ダークエルフと悪役令嬢   作:アヤ・ノア

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最後の仲間がパーティーに加入します。
どんなものでも分け隔てなく接するのが、アエルスドロパーティーのやり方です。


第35話 天狗を救え!

「皆、準備はできたか!」

「はい!」

 アエルスドロが号令すると、パーティメンバーはそれぞれ適切な位置に移動した。

「猛毒よ、こいつらを侵せ!」

 ルビーオーガはどこかにあるスイッチを押した。

 すると、辺り一面が猛毒ガスで覆われた。

「う……まずいですわ、これを吸ったらいけませんわ!」

「はい、分かってます」

 マリアンヌとルドルフが口と鼻を押さえながら言う。

「そんなもの、吹き飛ばすまでよ!」

 ミロは風を操り、アエルスドロ達に猛毒が入る前に猛毒ガスを吹き飛ばした。

 ルビーオーガは「何っ」という声を小さく上げる。

「魔法も使わずに……!」

「悪いけど、あたしのこの力は魔法じゃないわよ」

「くそぉっ!」

 ルビーオーガはミロに舌打ちした。

「穿牙!」

 驟雨はコボルドとゴブリンにナイフを投げつけ、衝撃で意識を朦朧とさせる。

「このわたくしの銃弾、受けてみなさい! ポイズンバレット!」

 マリアンヌは毒を塗った銃弾を乱射し、

 ルビーオーガとコボルド、ゴブリンにダメージと毒を与える。

 コボルドとゴブリンは毒で身悶えし、ルビーオーガの動きが少し鈍くなった。

「おめぇらぶち殺してやる! ドラムクラッシュ!」

 ルビーオーガはハンマーを振り下ろし、力強い一撃を繰り出した。

 驟雨はそれを回避し、アエルスドロとミロは武器と腕で攻撃を防いだ。

 コボルド達は一斉に地の魔法を唱える。

 だが、元々魔法が不得手なコボルドであったため、

 狙われたマリアンヌ、エリー、ユミルには当たらなかった。

「水の精霊よ、湧き上がる水流となりて敵を飲み込め! アクアスプレッド!」

 ルドルフはルビーオーガに狙いを定め、水柱で攻撃する。

 ルビーオーガが水圧で吹っ飛んだ後、ルドルフは風の刃で追撃した。

 エリーは傷ついたアエルスドロを回復した後、勇気の精霊を召喚してユミルを強化した。

「いきますよ、デ・ゲイト・ラ・ロタ・ド・イス!」

 ユミルは魔法で氷のプリズムを発生、砕け散るとルビーオーガに大きなダメージを与えた。

「そりゃ! ていっ!」

「ウオォ!」

 ミロは衝撃波を飛ばし、ルビーオーガに追撃する。

 怯んだ隙にミロはルビーオーガの顔を蹴り飛ばし、ルビーオーガの体力を大きく削った。

「マイトアンドマジック!  アーマーメルト!」

ぐぎゃああああああああ!

 アエルスドロは防御を貫通する魔法を剣にかけてルビーオーガを突き刺した。

 剣は急所に刺さり、ルビーオーガとコボルド、

 ゴブリンは先程マリアンヌが与えた毒が回って悶え苦み、倒れた。

 しかし、ルビーオーガはまだ倒れていなかった。

「この野郎、必ずぶっ潰してやる!」

 ルビーオーガはスイッチを押して腐敗沼を起動させようとした。

「……させん」

 驟雨はスイッチ目掛けて苦無を投げ、腐敗沼の発動を阻止した。

 ここで、アエルスドロはいよいよ、覚悟を決めて行動し、限界を突破する決意をした。

「皆、残る敵はルビーオーガのみだ! 彼を倒し、私達は目的を果たさねばならん!」

 アエルスドロは剣を掲げ、高らかに叫んだ。

 その叫びがこのトラップハウスに響き渡り、

 彼の声に勇気づけられた仲間達の能力は飛躍的に上昇した。

 今がチャンスと、マリアンヌ達はルビーオーガに集中攻撃を決行した。

「黒百合」

 驟雨は二本の短刀でルビーオーガを無数に切り刻み、血の華を咲かせる。

「クリムゾン・ファランクス!」

 マリアンヌは二丁拳銃で真紅の弾幕を一人で張る。

 幻影も混じっており、ルビーオーガに真っ赤な道ができた。

 さらに銃弾が一発、ルビーオーガの額の宝石に命中し、罅を入れた。

「グゥゥ! ウアアァァァァァァァ!! イダイ、イダイ、イダイイダイイダイイダイ!!」

 次の瞬間、ルビーオーガが頭を押さえ、叫び声を上げる。

 しかもその叫び声は片言であり、大きく弱体化している事が分かった。

ウオオオオオオオオオオ!!」

 ルビーオーガは勢いよくハンマーを振り下ろす。

 だが、前が見えていないために上手く当たらず、ルドルフはその隙に上級呪文を詠唱した。

「風の上位精霊アイオロスよ、旋風となり逆巻き、悠久なる眠りへと誘え! タービュランス!」

グアアアアアアアアアアア!!

 そして、大嵐がルビーオーガを飲み込み、遠くへと吹き飛ばした。

 大嵐が治まった後は、魔物の群れは消え去った。

 

「……よし、もう大丈夫だな」

 魔物の気配が消えたのを確認したアエルスドロは、

 天狗の手足を拘束している鎖を剣で切り裂く。

 鎖はボロボロだったため、あっさりと砕け散った。

「お名前は?」

「……私の名は茜。お前達は、私を貰いにきたのか……?」

「そうですわよ?」

 マリアンヌが黒い笑顔で言う。

 アエルスドロは首を横に振り、茜に事情を話す。

「……というわけで君を助けに来た」

「ここから抜け出すのは、難しいだろう?」

「どこかに逃げ道があればいいんですけど……」

「逃げ道、か」

 驟雨は、トラップハウスのどこかにある逃げ道を探した。

 しばらくすると驟雨は天井を向き、真上の穴にナイフを投げつけた。

 すると、見張りと思われる魔物が天井から降りてきた。

「ケケ、ニンゲン! コロス!」

「早めに抜けるぞ」

 驟雨は魔物の急所にナイフを投げ、気絶させた。

 アエルスドロは天井にロープをかけ、魔物が気絶から復活する前に登り切った。

 

「よし、もう大丈夫だな。茜、大丈夫か?」

「いや、私にはこの翼があるから十分だ」

 トラップハウスを脱出したアエルスドロは、茜を背負って運ぼうとした。

 茜は首を横に振り、自らの翼で飛ぼうとするが、マリアンヌは翼がボロボロなのを発見した。

「その怪我で飛ぶのはおやめなさい!」

「な、何故だ」

「あなたの翼がボロボロですからよ!」

「……」

 マリアンヌは真剣な目で茜を見た。

 茜は、それ以上何も言わなかった。




~モンスター図鑑~

ルビーオーガ
額にルビーをつけ、知能が上がったオーガ。
毒を操る事ができる。
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