ダークエルフと悪役令嬢   作:アヤ・ノア

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アエルスドロを追いかけた、ダークエルフの神官との戦い。
同族にして裏切り者との戦いはちょっとつらいですよね。


第14話 神官との戦い

「ソードブラスト!」

 アエルスドロは剣から衝撃波をブリジッティーラとシーリーナ目掛けて飛ばす。

 しかし、圧倒的な闇に阻まれて届かなかった。

「わたくしの銃弾、受けてみなさい!」

「ふん、鉛の弾丸など……」

「あら、それはあなたの勘違いではなくて?」

 マリアンヌが放った銃弾は、着弾すると爆発を引き起こす弾丸、ファイアーバレットだった。

 銃弾が爆ぜると、ブリジッティーラは浅くない傷を負う。

「がぁぁっ!?」

 ブリジッティーラは口から血を吐き、4m程吹っ飛ばされた。

「このナガル地方、あなた達に渡すつもりなど微塵もなくてよ」

 マリアンヌはくるっと二丁拳銃を回し、ブリジッティーラを挑発する。

 その挑発に乗ったブリジッティーラはマリアンヌに近付いてレイピアで突き刺そうとするが、

 マリアンヌはひらりと攻撃をかわす。

「large feu vent soins mort!」

 シーリーナはアラネアの力を借りて、

 アエルスドロとマリアンヌ目掛けて悪しき信仰の力を帯びた炎の柱を呼び出した。

 その場にはブリジッティーラもいたのだが、利己的なダークエルフはそれを考えなかった。

「まずいぞ、当たれば致命傷は避けられない! ラ・ナチュ・デ・ヴェン・ラ・スカト!」

 アエルスドロは速度を上げる呪文を唱え、二人の速度を上げ、攻撃を回避した。

 結果、何故かブリジッティーラだけが攻撃を受けるという、

 ある意味奇跡のような状況になった。

「おお」

「何をする!」

「ぼさっとしている方が悪い」

 ブリジッティーラとシーリーナが喧嘩をしている中、

 アエルスドロはブリジッティーラ目掛けて威風に溢れた一撃を放つ。

 アエルスドロの剣はブリジッティーラを貫き、大きな傷を負わせる。

「ぐ、ぁぁぁぁっ!?」

 ブリジッティーラは踏みとどまり、レイピアを握り直してアエルスドロを貫こうとした。

 しかし、そこをマリアンヌが庇った事により、アエルスドロはダメージを受けなかった。

「マリアンヌ、服が破れるのは嫌なんだろう?」

「もう、その際そんな事はどうでもいいですわ。こいつらを倒すのを最優先にしましてよ!」

「さて、どうなるかな? instabilite!」

 シーリーナが呪文を唱えると、空間が歪み、不安定になった。

 幸運や不運がさらに起きやすくなるようになり、混沌とした状況になるのは必然だった。

「ふん、そんなものなどわたくしの前では紙切れ同然ですわ! マグナムショット!」

 マリアンヌは二丁拳銃をブリジッティーラに放つが、

 銃が暴発し、アエルスドロに当たりそうになった。

「しまった!」

「ふっ!」

 アエルスドロは盾でマリアンヌの銃弾を弾き返し、ブリジッティーラに当てた。

「お、おのれえええええっ!」

「このチャンスは利用しなければならない。いくぞ、アイシクルスラッシュ!」

 アエルスドロは呪術で剣に氷を纏わせ、シーリーナに振るって衝撃波を飛ばした。

 シーリーナの呪文の効果で衝撃波は広がり、彼女が回避するまもなく衝撃波は彼女を貫いた。

「ちっ……運を味方につけたようだね」

「悪いが、お前達に屈するわけにはいかない。これは私達の居場所を守る戦いなんだ」

「は、私達は侵略者扱いか……。ならば、死ね」

 ブリジッティーラは威風に溢れながら毒を纏ったレイピアを振るった。

「ド・ゲイト・デ・テラ・マ・ギ!」

 アエルスドロは魔法の矢をブリジッティーラの腕目掛けて放ち、命中すると攻撃が中断する。

 その隙にアエルスドロはブリジッティーラに突っ込んで彼女を斬りつけた。

 ブリジッティーラはその一撃を受け、致命傷に陥るが、まだ倒れなかった。

「貴様さえ生贄に捧げれば、アラネア様の寵愛を受ける事ができる!」

 悪の種族たるダークエルフにとって、善の属性のアエルスドロは汚点である。

 そのため、彼女達は何が何でも、アエルスドロをアラネアの生贄にしようとしているのだ。

 しかし、マリアンヌは二人を鼻で笑う。

「ふん、そんな神様がどうかいたしまして?」

「貴様、人間の分際で、アラネア様に無礼を働くな!」

「わたくしは神様なんて信じませんわ。信じるのは己とこの銃のみ! デスサーティーン!」

 マリアンヌはステップでシーリーナとの距離を離し、彼女目掛けて二丁拳銃を乱射した。

 距離はかなり離れていたが、デスサーティーンの効果で射程が伸びたため命中した。

 

「く……」

「いい加減、引導を渡してやりたいですわ……」

 アエルスドロとマリアンヌは、何度も技を繰り出したのか体力も気力もかなり消耗している。

 ここで決めなければ、後がない。

「……死んでもらいますわよ」

 マリアンヌは聖なる弾丸を拳銃に装填し、ブリジッティーラの心臓目掛けて銃弾を撃った。

 銃弾はブリジッティーラの胸を貫くと、彼女を聖なる光で包み込んだ。

 光に弱いダークエルフにとって、その一撃は致命傷となった。

「くそ……何故、貴様らなんかに、私が敗れたのだ……!」

 ブリジッティーラはそう言い残すと力尽き、その場に倒れた。

 

「言ったでしょう。あなた達には死んでもらわなければなりませんのよ? ふふふふふふ……」

 マリアンヌはそう言って、大きく哄笑した。

 しかし、笑っているからといって、機嫌が良いわけではない。

 アエルスドロは静かに怒っているマリアンヌを震えながら見ていた。

「シーリーナ。次はあなたのターンですわ。……分かっておりますわよね?」

 そう言って、マリアンヌはシーリーナに二丁拳銃を向けた。

「では、せいぜい期待に添えるようにしよう! large feu vent soins mort!」

 シーリーナは呪文を詠唱し、アエルスドロとマリアンヌがいる場所に火炎の嵐を呼び出した。

 アエルスドロは運良く攻撃が当たらない位置にいて回避し、

 マリアンヌはかわそうとしたが運悪く当たってしまう。

「マ・ギ・デ・スカト!」

「くぅぅ……」

 マリアンヌは何とか己の強い精神力と、アエルスドロの防御魔法でダメージをほぼ軽減したが、

 ダークエルフの呪術が混ざっていたのか頭がくらくらしてきた。

 シーリーナはマリアンヌに追い打ちの呪術をかけ、彼女にとどめを刺そうとした。

「させるか!」

 しかし、アエルスドロが盾で攻撃を防ぎ、剣を構えてシーリーナに突っ込んでいった。

「私はもう、お前達とは一緒にいられない。だから、私は戦士として、お前を討つ――!

 ド・イグニ・ラ・オシ・ド・オシ!」

グアアアアアアアアアアアアアアアア!!

 そして、アエルスドロの剣を炎が包み込み、

 彼が剣を振ると同時にシーリーナを炎で飲み込んだ。

 シーリーナは業火に焼かれながら断末魔を上げていく。

 そして、灰すら残さず、その姿を消していった。

 

「私達が……勝った……のか……」

「まったく、人騒がせなダークエルフでしたわね」

 アエルスドロとマリアンヌがそう呟くと、森を覆っていた瘴気は見る見るうちに消えていった。

 そして、森は元の姿を取り戻していった。




アエルスドロとマリアンヌも協力する時はするのです。
次回は新キャラの登場です。
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