ダークエルフと悪役令嬢   作:アヤ・ノア

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いなくなった暗殺者を探しに行きます。
帝国軍も動かしたいなと思って書きました。


第17話 驟雨を探して

 驟雨を探し、洞窟の中を歩いているアエルスドロ達。

「この辺にいるのは確かですけど……」

 マリアンヌは辺りを見渡しながら、驟雨の痕跡を探していた。

 だが、優れた暗殺者である驟雨が、そう簡単に跡を残してくれるわけがなかった。

「彼の姿が見えませんわね。でも……」

「逃がさんぞ」

「ちょっと! 勝手にわたくしのセリフを取らないでくださります!?」

 マリアンヌが二丁拳銃を声のした方に向けると、ガルバ帝国の兵士達が立っていた。

 重装備の兵士は大型の槍を構えており、彼の後ろにいる三人の女性兵士は銃を持っている。

「あ、あなたは……ガルバ帝国の!?」

「貴様を、ダークエルフを匿った罪で逮捕する」

「逮捕ですって!? 冗談じゃありませんわ!」

「……!」

 兵士の言葉に、ダークエルフは絶句した。

 ダークエルフを匿っただけで逮捕されるとは、

 どれほどまでにこの国は異種族に対し敵対的なんだと思う。

「ちょっと待ってよ! あたし達はそこに行きたいだけなのよ」

「あの女の味方をしている以上、貴様らにも容赦はせんぞ。皆、構えろ!」

 重装備の兵士の号令で、女性兵士は銃を構えた。

「えー、戦うしかないの!?」

「そのようですね……迎え撃ちますよ!」

 ユミルは兵士達に杖を向け、戦闘態勢を取った。

 

「ツインバレット!」

 マリアンヌは素早い動きで兵士達の無防備な場所を二丁拳銃で攻撃した。

「勇気の精霊よ、彼の者に勇気を与え給え!」

「光の精霊よ、我が召喚に応え敵を討つ雷となれ! ブライトショット!」

 エリーがミロの身体能力を魔法で強化し、

 ルドルフが光の精霊を召喚して矢に変え、重装兵士にぶつける。

うおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!

 ミロが思いっきり拳を重装兵士にぶつけると、

 重装兵士の鎧は跡形もなく砕け散り、壁に吹っ飛ばされて戦闘不能になった。

「す、凄い怪力ですわね……。

 ガルバ帝国産の鎧はとても頑丈で、普通の剣では傷すらつかないものもありますのよ?」

「それを砕けるのがあたしの力ってわけ」

「……どれほどのパワーなのよ、あんた。まぁいいですわ、ガトリングショット!」

 マリアンヌがミロのパワーに呆れながらも、二丁拳銃で怯える兵士を容赦なく攻撃する。

「降伏しろ、とか言わないんですか?」

「同じ国民でもわたくしに敵対した時点でわたくしの敵ですわ」

 にやりと、悪役令嬢らしい笑みを浮かべるマリアンヌ。

「動かないでくださいね、ド・ゲイト・ド・シー!」

 ユミルが杖を振ると兵士を渦が包み込み、その勢いで窒息死させた。

 彼の魔法の威力に恐怖した兵士達が「もうどうにでもなれ」と銃を乱射する。

 だが、エリーが的確に防御魔法を使用したため皆、大したダメージは受けなかった。

「ラピッドシャワー!」

「水と風の精霊よ、雷光となり敵を打ち砕け! ボールサンダー!」

 マリアンヌは高く飛び上がって二丁拳銃を兵士達に乱射し、足止めをする。

 そこにルドルフが呼び出した無数の雷の球が命中して兵士達を麻痺させる。

「燃え盛れ……ファイアスラッシュ!」

うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

 そして、アエルスドロの炎を纏った剣が一閃し、その場にいた兵士達は全滅した。

 

「まったく、わたくしに歯向かうからこうなるんですのよ?」

 くるっと二丁拳銃を回しながらマリアンヌが言う。

 たとえ同じ国に住む人であっても敵対する者には容赦がない、それが彼女のスタンスなのだ。

「とっとと驟雨を捕まえますわよ」

 

 六人は襲ってくる魔物を倒しながら洞窟の奥へ進んでいき、やがて二人の人物の姿を発見する。

 一人は猫耳と尻尾が生えた少年で、もう一人は黒髪を三つ編みにして肩に子猿を乗せた少女だ。

 マリアンヌは彼女に見覚えがあるらしい、少女を見ると目に炎が宿った。

「エ、エマ・クレーシェルじゃないの……! なんで驟雨と一緒にいますの……!」

「誰と話をしてるのかしら?」

「しっ、見つかりますわ。ここは、わたくしがついていきますわ」

 マリアンヌは、二人に見つからないように、こっそりと二人の後についていった。

 彼女の背中を見ていたミロは、なんでエマをフルネームで呼ぶんだろう、と思っていた。

 

「腕の良い暗殺者ですわね。是非、私と協力してみませんか?」

「断る。俺が仕える相手は氷雨殿ただ一人」

「でも、子猿さんが鳴いてたわよ。あなたを是非、人材にしたいって」

「……ならばその子猿を殺すまでだ」

 そう言って、驟雨は子猿に向けてナイフを投げようとしたが、何故か驟雨の手が止まった。

「何?」

「その子猿さんは攻撃できないみたいですよ」

「くそ……せっかく殺したいのに!」

 子猿を殺せば、エマから逃れる事ができるはずなのに。

 それができないため、驟雨は舌打ちをし、拳を強く握っていた。

 

「エマ、驟雨はあなたのものではなくってよ」

 マリアンヌは冷たい声でエマにそう言うと、子猿を右手の拳銃で撃った。

 彼女が放った銃声に気づいた驟雨とエマがこちらを振り向く。

「なっ……!?」

「わたくしはガルバ帝国貴族令嬢、マリアンヌ・フロイデンシュタイン!

 驟雨という暗殺者は、わたくしのものにしますわ!」

 マリアンヌがエマに名を名乗ると同時に、アエルスドロ達が驟雨のところにやって来た。

「き、貴様……! 先ほど殺し損ねた奴か!」

「そうだ。そして私達は、マリアンヌ領主の命令によりお前を捕らえに来た!」

 アエルスドロは剣の切っ先を驟雨に向けた。

 彼の眼は右の赤も左の紫も鋭く、本気である事が分かる。

「この俺を捕らえに来た、か……。下がっていろ」

「はい、分かりましたわ」

 驟雨は殺気を放ち、エマを巻き込まないように遠ざけた。

 

「言っておきますが、ボクも本気ですからね!」

「そうか……ならば、全力でかかってこい!」

「あなたを必ず、ナガル地方で働かせますわよ!」




勧善懲悪ではない、という事を上手く描写できましたか?
次回は驟雨戦です。
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