冠ならず!!>

 

 

「福が来た、ですって。私もお守り……買っておけばよかったかしら」

「ふふんっ。この勝利は運ではなく友情と努力の賜物です!!」

「……じゃあその絵馬とか外して次は走りましょうか」

「い、衣装デザインに含まれてるのでダメです!!」

 

 

 飛び上がるように立ち上がったフクキタルがズザザッ!! と距離を取る。

 

 

「ふふっ、冗談よ」

「いや目がマジでしたよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、菊の舞台の幕が下り、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ……お前の夢を、聞かせてくれないか」

 

 

「は? バレンタインステークス? 何でわざわざ……スズカも貴女も適性外でしょう」

 

 

「私、スペシャルウィークっていいます! 初めまして、ですよね。トゥデイさん、スズカさん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 運命の年が始まる。

 

 

 

 

 

 

 




 
 あれ……? なんかに王道スポ根になってしまった……そういえばアプリもアニメもライスのヒール扱いめっちゃ腹立てたからなぁ……本能が避けてしまったか(建前)……それにデイカス絡まない曇らせ需要無さそうだし(本音)

 トゥデイの叫びが無い場合、スズカはレース中に意識不明になり転倒し重傷を負い、イベント『望まぬ決着』が発生。勝利したフクキタルはスズカの怪我を招いたとして叩かれて曇る。
 またスズカのシニア1年目での復帰は絶望的で秋天のフラグが消滅したためデイカスはレースから離れようとするが、勘違いしたグラスに連れ戻されなんやかんやあってグラスペフラグが消える。

 マチカネフクキタルの前走が京都新聞杯ではなく京都大賞典なのは仕様です。この世界、アニメとアプリが入り混じってますからね(ご都合主義の権化)

 バレンタインステークスってスズカが走った時は1800mのマイルだけど、アプリだと短距離なのよね(あからさまな伏線)


 次はデイカス視点で菊花賞とその後をダイジェストで、少し他のキャラとコミュってシニア突入&スペがトレセン学園に編入かなあ。

 キンイロリョテイさんは本文中では喋れなくなる星の元にいるのです。

【再掲】完結後の秋天IFルートで一番読みたいのは?(好みの調査です。感想への誘導が規約違反だったので再掲)

  • 秋天逃げ切り勝利√
  • 秋天故障半身不随√
  • スズカ告白√
  • 一番いいのを頼む(↑上3つ混ぜ混ぜ)
  • その他(活動報告にどうぞ)
  • 答えだけ見たい方向け
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。