ダークエルフと悪役令嬢   作:アヤ・ノア

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アエルスドロとエリーがダンジョンを探索します。
彼はなるべく、戦うのを避けるタイプなので、こんな感じにしました。


第5話 森の中で

 アエルスドロとエリーは近くの森を探索していた。

 といっても、エリーが無理やりアエルスドロを連れていっただけなのだが。

「こんな森に行って何になるんだ?」

「だって暇なんだもん。

 ルドルフはいつも本読んでばっかりだし、マリアンヌはあたしに意地悪するし」

「だからといって、私を巻き込む必要はないだろう」

「だって一人じゃ寂しいんだもん」

「はぁ……」

 エリーの我儘さに、アエルスドロは溜息をついた。

「少しだけだぞ? もし魔物に出会ったら、私が退治するから、お前は後ろに下がっていろ」

「はーい」

 二人が森を歩いていくと、番いになった二体のウルフが眠っていた。

「気を付けろ、静かに通り抜けるんだ」

「うん」

 アエルスドロは、そっとウルフの横を通り抜けた。

 エリーも、ウルフを起こさないように、速度を落としてパタパタと飛んでいった。

 ウルフは、二人が通り抜けても寝息を立てたまま動かなかった。

 

「ふぅ、危なかった」

 ウルフから遠く離れたところで、エリーはふぅ、と胸を撫で下ろす。

「で、どこまで進むんだ。言っておくが、奥まで進むわけがないだろう?」

「もっちろーん♪」

「はぁ……」

 エリーの能天気さに、アエルスドロは呆れるしかなかった。

 

「……よし、ここは安全だな」

 アエルスドロはエリーを守りつつ森の奥へ進んでいく。

 茂みをかき回しながら周囲を見渡し、敵や罠が存在しないのを確認してから先に進む。

「この辺でいいか?」

 ある程度奥まで進んだところで、アエルスドロは立ち止まった。

 エリーは飛び出すと、宙に浮いて空気を吸った。

「ん~! やっぱりここは気持ちいいね~!」

 妖精は、綺麗な空気を好み、それを取り入れる事によって生命力や精神力が回復する。

 エリーが森に出たのも、その理由があるからだという。

「……もう気は済んだか?」

「済んだよ? じゃあ、帰ろっか」

「ああ」

 エリーは約束通り、森の奥まで行った後はナガル地方に帰ってくる事にしたため、

 アエルスドロと共にナガル地方に戻ろうとした。

 しかし、二人はそこが、ある生物の縄張りだという事を知らなかった。

 そして背後から何かが迫ってきている事を知らず、

 アエルスドロは歩き、エリーは浮遊するのだった。

 

「ただいま」

「お帰りなさい、二人とも」

 マリアンヌはアエルスドロとエリーを笑顔で出迎えた。

 しかし、ルドルフは反対に険しい表情をしていた。

「……エリー」

「ぎく」

「何故、僕に許可を取らずに、勝手に森に出かけたのですか?」

「だ、だって、外の空気を吸いたいから……」

「言い訳は無用ですよ?」

 そう言うと、ルドルフは杖を構えエリーに向けた。

(やば! お仕置きが来る!)

 エリーが無言でルドルフのお仕置きから逃れようとした、その時だった。

 

「ケケケケ!」

「オレタチノナワバリニ ハイッテキタヤツ ミナゴロシ!」

「うわぁぁぁぁぁ!」

 突然、バグベアの群れがアエルスドロ達に襲い掛かってきた。

 そう、アエルスドロとエリーが踏み込んだのは、バグベアの縄張りだったのだ。

「知らなかった……あんな場所が、魔族の縄張りだったとは……!」

「とにかく! 退治しますわよ!」

 マリアンヌが二丁拳銃を構えると同時に、戦闘が始まった。

 

「光よ!」

 エリーがマリアンヌの銃身に光を纏わせる。

「コロス!」

「うわっ!」

「くっ!」

 バグベアがアエルスドロとルドルフに襲い掛かり、爪で切り裂く。

 エリーが光の盾を張ってダメージを軽減したものの、その威力は強烈だった。

「大人しく倒れなさい!」

 マリアンヌの光を纏った銃弾がバグベアの群れを貫き、大ダメージを与える。

 闇の生物である蛮族は光の力に弱いのだ。

「コロシテヤル!」

「危ない、ルドルフ!」

 バグベアグラップラーがルドルフ目掛けて拳を振り下ろす。

 アエルスドロは急いでルドルフを庇い、

 盾で攻撃を受け止めたためルドルフもアエルスドロもダメージを食らわなかった。

 しかし、アエルスドロは攻撃の勢いで大きくのけぞる。

「大丈夫? ライトヒール!」

「「ウィンドスラッシュ!」」

 エリーがアエルスドロを回復魔法で癒す。

 その後、ルドルフの風の魔法を受けたアエルスドロの剣が、バグベアの群れを一網打尽にした。

 

「これで残るはバグベアグラップラーだけですわね。覚悟なさい! ガトリングショット!」

 そう言って、マリアンヌはバグベアグラップラーに突っ込んで銃を連射した。

 しかしバグベアグラップラーには当たらなかった。

「……ちょっと、油断しただけですわ」

「油断大敵ー! ライトウェポン!」

 エリーがアエルスドロの武器を強化した後、

 アエルスドロがバグベアグラップラーに突っ込んで剣で切り裂く。

 ルドルフも、後方から風の魔法で攻撃していた。

 バグベアグラップラーの動きが鈍くなったのを確認すると、マリアンヌは必殺技の構えを取る。

「これでとどめですわ! エンプレスバレット!!」

 そして、マリアンヌの二丁の拳銃から放たれた弾丸が、

 バグベアグラップラーの腹を貫くと、ばたりと倒れるのだった。

 

「……勝った……」




~モンスター図鑑~

ウルフ
犬に似た大型の動物。常に群れで行動する。
肉食で、主に鹿や猪、山羊などを食べる。

バグベア
全身が体毛で覆われた魔族で、獣人が変異したと言われている。
鋭い爪を使った格闘戦を得意としている。

バグベアグラップラー
格闘に特化したバグベア。
気を操り、相手を麻痺させたり、防具を突き通したりできる。
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