攻撃魔法役と回復魔法役となっております。
ガルバ帝国の辺境、ナガル地方で武官として働く事になった
ダークエルフの青年、アエルスドロ。
だが、アエルスドロは初回から苦難に立たされていた。
ダークエルフである事を理由に、プリザベーション処置を拒否された。
太陽光に適応する特技を持っていないため、日中に外に出るのは日傘が必要。
しかし、それでも、アエルスドロが自分で選んだ道なのだ。
アエルスドロは、決して後悔はしなかった。
「……この地上には必ず安住の地がある。私はそれを信じて、地上にやって来た。
……だが、私は未だに見つけられない」
「ダークエルフは世界中から忌み嫌われてますから、安住の地が少ないのは当然でしてよ」
マリアンヌはアエルスドロを最初に受け入れてくれた人間だ。
悪役令嬢そのものといった人物だが、ダークエルフを受け入れたために心根は優しいと感じた。
「だから、居場所が見つかるまで、あなたはここにいてくださいな」
「……はい」
アエルスドロはとりあえず、しばらくナガル地方に定住させてもらう事になるのだった。
その頃、ガルバ帝国では……。
「はぁっ……はぁっ……!」
一人のエルフの青年と妖精の少女が、帝国兵に追われていた。
青年は木々の間を通り抜け、隠れながら辺りを見渡していく。
少女は、青年の近くに寄り添っている。
「ガルバ帝国は我らを忌み嫌っているようです。見つかれば、殺してしまうでしょう。
エリーは、静かにしてください」
エリーは頷くと青年のバックパックの中に隠れた。
やがて、帝国兵は青年が隠れている茂みの近くにやって来た。
帝国兵は辺りを見渡し、誰もいない事を確認すると、全員去っていった。
「やっと退散したようだな」
「ふぅ~、一時はどうなる事かと思ったよ」
バックパックの中からエリーが姿を現す。
「ガルバ帝国って本当に嫌な国だよね。人間以外の種族はみんな家畜だってさぁ」
「昔からそうでしたけど、ベルハルトが皇帝に即位されてからはさらに増してきましたな」
「早く逃げなきゃ、ね!」
エリーが再びバックパックの中に姿を隠すと、青年は再び走り出していった。
その頃、アエルスドロとマリアンヌは、食糧調達のために再び森の中に入っていた。
草木が生い茂り、たくさんの妖精や精霊が宙に浮いていて、動物も活気に溢れている。
「マリアンヌさんは戦えるんですか?」
「伊達にガンスリンガーのクラスを所持してませんわよ」
マリアンヌは腰から二丁の拳銃を取り出してそう言った。
「そういうあなたも、戦えるのではなくて?」
「剣なら得意です」
「よし、行きますわよ!」
マリアンヌを先頭に、アエルスドロ達は森の中を進んでいく。
すると突然、茂みから何者かが飛び出してきた。
それは、長い金髪を揺らす、特徴的な尖った耳を持つエルフの青年だ。
彼の鞄は膨らんでおり、誰かが入っている事が伺える。
「……!」
エルフは驚いてすぐに杖を構え、アエルスドロに向ける。
「ま、待ちなさい! わたくし達は敵ではありませんわよ!」
「ダークエルフもいる……あなた達は僕に危害を向けないのですか?」
「ルドルフ、後ろ!」
エリーにルドルフと呼ばれた青年は、後ろの茂みを振り返った。
次の瞬間、茂みから帝国兵が姿を現した。
「いたぞ! エルフだ!」
「捕らえてルーカス様のところに送らねば!」
「ふん、このわたくしを誰だと思ってますの?」
マリアンヌは両手に拳銃を構え、帝国兵に向けた。
「蜂の巣になりなさい!」
マリアンヌが放った銃弾が、帝国兵を貫いた。
帝国兵は怯まずマスケット銃を構えて射撃したが、その攻撃をアエルスドロが盾で防ぐ。
エリーは光を操って帝国兵の目をくらまし、
ルドルフが風の刃を放つと、帝国兵は退散していった。
「ありがとうございます。こんな場所にまで帝国兵が追ってくるとは……。
しかし、今は話している時間はありません。早く逃げなければいけません」
「では、私達と共にナガル地方に行きましょう」
「それは、どこですか?」
「ここだ。ついてこい」
アエルスドロは、ルドルフとエリーをナガル地方に案内してあげた。
「決まりですわね。わたくしはマリアンヌ・フロイデンシュタイン。
こちらは武官のアエルスドロですわ」
「……よろしくお願いします」
「僕はルドルフと申します。こちらにいるのは、フェアリーのエリーです」
「よろしくねー!」
こうして、ナガル地方にルドルフとエリーという、妖精二人が仲間に加わった。
ちなみに、二人は文官としてマリアンヌに登用されるという……。
ガルバ帝国の人間至上主義ぶりを私なりに表現しました。
普通の人には悪に映るけど彼らなりの正義なんです。