ダークエルフと悪役令嬢   作:アヤ・ノア

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最後のバカ貴族を捕まえに行きます。
バカだけど一筋縄ではいかないのが彼です。


第28話 ヒーヴェルを探して

 その夜、マリアンヌ達が乗る馬車の前に、大きな屋敷が見えてきた。

 そこには大商人の息子ヒーヴェルがいるはずだったが……。

 

「ヒーヴェル! わたくしが来ましたわ!」

 マリアンヌは、大きな屋敷に踏み込んだ。

 しかし、その屋敷の中には誰もいなかった。

「誰もいないですって!?」

 マリアンヌが驚くと、ヒーヴェルが馬に乗って逃げ出すところに出くわした。

 どうやら、一行が踏み込んでくる事を読んでいたようだ。

「追いかけるぞ、マリアンヌ!」

「ええ!」

 アエルスドロ達はヒーヴェルを追いかけていった。

 

「サモン・キャリッジ!」

 ユミルは魔法で馬車を召喚し、運転しながらヒーヴェルの後を追った。

「うんせ、うんせ」

 ミロは坂道で馬車を押して加速させる。

 彼女の腕力によって、馬車はかなり動いた。

 ある程度進むと、ヒーヴェルは馬から飛び降りて住宅街の中に走り去った。

 住宅街は入り組んでいて、場所を確認してどこに逃げたかを把握する必要がある。

「エリー、手伝ってください」

「はーい!」

 ルドルフはエリーと共に、ヒーヴェルが逃げ込んだ場所に走った。

 すると、二人はヒーヴェルを見つける事ができた……ビンゴだ。

「見つけたぞ! 追うんだ!」

「やばい!」

 もうすぐヒーヴェルに追いつくというところで、ヒーヴェルは袋の口から金貨をばら撒いた。

 人々は金に群がり、アエルスドロの進路を妨害している。

「くそっ、こんな手を使うとは! 追うぞ、マリアンヌ!」

「いえ、少しは金貨を拾ってみては?」

「おい!」

 金貨に目が眩んだマリアンヌは、落ちている金貨を次々と拾っていく。

 いくらパーティの主軸と言っても、彼女は悪役令嬢、お金には目がなかった。

「仕方ないわね……あたしが運ぶわ」

「私も手伝うぞ」

 アエルスドロとミロは仕方なく、馬車をその力で引っ張っていった。

 しかし、金貨を貰ったマリアンヌの馬車に、住民がそれを奪おうと突っ込んできた。

 これにより、全員はかなりのダメージを受けた。

「ぐぅぅ……」

「金に目が眩むからよ」

「とりあえず怪我は治しておくよ。ラ・ナチュ・ド・オヴァ・ラ・ホル・ド・テネブ!」

 エリーは即座に広範囲の傷を癒す魔法を唱え、全員が負ったダメージを回復させる。

「後はボクがやりますよ! ラ・テネブ・デ・ハンズ・ド・ニイス!」

 ユミルは精神を操る魔法、マインドコントロールを唱えた。

 彼の魔法を受けた馬が足を止める。

「動け……動け、何故動かぁぁぁぁぁぁん!」

 ヒーヴェルはパニック状態になり、

 その隙にアエルスドロとマリアンヌがヒーヴェルを捕まえた。

 そしてアエルスドロはヒーヴェルが身に着けていたブローチを外し、彼を正気に戻した。

「ようやく見つけたぞ、事情を話してもらおうか」

「……分かった」

 ヒーヴェルは、アエルスドロ達に事情を話した。

 

「……操られていたとはいえ、こんな事をしたのは謝ろう。この計画書を持っていけ」

 そう言って、ヒーヴェルはアエルスドロに計画書を渡した。

 計画書には、このような事が書かれていた。

 

 婚約パーティに出席した者達に、このチャームブローチを渡せ。

 ゲスト達を皆、エマ様に忠誠を誓わせるのだ。

 

「あぁ、もう、もしも計画が実現したら、皆さんがエマを崇拝してしまう……!

 そんな事、絶対にさせませんわ!」

 マリアンヌはこの計画を阻止するために決意し、二丁拳銃を構えた。

「必ずこの計画は阻止してみせよう!」

「ルドルフ! 絶対にあたし達は負けないからね!」

「……はい」

「……やるしかないようだな」

「まったく、なんであたしが協力しなきゃいけないっての?」

「まあまあ……ボク達も一応、仲間ですから、ね」

 アエルスドロ、エリー、ルドルフ、ミロ、ユミル、驟雨も、

 計画を阻止するべくマリアンヌと共に決意した。

 

 あちこちを飛び回っていたせいで、もう、パーティ会場まで時間がない。

 エマの野望を阻止しなければ、この国の人間が、エマに魅入られてしまう。

 悪役令嬢は、ヒロインの野望を阻止できるのか?

 

「……って本来とは役割が違うんだけどねー」




エマは本当に、本当の意味での悪い奴なのでしょうか。
次回は婚約関連と、ボス戦です。
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