どんなものでも分け隔てなく接するのが、アエルスドロパーティーのやり方です。
「皆、準備はできたか!」
「はい!」
アエルスドロが号令すると、パーティメンバーはそれぞれ適切な位置に移動した。
「猛毒よ、こいつらを侵せ!」
ルビーオーガはどこかにあるスイッチを押した。
すると、辺り一面が猛毒ガスで覆われた。
「う……まずいですわ、これを吸ったらいけませんわ!」
「はい、分かってます」
マリアンヌとルドルフが口と鼻を押さえながら言う。
「そんなもの、吹き飛ばすまでよ!」
ミロは風を操り、アエルスドロ達に猛毒が入る前に猛毒ガスを吹き飛ばした。
ルビーオーガは「何っ」という声を小さく上げる。
「魔法も使わずに……!」
「悪いけど、あたしのこの力は魔法じゃないわよ」
「くそぉっ!」
ルビーオーガはミロに舌打ちした。
「穿牙!」
驟雨はコボルドとゴブリンにナイフを投げつけ、衝撃で意識を朦朧とさせる。
「このわたくしの銃弾、受けてみなさい! ポイズンバレット!」
マリアンヌは毒を塗った銃弾を乱射し、
ルビーオーガとコボルド、ゴブリンにダメージと毒を与える。
コボルドとゴブリンは毒で身悶えし、ルビーオーガの動きが少し鈍くなった。
「おめぇらぶち殺してやる! ドラムクラッシュ!」
ルビーオーガはハンマーを振り下ろし、力強い一撃を繰り出した。
驟雨はそれを回避し、アエルスドロとミロは武器と腕で攻撃を防いだ。
コボルド達は一斉に地の魔法を唱える。
だが、元々魔法が不得手なコボルドであったため、
狙われたマリアンヌ、エリー、ユミルには当たらなかった。
「水の精霊よ、湧き上がる水流となりて敵を飲み込め! アクアスプレッド!」
ルドルフはルビーオーガに狙いを定め、水柱で攻撃する。
ルビーオーガが水圧で吹っ飛んだ後、ルドルフは風の刃で追撃した。
エリーは傷ついたアエルスドロを回復した後、勇気の精霊を召喚してユミルを強化した。
「いきますよ、デ・ゲイト・ラ・ロタ・ド・イス!」
ユミルは魔法で氷のプリズムを発生、砕け散るとルビーオーガに大きなダメージを与えた。
「そりゃ! ていっ!」
「ウオォ!」
ミロは衝撃波を飛ばし、ルビーオーガに追撃する。
怯んだ隙にミロはルビーオーガの顔を蹴り飛ばし、ルビーオーガの体力を大きく削った。
「マイトアンドマジック! アーマーメルト!」
「ぐぎゃああああああああ!」
アエルスドロは防御を貫通する魔法を剣にかけてルビーオーガを突き刺した。
剣は急所に刺さり、ルビーオーガとコボルド、
ゴブリンは先程マリアンヌが与えた毒が回って悶え苦み、倒れた。
しかし、ルビーオーガはまだ倒れていなかった。
「この野郎、必ずぶっ潰してやる!」
ルビーオーガはスイッチを押して腐敗沼を起動させようとした。
「……させん」
驟雨はスイッチ目掛けて苦無を投げ、腐敗沼の発動を阻止した。
ここで、アエルスドロはいよいよ、覚悟を決めて行動し、限界を突破する決意をした。
「皆、残る敵はルビーオーガのみだ! 彼を倒し、私達は目的を果たさねばならん!」
アエルスドロは剣を掲げ、高らかに叫んだ。
その叫びがこのトラップハウスに響き渡り、
彼の声に勇気づけられた仲間達の能力は飛躍的に上昇した。
今がチャンスと、マリアンヌ達はルビーオーガに集中攻撃を決行した。
「黒百合」
驟雨は二本の短刀でルビーオーガを無数に切り刻み、血の華を咲かせる。
「クリムゾン・ファランクス!」
マリアンヌは二丁拳銃で真紅の弾幕を一人で張る。
幻影も混じっており、ルビーオーガに真っ赤な道ができた。
さらに銃弾が一発、ルビーオーガの額の宝石に命中し、罅を入れた。
「グゥゥ! ウアアァァァァァァァ!! イダイ、イダイ、イダイイダイイダイイダイ!!」
次の瞬間、ルビーオーガが頭を押さえ、叫び声を上げる。
しかもその叫び声は片言であり、大きく弱体化している事が分かった。
「ウオオオオオオオオオオ!!」
ルビーオーガは勢いよくハンマーを振り下ろす。
だが、前が見えていないために上手く当たらず、ルドルフはその隙に上級呪文を詠唱した。
「風の上位精霊アイオロスよ、旋風となり逆巻き、悠久なる眠りへと誘え! タービュランス!」
「グアアアアアアアアアアア!!」
そして、大嵐がルビーオーガを飲み込み、遠くへと吹き飛ばした。
大嵐が治まった後は、魔物の群れは消え去った。
「……よし、もう大丈夫だな」
魔物の気配が消えたのを確認したアエルスドロは、
天狗の手足を拘束している鎖を剣で切り裂く。
鎖はボロボロだったため、あっさりと砕け散った。
「お名前は?」
「……私の名は茜。お前達は、私を貰いにきたのか……?」
「そうですわよ?」
マリアンヌが黒い笑顔で言う。
アエルスドロは首を横に振り、茜に事情を話す。
「……というわけで君を助けに来た」
「ここから抜け出すのは、難しいだろう?」
「どこかに逃げ道があればいいんですけど……」
「逃げ道、か」
驟雨は、トラップハウスのどこかにある逃げ道を探した。
しばらくすると驟雨は天井を向き、真上の穴にナイフを投げつけた。
すると、見張りと思われる魔物が天井から降りてきた。
「ケケ、ニンゲン! コロス!」
「早めに抜けるぞ」
驟雨は魔物の急所にナイフを投げ、気絶させた。
アエルスドロは天井にロープをかけ、魔物が気絶から復活する前に登り切った。
「よし、もう大丈夫だな。茜、大丈夫か?」
「いや、私にはこの翼があるから十分だ」
トラップハウスを脱出したアエルスドロは、茜を背負って運ぼうとした。
茜は首を横に振り、自らの翼で飛ぼうとするが、マリアンヌは翼がボロボロなのを発見した。
「その怪我で飛ぶのはおやめなさい!」
「な、何故だ」
「あなたの翼がボロボロですからよ!」
「……」
マリアンヌは真剣な目で茜を見た。
茜は、それ以上何も言わなかった。
~モンスター図鑑~
ルビーオーガ
額にルビーをつけ、知能が上がったオーガ。
毒を操る事ができる。