俺の個性がそう言っている   作:大紫蝶

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気づいたら、総合評価が500を超えていました。
これからもよろしくお願いします。


夏休み

 ”波動ねじれ は 福佐陽介 に弱みを握られている”

 これが1学期、噂された話だ。この話を撤回しようとした先輩の言葉は”洗脳された被害者の言葉”として、取り合ってもらえていない。一部では、ストックホルム症候群とも言われている。

 この状況を脱するには俺から離れればいい。それで解決する。だが、俺の過去を聞き、心配している先輩は幾ら突き放してもそばにいる。今の俺からすれば、先輩はクソ”個性”発現以降、初めて心から信頼できる他人だ。情けない話、ヒーローも警察もカウンセラーの先生も信頼できないのだ。信用はしてるが。

 人には感情があり、それを隠している。嫌いな相手に嫌いと言うバカはいない。大体、それを隠しているだろう。その感情と嘘が分かる俺はダイレクトに伝わる。よくある「好き(じゃない奴は)貴方です」とかで嘘言ってませんよ?は通じない。感情でそう言う奴は分かってしまう。その意味では感情と態度が一致していて、嘘を言わない先輩は楽だ。

 人の距離は腕2本。上手い言葉だと思うよ、俺はね。俺に手を伸ばす奴はいない、そのうち俺に手を伸ばす奴にも手を伸ばさなくなった。でも、こんな俺にずっと手を差し伸べるどころか、無理矢理距離を詰めてくる奴は初めてだった。

 

「ねぇねぇ、困ってる人を助けたい。理由なんて、それ以外にあるの??」

 

 その言葉に、どれだけ救われたか。だから、俺のせいで先輩が貶められるのはダメだ

 先輩が離れないなら、俺が変わるしかない。カウンセラーの先生と話しながら、口調を直した。見た目も、「髪や目の色が良くないのではないか」という意見から、髪や目を黒くしようかと思ったが、黒よりも明るい色の方が印象がいいとアドバイスをもらった。今の俺は髪をサイドを残してオールバック、色は茶髪。目の色はコラコンで薄い青色にした。今の時代、これくらいなら問題はない。眉間のシワはできるだけしないように鍛えて好青年をイメージして常に笑顔にしている。先生からは

 

「エンデヴァーでもここまで酷い顔にはならないよ。」

 

 その他の知り合いや母さんからは

 

「顔が引きつっている」「もっと笑って!」「口調を統一しろ」「お嬢さんとかw」「熱でもあるの?」「大丈夫、私たちは君の味方だよ」

 

―――その場で締め上げた。母さんは救急車まで呼びやがった。「息子がヴィランに操られて!」と言われて泣いたよ、俺。

 それでも、”学習能力”もあり短期間で違和感無いレベルまで頑張った。これなら先輩にも迷惑をかけないだろう。2学期が楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今は夏休みで、先輩は勉強中だ。とはいっても、俺の学校では3年の夏休み前に殆どが終わる。残りは応用とか発展問題だ。2学期からは個人の進路に合わせた勉強になる為、事実上の自習になり、分からないところを教師に聞く事になる。先輩は俺が勉強を教え、今復習してるから問題ないだろう。それに分からない事は調べてるし、勝手に成績は上がるだろう。

それより、実技対策の方が重要だ。雄英には鍛え上げた”強個性”達が来る。その中の40名しか受からないなら、先輩の個性でもキツイだろう。ならば、必要なのは個性以外の手段だ。

雄英の実技試験は「ヒーローとしての資質を見る」との事で、トップヒーローは実力と実績と人気(例外として、エンデヴァー)が主な要因だ。つまり、戦闘能力以外も判断基準となるはず。

見た目は(俺と比較して)大丈夫だと思う。面接があれば恐らく不合格だろうが、面接はないからな。身だしなみ整えれば大丈夫。同じ理由で性格や言葉遣いもokだ。...1日くらい騙せるさ。

 

「ねぇねぇ、なんで実技対策なのに勉強してるの??」

「だから、先輩の”個性”でも雄英に行けるか分からないから。おそらくあるであろう、”救助”関連で得点を狙うことにするんだろ。戦闘だけが評価点になるとは思えないからな。」

「先輩は飛べるから、救助者を運ぶのも楽にできるし、障害物が多い場所でも動ける。だから、この”個性”に救助の知識があればできることは多い。」

「でもさ、結局いつもロボットを倒すだけでしょ?戦闘の評価が一番効果ありそうじゃない?」

「(たしかにそうだ。現在活動しているヒーローは基本的に戦闘が主になっている。だが、)それは違いますよ。ヒーローの本質は奉仕活動だ。ならば、トップ校がそこを評価しない訳ない。」

「それに、ヒーローなら”助ける”方法を知ってて損はないだろ?人命に関わる事だしな。」

 

 そう言うと、先輩は黙々と勉強を再開した。ぶっちゃけ、今の勉強は試験とは無関係だ。でも、何かあった時に後悔しないようにしている。

 運命の分かれ目は、こちらの都合とは関係なくやって来る。準備が整うまで待っていたら、きっと一生何もできない。だから、常に備えて欲しい。俺のように後悔しないためにも。




容姿を変えた福佐の見た目や口調はワールドトリガーの迅悠一のグラサン無しです。
ただ、仮面として演じているだけなので中身は変わっていません。
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