来年は年始から仕事やばそうなので逃げ切りブラザーズにならないと(意味不明)
Side:オリ主
弥生賞はスペシャルウィークの勝利で終わった。
原作通りの結果で、これで彼女は皐月賞への出走がほぼ確定。そこには朝日杯FS以降怪我することなくトレーニングを積んでいるグラスも出るわけで、本来は来年だった筈の念願のグラスペ対決が見られるという訳だ。素晴らしい。
ここはフクキタル達に倣ってこう言っておこう。
サンキュースリーゴッデス!! サンキューシラオキ!!
ただ、原作だとスペが皐月賞で太ったような描写があった上で負けてたんだよな。いや、坂が苦手なんだっけ?
その後の話でダービーに向けてタイキとの模擬レースとかの特訓パートがある。模擬レースをグラスとやらないかなあ……流石に無理だよなあ。同世代同路線のライバル相手に「勝てないだろうな」なんて言って模擬レースさせる訳ないよなあ。
ちなみにエルコンドルパサーは共同通信杯を勝利。デビューは年明け頃でそこから三連勝。このローテだと次はニュージーランドTからのNHKマイルCが常道。だけどアニメだとダービーに出てきているのが……。
でも、介入とかはやめておこう。私が動くと変なことになるのはスズカで思い知ったし。
グラスペは一日にして成らず。今は秋天に向けてがんばるぞー、おーっ!!
……はい。
さて、グラスペはひとまず置いておいてレースの時間だ。
金鯱賞は中京レース場で行われる芝左回り2000メートルの重賞レース。
春の芝中距離路線の前哨戦として位置付けられているレースで出走可能なウマ娘はシニア級から。私より一つ二つ先輩のウマ娘も参加している。
ちなみに今回のレース、フルゲート18人なのだが今回出走したのは私含めてたったの6人だ。
まあそれも仕方のないことで、クラシック二冠にジャパンカップ制覇のサイレンススズカと、彼女を神戸新聞杯や菊花賞で破ったマチカネフクキタルの参戦は、各陣営が「あかんわこれ」と出走を回避し他の重賞に流れる結果となった。リギルの先輩であるマルゼン姐さんもかつて似たような事があったらしい。
シニア初年の面々はスズカとフクキタルの他にはいない。クラシック級で間近にその走りを味わったからだろうか。そんな中で数少ない同期のフクキタルは……去年は神社でのやり取りとかで精神的にアレな感じがしたが、神戸新聞杯や菊花賞を終えてから何かが変わった……ような気がする。
<1番トゥデイグッドデイ。4番人気です>
スピーカーから響く声に合わせてパドックのお披露目台に出て、少し進んだところで立ち止まり一礼する。ここでの決めポーズがある人もいるらしいが自分はちょっと……。
<前走の中山金杯では故障明けにも関わらず見事勝利を掴み取りました。強力なライバルたちを相手にどのような走りを見せてくれるのか、期待したいです>
解説が終わったところで踵を返す。おハナさんは会場には来ているらしいがぱっと見居なかった。上の関係者席にでもいるのだろう。
<2番………、………>
<3番、一番人気の登場です。……サイレンススズカッ!!>
先輩ウマ娘が紹介されているのを脇目にパドックに降りて準備運動していると、入れ替わりにスズカが現れ、空気が爆発したかのような歓声が轟く。
聴覚がヒトよりも鋭いウマ娘にこれはキツイ。耳の向きを変えることである程度緩和は出来るがここと観客の距離は近いから焼け石に水だ。
そういえば、長距離レースになると観客席の前のホームストレッチを序盤から中盤あたりに走る事があり、その際の歓声に動揺して掛かってしまうウマ娘がいるらしい。ペース配分が重要な長距離は勿論、メンタルの良し悪しが発揮できる能力に直結するレースにおいて動揺は致命的だ。あと、カメラのフラッシュもかなり気が散るとはエアグルーヴパイセンが言っていた。
ある時のパイセンのレースはそれの影響で負けるわ怪我するわと散々で、おハナさんがブチ切れてURAに直訴。レース場でのフラッシュ撮影が禁止される事になったとか。
<昨年は皐月賞、日本ダービー、ジャパンカップを制した彼女のシニア級初戦。その逃亡劇を止められるウマ娘は果たしているのか>
<有馬記念を回避したというニュースにはヒヤリとしましたが調子は良いようです。表情にも落ち着きがありますね。これは他のウマ娘達にとって厳しいレースになりそうです>
実況解説、それに観客の雰囲気は完全にスズカVSその他な感じだ。降りてきた先輩ウマ娘はそれに闘志を燃やしているようで、流石はスズカ相手に勝負することを選んだ数少ないウマ娘だろう。尊い。
ただ、スズカに落ち着き? ……あれはワクワクしてる子供やろ。
尻尾や耳は意識してるのか普段通りだけど、こっちをチラリと見てきた目が明らかに爛々としてる。
ジャパンカップの後にスズカの疲労を懸念したおハナさんが有馬記念への出走を見送ったからなあ。本人は気にしていないって言ってたけどやっぱりフラストレーションが溜まっているんだろうか。
レースに対してある意味淡白だった原作と違う部分であり、それが今の戦績に結びついているんだと思う。
さっきのパイセンの話もそうだがウマ娘にとって気持ちは重要だ。それはスズカも例外ではなく今日の彼女は絶好調、つまりヤバイ。
私? まあ普通だけど。
<6番、マチカネフクキタル。2番人気です>
<唯一サイレンススズカの影を踏み、そして勝利した彼女が2番人気に推されるのは当然でしょう。故障明けというのが心配でしたが良い仕上がりですねえ。これは期待できそうです>
最後に現れたのはフクキタル。
笑顔で観客に向けて手を振っている。この子も調子良さそう。故障明けと言っても私みたいな骨折ではなくトレーニング中に足の爪が割れたとかで、療養も念の為だと言っていた。
スズカとフクキタル、二人の実力は伯仲している。
この場にいる先輩たちは勿論、エアグルーヴパイセンら歴戦のシニア級G1ウマ娘にも決して負けていない。
そんな訳で。
<サイレンススズカが1着でゴールイン!! 続いてマチカネフクキタルがゴール!! そして3着争いはトゥデイグッドデイと…………>
レース結果はスズカが勝利し2バ身差でフクキタルが2着。そこから3バ身差で3着に私という結果に終わった。
勝ち時計は『1分58秒7』。
いやーきついっス。スズカはさっさと逃げてフクキタルがそれを追って、まるで逃げが二人みたいな状況になってそのまま何もできずに終わった。
せめてもっと人数が居れば内枠だったスズカを囲むとか出来……いや、スタート上手いから無理か。
フクキタルあのヤバい末脚が届かないとか……今のトゥインクルシリーズにスズカを差せるウマ娘おるんか?
え? 勝負服? あーそういや大阪杯がG1だから注文してたんだっけ。
リギルの皆の前でお披露目? え、いや畏れ多いというか普通に恥ずかしいんですが。
普段のライブ衣装よりマシなのはそうだけど……しょんぼりしないでスズカさーん!! 分かったから、やりますよ! って着替えは手伝わなくていいわい!!
Side:東条ハナ
大阪杯を控えたある日。
トゥデイは今回が初のG1出走という事で注文していた勝負服が届いた為、トレーニング終わりにチームの面々の前でお披露目をすることになった。
「えと……どうです……か?」
慣れない状況に、最近は緩和されつつあったウマ娘に対しての人見知りを発動したトゥデイが恥ずかしそうに勝負服に身を包んで佇んでいる。
トゥデイの黒鹿毛に近い黒を基調に白や赤をアクセントとした衣装で、フード付きのパーカーにへそ出しタンクトップとショートパンツ、グレーのニーハイソックスに足元は黒いレザーのブーツという全体的にボーイッシュな方向で纏まっていた。
「よくお似合いですよ」
「ええ、本当に。可愛くてかっこいいわ」
「まさにブラックサンダー、ベリーGoodですネ!!」
「ふふっ、それだとお菓子になっちゃうわよ」
グラスとスズカ、タイキやマルゼンスキーらリギルのウマ娘たちはその勝負服、それを着たトゥデイに対して非常に高評価な様子。
トゥデイの「あまりヒラヒラしたのは……」という要望に加えて、年頃のウマ娘としての感覚というか乙女心とか諸々が欠如している所のある彼女の内面を上手い事落とし込んだ一品。
乙女心の欠如といえば、以前スズカに対して取材があったウマ娘大陸が先日放送された際に寮での二人の姿が日本全国のお茶の間に映ったのだけど、スズカがルームワンピースにカーディガンという格好だったのに対してトゥデイはUmazonで買える上下セット3000円しないジャージ、しかもメンズ。教え子の趣味嗜好に口出しする事は無いけど、同じ女としてそれはどうなんだと正直思う。
「白い稲妻に対しての黒い稲妻、タマモクロスの勝負服の意匠を取り入れているようだ。……ん? おっ……ふふっ」
「……会長?」
「意匠を取り入れた衣装……ふふっ……はははっ」
「()」
「しょうもな……」
エアグルーヴのやる気を下げるのはやめなさいルドルフ。大阪杯にはその子も出るのよ。
敬愛する皇帝から流れ弾を食らった女帝という光景に呆れていると、トゥデイが近づいてくる。
「どうした、トゥデイ」
「その……トレーナー、ありがとうございます。色々と」
「……そうだな。お前には散々苦労させられた」
入学前の事故。体格と先天的な体質というハンデ。距離適性。青葉賞での故障。いくつもの壁をトゥデイは乗り越えてきた。トレーナーとして出来たのは彼女が向かう先の道を舗装し整備することだけ。進む道が獣道茨道ばかりなので相当苦労はしたけど。でも、トゥデイは終ぞ揺らがなかった。倒れなかった。折れなかった。この先、この子みたいな鋼の意志を持ったウマ娘と出会えるとは正直思えないくらい。
「だが……その衣装を着ることが出来るのは紛れもなくお前の努力の結果だ。トゥデイ」
青葉賞の時点で日本ダービーへの出走を見込んでいてその際にデザイナーに話を通していたけれど、骨折により休養となったために一度流れてしまっていた。そんな経緯のある勝負服にトゥデイが身を包んでいる光景に、熱いものが込み上げてくるのを自覚する。
「おハナさん、ティッシュ使う?」
「……使う」
ススッ、と背後に忍び寄ってきたフジキセキが何処からか取り出したポケットティッシュを受け取り私は部室を後にした。
「珍しい事があるもんだ。おハナさんがこっちに来るなんて」
「……たまにはそういう気分にもなるのよ」
私が足を向けたのは同僚である沖野のトレーナー室だった。業腹だけど、一番気兼ねなく会話できて時間を潰せるのがこの男だし。
「大阪杯、リギルからは三人だっけ? 女帝、異次元の逃亡者、黒い稲妻。かーっ豪勢なメンツだねえ」
備品の冷蔵庫から取り出した缶コーヒーをこちらに手渡しながら彼は言う。
今年のリギルのシニア級中距離路線はエアグルーヴ、スズカ、トゥデイの三人。エアグルーヴはドリームトロフィーリーグへの移籍が内定してるので今年がシニア級最後になる。彼女は昨年のジャパンカップではスズカと海外ウマ娘に続いての3着だったからか、スズカへのリベンジに燃えている。
「あの子、トゥデイグッドデイは初のG1か。どう、調子は」
「悪くはないわ。骨も筋肉も問題なし。青葉賞の時みたいな走りをしても壊れる事はそうそう無い筈よ」
答えると沖野は咥えていた棒付き飴を手に持ち横に振る。汚いからやめなさい。
「違う違う、気持ちの方だよ。前は血が出るまで坂路トレーニングしたりと酷かったろ? クラシック級から、青葉賞の後も特にそういう話は無かったから今は大丈夫だと思うけどさ」
そう口にする彼の表情は真剣だ。
トゥデイは目的の為ならば己を磨り潰すような無茶を平然とこなしてしまう。しかもそれは自棄になった自傷ではなく、自らを高めるために限界と成長を冷徹に見極めて理性的に行う。そういう類いのもの。だからこそ、彼は自由なスピカではなく管理的なリギルにトゥデイを推薦し、私も彼女を受け入れた。
茨の道を行くのなら、せめて歩きやすいように、と。
「そうね……相変わらずこなすメニューはとんでもないけど、自分や周りを蔑ろにはしていないわね。オフの日には友達同士で街に遊びに行ったりもしてるみたいよ。というか、あなたの所のゴールドシップどうにかしなさい。トゥデイが影響されたらどうするの」
「……そっか。やっぱりおハナさんに任せてよかったよ」
「聞きなさいよ」
あのゴールドシップの根が思いやりのある気配り上手なのは何となく察している。チームがガタガタになって意気消沈していたこいつを支えたのは彼女だし、自分を痛め付けるトゥデイを頓珍漢なトレーニングに連れ出したりもしていた。だけどルドルフら生徒会の面々が頭を抱えるような奇行はやめてほしい。
雑談を終え、私物のスマホにルドルフから連絡が入っていたのでリギルの部室に向かう。なんでも記念撮影をするらしい。教え子たちの思いやりに頬が緩む。
「いつか、この思い出を肴に皆でお酒が飲めたらいいわね」
サブタイトルの『1分57秒8』はサイレンススズカが98年金鯱賞で大差勝ちした際のタイム。この時の2着は1分59秒6。史実フクキタルは2分00秒5で6着でした。
なんでスズカのタイム落ちたんやろなぁ(すっとぼけ)
シングレ5巻のタマの領域覚醒シーン読んだ後にアプリの固有演出見ると後半で笑ってしまう。雷神のポーズにしても何故カメラは正面からなのか。しかもザ・ワールドするし。
最後の集合写真はムリだったよ。。。
【再掲】完結後の秋天IFルートで一番読みたいのは?(好みの調査です。感想への誘導が規約違反だったので再掲)
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秋天逃げ切り勝利√
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秋天故障半身不随√
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スズカ告白√
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一番いいのを頼む(↑上3つ混ぜ混ぜ)
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その他(活動報告にどうぞ)
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答えだけ見たい方向け