ダークエルフと悪役令嬢   作:アヤ・ノア

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ミロとユミルが登場します。
アルカディアが舞台なので、この二人も出さなくちゃね。


第8話 時空警察参上!

 翌日。

 マリアンヌが住民達に事を報告した事で、

 何とかゴブリンアーチャーゾンビを含む魔物は武官達により倒されたものの、

 アエルスドロが戦線離脱をしてしまった。

「困りましたね……これではこちら側の戦力に前衛がいませんわ」

「しかも、魔物がまた襲ってこないという保証はありません」

 マリアンヌとルドルフは、頼れる前衛のアエルスドロがいなくなったために困っていた。

 前衛がいなければ、総合的な防御力が減り、長期戦が不利になるからだ。

「二人とも、何話してるの?」

「エリー、今アエルスドロは戦えない状態ですのよ。

 戦力が減れば、魔物との戦いが不利になりましてよ」

「あー、そっかぁ……」

 エリーはすぐに二人の会話をスルーし、ルドルフの鞄の中に入った。

 能天気な性格だが、頭が悪いわけではないのだ。

「……う~ん、考えるのは後回しにして、まずはファルナさんの朝ご飯から食べましょうか」

「はい、アエルスドロさんには後で残ったものをあげますか」

 

「みんな、た~んとお食べ! 今日は季節のフルーツサラダとポークカツレツだよ!」

 ファルナは、今日も住民達に朝食を振る舞った。

「おや? アエルスドロちゃんがいないねぇ」

 食べている途中で、ファルナはアエルスドロがいない事に気づいた。

 ルドルフは、彼が大怪我をしている事をファルナに知らせると、彼女は頷いた。

「マリアンヌちゃんは食べるのが早いね」

「ふふ、早く鍛錬したいためですわ」

 マリアンヌは高慢だが、根は悪人ではない。

 ファルナも彼女を信頼して、彼女についてきているのだ。

「ただ、あまり早すぎると詰まって身体に悪いよ? 早食いはほどほどにしなよ」

「分かりましたわ」

 

 朝食を食べ、マリアンヌ、ルドルフ、エリーは休みながらアエルスドロを交代で看病していた。

「……うぅ……アルトン……みんな……」

 アエルスドロは、うわごとのように仲間の名前を呟いていた。

 勝手に一人で突っ込んでいったため、それを申し訳ないように謝罪していた。

「アエルスドロさんが単独で行動するから、こうなってしまったんですのよ」

 マリアンヌも、彼の救出が遅れた事を申し訳なく思っていた。

「……それで、どうしますの? 三人だけで、これからの敵に立ち向かえますの?」

「できないから困ってるんだよ」

「また武官を雇います? でもそれでは、いずれ資金は尽きてしまいます。どうすれば……」

 三人が困っていた時、向こうから武器の音が聞こえてきた。

 何事かと三人が急いで小屋から出ると、魔物がナガル地方に攻めてきていた。

 それは、たくさんのスライムもどきとスライムだった。

「こ、こんなにスライムがいるなんて!」

「可愛い~♪」

 エリーはスライムもどきの可愛さに見入っていた。

 そんなエリーに、マリアンヌは銃身で叩いて正気に戻した。

「寝言は寝てからおっしゃりなさい! 今はこいつらを追い払うのが先ですわよ!」

「うん、分かった!」

 マリアンヌは二丁拳銃を構え、スライムもどきの群れに乱射する。

「光よ!」

「風の精霊よ、見えざる衝撃を! ウィンドブラスト!」

 エリーはマリアンヌの銃身を祝福し、攻撃力を上げる。

 ルドルフは厄介なスライムを風の衝撃波で吹っ飛ばす。

 スライムはマリアンヌに酸を飛ばした後、もう一体のスライムが酸を飛ばそうとしたが、

 マリアンヌは飛び上がり、スライムの上に飛び乗って一発撃った。

「わ~、くすぐったい!」

 スライムもどきがエリー達に体当たりをしたが、大したダメージにはならなかった。

 その様子に何故かイラついたマリアンヌは拳銃を乱射してスライムもどきの群れを一掃した。

「大地の精霊よ、我が敵を打ち砕け! ストーンブラスト!」

 ルドルフは地の精霊の力を借りて大量の石礫をスライムに放つ。

 魔法に弱いスライムに致命傷を与える事ができ、ルドルフはこれで倒れたかと安心したが、

 スライムの回復力で表情が変わる。

「何というしぶとさ! これではなかなか倒せません!」

「わたくしの銃弾も効きませんし……」

 マリアンヌはスライムに銃弾を撃ち続けたが、なかなか倒れる気配はない。

 それどころか、スライムは物理攻撃を吸収し、ますます体積を上げていく。

 どうすればいいんだ、と思っていたその時。

 

「デ・ゲイト・ド・イグニ!」

 突然、誰かが呪文を唱える声が聞こえると、スライムを炎が焼き払った。

 スライムの一体が焼き尽くされたのを確認すると、

 銀髪の女性が現れ、スライムを爪で切り裂いた。

 女性が現れるのと同時に、金髪の少女も現れた。

「時空警察、ただいま参上! ってね」

「ボクも来ましたよ~」

「あ、あなた達は?」

「話はあと! 来ますよ!」

 少女は杖を構えて魔法の矢を放ち、スライムを牽制する。

 マリアンヌは隙を伺い、スライムが一瞬崩れたところを拳銃で撃ち抜く。

「おしまいよ!」

 そして、女性がスライムを爪で切り裂くと、スライムは四散するのだった。

 

「やー、意外と脆かったわね」

 スライム達を全滅させた女性が笑顔で言う。

「……ねぇ、キミ達は、誰?」

 エリーは、恐る恐る女性と少女に話しかけた。

 こんな外見で相当な戦闘能力なのだ、きっと自分達も襲うに違いない。

 彼女は、それを覚悟した様子だった。

「あたしはミロ、時空警察よ」

「同じく時空警察のユミル・ハーシェルです」

 しかし、女性と少女はエリーに気さくに話しかけてきたため、エリーはすぐに警戒心を解いた。

 二人も人間に見えるため、これ以上警戒する必要はないようだ。

「それで、ミロさんにユミルさん、どうしてこちらにいらっしゃいましたの?」

「ちょっとした気まぐれですよ」

「でも、戦闘要員としては役に立つと思うわよ」

「お金は?」

「あたしもユミルも、取らないわ」

「乗りましたわ!」

 こんな素晴らしい戦力が無料で手に入る、

 というチャンスをマリアンヌが逃さないわけがなかった。

 彼女はすぐに、ミロとユミルと契約する事にした。

「よし、契約成立ね! ……あ、あなた達の名前は何?」

「マリアンヌ・フロイデンシュタインですわ」

「ルドルフです」

「エリーだよ!」

 三人が自己紹介をすると、ミロとユミルは「よろしく」とお辞儀した。

 こうして、マリアンヌは時空警察のミロとユミルを新たな人材として迎え入れるのだった。




~モンスター図鑑~

スライムもどき
スライムのような形をした、ゼリー状の魔導生物。
このモンスターのせいで「スライムは弱い」という認識があるようだが、
熟練の冒険者はスライムの危険性を知っており、それを説く。

スライム
弱い酸を纏った、弾力溢れる身体をした魔導生物。
魔導師が魔導生物を作る時の失敗作と言われている。
物理攻撃、特に打撃攻撃に強いが、魔法攻撃に弱い。
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