「お前みたいだったら、よかった。お前みたいに、真っ直ぐに、何もかも救える力があれば、よかった。俺は、お前が羨ましい。俺は、お前が憎たらしい」

「君は……」

「ーー俺は、お前になりたかったよ、ラインハルト」

「ーー僕は、君の気持ちはわからない」

一夜にしてとある王国が燃えた。
『剣聖』である彼はそれを止められなかった。
『剣聖』である彼は護るべき民を護れなかった。
騎士である彼は主君を護れなかった。
それでも彼は座に登録され、今召喚されようとしていた。

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当サイトでFateものを読んだりFate/GrandOrderを始めてみたりしてたらふと思い浮かんで書いてみました。
Fate要素に関してはほぼにわかなので間違いあれば指摘をお願いします。
あと原作名がFate/Grand Orderになってますが、内容のほとんどはアヤマツの描かれなかったところの独自解釈etcなので、それでもいい人はどうぞ。


Fate/Ayamatu Knight

 僕という存在は5歳の頃に全てが決定された。

 ほんの些細なことで、けど家や国にとっては重要なこと。

 それは祖母が持っている筈の『剣聖の加護』が僕の元にやってきたことだ。

 加護は本来一代きりのもので引き継がれることなんてことはない。

 けど『剣聖の加護』は特殊でアストレア家に連なる者たちからのみを選び代々引き継いでいく特性を持つ。

 だからこの加護を得た時僕の残りの人生は『剣聖』として生きることになった。

 不満はない。アストレア家の者としてこれは名誉であり、僕自身も選ばれたことが嬉しかった。

 その後成長していきユリウスとフェリスという親友もでき剣聖のお勤めをこなしながらも日々を過ごしていた。

 

 極秘ではあるものの王家が崩御したという話が賢人会からされた幾日もあとに『腸狩り』エルザ・グランヒルデと交戦した。噂の通り恐ろしいほど強く、僕が現場に着いた頃には何人もの衛兵が倒れていた。もちろん終始圧倒し投降を願ったりもしたが逃亡されてしまった。

 この事は騎士団長などにも伝えたが、彼らにこの件で話していないことが一つだけあった。

 それは視線。僕とエルザの戦いを何処か近くから見ている視線。まるで僕に憧れ、嫉妬し、羨む視線。

 視線の主人を捉える事は出来なかったが大方スラムの住民だろうと思い放置した。

 ……彼をここで見逃していなかったらあんな事にはなっていなかっただろう。

 

 王戦が始まった。

 出陣者はプリシア様、アナスタシア様、エミリア様、そして我が主君であるフェルト様の計4()()によって行われた。

 崩御を市民たちに伝えたときの慌てぶりは凄まじいものであったが、同時に新たな王に対する期待もあった。

 プリシア様が王になればこの国を良くすると言った。もちろん傲慢な言い方であったもののその気迫は4人の内最も強かったと言える。彼女の騎士はアルデバランと名乗る怪しさ満点の顔を隠した隻腕の男。元はヴァルキアの剣奴であったらしい。

 アナスタシア様は国を我が物とすると言った。プリシア様と似ているようで彼女の場合は所有物にするという大それたもの。彼女の気質からしてルグニカは第二のカララギのようになるのかもしれない。そんな彼女の騎士はユリウス。何故彼女の騎士になったのかははぐらかされてしまったものの関係は良好そうで親友としても安心した。

 エミリア様は平等を唱えた。種族や人種で差別しない。銀髪のハーフエルフの彼女が言うと説得力があるものの、やはり周りの目は良いものではなかった。そんな彼女には騎士がおらず、後見人のメイザース辺境伯たちの雰囲気が少しばかり暗かった。なんでもメイドの1人が一月前ほどに死んでしまったらしい。ご冥福を祈るばかりである。

 そして我が主君であるフェルト様は全てをぶち壊すと仰られた。格差を壊し国をやり直す。短い付き合いではあるもののフェルト様らしい意見である。

 出馬表明が終了し各々が解散していき、その数日後エミリア陣営があの魔女教の尖兵『怠惰』を排したという報告が上がった。

 ……未だにこの出来事、特に王戦の人数に違和感を感じている。4人では無く5人ではなかったのかと。この違和感に消えたフェリス、そして『怠惰』の一件。この全てが1人の男の策略であったとこの時の僕が知ればどんな顔をするだろうか。

 

 王戦の状況は今やエミリア陣営が圧倒している。

 民生の話はあまり聞かないが、魔女教大罪司教『怠惰』『強欲』『暴食』『憤怒』『色欲』を排したのだ。それだけでも民衆からの評価は非常に高い。

 ただ同時に不安もあった。

 プリシア様とその従者の者たちは人知れず姿を消し、アナスタシア様も『鉄の牙』を連れて王戦を辞退された。

 さらに賢人会に所属されている方々が次々に消息を断ち、ユリウスもアナスタシア様が辞退される前に人知れず消え去っていった。

 残っているのはエミリア陣営とフェルト陣営。

 功績から考えてもフェルト様に勝利は薄い。

 けれど、それでも諦めない。後悔は全てが終わってからと仰られた。だからお前もそんな顔をするなとも。

 主君が望むのであれば従うのが騎士である僕の役目である。

 そしてそのお言葉のおかげで僕は今日や昨日よりも、明日はいい表情ができると確信した。

 

 

 

 

ーーその次の日、ルグニカは大火に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………………」

 

 またあの夢だ。

 騎士として、剣聖として龍と主君に近い護ると決めたモノを僕は守れなかった。

 一部の民衆からは非難され、僕もまたそれを全てその身に受けた。

 けれどエミリア様はそんな僕に騎士になって欲しいと仰られた。

 もちろん拒否した。

 騎士としての、『剣聖』としての僕は既にあの男に殺されてしまっている。

 そして国を護りきれなかった僕には家名を名乗る資格もない。

 故にここにいるのは()()()ラインハルトである。

 それでもいいなら、と。

 そう告げたがエミリア様はぎこちなく微笑み、なら『僕』を騎士にすると仰られた。

 ならばと僕はそれを引き受け騎士ラインハルトとして新たな主君と国を老衰するまで護り切った。

 

 そして僕は英雄の座と呼ばれる場所にセイバーのクラスとして登録された。

 一度とはいえ国と主君を護りきれなかった僕には英雄を名乗る資格は無い。

 けれどこれを拒否すればかつて僕を英雄と言ってくれた人々への侮辱なのではと感じた。

 だから登録に素直に応じた。

 そこからは未知が多く存在した。

 僕が生きていた世界とは違う別の世界のこと。それを僕の座にて知ることができた。

 未知の人、未知のモノ。そこにはそれが溢れていた。

 けれど時間がそこにはあり過ぎた。

 気づけばその未知も既に未知では無くなり、正直に言えば暇をしていた。

 けれど寝る度に生前を夢に見て、起きたら鍛錬をしていたから暇ではなかった。

 

 そんなある日、僕は初めてサーヴァントとして召喚された。

 召喚されて最初に目に入ったのは炎上する街。かつての王都を思い出すが、加護が否と言う。

 そして目の前には赤い髪をした少女が動く骸骨に襲われていた。

 紫の髪をした少女は赤い髪をした少女を護ろうと動いているが、おそらく間に合わないだろう。

 

「ーーそこまでだ」

 

 手を振るい発生した風圧だけで骸骨だけを崩す。

 少女たちは急に崩れ去った骸骨に何事かと驚きながらもこちらを見てきた。

 おそらく赤い髪をした少女がマスターなのであろうが、念のため聞いておくとしよう。

 

「……サーヴァントセイバー、召喚に応じ参上した。問おう、君が僕の主君(マスター)かい?」

 




〈ステータス〉
 
クラス:セイバー
真名:ラインハルト・ヴァン・アストレア
身長/体重:184cm/70kg台
出典:ゼロカラアヤマツイセカイセイカツ
地域:ルグニカ王国
属性:善・秩序
性別:男性

筋力:EX
 
耐久:EX
 
敏捷:EX
 
魔力:EX
 
幸運:EX
 
宝具:EX

 
〈保有スキル〉
 
 
【不死鳥の加護】
とある世界線において大罪司教と交戦時に確認された加護。死から復活でき、復活時に不死鳥の加護は消滅するが、ラインハルトであるため再獲得する。

自身にガッツを付与&不死鳥の加護(スキル【不死鳥の加護】使用不可状態付与&ガッツ発動時に自身のHPを全回復し、ガッツと不死鳥の加護を自身に付与)


【殺された『剣聖』】
10ターン自身に呪いとやけどを付与(デメリット)&10ターン自身にターゲットを集中させる(デメリット)&1ターンバスターの威力を大アップ&スター獲得&スター集中
 
【剣聖の一撃】
宝具の威力を4ターンアップ&4ターン後NPアップ(100%)&4ターン自分以外の味方全体のNP獲得量ダウン(デメリット)
 
 
 
〈クラススキル〉
 
 
【対魔力:EX】
自身の弱体化耐性をアップ
 
【陣地作成:EX】
自身のアーツ性能をアップ
 
【騎乗:EX】
自身のクイック性能をアップ
 
【気配遮断:EX】
自身のスター発生率をアップ

【単独行動:EX】
自身のクリティカル威力をアップ
 
【剣聖の加護】
バスター、アーツ、クイック、extraの威力と性能をアップ
 
【ゲートの欠陥】
NPが非常に溜まりにくくなる(デメリット)&バスターの威力と性能をアップ


〈宝具〉

【龍剣レイド:EX Buster 対人宝具】
1ターン味方全体のアーツ性能をダウンさせる(デメリット)&敵単体に超強力な攻撃&低確率で敵全体に超強力な攻撃
 
 
《セリフ》
 
 
開始
 
「ーーそこまでだ」


スキル
 
「マスターの仰せのままに」
「全ての武器を切り落とせば、満足してもらえるかな」


カード選択
 
「ふむ」
「こちらでお相手させてもらいます」
「投降をお勧めしますが」


宝具カード
 
「さて、『龍剣』を抜くに相応しい敵だろうか」


アタック
 
「せい!!」
「ーー失礼」
「女性相手にあまり乱暴はしたくないんですが……」(女性限定)


エクストラアタック
 
「はぁぁぁぁ!!」


宝具
 
「『剣聖』の家系、ラインハルト・ヴァン・アストレア  アストレア家の剣撃をお見せしよう」


ダメージ
 
「くっ!」
「っ!」


戦闘不能
 
「フェルト様………」
「……僕は、また………同じことを、繰り返すのか」


勝利
 
「マスター安心してくれ。敵は片付けた」
「無理をさせてしまったね。ゆっくり、おやすみ」


レベルアップ
 
「マスター、どうやら僕は新しい加護を手に入れたようだ」
 
 
霊基再臨
 
1臨
「どうだろうマスター。試しに上着を脱いでみたのだが……」
 
2臨
「マスター、今針子の加護を取得した」

3臨
「まさか敵もいないのに『龍剣』が抜ける日が来るとは……………」

4臨
「………ここまで来るとこれが成長することだと理解できたよ。もっとこのことの重要性を理解できていれば…いや、何でもないよマスター。気にしないでくれ。これは、僕個人の罪だからね」



 
 
Lv1
「マスター、他のサーヴァントに困ったら僕を呼ぶといい。すぐに駆けつけるよ」
 
 
Lv2
「僕は生前『剣聖』と呼ばれていたんだ。……今の僕は剣聖とは言い難いかな」「何故って?…忠誠を誓った主君すら護れない僕には『剣聖』を名乗る資格はないからだよ」
 
 
Lv3
「僕の国は一夜にして燃えた。護るべき国民を殺された。僕の父も主君もその夜に殺された。ーーそして『剣聖』も殺された。だから僕は『剣聖』失格なんだよマスター」
 
 
Lv4
「後から聞いた話ではその夜の出来事………いやおそらくそれ以前に起こっていた不穏な噂の全てはたった1人の男が企てた計画だったそうだ。その目的は1人の少女を王様にすること、だと」
 
 
Lv5
「こんな役目を果たしきれなかった僕を騎士サーヴァントとして扱ってくれるとは…………………。改めてここで誓いを。『剣聖』ラインハルト・ヴァン・アストレアは御身を守護する事を、太陽に、星々に、精霊に、世界に、誇りにーーそしてかつての2人の主君に懸けて誓います」
 
 
会話
 
 
「この世界の文化は凄まじいと何度見ても思うよ。是非ともルグニカにも取り入れたいくらいだ」
 
「マスターお腹が減っているのかい?実は僕は料理も出来るのだけど、これから用意しようか?」
 
「最初の主君は活発な御方だった。二人目の主君は少しばかり精神が幼かったが、常に平等を心がける御方だった。御二人とも素晴らしい主君だったよ」
 
「マスター、ギルガメッシュ殿が僕の『龍剣』を狙ってくるのだが、どうにかしてはくれないだろうか」(AUO所持時)
 
 
好きなこと
「好きな物?……物、というわけではないけど、かつてお仕えした主君は好きだったかな」「もちろん恋愛的な意味ではないよ」「………なんだい?その目は」
 
 
嫌いなこと
「嫌いな物?……もちろん僕自身は勿論だけど、国を焼いたあの男は世界が変わっても好きになれそうにない」
 
 
聖杯について
 
「なんでも願いの叶うと聞くが……もし叶うならフェルト様に仕えたあの日々をもう一度体験したいかな」
 
 
イベント開催中
「何やら騒がしいねマスター。……騒ぎはそこまでだ。祭りの幕を引くとしようか!!」
 
 
誕生日
「誕生日おめでとうマスター。ばあやほどの出来ではないがケーキを作ってみたんだ。どうかな、みんなで食べないかい?」
 
 
召喚
 
「サーヴァントセイバー、召喚に応じて参上した。主君すら護れなかったこの身だが、よろしく頼むよ」
 
 
 
キャラクター詳細
この世界と関係のない異世界において最強の騎士と呼ばれた男。
『剣聖』の家系であるアストレア家の一員にして『剣聖の加護』に選ばれ、加護に愛された男でもある。





絆礼装『燃え上がる街並み』
これは一夜にして燃え上がった王国の風景。
たった一人の男によって起こされた風景。
………そして僕が護るべきはずだったものの成れの果て。

あの男が言っていたことは荒唐無稽で男自身も訳がわからなくなっていたのかもしれない。

けれど男はどこか嬉しそうだった。
国が燃える風景を見てだろうか、それとも『剣聖』を殺したからだろうか、それとも少女の願いが叶う日が来たからだろうか。

けれど男はどこか哀しそうだった。
ここまでの旅路で喪ったモノを思い出しているのだろうか、それとも身を挺して男を庇い目を覚ますことがなくなった少女にだろうか、……それとも自分がやっていることは少女を喜ばせることはないと理解しているからだろうか。

僕には分からない。
男の全てが分からない。
けれど一つだけ、たった一つ、こんな僕にも分かることがある。

この夜、僕は、『剣聖』は、この男に殺された。


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