迷走デステニー   作:Cr.M=かにかま

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今回少し短めです(^^)


追想フォレスト Ⅳ

 

遊園地の入り口付近で合流したメカクシ団御一行はカノをパシリにして全員分のチケットを購入しに行かせていた。ちなみに今回はキドだけの意見だけでなく全員一致の多数決で決まったことなのでホタカも若干凹んでいるカノのフォローのしようがなかった。

とりあえずモモが一番はしゃいでいる、次にマリーがテンションを上げて引きこもりのシンタローが一番テンションが低い。

 

「そういやシンタロー、エネはどうしたんだ?めちゃくちゃ大人しくないか?」

 

「今電源切ってんだよ。無駄な電池を消費したくないらしいんだとよ」

 

「フーン」

 

ホタカは興味なしと言った様子で適当に相槌を打っていた。

ようやく全員分のチケットを購入し終えたカノが戻って来てモモが「遊園地なんてすごい久しぶりなんですよー、何から乗ります?」っと言った具合にテンション上げ上げの状態で女子高生らしくキャ、キャとはしゃいでいる。マミもマミでこんな大人数で遊ぶのは久々のようでモモほどではないがはしゃいでいる。

 

ここでセトの背中にもたれながらソワソワしているのが目に見えるマリーが普段の行動から想像もつかないほど元気な声で高らかに宣言する。

 

「ジェットコースター乗りたい!」

 

こうして最初のアトラクションが決定した。

 

 

 

「ちょ、やっぱ無理無理無理無理無理無理無理無理無理!俺やっぱりそこら辺で待ってる!」

 

「観念しろシンタロー、もう次だ」

 

いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!とこの世の終わりでも見たかのようなとんでもない怯えた顔で叫ぶシンタローを無視してホタカはジェットコースターに搭乗する。時間も時間なのでそこまで並ばなかったのだがそのことがシンタローにとってはどうもよくなかったようだ。

せっかくだし最初は皆で乗ろうよ!というマリーの意見がなかったら今頃シンタローはこんな所にはいないだろう。

何故ならば彼は極度のビビリで乗り物酔いが激しい軟弱で汚れた少年だからである。

 

「わー、一番前だー!」

 

「マリーは髪長いからしばってた方がいいッスね」

 

「うん!」

 

と最前列でセトとマリーが楽しそうに話しており、

 

「大丈夫キド?」

 

「も、も、も問題ない...」

 

最後尾では強がっているキドのことをカノがからかっているようにしか見えない光景があり、

 

「ホタカさん、ジェットコースターって叫んでもいい系ですよね?」

 

「何だよその基準は」

 

前から二列目ではマミがホタカに叫んでいいかの質問をしていた、ていうよりも質問の内容がおかしい。

 

「シンタロー君は大丈夫?」

 

「だ、だ...」

 

「もーお兄ちゃんってば、大丈夫だよ!」

 

「だ...」

 

「ここまで来たなら覚悟決めろよ、男だろ?シンタロー」

 

「だ、だいじょ、ばなく...ない...」

 

そして最後尾の一つ前では楽しそうに笑うモモとは対照的にガタガタブルブルと体を震わせ顔を真っ青に染めたモモの兄のシンタローがいた。

どうやらここまで絶叫系が苦手とはホタカも予想しておらず、冗談抜きにヤバそうだとやっとのことで実感したのだがコースターはガタンッと音を立てて動き始めた。

 

「ヒッ!?」

 

「わー動いたー!」

 

シンタローの思いも無機質な機械のコースターに届くはずもなくカタカタとコースターは軌道に乗ってぐんぐん上昇していく。

結構な高さのようで上の方までやって来ると遊園地全体だけでなく近くの町並みの様子も見えるくらいの高さにまで上昇していた。

 

「あはは、お兄ちゃんってばビビりすぎ!」

 

「う、うわぁ...」

 

ホタカはもう後ろを振り向いてシンタローに声をかけることができないがとりあえず周りの景色を眺めて楽しそうに笑っていた。

そして後ろから「ダメだダメだダメだダメだダメだダメだ」と小声でシンタローの声が聞こえるような気もするがもうどうしてやることもできない。

 

何故ならコースターは重力とレールに従いながら地上にもの凄い勢いで急降下して行ったのだから。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」

 

シンタローの絶叫が後ろから聞こえる気がしたホタカだったが当の本人も楽しんで叫んでいるのでそれが本当にシンタローの叫びかどうかは定かではない。

 

一番前ではセトとマリーが楽しそうと言うよりも幸せそうな表情を二人で浮かべて、二列目のホタカは楽しそうに笑いながら叫びマミはジェットコースターに乗ったのが初めてのようで予想外の速度に涙を流し、三列目ではシンタローがただひたすら悲鳴を上げてモモは楽しそうに声を張り上げて、そして最後尾ではキドが目尻に涙を溜めて女の子らしい悲鳴を上げてカノはその様子を見て笑いを必死に堪えていた。

 

やがてコースターは一周し元の位置にまで戻ってきた。

 

「ほ、ほほほほほほホタカさん!な何ですか!こんなモンスターマシンに乗るどこが楽しいんですか、一体!」

 

「落ち着けマミ、そしてお前はもうジェットコースターに乗るべきじゃ」

 

「ふ、ふん!子供騙しな速度だったな」

 

「ふーん。子供騙し、ね」

 

「.....な、何だ、その目は」

 

「べっつに〜」

 

「シンタロー、早く降りないと次のお客さん乗れないよ?」

 

ホタカ達はコースターから降りるのだがシンタローだけはいつまで経っても降りる気配はない。

というか口元を抑えている。

 

「おい、シンタロー」

 

「まさか...」

 

セトが聞きずらそうにシンタローに尋ねる。

 

「シンタローさん、酔ったッスか?」

 

「..............」

 

数秒後、文字に表現できないほど汚ない効果音が響き渡った。

 




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