迷走デステニー   作:Cr.M=かにかま

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ホタカ君の能力に関してはもうちょっと後になりそうです(^^)



追想フォレスト Ⅲ

 

「そうか、シンタローが本格的に引きこもったのは二年前で妹のモモはお袋さんの仕事不調で心配してアイドルとして頑張ってるのに兄であるあいつは何もせずただただ電気代と食費を貪ってる、いわゆるパラサイトシングルに成り果ててるんだな。苦労してるな〜エネもモモも」

 

『そうなんですよ茶髪さん。ここは一発ゴミクズなご主人にガツンと言ってやってください!酸素が無駄に消費されてしまいます』

 

「私からもお願いしますホタカさん、もうブラック企業でも何でもいいですからこのバカ兄を何とか社会復帰させてやってくださいよ!」

 

「よし、任せろ!」

 

「お前ら好き勝手言ってんじゃねぇよ!ハヤトもハヤトであっさり頷くな!」

 

「あ、シンタロー居たんだ」

 

「お前ら絶対にわざとやってるだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「俺はコミュ症の親友を思って言ってやってんだけどな〜。メカクシ団団員ナンバー9シンタロー」

 

ぬぐぐ、と否定することのできないIQ168(笑)でありモモの兄の如月伸太郎(きさらぎしんたろう)が頭を抱えて唸り始める。赤いジャージに黒いシャツという夏には絶対着てはならない色ベスト3にランキングされてそうな組み合わせの童貞18歳はホタカの中学高校時代の友人で死んだ魚のような目も特徴である。

事の成り行きとメカクシ団の活動内容をカノに聞かされたシンタローは半ば強引にメカクシ団の新入りとして迎え入れられたという状況である。

ちなみに今はキドの作った朝飯を食べ終わり適当に駄弁っている所である。キドとマミは洗い物をしておりマリーは何故か鬼の形相でセトに詰め寄っており、カノはその光景を見てただひたすら笑っている。

 

洗い物が終わったら遊園地に行く予定となっているらしくマミも喜んでいた。そしてホタカは親友との久々の再会に会話を弾ませていたのだ。

 

「それにしてもお前昔よりもひょろくなってないか?ガリガリの痩せ型体型じゃねぇか」

 

「そういうハヤトは筋肉付いたよな、細マッチョって感じだし」

 

「一応毎日早朝ランニングしてるからな。家にいてもあまりすることないし体力を付けておいて損はないからな」

 

「ほらお兄ちゃんもホタカさん見習ってよ、こんな頼りになりそうなお兄さんがいるマミちゃんが羨ましいよ」

 

『所詮ご主人はヒキニートですからね。ご主人が運動するなんて言い出した次の日には隕石でも降って来るんじゃないんでしょうかね?』

 

「お前らなぁ!」

 

何だかんだ言ってもシンタローの評価が上がることは決してなかった。

 

 

 

その後、シンタローとモモとエネとセトとマリーとマミは徒歩でホタカとキドとカノはバスで現地集合という形になった。

バスに乗っている間はキドの能力によりホタカ達の姿も声も周りには認識できないレベルになっており何を話そうが聞かれることは決してない。

 

「さて、そろそろいいんじゃないのか?お前らのことをもうちょっと詳しく話してくれても」

 

「そうだな。イシバシも別行動をしていることだし調度いいかもな」

 

ホタカの言う詳しく、とは無論能力のことである。ホタカが自分の体に異変を感じ始めたのは三年前の夏で自分の目が赤くなることに気がついたのは異変を感じ始めて数週間が経ったある日だった。

偶然目が赤くなっている時に鏡を見たのがキッカケだ。マミや佳奈はこのことを既に知っており彼女達はそれでもホタカを特別視することなく接してくれている。

 

「俺たちも能力について詳しくは知らないがある程度は知っている。マリーと出会ってから真実に少し近づいたと言ってもいい」

 

「マリーに?」

 

小桜茉莉(こざくらまり)、皆がマリーという愛称で呼ぶ少女はメデューサの末裔であり子孫でもあるらしい。正確にはクォーターで母親はメデューサと人間のハーフらしく実際に人を石にすることが出来たらしい。

キドの話によるとセトが勧誘したようで二人がどこでどういう出会いをしたのかはキドもカノも詳しくは知らないらしい。

マリーの目を合わせる能力もメデューサの力の端くれのようで完璧ではないようだ。

 

「マリーはああ見えても俺たちよりも長生きしているらしい。本人も正確な年齢は把握できてないらしいからな」

 

「なるほど、でも何でそれが能力の真実と関係してくるんだ?」

 

ホタカの疑問はもっともだった。マリーがメデューサの末裔で少し違うということの説明があっただけで能力に関してはほとんど触れられていない。

まるで今までの話が前置きと言った様子でキドとバトンタッチしたカノが人差し指を自身の口に当ててニヤリと笑い尋ねる。

 

「ホタカ君、カゲロウデイズって聞いたことある?」

 

 

 

一方、マミ達は夏の炎天下の中を歩いていた。

一番の年長者のシンタローがグロッキー状態になってしまっているのは触れないであげてほしい。

 

「遊園地とか、マジで無理だろ...」

 

「何言ってるんですかシンタローさん、せっかくここまで歩いてきたのに。別にもと来た道を引き返しても私はいいんですけどね」

 

「すみません、それはマジで勘弁してください」

 

そう、今来た道を再び戻るということはもう一度あの長い道を通るということであり、二年間も部屋に引きこもって体力が落ちるに落ちまくっているシンタローにとっては拷問以外の何でもなかった。

 

「ねぇ、お兄ちゃん本当に見てるだけで暑ぐるしいからそのジャージ脱いだら?」

 

「本当ですよね、よくこんな暑い日に着れますよね」

 

「でしょマミちゃん、お兄ちゃんって昔からセンスもないのよ。ねぇってば、聞いてるの!?」

 

ズバズバと精神攻撃(モモに至っては無自覚)を与えるマミとモモ。

シンタローはマミを見て「エネがもう一人増えたみたいだ、ハヤトとは全然性格違うし」と思いため息をつき頭を抱える。

 

「別に、お前に直接迷惑かけてるわけじゃねぇからいいだろ?」

 

シンタローはじと目でモモの服を見る。シャツには大江戸とプリントされておりパーカーには狙ったように鎖国と書かれている。

 

「お前こそ何なんだよそれ、バラエティ番組の罰ゲームみたいだぞ?」

 

「は、はぁ!?この服のかわいさがわからないとか、本当お兄ちゃんセンスないよね、マミちゃん」

 

「そ、そうですね」

 

「マミ、無理矢理言わなくてもいいんだぞ。こいつの感覚は少し人と離れてる部分もあるから」

 

シンタローはマミにさり気なくフォローを入れる。マミもどうやらそのことに薄々感づいていたようで苦笑いしながら頷く。

 

「それにお前なぁ、知ってんだぞ!毎晩毎晩部屋で実況プレイの動画見ながらあたりめ喰って観て笑ってんの!」

 

「いっ!?」

 

「ホント、これが今話題のアイドルかよ。信じられねぇよな」

 

「ど、どうしてそんなこと知ってるのよ!?」

 

モモの反応を見るからにどうやら本当のことみたいだが流石のマミもドン引きだった。

モモの一ファンとして彼女の知ってはいけない一面を知ってしまった気もした。

ギャーギャーと兄妹喧嘩を始めてしまった二人についていけずに一人アウェーとなってしまうマミは後ろを歩くセトの所に行く。

 

「セトさん、マリーちゃんのこと背負って重くないんですか?」

 

「大丈夫ッスよ、俺バイトとかしてるんで体力には自信あるッスから!」

 

そういえばホタカとバイト先でたまに会うと言っていた気もする。

 

「それにしてもあの二人本当に仲良いッスよね、流石兄妹!」

 

「あれは仲が良いと見ていいのでしょうか?」

 

マミは苦笑いしながら二人を見る。

 

「ねぇマミちゃん、ちょっとセトと楽しくおしゃべりしすぎなんじゃないの?新入りの分際で」

 

何やら一瞬修羅が見えた気がした。

 

「マリーちゃん、何か怒ってる?」

 

「別に」

 

ぷぅ、とそっぽを向いてしまったマリーにマミは冷や汗をかく。

何に対してマリーが怒っているのかは知らないがこれから遊園地で遊ぶというのにあまり溝が出来た状態では少し危険かもしれない。

 

「セトさん、マリーちゃんどうしちゃったんですか?」

 

「さぁ、俺に聞かれても...」

 

結局、遊園地に着くまでマリーの機嫌が治ることはなかった。

 

 




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