8月15日、早朝...
朝早くにホタカは目を覚ましてキドと待ち合わせしている場所に向かっていた。幸い今日はバイトのシフトは入っておらず一日中オフである。
昨夜、マミに自分の能力のことについて何かわかるかもしれないと言って何とか納得してもらえた。
しかし、佳奈はそうもいかなかったが彼女は昔付き合いのあった人と一ヶ月くらいハワイ旅行に行くらしいのでしばらく家を空けるらしい。
現にホタカが起きた頃にはもう既に準備してあったスーツケースごと佳奈の姿が消えていたのだ。
これで何とかなる、と思い家を出てもうそろそろ目的地に着く寸前なのだが...
「.....何でついてきたんだよマミ」
「悪いですか?ホタカさんを一人にしたらろくなことが起こりえませんので付き添いですよ」
「そうじゃなくてだな。俺はあいつらと面識あるし事前に行くって言ってるけど、お前の場合アポなしだろ?」
「大丈夫です、何とかなりますよ」
はぁ、と重い溜息を吐くホタカだったが実は既にこうなることをある程度予想していたのでキドにはもう一人増えるかもしれない、と事前に連絡はしてあった。
それでもなるべく彼女を巻き込みたくはなかった、ホタカも昨日初めて会ったばかりで彼らのことをよくわかっていないが共にテロリストを撃退した時何故彼らがそこにいてテロリストを撃退するという考えに陥ったのか、それは多分モモの兄であるシンタローが何故か人質にいたからだ。しかし彼らには撃退するというほどの力があった、ホタカが参加したのは偶然であり本来ならばホタカがいなくても成立した作戦だったはずだ。
(ヤバイ所に足を運んでる連中とは思いたくないが、どうも胡散臭いんだよな.....)
ホタカが二度目の溜息を吐く頃には既に目的地に到着していた。しかしキドの姿が見当たらない。
最初は能力を発動しているのかと思ったが、それは違うと思わされる。
何故なら目の前に一人の青年がいたからである。
黒くフードの部分に白い丸が左右対称に三つ描かれたロングパーカーに猫目、連中の中で最も胡散臭く常に笑顔の青年が。
「よぉ、カノだったか?」
「おはようホタカ君、時間通りだね。よく迷わなかったね。」
「キドに位置情報をメールで送ってもらったからな。そういやキドはどうしたんだ?」
「キドは朝食の支度をしてるから代わりに僕が来たんだ。それより後ろにいる子が君が昨日探してた子?」
カノがマミを指差すとマミはカノを睨みつける。
「ホタカさん、この人がそうなんですか?」
「その一人、の方が正しいかな?」
マミはカノを上から下まで観察した後、ビシィ!と指を指して一言言い放った。
「こんなチャラそうで背の低い人が本当にホタカさんの能力について知ってるんですか?」
「ハハッ、君結構人の気にしてることズバズバと言うよね」
「気にしてたのかよ」
実際マミとカノの身長はそこまで大差はなく、僅かにカノが勝っているというドングリの背比べ状態だった。ホタカは大きな溜息を吐く、今日だけで既に三度目である。
「とりあえず案内してくれ、俺としても知りたいことが山ほどあるんだ」
「オッケー、じゃあ僕らのことはアジトに着くまで歩きながら話そうか」
カノを先頭にホタカ達は彼の言うアジトに足を進めて行った。
彼らはメカクシ団と名乗っており、団長はキドが務めているらしい。彼らの全員がホタカと同じように何らかの能力を持っており、表向きは和気藹々と友人の集まりのように緩くやっており、実際の活動は警察や様々な機関からあらゆるモノを拝借(ほぼ盗難に近い)して活動しているらしい。
「元々は僕含む三人だったんだけどね、何やかんやで今は六人って所かな?僕達のことはこんな感じだね」
「なるほどね、活動内容を聞いちまったからには俺もメカクシ団とやらに入らざるを得なさそうだな」
ホタカは頬を緩めてカノに問いかける。カノは笑みを崩さぬまま更に、にっこりと笑う。
「話の飲み込みが中々早いね、そういうことになるね。それで一緒に話を聞いてたイシバシちゃんもメカクシ団に入ってもらうよ」
「私も!?」
「だから着いてくんなって言っただろ、だが仕方ないか。それとカノ、一つ聞いてもいいか?」
「ん、何?」
「マミは能力を持っていない普通の女の子だ。聞いた話だとメカクシ団は全員が能力を持っている、それでもマミはメカクシ団に入らないといけないのか?」
「うーん、まぁできることなら入ってもらいたいかな。それで後から団長に文句言われるの僕だし」
キドっておっかないからねー、とカノはおちゃらけながらも冷や汗を流している、どうやら相当恐ろしい様子だ。
そんな感じで話をしていると107と書かれた扉の前に辿り着く。
「ここか、結構デカイな」
「すごいです。私の家よりも大きいかも」
「それは大袈裟じゃないか?」
「とりあえず入って入って、詳しい話はそれからしようよ。新入りさん」
カノに招かれるまま、ホタカとマミはメカクシ団アジトに足を踏み入れた。
※
「.....それでお前はまたホタカ達に活動内容を話し、関係のないイシバシを巻き込んで俺たちの仲間にしたと?」
「いや、本当すみませんでした。でも結局こうなったわけだし、ちょっと展開が早くなっただけってことで」
「問答無用!」
「フゴ!?」
アジトに入るや否や、キドがエプロン姿で現れてカノの首根っこを掴み背負い投げをした後土下座をさせてカノの足を踏みながら質疑応答。そしてトドメに踏みつけ。
ホタカとマミは顔を真っ青にしてその光景を見ているが、ホタカとしてはキドが女性だという事実に驚きを隠せずにいた。
流石に哀れに見えてきたカノに対してホタカは仕方なく助け舟を出すことにした、さっきからカノもアイコンタクトで助けて、と言ってる気もするし。
「キド、もうそろそろいいんじゃないのか?マミも別に気にしてなさそうだし」
「しかしだな」
「ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?も、も、もももももしかして、アイドルの如月桃さんでしょうかぁぁぁぁぁぁ!!?」
「そ、そうだけど」
「わ、わわわわわわ私大ファンなんですぅぅぅぅぅぅ、応援してますぅぅぅぅぅ、お会いできて超光栄っすぅぅぅぅぅぅぅぅう!!!」
「あ、あはは...」
マミはモモの手を掴むなり、上下に凄まじい勢いでブオンブオンと振る。腕が千切れてしまうのではないかというほどの勢いである。
マリーもマミの様子に恐怖を抱き扉を陰にしてガクガク震えてるし。
「な、大丈夫だ」
「.....そうみたいだな」
マミの奇行に流石のキドもドン引きしカノから足をどける。
一旦落ち着き、ホタカとマミはソファに座り向かい合わせでキドとカノの二人が目の前に座る。
「じゃあイシバシちゃんもいることだし、改めて僕たちの自己紹介といこうか。僕はカノ、団員ナンバーは3。こっちの目つきが悪いのは我らが団長のキドぶふぉ!?」
「悪かったな、目つき悪くて」
「そ、それでさっきから扉を陰にしてる白いモコモコしてるのが団員ナンバー4のマリー。今はここにはいないけどそのマリーの保護者さんで団員ナンバー2のセト、多分もうすぐ帰ってくるよ」
ホタカはカノの言ったセトという人物に心当たりがあり、まさかと思いマミと顔を合わせる。そしてアジトの扉が開かれ...
「今戻ったッス!ってあれ、ホタカさんにマミさん?」
「やっぱお前か、昨日振りだな」
「あれ?もしかして知り合いだったりする?」
カノが頭上にハテナマークを浮かべてマミに尋ねる。
「私は昨日初めて会ったんですけど、ホタカさんはバイト先が被ってて何度か会ってるみたいなんです」
「そういうことだったか」
キドは納得したように頷く。気を取り直して、とカノが仕切り直す。
「昨日入った新入りさんのキサラギちゃんとエネちゃん。団員ナンバーは5と6!」
「よろしくお願いします!」
「こ、ここここちらこそそそそそそそそど$%○々×¥€^☆!」
「とりあえず日本語にしろ。それでカノ、エネって奴が見当たらないんだが...」
『ここにいますよ!』
「え?」
ホタカはモモの置いた携帯を見て目を疑った。そこには青を基調としたカラーリングの少女が存在していたのだ。
何かのアプリだと思ったのだがそれにしては会話が滑らかでまるで本当にそこに生きているようだった。
「.....すげーな、今の日本の技術ってこんなこともできるんだ」
『とりあえずご主人を助けていただきありがとうございますね、茶髪さん』
「ご主人?シンタローのこと?」
『はい!』
ホタカはここで友人の趣味、というか友人だったシンタローの趣味を改めて疑った。
「こんな女の子にご主人って呼ばせてるシンタローって、はぁー」
「ま、まぁメカクシ団のメンバーはこんな感じかな?」
「そういやシンタローはまだ起きないのか?」
『昨日からぐっすりと寝てますからね〜。さすがにそろそろ起きていただかないと遊園地のことも忘れられそうなんですけどね』
「という訳でよろしくな、メカクシ団団員ナンバー7ホタカと団員ナンバー8イシバシ」
こうしてホタカとマミはメカクシ団に加入することとなった。
その後、シンタローが目を覚ましたのはキドの朝食の支度が終わってからである。
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