ダークエルフと悪役令嬢   作:アヤ・ノア

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罠に対策できる者といえば、やっぱり盗賊です。
まぁ、盗賊を動かしづらい人も、いると思いますけどね……。


第33話 罠に気を付けて

 アエルスドロ達は天狗の女性を助けるため、トラップハウスに侵入しようとした。

 周囲には、無数のセキュリティシステムが回遊している。

「何とか潜入しなければな」

「見つからないように……」

―ビーッ、ビーッ、ビーッ

「しまった!」

 アエルスドロは、そのうちの一つに見つかってしまった。

 そのため、セキュリティシステムを薙ぎ払い、突破口を開かなければならない。

「えぇい、邪魔ですわよ!」

 マリアンヌは二丁拳銃でセキュリティシステムを撃つ。

 セキュリティシステムは地面に次々と落ちていき、突破口を作り出す事に成功した。

「よし、行くぞ!」

 アエルスドロは一気に進もうとした。

 しかし、足元を見ないで突っ込んだのか、転倒してしまう。

 セキュリティシステムはアエルスドロ達に一斉に近付き、再び行く手を塞いだ。

「アエルスドロ!」

「すまない……私とした事が!」

「仕方ありませんわね。ついてらっしゃい!」

 マリアンヌはそう言うと、セキュリティシステムに見つからない場所を察知して掻い潜った。

 ルドルフやエリー達も彼女を信じてついていった。

「一気に進みますわよ!」

 マリアンヌはセキュリティシステムの目が届かないところを見極め、

 一気にそこを抜けていった。

 こうしてアエルスドロ達は、再び多くのセキュリティシステムが巡回している地点へと着いた。

 今度こそ、見つからないように警戒の目を掻い潜って移動しなくては。

「驟雨、危ない場所がどこなのか探しなさい」

「……」

 驟雨は、獣人族特有の勘の鋭さを生かして、どこが危険な場所なのかを探した。

「……ここか」

 驟雨は目を光らせた後、そこを避けるように前に進んだ。

 アエルスドロとマリアンヌは彼を信じて、驟雨についていった。

 そのうちに彼らは、古代の機械が多く置かれた場所へ辿り着いた。

 

「や、やっと着きましたわ……」

 ようやく、トラップハウスの中に辿り着いたアエルスドロ一行。

 この中に天狗の女性が捕まっているのだ。

 そのために、罠を掻い潜りながら、彼女の下に近付かなければならない。

「まずはこっちに行くか」

 一行はまず、右の道を選んだ。

 しかし、トラップハウスに仕掛けられた罠にかからないように、

 マリアンヌと驟雨を先頭にして進んだ。

「ここに罠は仕掛けられているか……。む、どうやらスティンクボムのようだ」

 開けようとした扉には、

 吸い込むと体に変調をきたすガスを発射するスティンクボムが仕掛けられていた。

 驟雨は楔と小型ハンマーを上手く使いこなし、スティンクボムを外した。

「これで扉を安全に開けられるぞ」

「ありがとうございます」

「礼を言われるつもりはない」

「くぅ……!」

 マリアンヌは、ユミルが驟雨に礼を言う姿を見て悔しがった。

 自分も、驟雨のように活躍したいと思ったからだ。

「今度はわたくしが調べますわ!」

 アエルスドロ達は扉を開け、先に進んだ。

 上の扉は鍵がかかっていて、下の道には何もないように見える。

 マリアンヌは上の扉に行った後、扉を開けようとした。

「やはり、鍵がかかっておりますわね。ここを、こうして……はい!」

 マリアンヌは鍵のかかった扉の解除を試みた。

 扉を開ける事に成功した彼女は、奥にある宝箱を開け、1000Z手に入れた。

「ふふふ、こんなに儲かりましたわ! さて、2つ目の扉を調べましょうか」

 宝箱を開けた後、マリアンヌは2つ目の扉を調べてみた。

「あら、爆発する罠がかかってますの。わたくしが解除しますわ!」

 もし、罠が発動すれば、吹っ飛んでしまうだろう。

 マリアンヌは安全に開けるため、そして驟雨に負けないように、そっと爆発する罠を外した。

 そして、魔物に見つからないように、忍び足で先に進んだ。

「かなり、やる気を出しているな、マリアンヌ」

「当たり前ですわよ! わたくしはナガル地方の領主ですもの!」

 マリアンヌは口に手を当てて高笑いした。

 堂々とこんな場所で自慢できるんだな……とアエルスドロは苦笑した。

 しかし、その笑い声を聞いたゴブリンシーフがマリアンヌ達を取り囲んだ。

「ほうら、言わんこっちゃない!」

「ふん、これくらいボコボコにしますわ!」

 そう言って、マリアンヌはゴブリンシーフを攻撃しようとした。

 しかし、床がつるつる滑って思うように動けない。

「く……滑る床ですの!?」

 滑る床に気を取られるマリアンヌ。

「きゃぁ!?」

 さらに、壁の中からウェポンイーター達が一斉に現れた。

 あの魔物は装備品を食らい、使い物にならなくしてしまう。

 もしもアエルスドロやマリアンヌなど、

 武器を専門に使う者が狙われれば一気に戦力が下がってしまう。

「陰陽発止」

 驟雨は、素早く両側のウェポンイーターにナイフを投げつけて動きを止める。

 次に、飛び上がってゴブリンシーフ達に突っ込み、二振りの短剣で切り裂いた。

「飛び上がりながら動けば、問題ない」

「くぅぅ……!」

 ジャンプができないマリアンヌは、驟雨の活躍にさらに悔しがる。

「わたくしだって! 活躍しましてよ!! ガトリングショット!!」

 ムキになったマリアンヌが周囲を二丁拳銃で撃つ。

 ゴブリンシーフ達は蜂の巣になり、倒れた。

「やりましたわ! 次っ! ……おっとっと!」

 マリアンヌは滑る床に気を付けながら、驟雨が動きを止めたウェポンイーターを撃つ。

 アエルスドロも慎重に進みながらウェポンイーターを斬りつけ、戦闘不能にした。

 雑魚同然のウェポンイーターに、歴戦の冒険者では相手にならなかったようだ。

「わたくしは悪役令嬢! こんなところでくたばりませんわよ!」

 マリアンヌはくるっと二丁拳銃を回転させ、ホルダーの中にしまう。

「……悪役令嬢がくたばるっていう言葉、使うのかねぇ?」

「何かおっしゃいました?」

「う、ううん、何も?」

 

 こうして、試練を乗り越えたアエルスドロ達は最後の扉に辿り着いた。

 この扉を開ければ、捕まっている天狗の女性を助ける事ができる。

「ここを、こうして、こうすれば……」

 マリアンヌは、大きな扉をじっと見た。

 この扉にも、罠が仕掛けられていると見破った彼女は、

 持ち前の器用さを生かして罠を外そうとした。

「きゃ!」

 しかし、あと一歩のところで罠が発動してしまう。

 扉の中から水鉄砲が飛んで、ルドルフに当たろうとした。

「危ない!」

 アエルスドロはルドルフの前に立ち、水鉄砲を盾で防いだ。

 

「……どうして、どうして、運命はわたくしに味方してくれないんですの……!」

 なかなか思い通りに行かない事に、マリアンヌは腹を立てていた。

 驟雨が活躍したり、滑る床に気を取られたり……。

 マリアンヌは、自身の運命を恨んでいた。

「……冒険は、お前一人だけじゃできないんだ」

 アエルスドロは、マリアンヌに優しくそう言った。

 マリアンヌ一人だけでは、この冒険は完遂できなかった。

 攻撃魔法が使えるルドルフやユミルがいなければ、物理攻撃に強い敵には無力だったのだ。

「お前だけで冒険するんじゃない。

 ナガル地方だって、お前一人で運営しているわけではない。そうだろ?」

「言われてみれば……わたくし、視野が狭かったですものね……」

「だから、いざという時には仲間に頼る事も必要なんだ。私達も、ルドルフ達もついている!

 だからマリアンヌ、調子を取り戻せ!」

「分かりましたわ……わたくし、貴方達を精一杯信頼しますわ!

 だから、わたくしについていきなさい!」

 アエルスドロに激励されたのか、マリアンヌはいつもの調子を取り戻した。

 ルドルフとエリーは「よかった」と安心した。

 

「さぁ、扉を開けますわよ!」

「……ああ!」

 そして、マリアンヌが大きな扉を押すと、鈍い音と共に扉は開いた。




~モンスター図鑑~

セキュリティシステム
侵入者を探知する魔導生物。

ウェポンイーター
虫の姿をしたモンスター。
武器を食らい、使い物にならなくする。
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