からくり武者になった私は姫様に仕えます。   作:麗紫 水晶

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やっと2話目でございます。更新が遅いことお許しくだされ~~!では、2話目スタートです。



あの……私ってそんなに特別!?

あの……雅神 焔《まさかみ ほむら》こと焔です。おっさんサラリーマンでしたけど、不治の病ってモノにかかり治療薬も無いままに死を迎えてしまいました。

 私の残りの人生が……からくりの武者。って、1回亡くなってましたね、そうですね。第2の人生!?って言いますか?からくり武者なんですけど。

 良い部分、悪い部分多々あれど、まずは屋敷から脱出を試みました。しかし、直ぐに見つかり追っ手が追い掛けて来ます。危うく壊されかけた時、可愛いお嬢さんと男性に助けられたんです。そのお嬢さんに驚かされたのは、無数の糸で私を操り、二刀流でもって相手を数体1度に倒してました。私にあんな芸当は出来ません。剣術を学ばねばと思った次第。そうして私は助かり、嘆願してそのお嬢さんのお供をさせてもらう事にしました。

お嬢さんの名は乱菊様、男性はむなじりさん…。

 

「わしゃ、まなじりじゃ。」

 

 彼女は、あやわたり家……の末娘とか。まなじりさんは下忍だそうですが、有名らしく実際には強い……。本名も違うという事らしいです。で、乱菊様にお仕えする事になったそうです。

で、山道を3人!?いや、二人と1体ですか。あやわたり家の里へと向かっていました。しかし………。

 

「一体何者か、我が人形を奪った奴は……。」

 

さるお城!?で、私が逃げ出したのが騒ぎになっていたようで。

 

「殿っ!狩俣貞義《かりまた さだよし》の城下を抜けて行ったのを、見たものがおります。」

 

「なんとっ!まさか、人形狂いだったあやわたりの里に向かっておるのか?」

 

「方向からすると、その可能性が高いかと。」

 

「う~む………。」

 

殿と呼ばれる男は、顎に手を充ててしばらく考えていました。

 

「よし、追っ手を差し向けるのだ!ただしっ!他の大名どもに気付かれる前に取り戻すのだ、なんとしても我が元に持ってまいれ!我の“風林火山”をなっ!」

「「「「はっっ!」」」」

 

…………………………………

 

その速き事“風”の如く……。

 

その静かなる事“林”の如し……。

 

侵略する事“火”の如く……。

 

動かざる事“山”の如し……。

 

 兵法と言う物の中の一部ですか、昔に学校の歴史の授業で習った事があります。確かこれを掲げていたのは有名な“武田信玄”………。

それならば、風林火山と名前をつけても納得出来ます。私とんでもないところから逃げたんですかね、実は!?

でも他の大名や兵士達に操られるのも御免です。なので外の空気も必要なんです、呼吸してませんけど。まして男性に操られるくらいなら乱菊様の方がよっっぽど、ましかなと。

で、追っ手を差し向けられた事を露知らず道中の山道を進んでいたんです。これからの私達に起こっていく大きな渦に巻き込まれてしまう事に気付かずに……………。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

天文22年……時は日本、戦国の世……。有名な大名、武将達が天下を取るべく、戦が各地で起こっていた時代……。

とある里の1つに、少々名の知れたるある物を造る一族がおりました。その一族は”カラクリ”と呼ばれる人形を造るに秀でた一族で、城主は人形造りにハマりすぎて、人形に執り憑かれてしまい、あろうことか人の皮までも使うと言う悲劇がありました。そしてその人形の技術は各方面に伝わり、死なん兵団を造るに至り更に戦が激戦と化していたのです……。この頃はちょうど、武田信玄と長尾影虎(上杉謙信)による川中島の戦いがあった後のこと。武田勢が負けて退くものの、諦めきれずに兵を強化せんと死なん兵団を信玄も造り出したのであります…………。

 

彼女のお家、あやわたり家は狩俣貞義に襲撃されて家をとり潰され、城跡が残るだけ……。その狩俣貞義に仇討ちを果たしての帰りに私と出会ったと言うわけで、意味のある事だったと後々知ることになりました。

ん!?結構後方から馬の蹄の音が……1、2、3……走ってますかね、急いでるようですが危ないですね、お知らせしないと。実はこの2人とは意思疎通が出来るようで、私が声に出さずとも会話が成り立ちます。有難い事です。

 

(姫様、後方より馬の走る音が数体、聞こえてきます。追っ手かも知れません。)

 

「分かりました。そなたは茂みの中に。」

 

「いえ、上様もご一緒に。ここは私がやり過ごします。」

 

「むなじり様……。」

 

「まなじりです……。」

 

おっととと、急いで隠れないと追い付かれる!

 

(では、姫様も。)

 

「頼みます、まなじり様。」

 

「御意……。」

 

 少し離れた茂みに身を潜めます。そこから覗いて見ると、なんと姫様が居る……。確かに本物は私と一緒に隠れている……凄い……。少しすると鎧に身を固めた武者が馬に乗って5,6人近づいて来ました。

 

「待て!ここを大きな鎧武者と一緒に人間2人が通らなかったか?」

 

「はい!?先ほどの方たちでしょうか?」

 

「む、その者たちはどっちに向かった?」

 

「はい、私達の横を通り抜けて行ったと思ったら急に森の中へと消えていきました。」

 

 さすが、まなじりさん絶妙ですね。

 

「そうか……回り込めば間に合うやもしれん、おいっ!追うぞっ!」

 

「「「「「はっ!」」」」」

 

 颯爽と馬で駆けていく武者たち……とりあえずは切り抜けたようで、姫様が無事で良かった。

 私達が出ていくとゆらりと幻影が歪むように消えていきました。さすが名の知れた忍者です。敵でなくて良かった……。

 大きな縦長のこおりを背中に背負って、私は姫様たちについて行きます。私はお腹が減る訳でもなければトイレに行く必要もない。バッテリーではないので充電が必要な事もない。唯一心だけは……魂だけは転生してるのではありますが……。

 

「しかし、お前……一体どこから逃げて来た?あの武者たちが掲げていた旗は武田の軍旗だぞ。まさか武田の城から逃げたんじゃないだろうな……。」

 

(い、いや、何も分からずに飛び出したので……。武田って武田信玄公ですか?)

 

「そうだ、そもそもなぜにそこから逃げ出した?何かしでかしたのか!?」

 

(い、いえ、何も。このまま戦に使われようものなら、嫌がおうにも関係のない人まで目の前で殺されていく……私の気持ちに反してです。それが嫌だったんです、そうなってしまうと思ったから……。)

 

「ほう……。武者からくりのくせに戦が嫌だと!?」

 

(身を守る為にはやむを得なく戦う事もあるでしょうけど、基本的には、姫様をお守りしたいだけです。)

 

「まぁいいか、どこもかしこも戦に明け暮れて嫌なことだらけだ。平和に暮らせんのかねぇ。」

 

(天下統一されないと収まらないのかもしれませんね……。)

 

「わたしも……里に戻って静かに民と暮らしたいです……。」

 

(姫様……。)

 

 う~ん、姫様に仕えると強引について来ましたけど一緒に居れば戦いに巻き込まれる事は必死でしょう。何せ、武田軍が私を追っている限り安穏に暮らせるはずもなく……。離れた方が良いんでしょうか?しかし、事は私だけに納まってはいませんでした。

 先に戦った忍びと死なん兵団が城に戻り、その報告を受けて武田公が考えを改めて姫様共々捕えよ!という命令に変わったのです。さすがにそれは知りえもしない事で……。更に更に、広範囲で知らない所で私達の事は密かに広まっていたんです……。

 

………………………………………………………………………………………………

 

「何!?信玄の城から人形が盗まれただと!?それは真か?」

 

 別のお城……、実は私が城から抜け出した事が信玄公の中にとどまらず、外部にも漏れ出していたんです。この時代も情報は重要で、どの国の大名、殿様も人員を集める事も大事でしたが情報を駆使する事にも神経を張り巡らせていました。

 

「はっ。どうやって抜け出たかは不明ですが……、どうやらあのあやわたり家の者と一緒との事。里へと向かっているようです。」

 

「あやわたりとな、なるほどの。ならば、信玄より先にその人形を捉えようぞ。咲希《さき》!咲希は居るか!?」

 

「景虎様……、ここに……。」

 

 傍に音もなく現れたのは紺色の忍び装束のくのいちさん……。その後ろには静かに控えている少し体格が大きい仮面をつけた忍びがおりました……。

 

「そなた、夜叉王を連れて信玄の逃げた人形と、一緒にいる者共を捕らえよ。殺してはならん、生け捕りにしてわしの前に連れて来るのだ。」

 

「はい影虎様……必ずや……。」

 

静かに物音も立つことなく、一人と1体は気配もなく消えていました。

でも、私たちを狙っていたのは他にも居たのです………。それは少し離れた土地での事。

 

「ふんっ、信玄の造った人形が逃げただと。」

 

「はっ、どうやらその為に追っ手を差し向けたようで。」

 

「ほう……、余程の自信作か……はたまた失敗作か……。面白い、わしも見とうなった、よし出し抜いてやろうぞ。」

 

いきなり立ち上がり仁王立ちに。

 

「猿は居らぬか!猿を呼べっ!」

 

少しすると、ガチャガチャと鎧の音を立てながら急ぎ足でその者の前に膝ま付きました。確かに顔つきはお猿さんに似てます。

 

「親方様、お呼びで御座いましょうや。」

 

「うむ、お前にあやわたりの里に赴き、信玄が造りし人形と一緒にいる者共を捕らえ、わしの前に連れて来い。会って見とうなった。」

 

「はっ!親方様の……信長様の命とあらばこの秀吉、喜んで……。」

 

「お前の人形も連れだって行くが良いぞ。」

 

「無論、そのつもりでおります、では。」

 

そう言ってその部屋から退出して行きました。何か凄いことになってます。でも、私達はそんな動きは知る由もなく里へと向かっていたんです。姫様達に迷惑をかけたくないと、離れるべきかと悩みながら…………………………。

 

 

 

 

 

 

 

 




読了ありがとうございます。次回は、入り乱れてぶつかること必至かと。お付き合いくださいね、紅龍騎神でした……♪♪
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