転生オリ主ウマ娘が死んで周りを曇らせる話   作:丹羽にわか

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唐突に書きたくなった
 デイカス視点無しでネタだけ散りばめた駄文です。

 カサマツ生まれでオグリ同世代のデイカスが、トレセン学園の受験に失敗した場合のルート。
 オグリと幼馴染みとかではない。
 


 終盤デイカスがタヒんでオグリ闇堕ちするから気を付けてくれよな(予防線)


 この前のプライムデーで一期ウマ箱全巻揃えて、ウマ本の小説読んだらグラスやエルの入学の流れや時期が書かれていて背筋が冷えた……このまま突き進みます!!(乙名史) 


IFルート
Another 受験失敗カサマツルート


Side:北原穣

 

 

 木曽川の河川敷でのトレーニング中。飲み物を買いに行っていた北原が戻ってくると、チームメンバーのオグリキャップとベルノライトの他にもう一人、見知らぬウマ娘がいるのに気付いた。

 

 

「(ん? あれは……)」

 

 

 ベルノライトよりも拳一つ二つ分は小さい後ろ姿。腰程まである黒鹿毛に褐色の肌。着ているジャージはカサマツトレセン学園の白と紫の物とは異なり、濃紺をベースに所々白線が入っている。そのデザインは近くの公立校の物だと地元民の北原は気付いた。

 

 

「(一般校のウマ娘……だよな。黒鹿毛に褐色、あの身長……学園じゃ見た事が無いし)」

 

 

 トレーナーという職業柄、学園の生徒達の顔は頭に自然と入っている。黒鹿毛には何人か見覚えがあるが、あの低身長と褐色肌の特徴的な容姿のウマ娘に心当たりはなかった。

 トレセン学園は主に競走ウマ娘を目指す場であり、それ以外の道を選んだウマ娘が一般校に在籍する例は無いわけではない。だが。

 

 

「(あの使い込まれたシューズ……趣味のランニングなんて生易しいモンじゃないな。となると浪人か……)」

 

 

 トレセン学園の入学には試験がある。実技に筆記に面接。中央も地方もレベルの違いこそあれその辺りは変わらない。当然、試験なので合格できない者もいる。そういったウマ娘の中には一般校に進学してから編入試験を目指す者がおり、進学しなかった場合も含めて『浪人』と呼ばれていた。

 そして、オグリキャップ達と話しているウマ娘は前者だろうと北原は予想する。

 

 

「………っ! ……っ!!」

「………」

「…………」

「(なんか揉めてる……のか? 今度はベルノのデビュー戦にオグリのジュニアクラウンもあるんだからトラブルはやめてくれよ、マジで)」

 

 

 内心ぼやきつつ平常を努めて北原は声をかける。

 

 

「オグリ、ベルノ、おつかれさん。その子は?」

「おっと」

「あっ、トレーナーさん」

 

 

 声をかけながら買ってきたスポーツドリンクを投げ渡す。

 オグリキャップはパッと見いつも通りの無表情だが僅かに眉尻が下がっていて、ベルノライトは明らかにホッとした様子だった。

 黒鹿毛のウマ娘はピクリと耳と尻尾を震わせるとくるりと振り返り、金色の瞳が北原を捉えた。

 

 

「あなたがオグリキャップさん達のトレーナーですか」

「ああ、北原穣だ。お前さんは? 見たところウチの生徒って訳じゃなさそうだが……オグリ達に何か用か?」

「私は……トゥデイグッドデイです。用……というか皆さんにお願いなのですが」

 

 

 黒鹿毛のウマ娘、トゥデイグッドデイの話を要約すると「学園の外で行うトレーニングに自分を参加させて欲しい」との事だった。

 北原の予想通り、彼女はトレセン学園の受験に失敗した浪人だった。オグリキャップの事は先日の『カサマツ音頭ウイニングライブ事件』で知り、自主トレ中に偶然見掛けたため思わず声をかけてしまったらしい。

 

 

「トレーニングに参加ねぇ」

「ダメ……でしょうか」

 

 

 トゥデイグッドデイはしゅん……と肩を落として視線を伏せる。

 

 

「うーん……まあチームメンバーはこいつらだけだし、お前さんを見る事は出来はするが……」

 

 

 北原は男でありトレーナーである。困っているウマ娘の為に手を尽くすのを厭う事など出来ない。

 その一方で、学園に入学してもいないウマ娘を指導するのが余り褒められた行為でないことも自覚している。入学してもスカウトされずにゲートインすら出来ないウマ娘達がいるのだ。当然、与える心証はよろしくない。

 

 だが。

 

 

「私は良いと思う。楽しくなりそう」

「オグリ」

「わた、私も、賛成です。きっと刺激にもなりますし」

「ベルノ」

 

 

 担当ウマ娘が二人とも賛成しているならば拒む理由など無い。多少風当たりが強くなってもそこは年の功で何とでもなる。

 

 

「てなわけでこれからよろしくな、グッドデイ」

「よろしくトゥデイ」

「がんばろうね、トゥデイちゃん」

「……ありがとう、ございます」

 

 

 瞳を潤ませたトゥデイグッドデイは深々と一礼する。

 

 

 そして、かけがえのない仲間が加わったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:ベルノライト

 

 

 

 

 トゥデイグッドデイ……トゥデイちゃんがトレーニングに参加するようになって色々ありました。

 

 私のデビュー戦にオグリちゃんのジュニアクラウン。

 中京盃ではオグリちゃんが中央……あの『皇帝』シンボリルドルフさんにスカウトされて……中央のライセンスを持っていないトレーナーさんは『夢』を天秤にかけることになって。

 

 オグリちゃんはゴールドジュニアを勝利して中央行きが決定。私もスタッフ研修生としてついていくことになりました。

 

 驚いたのが、トゥデイちゃんが前に受験していたのが中央トレセン学園だったということです。

 私達みんなカサマツ以外の地方のトレセン学園だと勝手に思っていたので、ゴールドジュニア後のウイニングライブで顔を合わせたシンボリルドルフさんに声をかけられていて初めて勘違いに気付きました。

 

 トゥデイちゃんは私よりも小さい身体と細い手足をしています。

 競走ウマ娘にとって『小柄』というのはデメリットが大きい要素です。ストライドの幅が小さく同じ一歩でも進める距離は短くなり、軽い身体はバ群での競り合いに弾かれ抜け出せないどころか怪我のリスクすらあります。

 そんな彼女は中央トレセン学園の実技試験の一環の模擬レース中に転倒。ひどい怪我を負い救急搬送され試験は中止、失格になってしまったそうです。

 

 その模擬レースを観ていたシンボリルドルフさんはトゥデイちゃんの事を心配していたみたいで、彼女の顔を見てポカンと呆け、二本の脚で立っている姿に安堵からか目を潤ませていたのがとても記憶に残っています。

 

 

「走っているんだな……君は中央を、トゥインクルシリーズを目指しているのか?」

 

 

 その問いにトゥデイちゃんは首を横に振りました。

 

 怪我の影響で彼女の脚は爆弾を抱えています。レースを走れば脚が壊れ、周りを巻き込んでの大事故を引き起こしかねない。だからレースを走るつもりはない。

 その答えにシンボリルドルフさんは悲しげな表情でした。ションボリルドルフ……すみません。

 

 けれど。

 

 

「中央のトレーナーを目指す……? なるほど、確かにウマ娘がトレーナーになれないというルールは存在しない。過去、地方のトレセン学園ならばそのような事例もある。だが」

 

 

 プレッシャー。皇帝の武威。まるで万の大群を前にしているような息苦しさに悲鳴が上がりそうになります。

 

 

「中央は、こことは世界が違うぞ」

 

 

 彼女と私達の間にあるのは地方と中央に横たわる大きな大きな壁。地方のエースが中央に乗り込み、一勝も挙げられずに頬を濡らして戻ってくる。そんな世界。

 オグリちゃんと私はそこに行く。顔がひきつっているトレーナーさんも、中央のライセンス取得を目論んでいる筈。

 

 トゥデイちゃんは真っ直ぐ視線を交わし、彼女の黄金色の瞳をじっと見つめたシンボリルドルフさんは、ふっと笑みを浮かべるとマルゼンスキーさんを伴って立ち去りました。

 

 

 

 そして、トレーナーさんとトゥデイちゃんは、中央のライセンス目指して猛勉強らしいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:オグリキャップ

 

 

 

 

 

 

 悪夢を見ているんだと思った。

 

 

「キタハラ、その冗談は笑えないぞ」

 

 

 ペガサスステークスを控えたある日の事。ライセンス取得のためにトゥデイと猛勉強中の筈のキタハラからの電話。

 

 

<冗談じゃない。オグリ、落ち着け>

「落ち着いてる。だからそれがつまらない冗談だって分か」

 

 

<トゥデイが死んだ。交通事故だ。早朝のランニングで横断歩道を渡っているところに信号無視のトラックが突っ込んだ>

「やめ」

<トラックはそのまま逃走。発見が遅れて搬送先の病院で死亡が確認された>

「やめて…」

<あいつは天涯孤独だったらしい。俺が気付いた時には火葬まで終わってた……少しだが遺品があ>

「やめてくれッッッ!!」

 

 

 

 

 ベルノと一緒にカサマツに戻った。

 

 遺品は遺髪と一組の蹄鉄だけだった。トゥデイは一軒家に独り暮らしだったが、訪ねると親戚を名乗る誰かに門前払いされてしまった。

 蹄鉄は私とベルノで一つずつ持つことにした。

 遺髪は……どうしようか。

 

 今は3人で事故現場を訪れ献花したところだ。

 道路端の赤黒い何かはトゥデイの……。

 

 

「そーいや、あのチビ最近見ないね」

「あー、あのウマ娘? なんか転校したとか聞いたけど」

 

 

 横断歩道の向こうを数人の一般校の女子生徒が通りかかる。部活帰りなのかジャージ姿で、それはトゥデイが着ていたものと同じものだった。

 

 

「私は特別なんですーってすました顔しちゃってさ」

「たかが地方のトレセン学園にも入れないようなカスなのにね」

「ほんと、何様だよって感じ」

 

 

 生徒達はケタケタと嗤う。

 

 

「あいつの名前なんだっけ」

「話したこと無いし分かんないって」

「あー…なんだっけ、グッドバイ?」

「なんか近い気がする」

 

 

「あ、そうそう。トゥデイグッドデイだよ」

 

 

 

 

 

 クラクションが鳴る。キタハラとベルノが腕を掴んで引き留めてくれている。

 

 …………。

 

 もし赤信号でなかったら、私は………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 遺髪はベルノに頼んでエクステにして貰った。

 

 トゥデイはレースを走っていない。本気の私と互角以上の走りをしていた彼女は記録に残っていないし、記憶にも残っていない人が大半だ。

 なら私が、私たちが覚えていよう。

 皆に知らしめよう。

 

 トゥデイグッドデイというウマ娘が生きていた証を。

 

 この中央のターフに刻み込み、人々の記憶に焼き付ける。

 

 

 

「だから……勝つ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その走りは蹂躙だった。

 幾人もの勇者を捩じ伏せた。

 勇気と希望を打ち砕き、絶望を振り撒く暴虐の王。

 彼女を人々はこう称した。

 

 芦毛の魔王 オグリキャップ

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 ■夢は、続いている。

 

 

 




22/04/16 挿絵追加しました




 なおデイカスが事故に遭わない場合は、アプリ一章のシリウス『俺ら』の先輩で元同僚。オグリとチーフトレーナーの引退と同時にチームを抜けている。
 育成には出ないしサポカも無いが、グラスやスペ、デジたんのストーリーにチラチラ居る不審者。

 
 また気が向いたら別の子で書くかも。次は本編だけど……月末投稿者予定が8月になるかも……他の作品読むか自分で小説書いてお待ち下せえ
 

 
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