俺の個性がそう言っている   作:大紫蝶

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USJ襲撃事件4

side:飯田

「13号。災害救助で活躍するヒーロー。やはり・・・」

「「「先生ー!!!」」」

「戦闘経験は一般のヒーローに比べ半歩劣る。」

「自分で自分をチリにしてしまった・・・」

「(ワープゲート!やられた・・・!!)」

 

 そんな・・・13号先生がやられるなんて・・・

 

「飯田ァ走れって!!!!」

「(いや、そんな場合ではない!)くそう!!」

「(待つべきはオールマイトのみ。)教師を呼ばれてはこちらも大変ですので。」スッ

 

 僕は出口に向かって走り出すが、ヴィランは目の前に現れる。

 

「(皆を・・・僕が!任された!クラスを!!僕が!!!)」

「早く!」

「くそっ!!(皆!!待っててくれ!!!)」

 

―――――――――――――――

 

side:福佐

 

「凄いな、あのヴィラン。」

 

 火災ゾーンから広場にまで来たのだが、敵の実力に驚く。

 死柄木はそこそこだが、あの脳無は凄い。2体の脳無は連携でイレイザーヘッドを攻め立てており、”個性”を消された上で戦っている。当然、イレイザーヘッドも軽傷だから問題ないが・・・もう1体の脳無は別格だ。存在感が凄まじい。フェンリル状態なら対抗できるが、今の俺なら必殺の一撃を当てなければならない。”阿修羅斬”や”明鏡止水”を数発当ててどうにか、か。

 

「できれば爆豪や轟に協力してほしいけど、無理だろうな~。」

 

 軽口をたたきながら周囲の状況を確認し、本気のステルス状態でヴィランに接敵する。そして、

 

「(死ね)」ザクッ

「なんだ!?・・・もう、ここまで来たのかよ。」

「凄いね。()()()()”縮地”から生き延びるなんて、ほとんどいないと思うよ。(本当に)」

「そりゃどうも!!」

 

 死柄木は反応していなかったが、黒い脳無が俺の攻撃を受けきった。それにしても、この俺の”縮地”は反応できないはずだが。

 

「(脳無を操っている死柄木を殺せば、こいつらを無力化できると考えていたが・・・自動で動いている以上、こいつらを追い返した方が良いな。)」

「やれ、脳無!あいつを殺せ!」

 

 脳無が向かってくる。どうやって倒すか考えるが・・・とりあえず”壊刃”で再生に使うエネルギーを削るか。

 

「(流水岩砕拳+スコーピオン+”壊刃”)戦闘スタイル”流”!」

 

 刀を鞘に納め、流水岩砕拳に”壊刃”を合わせた攻防一体戦術”流”。その本質は「休むことのない怒涛の攻撃」であり、防御すら攻撃とすることにある。

 脳無のラッシュを全て捌きつつ、スコーピオンの”壊刃”で生命力を削り続ける。両手から僅かに出した刃は、確実に脳無の生命力を消費させる。防戦一方に見える状態だが、実際は俺の一方的な攻撃だ。少しずつ体力を削る戦闘スタイルは毒状態の相手に持久戦を仕掛けているようなものだ。スコーピオンはそのまま受ければ折れてしまうが、剣先だけなら折れる心配もない。

 

「良いぞ脳無!そのまま殺せ!!」

「(馬鹿め。こいつの方が攻撃されてんだよ。)いや~強いね~。」

「(クソッ!何時まで時間かけてんだ!)」

「(このまま応援が来るまで遅滞戦闘を続ける。)」

「(時間がない。このままだと脳無は使えなくなる。早く・・・)」

「(勝てなくとも絶対に負けない。だから、)」

「「(早くしろ黒霧/飯田!!)」」

 

 頼むぞ飯田。こいつらに「応援を呼ばれる」という絶望を与えてくれ。そうすれば、みんな助かる。

 

―――――――――――――――

side:飯田

「くっ・・・!」

「ちょこざいな・・・!外には出させない!!」

「(もしかして・・・)」ダッ

「麗日どうしたの!!」

「皆!!あれ!!」

「「「!!」」」

「(自動ドア!蹴破るか!?蹴破れる厚さか!?)ええい!!」

「生意気だぞ、メガネ・・・!」

「消えろ!!」

 

 追いつかれた!そう思った瞬間

 

「理屈は知らへんけど、こんなん着とるなら実態があるってことじゃないかな・・・!!!」

「行けぇぇ!!!飯田くーん!!!」

「(体を!!しまった!!!)」

 

 皆が作ったこのチャンス、絶対に無駄にしない!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――しかし、僕が次に感じたのは、浮遊感だった。

 

―――――――――――――――

side:黒霧

 

 危ない。生徒と油断して、インゲニウムの弟を逃がすところだった。

 今回の襲撃対象生徒は4人。迅悠一、八百万グループの令嬢、エンデヴァーの息子、そしてインゲニウムの弟。特に後3人が死ねばダメージは大きい。現役ヒーローの家族と国内最大規模のグループの令嬢に何かあれば一大事だ。その1人を取り逃がすのはいただけない。しかし、ある意味都合がいい。

 

「貴方の足元と私の場所までワープで道を作りました。これで応援は呼べないでしょう。それに・・・」

 

 ワープホールの出口を広場に向けることでとても都合のいい状態が作れる。

 

「死柄木弔、頼みますよ!」

 

―――――――――――――――

side:死柄木

 

 戦闘が始まってから時間が経つが、こうなればバカでも分かる。迅悠一は”戦闘をしていない”ってな。これは遊んでいる。無傷で脳無の攻撃を対処していることが証拠だ。

 詳しい状況は見えないが、肉片が散らばるばかりで血が見えない。つまり、迅悠一は負傷していないことになる。舐めているのか、決定打がないのか脳無を倒していないのは想定通りだが、あの脳無は後1時間もすれば動かなくなる。「数時間の間で一生の生命力を消費する」というコンセプトで作られているのだから当然だが、その分強い・・・はずだ。

 

「(このまま時間を稼がれれば脳無は使えないし、プロヒーローが来る可能性もある。それに、オールマイトにぶつける時間がないとマズい・・・)脳無!!早く倒せ!!!」

 

 そう言ってみるが、まず不可能だろう。あれは一生の生命力を使った究極の防御型脳無。攻撃手段は身体能力のみである。元々、脳無で抑えて黒霧で殺す作戦だし、そもそも脳無のパワーは全盛期のオールマイト並みだからイレイザーヘッドの”抹消”でも関係なく殺せるはず。このチートさえいなければ、3分で生徒と教師を皆殺しにできたはずなのに・・・

 

「チートが!!!!」

「死柄木弔、頼みますよ!」

「っ!!」

 

 黒霧の声に反応すると、1人の生徒がこちらに降って来る。あれは、インゲニウムの弟か!好都合だ!!!

 

「脳無!あの降ってきた奴を殺せ!」

「何!?(未来が変わった!!?)」

 

 脳無に指示を飛ばすと生徒に拳を振るう。この一撃を防げるのは迅悠一だけだが、奴が防御すれば脳無のラッシュでダメージを負わせられる。防げなきゃ生徒死亡の大惨事だ!どっちに転んでもメリットしかない。

 

「(飯田は防御できない。なら)”断空”!」

「なっ!!」

 

 奴が抜刀し空中を斬った直後、脳無の腕が落ち、耐性が崩れた!あの生徒もダメージは受けただろうが、直撃は避けたのか。まだ手札があるのか!?

 でもな、これに対処できるか?最強さん。

 

―――――――――――――――

side:福佐

 

 不味い、救援が来る未来が消えた。少なくとも、戦闘に間に合う未来は消えた。

 しかも、飯田に脳無が攻撃しようとしていた。そのために、鬼札の1つを切った。”断空”は空気を弾くことで遠距離攻撃、そして真空状態を作り出すことで敵を一瞬拘束する技。本来は敵の守りを崩し、必殺の一撃を叩き込むための布石。それを防御のために使ったのは痛い。体力削ってから”阿修羅斬”を叩き込むために温存していたのに・・・作戦を変えるしかない。

 

「イレイザーヘッド!飯田を保護してくれ!こっちは俺が相手する!!(バレたなら、使い放題だよな)」

「分かった。しかし、こっちのヴィランを「3体とも俺が片付ける」何?」

「(どうせ応援が来ないなら)俺が3体片付ける。飯田を下げたら手伝ってくれ。あの黒い脳無を倒す。」

「了解した。」

 

 イレイザーヘッドが飯田を抱えて下がったのを確認した。これで暴れられる。

 

「(”断空”と”旋空”で2体は倒せる。黒い奴も削っておきたいな)”断空”!」

 

 

 そこからは簡単だった。”断空”で崩して、”旋空”で仕留める。これを数回行えば2体の脳無は倒れた。黒い脳無も一方的にボコったが、やはり意味はない。まぁ、攻勢に出れると分かっただけ良いとしよう。

 奴が無尽蔵のエネルギーを持つと仮定して、対象法は3つ。

 

1.”抹消”で”個性”を消している間(約20秒)で倒す。

2.俺が師匠の個性斬をこの場で会得して、相手の”個性”を無効化する。

3.明鏡止水で”個性”を斬る。運が良ければ成功する(成功率は10%未満)。

 

 2は無い。1も20秒ほどで倒すのは困難。3を繰り返して確立を上げるのが現実的かな。

 ”明鏡止水”は最強のカウンター。しかし、抜刀の姿勢で待ち構える必要があるためチャンスは多くない。敵も2~3回で気づくだろう。成功率は高めに見積もって3割か・・・

 

「(相手は俺の手札を知りたがっているはず。特に、相手を倒せる手札について。)いや~、俺のとっておきを使うとは思わなかったよ。」

「なんなんだよお前・・・!邪魔ばかりしやがって!!」

「(もう1つ見せて警戒させたい。使うべきは)”断空”」

「いくらやってもムダだ!それがどんな技か知らないが、脳無には効かない。なにせ、対ヒーロー用の特別な脳無だからな!」

「(動きを封じてから)”阿修羅斬”!」

 

 瞬間、脳無が肉塊に変わる。”阿修羅斬”は単純な連続斬りの嵐であり、知り合いが使っている技を模倣したものだ。雑魚なら今の攻撃で肉体がペースト状になっていてもおかしくない。事実、脳無はミンチ肉となる。しかし、脳無は再生を開始する。

 

「いや、生物として死ねよ。」

「残念だったな!そんな攻撃でやられるような奴じゃないぜ??」

 

 仕方ない、少し早いが”明鏡止水”を使うか。どうせ応援が来ない以上、俺が対処するしかないし。

 

―――――――――――――――

side:緑谷

 

 水難ゾーンでヴィランを撃破した僕らは先生の応援に向かった。相澤先生が無理をしていることは分かっていたし、僕の力は人を助けるためにあるのだから。

 初戦闘で初勝利!!何より、1年かけてオールマイトから力を授かり、コントロールも出来るようになっていた。今は3%程度だが、自傷覚悟ならオールマイトと同じパワーも出せる。例えヴィラン達が相手でも、僕らなら勝てる。

 実際、福佐君がヴィランを難なく倒していたし、僕たちでも可能なはずだ。広場のヴィランは殆ど倒れている。あの脳みそ剥き出しヴィランもそこまで苦戦する相手ではないようだから、みんなで協力すれば倒せるはず。

 

「死柄木弔、ありがとうございます。」

「黒霧、13号はやったのか?」

「はい、行動不能にしました。それで、インゲニウムの弟は?」

「それなりだな。チートに邪魔されて、イレイザーヘッドに回収された。」

「さて、そろそろ帰らないとな。けど、このまま帰るのはダメだ。」

「確かに・・・特に戦果もなく帰るのはもったいないですね。」

「チートは倒せないし、ヒーローの弟はリカバリーガールの”個性”ですぐ治るだろ。()()()()()・・・」

 

 13号がやられた!?インゲニウムの弟って、飯田君か!でも、そこまでの怪我じゃないならリカバリーガールが治してくれる。今はここから脱出することが先決。

 

「2人共聞いて。」

「何かしら?」

「何だよ。」

「さっきの会話が正しいなら、こっちが有利だと思うんだ。13号先生や飯田君がやられていても、あっちの強力なヴィランは3体中2体がやられていて、広場の大半のヴィランが倒れている。生徒に向けられたヴィランが僕らと同じなら、クラスの皆がかなり倒しているはずだ。」

「たしかに、そこまで強いヴィランはいなかったから、皆が倒していても不思議じゃないわね。」

「そうだよな!轟や爆豪だっているし、八百万も推薦だろ!?いくらヴィランでも怖くねぇよな!」

「うん。あのヴィランも福佐君が軽く倒しているから、そこまで強くないと思う。けど、福佐君が倒していない奴は相手との相性の問題だと思う。」

「相性?」

「うん。彼の戦闘スタイルはスピードと技術、武器は素手と刀と”個性”の剣。だから、そこまでのパワーが無くて倒せないんだと思う。福佐君に怪我がないところから、相手の攻撃は福佐君に効かない。でも、福佐君の攻撃もヴィランに効かない。だから、僕らで戦うんだ。」

 

 2人は驚いていたけど、襲ってきたヴィランの実力や目の前でクラスメイトが軽くヴィランを倒している事実が勇気になる。作戦は次の通り。

 

1.福佐君がヴィランを引き付けている間に他のクラスメイトを呼ぶ。

2.1と並行して広場の一角に峰田君の”個性”で動きを止める罠を作る。

3.ヴィランを罠に誘導して拘束する。

4.相澤先生が”個性”を消し、僕らで一斉攻撃する。

 

 福佐君の火力不足なら僕のような増強系で、物理攻撃が効かないなら熱・冷気・電気で攻撃する。相澤先生の”個性”で消せるならそれでいいし、消せないなら僕らの”個性”で倒せる。

 

「勝算は高いと思う。僕やかっちゃん、轟君を始めとして高火力の”個性”持ちは多い。全力の攻撃なら倒せると思う。いくら”強個性”でも全員の対策はできない。最悪でも、ヴィランを撤退させられるはずだ。」

「そうね。やる価値はあるわ。」

「よっしゃ!それじゃあ、急がないとな!」

 

 僕と峰田君は罠を作り、蛙吹さんは皆を呼びに行った。

 僕が峰田君と罠を作り終えて戻ると、入り口付近に何かの生徒が集まっていた。後は彼に作戦を伝えれば成功するはず・・・

 

「おい緑谷!あれ!!」

「っ!」

 

 そう考えていた僕らの目の前にあったのは・・・()()()()()()()()()()()と彼にとどめを刺そうとするヴィランだった。




 原作との相違点
・相澤先生が脳無にやられていない。
・緑谷が特に怪我していない。
・相澤先生がやられていないから生徒の恐怖が薄い。
・自分でヴィラン撃破、福佐が脳無を圧倒する姿により「自分もできる」と思っている。
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