俺の個性がそう言っている   作:大紫蝶

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戦闘訓練2

 葉隠と別れた俺は空を走って核のある階の窓に張り付く。スコーピオンでガラスを少しだけ切って鍵を開ける。

 うーん、トラップが多いな~。窓のない部屋を選んでる所も評価できるよ?でも、俺にこの程度のトラップじゃ意味ないよ。先生に解除方法は教わってるし、師匠に「受けろ」とトラップを直撃しても生き残れるように仕込まれてるんだから。

 適当に解除しながら目的の部屋に着くが・・・ドアは何かで塞がっているな。配置は入り口付近に切島、奥に核と八百万、蛙吹は中間って所。んじゃ、壁斬って入るか。

 

「葉隠さんはまだ下だから思ったよりも早く済みそうだ。」サクッ

「!?嘘、あの壁を壊したの!?」

「切島さん!蛙吹さんの援護を!!」

「オウ!って、福佐はどこにいるんだ?」

「ここだよ。」

「「え?」」

 

 俺は壁を斬って入った後、そのまま蛙吹を確保し口にスコーピオンを差し込む。こいつが舌を武器にすることは分かっていたし口に刃物を入れられて正気でいられる奴はいない。何より、この方法なら腕を狙撃されても人質が死ぬ可能性が有るため下手に動けない。

 

「よく聞けお前ら。こいつは人質だ。殺されたくなきゃ投降しろ。」

「な、あなたはヒーローでしょ!?」

「そうだぜ!人質取るなんて漢らしくねぇ!!」

「うるさいよゴミ共。別に文句があるなら動けばどうぞ。その瞬間、お前らの仲間は殺すけど。」

「・・・ブラフですわ。ヒーローは殺しを禁じられています。そのようなことするはずありません。」

「(こいつみたいな頭が良いと思ってる奴には・・・)そう思いたければそう思えばいい。でもな、お前らに対してある許可が下りてるんだぜ?」

「許可?」

「ああ、お前ら三人の殺害許可がな。」

「「「え??」」」

「何勘違いしてるのか知らないけど、君たちは殺しても良いって判断されてるの。だからここで死んでも問題ないんだよ。」

「ちょ、ちょっと待ってください!殺害許可!?そんな物、聞いたこともありません!!」

「そうだぜ!ヒーローがそんなことするはずがないだろ!?」

「頭が悪いな~。いいか?それは普通なら、だ。核を所持してる奴らなんて危険人物はここで殺した方が楽なんだよ。事故ってことにした方が上も助かる。現場も助かる。市民も助かる。誰も不幸にならない。個人的には抵抗してくれる助かるんだけどね。」

「だってさ~()()()()()見てみたいんだよね。血の雨を。」

 

 3人が血相を変えた。当然だ。今やってるのは過激派マフィアの1人が昔やっていたことと同じなのだから。まぁ、そいつは血を浴びるのが好きで50人以上殺していたから殺したが。

 

「どうしようか?決めていいよ。でも、覚えておいてね。この娘が死ぬのは君らのせいだと。抵抗しなければ生きられたのに、君たちと関わったせいで死ぬんだ。若いのに可哀そうだね~。」

「この娘を殺したくないなら方法は2つだ。1つは性奴隷となること。若くて優秀な”個性”を持つ女は高値で売れるからね。今までも何人も売れてるから注文も多いし。そこのポニーテルも一緒ならより大金が入る。適当なヴィランとそこの男が犯人ってことで殺しておいても良いし。俺としてもそっちの方が旨味は多い。公安とかにでも売り上げの一部を渡せば黙認されるし。」

「でも、警察の調べとかもあるし、他にもヒーローが来てるからさごまかすの面倒なんだよ。だから、ここでおとなしく投降するなら特別に見逃してあげるよ。自首されると俺の手柄にならないから全員殺すけど。」

 

 自首しようとしたヴィランを殺すのは不良ヒーローが行う手だ。それは公安がもみ消すから世間に公表されないし、不良たちも基本的に殺される。まぁ、一部の特権階級出身ならそのままだが。

 結局2人は投降した。自分のせいで仲間が殺されるのは嫌らしい。ヴィランの中にもその手のチンピラは多いから不思議ではないが、女ヒーローだとこの後性奴隷にされる事も珍しくないのでやめた方がいい。優秀な”個性”の母体の需要は言うに及ばず、女ヒーローは見た目が良い。だから投降よりも助けを求める方が利口なのだ。ちなみに、女ヴィランが性奴隷とかとして売られるケースも珍しくない。ヴィランの男女比で男が多い理由はそれだ。それに気づく人間は黙認、買収、殺害のどれかの道が多い。その他だと俺やボーダーに消される選択肢がある。ツイフェミ辺りが「男は暴力的!」とヴィランの男女比から発言することが多いが実際には違うのにな。まぁ、男でも奴隷とか普通にいるが、女の方が使い道が多いからな。

―――――それも俺のせいかもしれないが。

 

「そこまで!ヒーローチームの勝利!」

 

―――――――――――――――

「さて、今回の試合についての講評だが意見のある人はいるかな?」

「はい!今回福佐さんが行ったのはヒーローとして、何より人として外道としか言えません!」

「ん~?別に珍しく無い手でしょ?一番重要なのは核の回収、ヴィランの生死なんてどうでもよくない?それより仲間の有無や他の核の在処を探す方が合理的だよ。」

「なっ!ヒーローは不殺が義務付けられて「金詰めば問題ないし、義務って程じゃないでしょ。」

「それで、講評だけど他にある人いるのかな?普通に葉隠論外、切島はバカ、蛙吹は油断、八百万は・・・今の言葉を聞くとアホかな?それ以外にあるんですか?」

 

 当然の評価だ。味方との連携を取らないなんて論外だ。”個性”によっては特に。俺は索敵ができるため透明の葉隠と相性はいい。潜入するなら不可視の葉隠を捉える方法は罠であり、それを俺は感知・解除ができる。特に策が無くても一定の成果が挙げられる作戦だ。

 切島は戦闘系、それも近接特化だろう。投石器などが無いし、六式の様な武術も学んでいない。あの”個性”なら必要なのは近接戦に持っていく技術だ。そもそも戦う気がないなら”無個性”と同じだし、人質を取られて「漢らしく」もないだろう。大体、人質はローリスクハイリターンの戦術だ。あの状況なら確実に戦力を削れるし、相手にプレッシャーをかけることで実力を十分に発揮できなくさせられる。

 蛙吹は”ありえない状況”を想定していなかった。そもそも”透過”や”幽霊”の個性なら壁抜けはできる。”爆破”や”硬化”、増強系個性も威力を押さえれば壁を破壊して似た状況を作れる。実際、爆豪がヒーロー側ならそうする未来が視えた。それを考えれば入り口から()()の対処法を考えるべきだ。その後は仕方ない。口にナイフ入れられて抜け出せる人間はほとんどいない。狙撃などで犯人の手を撃っても人質に危険がある。方法は脳幹を一撃で狙撃するくらいだろう。

 八百万はヒーローに幻想を抱いているのだろう。実際は暴力を振るうか繋ぎが役割だ。最近はアイドルやモデル、俳優などに重きを置く奴らまでいる。代表的なのはウワバミとかいう女だ。ヒーローが不殺というのはヴィランが弱いか数で押し切れるからであり、倒せないヴィランはオールマイトなどの強いヒーローか相性に良いヒーローが対処している。そんなことを何十年も続けていた弊害がヒーローの低レベル化だ。ついでにヒーローに幻想を抱くアホが大量に出たくらいだろう。おかげで脳筋ヒーローの量産、街への被害を考えない蛮行、ヴィランの人権保護団体の出現などの問題が出てる始末だ。そんな洗脳済みの子供がこいつなんだろう。・・・俺から奪った研究データや利権で育っただけはある。

 

 その後、時間となり下校となった。クラスでは反省会を開くらしいが、爆豪なんかはさっさと帰っていたな。あいつとは仲良くなれる気がする。どうやら自分のふがいなさを嘆いているようだし、俺がアドバイスすれば友達になれるかもしれない。

 

「かっちゃん!!!これだけは君には言わなきゃいけないと思って・・・!僕の”個性”は人から授かった”個性”なんだ。誰からかは絶対言えない!言わない・・・でもコミックみたいな話だけど本当で・・・!」

「はぁ??」

「まだ上手く使えなくて・・・全然使えていない状態の”借り物”だけど、いつかちゃんと自分のものにして”僕の力”で君を超えるよ。」

「(授かった”個性”?”借り物”?何のことを言っている??まさか”人工個性”か?それか移植手術による”個性”発現か・・・)」

 

 俺の考えとは裏腹に緑谷と爆豪が青春をしていた。2人はその後別れ、オールマイトが爆豪に何か伝えて帰った。しかし、緑谷が瞬発的にしか”個性”を使わない理由が『制御できない』『発現して間もない』とは思わなかったな。俺と似たところもあるし、これからの生活で仲良くなれれば良いが・・・

 

「よう君、今日の訓練どうだった?」

「ん?別に普通かな。特別なことしてないし。精々バカが多かったことくらい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 所で、緑谷の”個性”って何だろうな。『複数人の気配を持つ”個性”』なんて聞いたこともない。俺の視た限りだと8個の”個性”が合わさっていると思ったのだが。

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