走れテイオー   作:球磨猫

2 / 10
な ぜ 続 い た()

なぜか出来てしまったマックイーン怪文書?です。お納めください。





走れマックイーン

メジロマックイーンは激怒した。必ずかの邪智暴食の帝王をメジロせねばならぬと。

帝王には太る者の気持ちがわからぬ。マックイーンは食べると太る体質である。主治医の「スイーツは1日3個まで」との言いつけを懸命に守って暮らしてきた。けれども沢山食べたい年ごろであった。

 

きょう未明マックイーンは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此のトレセンの市にやって来た。マックイーンには父と、母がいる。主治医もいる。しかし今は小さな家でイクノディクタスと一緒に暮らしていた。

 

このマックイーンは、中央の或る有名なレースを、近々、1番人気として走る事になっていた。本番も間近かなのでスイーツは2個である。

 

マックイーンは、それゆえ、今日食べるスイーツを厳選するためにはるばる市にやってきたのだった。

 

 

先ず、その大きなシュークリームとブルーベリーチーズケーキを食べ、それから都のスイーツ通りをぶらぶら歩いた。

 

マックイーンには竹バの友があった。トウカイテイオーである。

 

今は此のトレセンの市で、同じレースに向けて調整をしていた。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。

 

 

 

歩いているうちにマックイーンは、まちの様子を怪しく思った。ひっそりしている。

 

もう既に日も落ちて、まちの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、市全体が、やけに寂しい。

 

 

 

もっちりなマックイーンも、だんだん不安になって来た。

 

路で逢った若いウオッカをつかまえて、何かあったのか、二日まえに此の市に来たときは、夜でも皆が団欒を開いて、まちは賑やかであった筈はずだが、と質問した。若いウオッカは、首を振って答えなかった。

 

 

 

しばらく歩いてエアグルーヴに逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。エアグルーヴは答えなかった。マックイーンは両手でエアグルーヴのからだをゆすぶって質問を重ねた。エアグルーヴは、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。

 

 

「生徒会長のギャグに気づいて差し上げることができなかったのだ。」

 

「そんなことでやる気下げないでもらえるかしら?」

 

マックイーンはエアグルーヴをカラオケに放り込んだ。

 

またしばらく歩いてダイワスカーレットに逢い、こんどはもっと、メジロを強くして質問した。ダイワスカーレットは、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。

 

「テイオーさんは、スイーツを食べても太らないのです。」

 

「なぜ太らないの。」

 

「自分の体質だ、というのです。誰もがそんな、目の前で美味しそうにスイーツを食べるテイオーさんに我慢なりませんでした。」

 

そう答えるダイワスカーレットのお腹は、ぷっくりと出ている。太り気味であった。

 

 

 

 聞いて、マックイーンは激怒した。

 

「呆れた帝王ですわ。必ずメジロさせなくては。」

 

マックイーンは、体重に敏感な女であった。買い物を、背負ったままで、どかどかテイオーの家にはいって行った。 

 

テイオーは、いきなり現れたマックイーンの前に引き出された。

 

「貴女が今日食べてきたスイーツの数を数えなさい!!」

 

マックイーンは静かに、けれども威厳を以って問いつめた。そのマックイーンの顔はもっちりで、眉間の皺は、刻み込まれたように深かった。

 

 

「えーと、はちみーが3杯で、シュークリームに雪見大福でしょ?あとはパンケーキに…あ、あとスぺちゃんがバターケーキ焼いてくれるんだった! でも急にどうしたのさマックイーン。」とテイオーは悪びれずに答えた。

 

「スぺさんのバターケーキ!? なんで私に黙っていらしたの!?」マックイーンは、さらに憤慨した。

 

「えーだってマックイーンいなかったし、前にいらないって断ってたじゃん。」

 

「言わないでください!」とマックイーンは、いきり立って反駁した。

 

 

「ともかく!! いくら食べても太らないなどという嘘は、最も恥ずべき悪徳ですわ。貴女は、世界中の女性を敵に回したのですわ!!」

 

「でもこういうのが大好きなんでしょう?」テイオーは落着いて呟き、そっとショートケーキをだした。

 

「ほらほら、マックイーンだって甘いの食べたいでしょ?」

 

「やめてくださいまし!? 私のお腹を出すつもりですか!?」

 

こんどはテイオーが嘲笑した。「ほらほら~、美味しいのに食べないの~~??」

 

「黙りなさい、テイオー。」 女王は、さっと顔を挙げて報いた。

 

「ああ、貴女は滑稽ですわ。自惚れていなさいな。私は、貴女を太らせる覚悟で居るというのに。命乞いなど許しませんわ。だから、――」

 

 

スイーツ三銃士を連れて来たよ

 

スイーツ三銃士?

 

 

ほろ苦い甘さを貴方に(タキカフェてぇてぇ)、マンハッタンカフェ。

 

「帰りたいんですが…」

 

 

母性溢れるとろふわの幸せ(ママを通り越したヤベー奴)、スーパークリーク。

 

「たくさん作っちゃいますね~」

 

 

ハッピーメイク、スイーツメイカー(かーっ!卑しか女ばい)。桐生院葵。

 

「ミークの為に、頑張りますね。」

 

 

 

「さぁ!やっておしまいなさい!!」

 

「「あらほらさっさー!!」」(「なにか巻き込まれました…」)

 

 

 

「では一番手は私が・・・。どうぞ、ココアとチョコチップクッキーです…」

「いいの―!?わーい美味しそー!!」

「先ずは小手調べ、というやつですわね」

 

「はーいテイオーちゃん、私はホットケーキを作りましたよ~♪。甘ーいはちみーと、生クリームいっぱいのホットケーキで~す♪」

「うわーいはちみーだー!!」

「……ふふふ、体重計に恐れおののくがいいですわ」

 

「では私は山盛りドーナツです!ミークの為に練習したので自信はありますよ!!」

「はふっはふほふ、出来立てでとってもおいしー!!」

「………(๑・﹃ ・`๑) はっ!んんっ、う、羨ましくなんてないですわ。ええ、もちろんですとも」

 

「おかわりのスコーンです…」

「ロールケーキに~、シュークリーム~。あとショートケーキもありますよ~♪」

「ポンデリングにオールドファッション、フレンチクルーラーシリーズにゴールデンチョコレートもあります!」

「ティラミスできました…」

「いちごパスタと抹茶パスタで~す♪」

「チュロスとアップルパイ、焼きあがりました!」

「うわーいスイーツパラダイスだー!!ねぇねぇ、マックイーンも一緒に食べないの~?」

「ぐぬぬぬぬぬぬぬ…」

 

意気揚々と食べ続けるテイオーを前に、マックイーンは心の底から呻いた。

 

私は試されている。私は今試練を受けている。

 

先刻の、あの魅惑の囁きは、これは夢だ。悪い夢だ。忘れてしまえ。お腹がすいているときは、ふいとこんな悪い夢を見るもんだ。

 

マックイーン、おまえはメジロの名を継ぐものだ。やはり、私は真の女優だ。ここで優雅に興味なさげに振舞うのだ!

 

私は、正義の士として生きる事が出来るぞ。ああ、スイーツが消える。ずんずん消える。

 

保ってくれ、私の心よ。私は生れた時からメジロのウマ娘であった。メジロの誇りのままにして下さい。

 

 

「テイオーさん、おかあちゃんが送ってくれたバターで作ったバターケーキ、焼き立てを持ってきました!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなのたえれるわけありませんわぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!!!!!!」

 

 

メジロの誇りは秒で落ちた。

スペシャルウィークの持ってきた北海道産牛乳とバターのケーキの誘惑には耐えれなかったのだ。

そのままスイーツパラダイスに埋もれたマックイーンは、帰るころにはぽっこりとお腹を膨らませていた。一方でテイオーは特に変わらなかった。

 

帰ってきたマックイーンに、トレーナーからスイーツ禁止令とダイエット命令が出たのは言うまでもない。

 

 

「絶対絶対ぜぇ~~~ったい許しませんわ~~~!!!」

 

マックイーンは3日後までに痩せなければいけない。いまはただその一事だ。

 

 

 

 

走れ! メジロマックイーン。

 

 

 

 

 




前話、走れテイオーへの多くの感想ありがとうございます。
途中でメロスが出てきてたのは、最初はこちらのガバなのですが受けていたようで…。感想来るたびに顔から火を噴いておりました(笑)

感想は全て読ませていただいております。本当にありがとうございます。<(_ _)>
(正直アレは恥ずかしくて感想返せない…)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。