なぜか出来てしまったマックイーン怪文書?です。お納めください。
メジロマックイーンは激怒した。必ずかの邪智暴食の帝王をメジロせねばならぬと。
帝王には太る者の気持ちがわからぬ。マックイーンは食べると太る体質である。主治医の「スイーツは1日3個まで」との言いつけを懸命に守って暮らしてきた。けれども沢山食べたい年ごろであった。
きょう未明マックイーンは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此のトレセンの市にやって来た。マックイーンには父と、母がいる。主治医もいる。しかし今は小さな家でイクノディクタスと一緒に暮らしていた。
このマックイーンは、中央の或る有名なレースを、近々、1番人気として走る事になっていた。本番も間近かなのでスイーツは2個である。
マックイーンは、それゆえ、今日食べるスイーツを厳選するためにはるばる市にやってきたのだった。
先ず、その大きなシュークリームとブルーベリーチーズケーキを食べ、それから都のスイーツ通りをぶらぶら歩いた。
マックイーンには竹バの友があった。トウカイテイオーである。
今は此のトレセンの市で、同じレースに向けて調整をしていた。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。
歩いているうちにマックイーンは、まちの様子を怪しく思った。ひっそりしている。
もう既に日も落ちて、まちの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、市全体が、やけに寂しい。
もっちりなマックイーンも、だんだん不安になって来た。
路で逢った若いウオッカをつかまえて、何かあったのか、二日まえに此の市に来たときは、夜でも皆が団欒を開いて、まちは賑やかであった筈はずだが、と質問した。若いウオッカは、首を振って答えなかった。
しばらく歩いてエアグルーヴに逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。エアグルーヴは答えなかった。マックイーンは両手でエアグルーヴのからだをゆすぶって質問を重ねた。エアグルーヴは、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。
「生徒会長のギャグに気づいて差し上げることができなかったのだ。」
「そんなことでやる気下げないでもらえるかしら?」
マックイーンはエアグルーヴをカラオケに放り込んだ。
またしばらく歩いてダイワスカーレットに逢い、こんどはもっと、メジロを強くして質問した。ダイワスカーレットは、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。
「テイオーさんは、スイーツを食べても太らないのです。」
「なぜ太らないの。」
「自分の体質だ、というのです。誰もがそんな、目の前で美味しそうにスイーツを食べるテイオーさんに我慢なりませんでした。」
そう答えるダイワスカーレットのお腹は、ぷっくりと出ている。太り気味であった。
聞いて、マックイーンは激怒した。
「呆れた帝王ですわ。必ずメジロさせなくては。」
マックイーンは、体重に敏感な女であった。買い物を、背負ったままで、どかどかテイオーの家にはいって行った。
テイオーは、いきなり現れたマックイーンの前に引き出された。
「貴女が今日食べてきたスイーツの数を数えなさい!!」
マックイーンは静かに、けれども威厳を以って問いつめた。そのマックイーンの顔はもっちりで、眉間の皺は、刻み込まれたように深かった。
「えーと、はちみーが3杯で、シュークリームに雪見大福でしょ?あとはパンケーキに…あ、あとスぺちゃんがバターケーキ焼いてくれるんだった! でも急にどうしたのさマックイーン。」とテイオーは悪びれずに答えた。
「スぺさんのバターケーキ!? なんで私に黙っていらしたの!?」マックイーンは、さらに憤慨した。
「えーだってマックイーンいなかったし、前にいらないって断ってたじゃん。」
「言わないでください!」とマックイーンは、いきり立って反駁した。
「ともかく!! いくら食べても太らないなどという嘘は、最も恥ずべき悪徳ですわ。貴女は、世界中の女性を敵に回したのですわ!!」
「でもこういうのが大好きなんでしょう?」テイオーは落着いて呟き、そっとショートケーキをだした。
「ほらほら、マックイーンだって甘いの食べたいでしょ?」
「やめてくださいまし!? 私のお腹を出すつもりですか!?」
こんどはテイオーが嘲笑した。「ほらほら~、美味しいのに食べないの~~??」
「黙りなさい、テイオー。」 女王は、さっと顔を挙げて報いた。
「ああ、貴女は滑稽ですわ。自惚れていなさいな。私は、貴女を太らせる覚悟で居るというのに。命乞いなど許しませんわ。だから、――」
スイーツ三銃士?
「帰りたいんですが…」
「たくさん作っちゃいますね~」
「ミークの為に、頑張りますね。」
「さぁ!やっておしまいなさい!!」
「では一番手は私が・・・。どうぞ、ココアとチョコチップクッキーです…」
「いいの―!?わーい美味しそー!!」
「先ずは小手調べ、というやつですわね」
「はーいテイオーちゃん、私はホットケーキを作りましたよ~♪。甘ーいはちみーと、生クリームいっぱいのホットケーキで~す♪」
「うわーいはちみーだー!!」
「……ふふふ、体重計に恐れおののくがいいですわ」
「では私は山盛りドーナツです!ミークの為に練習したので自信はありますよ!!」
「はふっはふほふ、出来立てでとってもおいしー!!」
「………(๑・﹃ ・`๑) はっ!んんっ、う、羨ましくなんてないですわ。ええ、もちろんですとも」
「おかわりのスコーンです…」
「ロールケーキに~、シュークリーム~。あとショートケーキもありますよ~♪」
「ポンデリングにオールドファッション、フレンチクルーラーシリーズにゴールデンチョコレートもあります!」
「ティラミスできました…」
「いちごパスタと抹茶パスタで~す♪」
「チュロスとアップルパイ、焼きあがりました!」
「うわーいスイーツパラダイスだー!!ねぇねぇ、マックイーンも一緒に食べないの~?」
「ぐぬぬぬぬぬぬぬ…」
意気揚々と食べ続けるテイオーを前に、マックイーンは心の底から呻いた。
私は試されている。私は今試練を受けている。
先刻の、あの魅惑の囁きは、これは夢だ。悪い夢だ。忘れてしまえ。お腹がすいているときは、ふいとこんな悪い夢を見るもんだ。
マックイーン、おまえはメジロの名を継ぐものだ。やはり、私は真の女優だ。ここで優雅に興味なさげに振舞うのだ!
私は、正義の士として生きる事が出来るぞ。ああ、スイーツが消える。ずんずん消える。
保ってくれ、私の心よ。私は生れた時からメジロのウマ娘であった。メジロの誇りのままにして下さい。
「テイオーさん、おかあちゃんが送ってくれたバターで作ったバターケーキ、焼き立てを持ってきました!!」
「そんなのたえれるわけありませんわぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!!!!!!」
メジロの誇りは秒で落ちた。
スペシャルウィークの持ってきた北海道産牛乳とバターのケーキの誘惑には耐えれなかったのだ。
そのままスイーツパラダイスに埋もれたマックイーンは、帰るころにはぽっこりとお腹を膨らませていた。一方でテイオーは特に変わらなかった。
帰ってきたマックイーンに、トレーナーからスイーツ禁止令とダイエット命令が出たのは言うまでもない。
「絶対絶対ぜぇ~~~ったい許しませんわ~~~!!!」
マックイーンは3日後までに痩せなければいけない。いまはただその一事だ。
前話、走れテイオーへの多くの感想ありがとうございます。
途中でメロスが出てきてたのは、最初はこちらのガバなのですが受けていたようで…。感想来るたびに顔から火を噴いておりました(笑)
感想は全て読ませていただいております。本当にありがとうございます。<(_ _)>
(正直アレは恥ずかしくて感想返せない…)