ダークエルフと悪役令嬢   作:アヤ・ノア

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アエルスドロ達が最後の仲間を探しに行きます。
そのダンジョンは、一筋縄ではいきませんよ。


第34話 天狗を探して

 大きな扉を開けると、そこには水晶でできたゴーレム、クリスタルゴーレムが二体立っていた。

 天狗が見つかると思ったマリアンヌは当然、落胆した。

「せっかく天狗が見つかると思いましたのに、どうしてクリスタルゴーレムがいますの?」

「魔族がここを守る者として生み出したんだろうな」

「……」

 仕方ありませんわね、とマリアンヌは二丁拳銃を抜いた。

「皆様、陣形を組みなさい!」

 マリアンヌの命令で、アエルスドロ達はすぐさま自身のポジションに移動する。

 エリーはパーティで最も素早い驟雨に光の力を宿し、

 クリスタルゴーレムに攻撃が通るようにした。

 クリスタルゴーレムは手を砲台に変えると、マリアンヌに向けて光線を放った。

「きゃああああ!」

「光の精霊ウィスプよ、堅き守りを我等に! エーテルアーマー!」

 マリアンヌは光速の攻撃を回避しきれず、大ダメージを受けてしまった。

 何とかエリーが防御魔法を使ったおかげで戦闘不能にはならなかったが、

 体力が大幅に減ってしまう。

 さらにクリスタルゴーレムはエリーの魔法に反応したのか、彼女にも光線を放った。

「ひえっ!」

 当然エリーに命中し、ダメージを受ける。

 しかし、エリーは光属性なので、光線を吸収した。

「光の妖精に、光の攻撃は通用しないよ!」

「お前達もその光に飲まれろ。牙連光波刃!」

 驟雨は素早い短剣捌きを連続で繰り出した後、

 光の波動を広範囲に放ってクリスタルゴーレムを攻撃した。

「こちらこそ! ガトリングショット!」

 マリアンヌは二丁拳銃でクリスタルゴーレム達に乱射した。

 だが、クリスタルゴーレムに物理攻撃は通用せず、大したダメージは与えられなかった。

「やはり魔力がないと、ゴーレムにわたくしの攻撃が通りませんわね……」

「そうですね。だから、僕達がいるんじゃないでしょうか?

 水と風の精霊よ、雷光となり敵を打ち砕け! ボールサンダー!」

「生命の精霊よ、この者の傷を癒し給え……ライフヒール!」

 ルドルフは水と風の精霊を召喚し、

 球体状の雷を飛ばしクリスタルゴーレムに大きなダメージを与えた。

 エリーは大ダメージを受けているマリアンヌに近付いて回復魔法を唱える。

「デ・ゲイト・ド・イグニ!」

 ユミルは火柱を呼び寄せてクリスタルゴーレム達を焼き払った。

「あたしの一撃、食らいなさい! ノーマーシー!」

 ミロは爪でクリスタルゴーレムを引き裂いた後、能力で呼び出した雷で追撃を行い、

 クリスタルゴーレムをバラバラにした。

 二人の高位吸血鬼の攻撃は、クリスタルゴーレムを壊滅させるのに十分だった。

「ミアズマバスター」

 アエルスドロは瘴気を腕力や反射能力に変換し、攻撃の威力を増幅した。

「ピアシングミアズマ、からのラッシュスラスト!」

 そして、瘴気を剣に纏わせて強化する。

 瘴気の影響であらゆる防御を無効化しているため、クリスタルゴーレムの装甲を易々と貫いた。

 クリスタルゴーレムは体勢を整え直した後、近くにいるアエルスドロ達をパンチで薙ぎ払う。

「ぐうっ!」

 後方ではルドルフが上位風魔法を詠唱していた。

「これを耐え切るんだ」

「ルドルフを守らなきゃ!」

 クリスタルゴーレムがルドルフに襲い掛かる。

 それを、アエルスドロとミロは必死で食い止めていた。

「私は助けたいんだ。一つの命を、仲間の命を!」

 アエルスドロは、ダークエルフらしからぬ正義感を発揮し、クリスタルゴーレムを斬りつけた。

 ダメージは微々たるものであったが、その気迫は実際のダメージ以上のものだった。

 何度も、何度も、アエルスドロはクリスタルゴーレムを斬りつける。

 クリスタルゴーレムの身体には、罅が入っていた。

「風の上位精霊アイオロスよ、旋風となり逆巻き、悠久なる眠りへと誘え! タービュランス!」

 そして、ルドルフの詠唱が終わると、

 クリスタルゴーレムを竜巻が包み込み、ずたずたに切り刻んだ。

 竜巻が治まると、クリスタルゴーレムはバラバラの水晶となって散らばった。

 

「ったく、肝心の天狗はどこにいるんですの?」

 マリアンヌは、部屋を探索してみたが、どこにも次の扉は見当たらなかった。

「もしかしたら、どこかに隠し通路がありそうだな」

「案外ここにあっt……きゃあ!」

 マリアンヌが壁によりかかると、いきなり壁がくるっと回転した。

「ちょ、マリアンヌ!?」

「もしかしたら、そこが隠し通路かもしれませんね」

「行ってみましょう!」

 アエルスドロ達は、マリアンヌが行った壁の中に入っていった。

 

 壁の中には、ゴブリン、コボルド、額に赤い宝石が埋まったオーガがいた。

 彼らの背後には、手足を拘束された白い翼の女性がいた。

「あれが、捕まっている天狗の女性なんだな」

 アエルスドロが白い翼の女性を見る。

 恐らく、彼女が魔物に捕らえられている天狗なのだろう。

「待ってて、今、助けてあげるから!」

 エリーが女性に近付くと、彼女の道をオーガと取り巻きが塞いだ。

「おっと、ここは通さんぞ。返したかったら俺達を倒すんだな」

「むー。あなた達を倒さなきゃいけないの?」

 エリーは不満そうに頬を膨らませる。

 オーガは当然だ、と勝ち誇るように笑い、取り巻きの魔物も続けて笑った。

「……やはり、お前達を倒す必要がある、か」

 アエルスドロは、オーガに剣を向けた。

 その表情は、魔物を狩る戦士と言うに相応しいものであった。

「んん? お前、ダークエルフか?」

「そうだ。だが、私は邪悪なる種族ではない。私は今から、お前を討つ!」

「ケッケッケ! デキルカナ?」

 天狗を助けるため、アエルスドロはオーガ、コボルド、ゴブリンの軍勢に戦いを挑んだ。

 

「さぁ、行きますわよ、アエルスドロ!」

「早めに彼女を返してくださいね」

「時空警察ミロ、いっきまーす!」

「時空警察ユミル・ハーシェル、いっきまーす!」

「……塵となるがいい」

 マリアンヌ、ルドルフ、エリー、ミロ、ユミル、驟雨も、それぞれの武器を構えた。




~モンスター図鑑~

クリスタルゴーレム
魔力を付与した水晶でできたゴーレム。
かなりの重量だが、飛行能力を有している強敵である。
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