キャラ崩壊注意。
それは、外に出るのが億劫になるほどの大雨の日だった。
雨の中、黄色雨合羽を着て大通りを歩く一人のウマ娘がいた。
『
彼女は今日、寮を出て駅前のケーキ屋に好物のたんぽぽクッキーを買いに出ていたのだった。
両手でしっかりと持っている紙袋には溢れんばかりのクッキーの小袋が見えていた。
(お茶も良いですが偶にはコーヒーも飲みたいですね。タイキを誘ってお茶会でもしましょうか)
そんなことを考えていたからだろうか。雨のぬかるみに足を取られバランスを崩してしまう。
「あっ…とと。あら、クッキーが!」
転倒は免れたものの、紙袋からクッキーの小袋が1つ溢れ落ち、水に流されてしまう。
大雨によって勢いよく流れていく小袋。
追いかけるも何故か追い付けず、やがて排水溝に落ちてしまう。
「私のクッキーがドブに‼︎」
屈んで覗いてみるも中は暗く深く、クッキーの袋は影も形も見あたらない。
失意の中のグラスワンダー。
とはいえ落ちてしまったものは仕方ない。落ちたのが1つだけだったのが幸いだ。と諦めてトレセン学園に戻ろうとしたその時だった。
「ハァイグラスゥ。」
排水溝の中から聞こえた、しわがれたような___それでいて何処かで聞いた声が、彼女を呼び止める。
グラスは驚き、思わず排水溝を覗き込んだ。そこには____
「スペシャルパフェ、食べる?」
ス ペ シ ャ ル ウ ィ ー ク が い た
白い顔に赤い鼻、まるでピエロのような化粧をしたスペシャルウィークが、排水溝の中からこちらを見つめていた。
グラスワンダーは恐怖し、思わず首を横に振った。
今すぐ目の前の光景に目を背けて学園に帰りたかったのだ。
「えーっ 美味しいのに」(´・ω・`)
がさごそと手を動かし、どこからか取り出したシュークリームの箱をこれ見よがしに掲げるスぺ。
「これもあるよ?」
思わず箱に手が伸びるが、すんでのところで引っ込める。
「そう言って太らせる気なんでしょ。騙されんぞ。」
「いやそんなことはないですよ。皆でお菓子を食べれば太らないんですよ?」
「それに最近のグラスちゃん頑張ってるからご褒美ってことで…どうかな?」
いやそうはならないだろう。そんな『赤信号みんなで渡れば怖くない』理論なんて…。
やはりこのスぺちゃんは
「あら嬉しい。 帰ってたんぽぽクッキー食べるわ」
「待てや!」
「いいから…… これを…」
そういってスぺが懐から出したのは、先ほど落としたたんぽぽクッキーの小袋と……
それを見てしまった、その文字が目に入ってしまったグラスは思わず叫ぶ。
「駅前のケーキ屋の、1日10名様限定たんぽぽコーヒーケーキ!!」
「今ならこれも付けるよグラスちゃん。」
トレセン学園という場所に住む以上、〇名様限定商品は手に入れにくい。
今、グラスワンダーの目の前には桃源郷が…亜米利加風に言うなれば
「食べよう?」
だがここで誘惑に負けてしまえば、己のプライドが、
ぐっと堪え眉間にしわを寄せながらも引き下がるグラス。
しかし悪魔はそこで手を緩めない。
「そんなに嫌な顔しないでも…」(´・ω・`)
「………」
「うわっ、凄い顔してる。」
「せっかくグラスちゃんの為に買ったのになぁ」
グラスワンダーの耳が、ピクリと動く。
「少し薄味だけどカロリー低いのに…」
心が揺れ動く。
『カロリーが低いなら、少し食べても問題ないかもしれない。』その心は口を突いて出てしまい
「本当にカロリー低い?」
「えっ うん」
「食べても良いんだよ。グラスちゃん。」
「エルちゃんも一緒にトレーニングするから…」
グラスワンダーは(大和撫子が)死んだ。
スペシャルウィークに腕をつかまれ排水溝の中に引きづりこまれたあと、お腹いっぱいまでお菓子を楽しんだのだ。
当然お腹はぽっこりと出たし体重計は乗ると壊れた。
トレーナーからは叱られ減量と食事制限が言い渡された。
スぺは〆られた。
排水溝のピエロ…いったい何ーワイズなんだ…