仮面ライダーワード〜言霊の統率者〜   作:津上幻夢

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第12話 雪解の彼女心

父が事故で亡くなってから数日後、私の家で葬式が行われた。

 

『お父さんが死んじゃって、悲しいよね?寂しいよね?でも叔母さん達がいるから寂しがらないで。』

 

来る人来る人皆同じような事を口にしていた。だけど、その言葉は父を事故で亡くした事を少しでも和らげてくれた。葬式が終わるまでは…

 

『知ってた?あの人相当お金を賭け事に注ぎ込んでいたらしいよ…』

 

そう言ってくれていた人達は皆、陰でそう言っていた。

 

『そんな人の娘なんだから、きっと…』

 

 

父さんは、電気工事士だった。電柱に登って機材を点検したり、取り替えたり…父さんは人に電気を届けるこの仕事を誇りに思っていたし、私も父さんが人の為に役に立っていると思うと誇らしかった。

しかし、そんな真面目な性格故に親戚から妬まれていたのだろう。葬式では嘘偽りの噂話ばかりが聞こえてきた。その声全てが耳障りで私は家を飛び出した。

 

それと同時に、この世に善意なんてものはないって。目に見える善意は全て偽善であると。

 

 

 

 

私は、私の思う善意を、嘘偽りのない正しい心を探す為に戦う。その為に剣を振り下ろす。

 

 

 

敵…哀は、拳銃を使い私と距離を取る。引き金を何度も引き、弾丸を放つ。

 

それらを全て回避しながら私は彼の懐へと迫る。

 

今度は水を利用した波の攻撃を放ってきた。それらは私が触れる事で次々と氷に変化していく。しかし、氷になったということは、一つの大きな塊になったということ、腕や足に氷が纏わり付き、それが重りとなって動きを鈍くさせる。これが目的だったのか。

 

「好機到来だ!」

 

哀は、足先から次々と蹴りを放つ。それを私は避けることに必死になる。間一髪で避けることができたが、このままでは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「話は終わりか?ならばこちらから終わらせる!!」

 

槍に、金色の思念を纏った必殺の一撃はワードへと迫る。

 

『バーニングアタック』

 

必殺の一撃は、2人の身体が見えなくなる程の爆発を引き起こした。

 

「がっ…何、だと…」

 

爆炎の中、喜の左脇腹にはワードの槍に貫かれ、焼かれた後があった。それに対して喜の攻撃は、盾によって一寸ほど上にズレてワードの身体に命中していなかった。

 

『ゴン、ワシは勘違いをしておったようだ。お主は、最初から覚悟を決めておったな。覚悟が足りなかったのは、ワシの方じゃ。』

 

「ワード、一緒に戦おう。」

 

心の中で、ゴンはワードへ促す。

 

 

「ワード…君は相変わらず私の喜びの邪魔をする。許さん…絶対に。」

 

そう言って、痛む脇腹を我慢しながら、喜は迫る。

 

「アイツは弱ってる、叩くなら今だ!」

 

『分かっておる!』ワードは喜の無我夢中な攻撃をジャンプして回避する。そして、炎を両脚に纏う。

 

「『バーニングガイザー!!』」

 

ワードの強烈なキックは、喜の身体に激突すると、名前の通り間欠泉の様に炎を吹き上げた。

 

 

 

 

「随分と派手にやってるな…」

 

「あっちも楽しそうだな…」地装と蒼刃は共にワードの爆発を見ていた。

 

「これで氷が解けた!」

 

「ぐっ…喜の奴め、面倒な事を…」氷華は、ワードの熱によって体の氷が解け、哀が有利だった戦場に逆転の兆しが見えた。

 

 

 

喜は、地面に倒れたまま気絶していた。

 

「ワード、今のうちに人陰を。」

 

『ああ、そう遠くまで行っていないはず!』

 

烈火の形から跳速の形へと姿を変えたワードは、2体の人陰が向かった方へと走り出した。

 

 

 

「俺のベルト、返して貰うぜ!」[マウントグランド!]

 

「それなら、僕みたいに力づくで奪ってみなよ」[マウントリーフ!]

 

大地のオーラを纏った地装と、自然のオーラを纏った蒼刃。2人のキックは、空中で激突する。

 

地上に2人は降りた。地装は、殆ど墜落したに等しいが、厚い装甲によって守られていた。その懐には、青葉核が装填されたマウントドライバーがあった。

楽は、強制的にベルトを剥がされた事によって人間態の姿に戻っていた。

 

「有言実行って奴だ。」

 

「あーあ、おもちゃが無くなっちゃった。まぁいっか。僕にはこれがあるし。」楽は、自身の身体を怪人態へと変える。緑色のコートを纏い、右手には猛毒の斧を持っている。

 

「第二回戦ってやつか…」地装はそう言うと、ハンマーを構え戦闘状態へと再び入る。

 

 

 

 

 

「これで終わりだ。」[マウントブリザード!]

 

自分自身を回転させ、巨大な氷の竜巻を作り出す。それを自分ごと敵の身体に特攻する。

 

水を与えれば敵を強化する事になる、しかしこのまま受けても倒れる、八方塞がりな哀はただ攻撃を受けるしかなかった。

 

その攻撃で哀は弾き飛ばされ、地面に膝をついた。

 

 

 

 

 

 

 

一方、2体の人陰は逃げていたはずの言葉、勝治、神楽の元に迫っていた。

 

「何でこいつらがこっちに!」神楽が悲鳴混じりにそう言う。

 

「どうするの?どこ行っても追いかけてくる…」言葉が2人に聞く。

 

「ここは…俺が!」勝治は、2人を庇う様に前に立つ。しかし、赤色の人陰は拳を振り上げ、攻撃しようと迫った。

 

 

 

『そこまでじゃ!』

 

その時、緑色のワード、跳速の形が人陰の拳を掴んでいた。

 

『今のうちに!』

 

その声に3人はその場を後にした。それを追うように青い人陰が走り出す。しかし、それも瞬間移動で迫ったワードによって阻止される。

 

「それにしても人陰はなんであの3人を…」

 

『考えるのは後じゃ、今は人陰を倒すぞ。』

 

ワードはそう言うと弓を引いた。

 

[必殺書き込み]『スピードスナイパー!』

 

神速の矢が人陰を捉える。しかし、青い人陰はあろう事か隣にいた赤い人陰を掴むと、自身の目の前に「近くに居たのが悪い」と言わんばかりに盾にした。

 

それにより赤い人陰は爆散し、爆炎の中青い人陰は逃亡を企む。

 

しかし、その爆炎の中からもう一度神速の矢が現れた。ワードは逃げることまで想定して二度矢を放っていたのだ。

 

それにより青い人陰も身体を貫かれ爆散した。

 

2体の人陰からはそれぞれ[無尽][下弦]の核を回収した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワードが氷華達の元へ戻った頃には、既に戦士達が有利な状況へとなっていた。

 

「2人とも!」

 

「遅かったな、後はコイツだけだ…」地装がそう言う。楽は、息切れ一つする様子がない。

 

その時だった。楽の目の前に割って入るように怒と嫉が入ってきた。

 

「時間稼ぎはもう十分だ。巫女の目星は大体ついた。」怒がそう言うと、5人は煙の中へと消えていった。

 

『巫女…だと?』

 

「心当たりがあるのか?」氷華が聞く。

 

「もしかして、神に唯一直接繋がってた始まりの巫女の事なのか?」続けて地装が口にする。

 

『…何故知っている?』

 

「社長に聞いた。人陰の成り立ちも、ワードと人陰の戦争の始まりも。」

 

「いつの間にそんな事を…」

 

『…始まりの巫女の血を持つ者は、人陰が救いを求めて近寄る。今回の襲撃はその能力を利用した陽動作戦だったと言う事か。』

 

「その、始まりの巫女が敵に渡ってしまったらどうなるの?」氷華はなんとか話について行きながら聞く。

 

『ワシや、ワシに関連するもの全てが崩壊する。私が人間に与えた技術や文明…言葉までも…』

 

 

 

 

3人は、今日は解散する事にしそれぞれ別れた。刹那は、社長に詳しい話を聞く為に彼のいる研究室へと歩き始めた。

その彼女の目の前に言葉が現れた。

 

「何のようだ?」

 

「貴女は、ゴンのことを偽善だと言った。でも、それは絶対に無いって言える。」思いがけない一言に彼女は驚いた。

 

「…その証拠はあるのか?」

 

「それは、私の今までのゴンとの記憶…アイツは、いつも誰かの為に動いていたの。だから、ゴンのこと…もっと信じて欲しい。一緒に戦う相手なら尚更。」

 

「…私は今急いでいる。話が終わったなら行かせて貰う。」

 

彼女は、誤魔化すのも限界に感じ逃げるようにその場を去った。確かに、彼の善意は本物だと。それを前から彼女は感じていた筈だ。文化祭の時に、財布を拾った彼の、嘘偽りのない善意に…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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