転生オリ主ウマ娘が死んで周りを曇らせる話   作:丹羽にわか

3 / 48
同志諸君!! 感想ありがとう

 作品のタイトル通り、トゥデイグッドデイは2年後、秋の東京に散りスズカたちは曇る。今がコメディチックなのは『落差』が大事だと思うからである。

 グッピーが死んだ? 上等じゃあないか。それだけスズカたちは衝撃を受ける。盛大に曇る。(プロローグで世界への憎悪を抱いていそうにしてしまったのは湿度足りない? 足りる?)

というかこの笛吹界隈曇らせスキーや愉悦部員多すぎでは??? 日本大丈夫???

キャラ崩壊してる気がしますが読者の皆様はきっとトレセン学園よりも広い心の持ち主なので許してくれるでしょう。


第2R

Side:サイレンススズカ

 

 

「どうしたらいいの・・・」

 

 

 サイレンススズカは学園の一角にある大樹のウロに手をついてうなだれていた。

 原因は先日トレセン学園に編入してきて栗東寮で同室となったトゥデイグッドデイである。

 初日の夜に『閃いた!!』スズカが寮の大浴場に連れ出し、気絶した彼女を介抱している内に自身の人見知り判定は無くなっていたが、どうにもトゥデイから距離を取られており、どう解消すればいいのか絶賛お悩み中だった。

 なお、普段怜悧な表情で大逃げをかまし模擬レースなどでは負け知らず、チームリギルにスカウトされて所属し将来を有望視されているスズカの様子を見た他のウマ娘達が「え? あのサイレンススズカ?」と遠巻きにしているのには気づいていない。高嶺の花なクール系美少女に見えるが、その本質は走ること大好きで集中すると周りが見えなくなる天然ちゃんであるから仕方ない。

 

 

「エアグルーヴやタイキに訊いた方法はダメだったし・・・」

 

 

 チームリギルの先輩であるエアグルーヴからは「一緒に勉強するのはどうだ?」と、アメリカン陽キャのタイキシャトルからは「裸の付き合いがいいと思いマス!」とアドバイスを貰っていたが、前者については一緒に勉強する事には成功したが会話が発生せずシャー芯を消費しただけに終わり、後者はスズカが着替えに手を伸ばした瞬間寮室から脱兎の如く逃走し、完全に警戒されてしまっていた。

 

 

「ふっふっふ、お悩みのようですね」

「っ!? その声は・・・」

 

 

 スズカが顔を上げて振り返った先には、目がシイタケのウマ娘が得意げな表情で立っていた。

 

 

「マチカネ・・・フクキタル・・・っ!!」

 

 

 漫画だったら太ゴシックで強調されていそうなセリフを絞り出すスズカ。何故か高まる緊迫感にフクキタルは目を瞬く。

 

 

「えっと? スズカさん? そのライバルキャラ登場!! みたいな反応はなにゆえ」

「あ、ごめんなさい。なんというか、その・・・ね?」

「言外に「フクキタルだからつい・・・」って聞こえるんですが」

「フクキタルだからつい・・・」

「言葉にする必要はないです!! もーっ!!」

 

 

 大体はシラオキ様のお告げやら開運グッズやら占いやらで他人を振り回す側であるマチカネフクキタルだが、スズカ相手だとあまりの天然っぷりにしてやられる事が度々あった。今日はそういう日らしい。

 

 

「コホンッ」

「あら、風邪でもひいたの?」

「咳払いです!! それでスズカさん、何かお悩みのようですがここはおひとつ、この開運の八卦図を今ならニンジン十本で・・・あーッ待って立ち去らないで冗談です!! 占いはいかがですか占い!!」

「えぇ・・・」

「何で引くんですか!? 確かな実績と評価と信頼を得ているこのマチカネフクキタルの占いですよ!?」

「それは知っているけれど・・・なんというか雰囲気が・・・ね?」

「それって「雰囲気が胡散臭い」って言ってるも同然ですよね!?」

「雰囲気が胡散臭くて・・・」

「デジャヴュ!! 天丼!!」

 

 

 なお、フクキタルの占いでは「深夜こっそりベッドに潜り込むと人間関係に改善の兆しが!!」と出た。

 

 人見知りではあるが一度その認識が取っ払われると距離感がバグる天然スズカは普通にそれを実行し、無事にトゥデイとの距離を縮めることに成功したが、その報告を訊いたフクキタルは「正直この占いの結果はどうかと思っていたんですが・・・」と苦笑いするしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:オリ主

 

 

 

 

 ウマ娘達が尊すぎてつらい。

 

 ウマ娘みんな美少女だなー、よっしゃグラ×スペのために頑張るぞい!! って軽く考えていたんだが、それが現実になると見た目は抜群に可愛いし、物凄くいい子だし、いい匂いするし、なんかキラキラしててヤバイ(小並感)

 サイレンススズカたちメインキャラは勿論、アニメで名前が出てこなかったり勝負服のデザインが微妙だったりしたモブウマ娘たちもヤバイ。尊い。こんな美少女だらけの空間で数年過ごす・・・果たして自分は正気を保っていられるのだろうか。正直自信が無い。

 

 とまあ、現状の課題はいくつかあるが、一番はグラ×スペ最大の障害であるサイレンススズカとクラスメイトでありルームメイトな事だ。

 

 いや、当初の想定ではグラスワンダー達と同学年の筈だったが、色々と考えた結果、沈黙の日曜日の回避にはこの立ち位置は凄く都合がいい事に気付いたから作戦的には問題ない。

 

 では何が問題なのか。

 

 

 サイレンススズカが尊すぎて色々と限界です。

 

 

 こんな目つきの悪くて不愛想で小生意気そうなクソガキである自分と仲良くしようだなんて貴女は女神か?

 

 スズ×スペもアリ・・・はっ!? 今自分は何を。クッ、気をしっかり保て!! 妥協してスペシャルウィークによる百合ハーレムだろう!! なおハーレムメンバー×スペで。元気印な子が攻められるのが好きなんすよ。もちろん無邪気攻めもいいんだけどね? グラスワンダーが愛おし気な笑顔で攻め立ててそれに耐えられず涙目のスペシャルウィーク。あぁ^~心がうまぴょいするんじゃぁ^~。

 

 ふぅ・・・話が脱線してしまった。

 

 とにかくサイレンススズカがヤバイ。ただでさえ低い自分のコミュ力がデバフで壊滅的だ。彼女とは良好な関係を築くべきなのは確かなので、どうにかして慣れなければ(震え声)

 

 ただ、ここ数日の彼女とのやり取りで思っていたが、少し前世の記憶にある印象と違う気がする。

 アニメの感じからクール系に見せかけた天然系というのは知っていたけども、それは主人公であるスペシャルウィークだからこそ引き出せた姿だと思うんだが、何というか自分と交流を図ろうとするサイレンススズカからは原作に見られない勢いと積極性を感じる。こんなにグイグイくる子だったんだろうか。うーむ。スピカでは年長者だったから出てこなかった一面なのかもしれない。

 

 ここ最近は寝る前に一緒に勉強したりしている。無言だけども。いや前世萌え豚百合厨の自分がウマ娘と会話とかきついっス。

 あ、風呂は気配を察した瞬間に逃走してジム備え付けのシャワールームを使っている。トレーニング後はともかく夜になると寮の大浴場や部屋の浴室を使う子が大半のようで安心できる。ウマ娘たちの裸見るとかギルティだからね。え? 初日の大浴場? グラ×スペを見届けたら一括で清算するからよ・・・止まるんじゃねえぞ・・・。

 

 次はトゥインクルシリーズへの出走登録についてだ。

 

 アニメを見る限りチームに所属しないとレースには出られない設定だった。ただ、最近の情報収集の結果だとチームに所属していなくても学園内のトレーナーに専属で指導してもらうことでレースに出るウマ娘達がいるようだ。もっとも、トレーナーの数は不足気味でありそういう子はごく一部。ほとんどがチームに所属している。

 あと、気付いたのがウマ娘のレースを主催する団体が『URA』になっているし、トレセン学園の理事長は美少女だしと若干アニメと違う所がある。

 まあ、アニメが現実になったらそういう差異も出てくるだろうさ。大して気にすることじゃないな。ガッハッハ!

 

 と、それは置いておいて。

 

 専属トレーナーは不確定要素が多いため除外。そもそもこんなちんちくりんにスカウト来ないだろうし。どこかしらのチームに所属するのが妥当だろう。

 

 ベストはチームスピカ。今はリギル所属のサイレンススズカが未来に移籍し、スペシャルウィークが入ることになるチーム。

 メリットは何よりサイレンススズカとスペシャルウィークの二人に関わりやすい事。寮で同室なのが自分であることから友好度を稼ぐ機会はかなり減っている筈だが、原作主人公故に油断はできない。ラノベの主人公なんて数回の会話だけ、下手すると初回でヒロイン落とす事あるし。

 上手くいけばグラスワンダーとのデートを演出できるかもしれない。夢が広がりんぐ!!

 デメリットは、13話を見るに一度解散寸前まで行っており、そこから持ち直すまでの流れが分からない事だ。アニメの設定だとチームメンバーが5人以上いないと出走できない筈だったが、この世界ではトレーナーの指導を受けていれば出走できるようになっている。ただ、5人以上でないとチームが強制的に解散させられる事もあるらしい。もちろん、猶予期間は設けられているようだが。

 

 次点は原作に登場していないチーム。

 メリットは特にないがデメリットもない。勿論、なるべく束縛が緩くスピカなどに足を延ばしやすい所が大前提だが、そこは いくつもあるチームからしっかり選べば大丈夫だろう。

 

 論外なのはチームリギル。現時点でサイレンススズカとグラスワンダーが所属しており一見良さげだが、致命的なデメリットがある。

 それは、トレーナーの方針的に天皇賞(秋)でのサイレンススズカとの対決が不可能だろうという事。

 まず前提として自分のレース適性は芝の長距離だ。脚が頑丈でないため全力で踏み込んで走る事が難しく、マラソンのように息を入れつつ一定のペースで走るしかない。勿論、運命の日には骨が砕けようが構わないがトレーナーは見逃さないだろう。情に訴えようにも、ウマ娘の将来を第一に考える彼女は恨まれようとも出走登録を拒むはずだ。

 だからチームリギルは避ける必要があったんですね(例のry)

 

 スピカトレーナー? 誠意を込めてお願いすればいけるっしょ。自主性を重んじる放任主義の天才タイプと思いきやロマンチストで義理人情に厚い熱血漢タイプっぽいし。

 

 加入時期は・・・どうしようか。

 サイレンススズカのデビューは来年、C組に上がってからのクラシックらしい。今はリギルで絶賛地獄の基礎トレーニングをしている。部屋に戻ってくるなり「つかれたぁ」「はふぅ」「もう・・・ムリ・・・」などと言いながらベッドに倒れこむ彼女を見れるのはこの中等部の時期に同室だからだろう。ヤバイですね☆ミ

 

 違う。そうじゃない。

 

 とにかく、デビューや出走レースはなるべくサイレンススズカと合わせる必要がある。ジュニア参戦で来年からクラシックの流れも考えたが、今はしっかりトレーニングを積む事が大事だろう。

 え? さっき適性長距離だって言ってただろって? トップスピードで走れる距離が短いだけでマイルや中距離を走れないわけではない。限界までトレーニング積んで色々策を弄しても重賞で入着できれば御の字程度だけども。短距離は無理です。

 ここで必要なのは『サイレンススズカのライバル』になる事だ。この場合のライバルは「実力が伯仲する相手」である必要はない。勝負を重ねて「負けないけども負けられない相手」という認識を得られれば十分だ。スペシャルウィークとの対決に対する気持ちの比重を下げつつ、運命の日への布石にする。

 とりあえず、スピカへの加入はなるべく早めにしておいた方がいいだろう。

 編入は前世の経験による努力ブーストでどうにかなったが、レースに出るとなったらトレーナーからの指導は必須だ。前世があるからと言って門外漢が勝手にやって勝てるほどこの世界は甘くないだろう。

 

 まあ加入の時はあれだ、同室でエリート街道まっしぐらのサイレンススズカをライバル視しているように振る舞っておけば悪い印象は抱かれない筈。

 

 よし、明日さっそくスピカの部室に行ってみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・それはさておき、お花摘みから戻ってきたサイレンススズカが自分のベッドに潜り込んできたんですが。

 

 

 え? 寝ぼけてる? ベッド間違えたってやつ? そこまで天然ちゃんだったっけ貴女?

 

 身長差のせいで寝息が耳に当たっているし、ウマ娘の高い体温からか触れていないのにほんのり温もりを背中に感じる。

 

 これってギルティでは?

 

 この世にグッバイしなければならない案件では?

 

 いやしかし、グラ×スペも成さずに。

 

 思考がグルグル回る。

 

 

「ん・・・おかあ、さ・・・」

 

 

 ・・・・・・。

 

 サイレンススズカは、まだ中学二年生だ。それで地元を出てこれまで寮で一人暮らししていたわけだし、寂しくない筈がない。

 しかも、同室となった相手が明らかに距離を取っているとなれば、その寂しさは増してしまうだろう。

 

 彼女はウマ娘だ。尊い存在だ。自分みたいな底辺転生者が決して侵してはならない人だ。

 

 

 けども彼女は、ただの女の子だ。

 

 

 ここは中身オッサンの自分が、守護らねば・・・。

 

 いやそれでも犯罪チックだな。やっぱりアウトではなかろうか?

 

 

「んぅっ・・・」

 

 

 ヒェッ!? 急に頭を抱きかかえてきて・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふにゅん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ、もうムリ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・トゥデイさん、起きないと遅刻しますよ?」

「うぇ? あー・・・もう朝・・・おはよう、()()()

「っ!! ええ、おはよう()()()()

 

 

 

 

 




 ウマ娘たちはキャラクターじゃないんだよというお話。

 スズカはオリ主が混乱している間に寝落ちてた。寂しさを感じているのは本心から。

 なおガバ。沖野Tの事舐めすぎでは主人公。



 この第2R書きながら思ったんですが、ABC組のクラス分けだとトレセン学園の『全校生徒2000人超』って無理では・・・もしやこのクラスに所属できない=レースに出走できないウマ娘達が大勢いる・・・? 流石にそこまで過酷な世界ではな・・・うーん。


 なお本作品での主人公ともいえるのはサイレンススズカですが、作者が一番好きなウマ娘はダブルターボ師匠です。

 カノープスの部室の隅に置かれた観葉植物になりたい。

オリ主は何カス?

  • トイカス
  • トゥカス
  • デイカス
  • グデカス
  • 語呂悪くね?
  • 窓割れてね?
  • 何か他のがいい
  • でもやせたーいv( ̄ー ̄)v

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。