ダークエルフと悪役令嬢   作:アヤ・ノア

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何とか魔物を撃退したマリアンヌ一行ですが、ここで、タイトル通りの出来事が起こります。
こういうのも入れたら、面白いと思って書きました。


第39話 突然の衝撃

 マリアンヌ達は無事に夜叉天狗をナガル地方から追い払う事に成功した。

「まったく、一時はどうなる事かと思いましたわ。

 でも、このまま氷の彫像として飾っておきたいですわね」

「ボクの魔力じゃ、そう簡単には解けませんもんねぇ……」

 今、夜叉天狗はユミルの魔法により氷漬けになっている。

 ユミルは意外と魔力が高いため、まだ氷は解けていなかった。

「氷が解けたら、倭国に送り返そうか」

「そうね。では、わたくしは何をしましょうか」

 マリアンヌが行動に移そうとした次の瞬間。

 一発の銃声が、彼女の耳に届いた。

「……! 誰かが撃たれた……!?」

 マリアンヌは銃声がした方に向かった。

 アエルスドロ、ルドルフ、エリー、ミロ、ユミル、驟雨、茜も、彼女の後を追っていった。

 

「……う……ぐっ……」

「ディスト!! あ、ああ、あ……!!」

 なんと、ディストの腹部に銃弾が刺さっていた。

 自分が最も信頼している副官が重傷を負ったため、マリアンヌのショックは非常に大きかった。

 とはいえ、早く治さないと命に関わるため、魔法に長けたルドルフとエリーが彼の前に立った。

「これは重傷みたいだね……。今、治してあげるよ!

 生命の精霊よ、この者の傷を癒し給え! ライフヒール!」

 エリーは生命の精霊の力を借りてディストの傷を治す。

 その後にルドルフが攻撃を受けた部分に包帯を巻いた。

「ディスト、しばらく休んでなさい。また、撃たれないようにしないために」

「はい、分かりましたマリアンヌ様」

 ディストは、再び犯人に狙われないように小屋のベッドに入った。

 

「ディストを狙うなど、許せん!」

 アエルスドロは、ディストを狙撃した犯人に対し怒りの感情を抱いていた。

 普段はあまり感情を表に出さない彼だが、

 マリアンヌがこんな状態であったため同じ気持ちになったようだ。

「相当怒っているようね、アエルスドロ」

「当然だ、マリアンヌの副官が撃たれたのだから彼女の衝撃は相当だからな。

 許せない気持ちなのは当たり前だ」

「ダークエルフなのに優しいんだな……」

 茜は、こんな善良なダークエルフは見た事がないという顔をしていた。

「君がそう言うのも無理はない。

 私のような善のダークエルフは、100万人に一人の割合だからな」

「それくらいしかいないのか……」

 善属性を持ったダークエルフは、生まれたらすぐに殺される運命にある。

 だが、アエルスドロは執事アルトンの犠牲により、何とか地上に辿り着いたのだ。

「……分かった。まずは私から、犯人を捜すように言ってもらおう」

「マリアンヌが落ち着くまで、な」

「ああ」

 まず、茜がマリアンヌに犯人捜しを手伝ってもらうように言った後、

 犯人を捕らえるというものだ。

 一刻も早く犯人を見つけなければ、再びあの悲劇は起きてしまうからだ。

「大丈夫だ、安心してくれ。マリアンヌのためにも、必ず犯人を見つけてみせるからな」

 

 マリアンヌが落ち着いたのを確認した茜は、彼女の方に行って犯人を捜す事を頼んだ。

「そう。わたくしのために、ディストを撃った犯人を捕まえますのね」

「こうしなければ、貴女の気は治まらないようですからね」

「……ありがとうございますわ、茜」

 マリアンヌは茜の言葉を聞き、一安心したようだ。

「そうですわね。ええ。そう! わたくしはナガル地方を治める悪役令嬢。

 こんな事件なんてすぐに解決してみせますわ!」

 マリアンヌは握り拳を作り、自信たっぷりにそう言い放った。

 彼女は、悪役令嬢領主としての誇りを取り戻すのであった。

 

 昼食を食べ終わった後、アエルスドロ達はディストを撃った犯人を捜す事にした。

 まずは、銃声を聞いた人がマリアンヌ以外にいたかどうかを調査した。

「さて、知っている人はどこにいるかな。驟雨、マリアンヌ、分かるか?」

「わたくしに任せなさい!」

「……」

 マリアンヌと驟雨は、先頭に立って聞き込みを始めた。

「銃声が聞こえたのはこっちの方ですから、驟雨、こちらの方に行きますわよ」

「ああ」

 二人は銃声が聞こえた方へと走っていった。

「精霊は、あちらから音を聞いたそうです」

 ルドルフは精霊の声をマリアンヌと驟雨に届け、二人を目的の場所に導いた。

 すると、金の髪と白い肌を持つ剣士、ホリンを見つけた。

「あら、ホリンじゃない。こんな辺境の地に来るなんて物好きですのね」

「剣の修行をするためにこの地にやってきたら、こんな騒ぎになっているとはな」

「それでホリン、何か知っている事はあるか?」

「うむ……」

 アエルスドロがそう言った途端、ホリンの表情が険しくなった。

 これは何かを隠しているに違いない。

 ルドルフとエリーは、ホリンと交渉して情報を聞き出そうと試みた。

「ホリン、僕達は貴方に聞きたい事があるのです」

「何がだ?」

「この地方の領主の副官が撃たれたみたいなの。あたし達はその犯人を捜しているところなんだ」

「なるほど……」

 ホリンは、ルドルフとエリーから情報を話してもらう理由を聞き、頷いた。

 表情は柔らかくなっていて、どうやら、ホリンの気が良くなったようだ。

「だから、お前が必要なんだ。お前の剣さえあれば、犯人を倒せるだろう」

「……」

 茜は、ホリンが強そうだと見て、彼に協力してもらうように交渉した。

 しかし、彼女の顔を見たホリンの表情が険しくなった。

 茜はしまった、とでも言うように口を塞ぐ。

「茜さん……彼に失礼ですよ」

「……すまない」

「……ホリンさん、申し訳ありません。貴方は別に戦わなくても構いませんよ」

「……」

 ルドルフは何とかホリンの機嫌を戻した。

 嫌われたままでは、情報が聞けなくなってしまうからだ。

「ホリンさん、犯人の姿は見ていませんか?」

 ルドルフがホリンに犯人の姿を問いかけると、急にホリンの表情が変わった。

「ねえねえ、その顔、何か知ってるの?」

「うぐ……き、気付いたか。だが、言えば殺される可能性が高い……。

 ……他の誰にも言わないと、約束するか?」

「うん」

 ホリンがこんなに慌てているという事は、非常に重大な情報の可能性が高い。

 ルドルフとエリーは、真剣な表情で彼を見つめた。

 二人の目を見たホリンは一呼吸置いた後、アエルスドロ達にこう言った。

 

「……新聞記事を抱えた、男だ」




なんと、ナガル地方には裏切り者がいたのでした。

次回は、裏切り者との戦いになります。
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