おかしい所は多々あると思いますがよろしくお願いします(^^)
ある少年は願った、もう絶対に後悔するようなことはしたくないと
幼い頃、忙しい両親に構ってもらえない寂しさから仮病を使い両親に帰ってきてもらおうとしたことで結果的に両親は帰らぬ人となった。
そして身寄りのない少年を引き取ってくれた近所のおばさんも失ってしまった、少年の誕生日プレゼントを買いに出かけた時だった。
高校に入ってからは幼馴染を失い親友の笑顔すらも奪ってしまった。
『もう、嫌だ。もう誰もいなくならないでほしい、後悔したくない』
そう願いながら街を一人で歩いていると銀行の前で騒ぎが発生していた、銀行強盗だった。強盗は一人の少女の身柄を拘束し拳銃を突き立てている。
強盗は野次と警察を払いのけて少年の目の前に、いや少年が強盗の目の前にまで移動していた。少年にとっては無意識で拳銃を突きつけられても表情に変化はない。
もういっそのこと殺してくれ、少年はそんな想いを抱きながら強盗に近づく。そして強盗は少年の頭目掛けて寸分の狂いもなく弾丸を放った。
そして、意識を失った少年は真っ黒な世界で何かと接触した感覚を鮮明に覚えていた。そう、あれは確か8月15日に起きた不思議な体験だった。
※
三年後、8月14日...
「暑い、日本の夏ってこんなにカラッとしてたっけ?」
蝉の鳴き声が耳に響き、目も眩むような炎天下の中一人の青年と一人の少女がアスファルトで舗装された歩道を闊歩していた
「はぁ、どっかに自販機とかないかな〜」
「ちょっと、暑いのには心から激しく同意するけど無駄なお金は使わないでくださいよ。お母さんから頼まれた物を買うお金しかないんですから」
「わかってるよ、財布を置いてきたことに今更後悔しても遅いことは誰よりもわかってるつもりだよ」
「ホントにどうしてホタカさんは変な所で抜けてるんでしょうね?」
「言わないでくれマミ、結構傷つくぜ」
青年、穂高颯斗(ほたかはやと)は額の汗を拭いながら少女、石橋舞美(いしばしまみ)の相変わらず衰えることを知らない毒舌を受け止める。
ホタカは幼い頃に両親を失っており現在は様々な偶然と出会いが交錯した結果マミの家に居候させてもらっている身でいる。
そんな彼らは現在マミの母親に新しいフライパンを買ってきてほしいと頼まれてデパートに向かっている途中である。マミの母親は昔から料理をよくしており頼んでもないのにおやつと言って試作品のお菓子を作るほど料理をしている、しかもかなり美味しい。
ホタカとしても居候の身のため何か恩返しがしたいと思っているのでこういうお手伝いや頼み事は率先して引き受けている。
たまに無茶振りなんかもあるが住まわせてもらっている身としては断るわけにはいなかい。マミからは断ってもいいと言われているがホタカは頼まれたコトは断れない主義なので忠告は無にも等しかった。
「マミ、なんで夏ってこんなに暑いのかな?」
「知りませんよ、ホタカさんの方が年上なんですから私が教えてほしいくらいですよ」
「デスヨネー」
やはり年上というモノはそれだけ人生を長く生きているというレッテルが貼られてしまっているので年下からは扱いは大抵こんな感じである。
デパートが目に見える位置になるとホタカはデパートを見上げた。
何度か来たことのあるデパートだったが何度見ても大きいと実感させられた。屋上には簡易的な遊園地もあり大きな観覧車はここからでも目視することができる。
「ていうかお盆休みだって言うのになんでこんなにデパートに行く連中が多いんだよ、赤信号のせいでこの辺大所帯のせいで暑さ増してないか?」
「お盆休みだから混んでるんじゃないんですかね?」
そう言われてみればそうかもしれない、とホタカはマミの的確なツッコミに納得する。
家族連れも多く見られることから目的はおそらく買い物ではなく屋上の遊園地であるとも考えられる。
そうこうしている内に信号が青に変わり大きな人の塊も移動を始める。
(この人混みではぐれたら面倒だな)
ホタカはマミの姿を確認できる内にマミの小さな右手に自分の手を伸ばす、手を繋がれたマミは一瞬理解できないように手を目視してから頬を真っ赤に染めて飛び上がる。
「ちょ、ホ、ホタカさん!?いきなり何するんですか!?」
「え、はぐれたらいけないから手を繋いだだけだけど。もしかしたら嫌だった?」
「い、いえ。そんなことありませんけど...」
「?」
マミは顔を俯かせたままホタカの手を握り返す。ホタカは一体どういうことなのか全く理解できないまま人の多い横断歩道をマミのペースに合わせてゆっくりと歩き始めた。
デパートの入り口辺りで視線を感じた気がしたがホタカは特に気にせず二人はデパートに入って行った。
※
デパートに入ったホタカとマミは取り敢えず暑さによって奪われた体力を回復させることから始めた。
外の暑さを忘れさせるくらい冷房がガンガンに効いており、この暑さのせいかデパート側も無料で紙コップ一杯分の水を提供してくれたことで二人の体力はすぐに回復した。
「さて、そろそろ行くか」
「そうですね!」
ホタカの声に合わせるようにマミは元気良く立ち上がり休憩スペースを跡にする。一階に休憩スペースがあるとわかったホタカは少々疲れ気味のマミを心配し満席だった席をあれやこれやの手段でやっとのことで確保したのだ。
生活用品は何階にあるのかはわからないが階段やエレベーターの近くに行けばわかるだろうと判断したホタカはマミと一緒に近くの階段まで移動する。
「あれ、エレベーター使わないんですか?」
「エレベーターの周りは人が一杯だし中は密閉空間だから熱中症になる可能性もある。それにもしもの時の逃げ場がないから安全面で考えたら階段が妥当だよ」
「でも階段疲れないですか?途中で倒れちゃうことも考えた方が」
「もしマミが倒れたら俺がおぶるよ、それで大丈夫か?」
「.....ホタカさんって時々超恥ずかしいことをサラッと言いますよね」
マミはじと目でホタカを睨む。ホタカはホタカで何か怒らせるようなことをしたのか、と内心汗ダラダラの状態である。
「あ、あのマミさん?何か怒ってらっしゃいますか?」
「別に」
素っ気ない態度でマミはホタカを置いて階段へと向った。ホタカもマミを見失わないように少し急ぎながら階段へと向った。
「ていうかマミの奴早くないか!?もう姿見えないぞ!」
ホタカは小走りから更に少し速度を上げて階段へと急ぐ。階段のある角を曲がる瞬間ホタカは体に何か当たった感覚を感じた。どうやら誰かとぶつかってしまったらしく目の前には無機質で冷たい目をしてフードを深く被った緑髪の人物が立っていた。
「あ、すみません!」
「いや、こちらこそ悪かったね。ボーッとしてしまっていたようだ」
「あの、俺がここに来る少し前に中学生くらいの女の子が来ませんでしたか?」
「.....来たよ、もの凄い勢いで階段を駆け上がって行ったよ」
「そうですか、ありがとうございます」
「お役に立てたなら結構だ」
その時、無機質な目が一瞬赤く輝いたのをホタカは見逃さなかった。
「え?」
ホタカが瞬きをして素っ頓狂な声を上げた頃には目の前に先ほどの人物はホタカの視界から消えていた。
「おっと、そんなことよりもマミを追いかけないと」
ホタカは赤い目のことは一先ず後回しにしてまだそこまで上にまで行っていないはずのマミを追いかけるために階段を駆け上がりはじめた。
※
「くそ、マミは一体どこに行ったんだよ」
ホタカはマミがどのフロアにいるかわからないため取り敢えず一階一階をチェックすることにした。そして現在二階から探し始めて七階にまで到達してしまったのだがマミの姿はどこにもなかった。
(店内アナウンスでもしてもらおうかな、いやそれやっちまったら後でマミに何を言われるかわかったモンじゃないな。あいつ無駄にプライド高いし...)
以前ホタカがマミに高い高いをしてブチギレされたことを思い出す。
もしかしたら今回も疲れたらおぶるという言葉がマミの逆鱗に触れてしまったのかもしれない。
七階はどうやら電化製品を売っているフロアらしく最新家電やら話題の電子機器が多く取り扱われている。
「あ!」
ホタカは携帯電話の売っているスペースまで来て電話を掛ければいいと今更ながら閃いた。
マミも電源を切っていない限りホタカの方から通話を掛ければ応じてくれる、と信じたい。
ホタカはポケットからスマートフォンを取り出して予め登録してあるマミの電話番号をタッチする。
『.....もしもし?』
「マミ、俺だ、今どこにいるんだ?探してるんだぞ」
『私なら一階の休憩スペースですよ、いつまでもホタカさんが戻ってこないからこっちから電話しようとしてた所ですよ』
「待てマミ、お前階段を登って上に行ったんじゃなかったのか?」
『三階辺りで疲れたので戻ったんですよ、そしたらホタカさんいないんですもん。ホタカさんこそどこにいるんですか?』
「俺?俺は」
ホタカが七階と言いかけた瞬間だった、背後で何かが爆発した音が七階に響き渡った。
よく見ると客に紛れて武装した男が数人このフロアにいることが確認できた。
(これは、ヤバイな...)
ホタカは冷や汗を流しながらマミとの通話を切断させた。
好評(?)だったら続く!