仮面ライダーワード〜言霊の統率者〜   作:津上幻夢

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第15話 神屠る破滅竜

 

「言葉…これが今の俺達だ。」

 

ゴンは、言葉が敵に狙われていると分かった以上、今までのことを話すしかなかった。

ワードとして戦ってきた事、自分の中にワードがいること、そして言葉が敵に狙われていると…

 

話を聞いた時は、動揺を見せた。今まで起きてきた事が身近で起きていたこと。だが、それと同時に少し前からゴンがワードである事に少し前から気付いていたからかその事実を受け入れた。

 

「もしもの時はよろしくね。」

 

言葉は笑顔でゴンに言った。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、街の外れにある墓地に、国山刹那はいた。

 

目の前にある父の墓に白い花を供え、合掌した。

 

今日は彼女の父親が亡くなってから今日で丁度8年が経つ。徐々に薄れていく父親との記憶をまた呼び起こし、自分の決意を固める為ここに居た。

 

用件を済ませその場を後にしようとしたその時、彼女の目の前に意外な人物が立ちはだかる。

 

「こんなところで会うなんて、思ってもいなかった。」

 

そこに居たのは、哀だった。彼もまた、自分の大切な者を弔う為にここに来ていたが、まだ彼女は知るよしもなかった。

 

「…私を倒しに来たのか?」彼女は聞く。

 

「だとしたら、ここでやろうとしている時点で罰当たりだな。」

 

「…」

 

「僕も、今日は気分じゃない。逃げるなら早く逃げてくれ。他の奴ら(幹部)に疑いの目を向けられては困る。」

 

彼女は、哀に対して何処か違和感を感じた。しかし、それを考える余裕もなく、彼の視界から消えた。

 

 

帰り際、墓地を管理する年老いた寺の僧侶が、彼女に声をかけた。

 

「お嬢さん、少しいいかい?」しゃがれた声で彼女に聞く。

 

「なんですか?」

 

「あのお兄さんと知り合いかい?」

 

「まぁ、そんな所…です。」見られていたのか…内心そう思った。

 

「なら、これを渡しておいてくれないかい?」僧侶は、彼女の手にある物を乗せた。

そこには、青色に輝くペンダントがあった。

 

「これは…」そう聞く前に僧侶は頼むよと半ば強制的に押し付けられてしまった。

 

彼女は、仕方なく哀の元へと戻っていった。

 

 

 

 

「まだいたのか?」

墓前にいた哀は、戻ってきた彼女に呆れるように言った。

 

「…これを返せって渡されたから…」そう言うと、彼女はペンダントを差し出した。

 

「それか…」哀は、それが何かを即座に思い出し、取ろうとした。が…

 

「もういらない。お前にやる。」そう言い再び墓へと目を向けた。

 

「…」受け取る様子はないと判断し、彼女はポケットにしまった。

 

「性悪党が、人を弔う事もあるんだな。」

 

「…そうだな。僕は性悪党の中でも変わり者さ。人間だった頃の記憶を捨てれない。」

 

記憶を捨てれない…それが何を意味するのか、彼女はわからなかった。

 

 

その時だった。彼女の携帯が鳴った。相手は塾屋ゴンだった。そういえば鉱也に強制的に入れられた事を思い出し、憂鬱になった。

 

携帯を取り、耳元に近づけると、ゴンの焦る声が聞こえた。

 

『刹那さん!性悪党です!氷蘭寺の近くです!』

 

「分かった。すぐ行く。」彼女は、落ち着いた声で返し、電話を切った。

 

そして、黙ってその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、堤防の上でワードと紅蓮に変身したゴンと勝治は言葉を守るように戦っていた。相手は怒と嫉だ。

 

「言葉、早く逃げて!」

 

剛力の形に変身し剣で2人を抑えている間に、言葉は遠くへ逃げようと試みる。

 

言葉は、堤防下にある公園の方向へ走った。

 

「今がチャンス…」茂みの中から現れたのは楽だった。猛毒の斧を片手に言葉へと迫る。

 

「逃げろ!」

 

怒と嫉をワードに任せた紅蓮が楽に襲いかかる。

 

「勝治!」言葉は更に奥へと逃げる。

 

紅蓮は、楽に蹴りを入れる。

 

「君が相手か…初めてだね。」

 

「うるさい!そんなことはどうでもいい、俺が倒すからな。」

そう言うと、紅蓮は右手に巨大な斧を装備した。バーニングブレイカーと呼ばれる炎のような斧を紅蓮は両手で持った。

 

「行くぜ!」

 

 

「ここまで来れば…大丈夫かな…」

 

彼女は、鉄道が通る橋の下に来ていた。

 

「ようやく来たか…」そこには、喜の姿があった。

 

「始まりの巫女よ…我々の元に…」

 

「それは嫌、絶対に!」彼女は強気な態度で返した。

 

「そうか、なら手段は選べないか…」喜は、槍を構え近づく。

 

後ろへと下がる言葉、しかし、足場の悪い河原だったのが運の尽きだった。石に躓き、倒れてしまった。起き上がるよりも早く喜が目前に迫る。その時だった。氷柱のようなものが複数、2人の間に放たれた。

 

「何!」

 

「彼女を渡す訳にはいかない。」そこに居たのは、氷華に変身した刹那だった。

 

「まだ1人居たか…」

 

氷華は言葉の前に立った。

 

「貴女が…刹那さん?」立ち上がった言葉は氷華に聞く。

 

「そうだ。」そう答えると、言葉は何故か不機嫌な顔をした。

 

「ふーん、一応礼はしておくわ。でも、ゴンを侮辱したことは許さないからね。」そういえば、この前ゴンと言い争っているところを見ていたな…そう思い出し納得した。

 

「死にたくなければ行け。」氷華はあえて雑な態度で言った。

 

「分かってるわよ。」言葉はそう言うとその場を後にした。

 

「逃がすか!」喜が彼女を追おうとしている目の前に氷華は立ち塞がった。

 

「なら私を倒してからよ。」剣を構え、喜を睨みつける。

 

「…望み通り、倒させてもらう。」そう言うと槍を氷華に向け投擲する。

そして、己の拳に金色のオーラを纏い氷華に近づける。

 

槍を避けたことで進路を遮断された氷華の目の前には彼の拳が目前に迫っていた。

 

[マウントブリザード!]即座にベルトを作動させ、氷の盾を生成、それを身代わりに背後へと下がる。

 

「中々やるな…」

 

「これでもジョーカーの戦士の端くれだ。それくらい造作もない!」

 

 

 

氷華は喜を近くの噴水公園まで押しのける。そこには、既に戦闘を行っていたワードと紅蓮の姿もあった。怒、嫉、楽、そして喜。4人の幹部がここに揃っている。

 

「刹那さん、来てくれてたんですね!」

 

「ワード、今は戦いに集中しろ!」声をかけたワードに氷華は喝を入れた。

 

ワード、紅蓮、氷華。3人の仮面ライダーが並び立っている。

 

相手も、4人横並びに立っている。

 

「…これで終わりだ!」

 

『マッスルストライク!』[マウントブリザード!][マウントファイア!]

 

それぞれ武器に力を纏わせ、性悪党達に振り下ろそうとしたその時だった。ある一声でその攻撃は遮られた。

 

「そこまでだ。彼女がどうなってもいいのか?」

 

3人の背後にいたのは、言葉を捕らえ銃を突きつけている哀だった。

 

「言葉!」ワードが叫ぶ。

 

「ごめんなさい…」哀は、彼女に銃を突きつけたまま他の幹部の元まで歩いた。

 

「これで、目的が達成された…実にいい働きをしてくれた。哀。」

 

喜は歓喜のあまり興奮を抑えられなかった。

 

「ワード、お前の時代もここまでだ!」怒はワードに向かってそう言う。

 

「私達は、お前が創り出した全てを壊す。」

 

「そして、本当の人間の楽園を創らせてもらうよ。」続けて嫉と楽も言う。

 

「そんなことさせるか!」紅蓮がもう一度必殺技を発動させようとする。

 

「やめろ!そんなことしたら言葉が!」ワードが止める。

 

「でも、このまま放っておいたら世界が終わるんだぞ!」

 

「最期の会話が喧嘩だなんて、さあ始めよう。」喜は2人の様子を他所に儀式を始めた。

 

「神屠る力よ。」「我々に」「授けよ。」「生贄は」「始まりの巫女とす。」

 

前に神楽で行った儀式と同様、それぞれが読み上げた。そして、今度は黒ではなく白い光の柱が宙に伸びた。

 

それは、世界を明るく強い光で包み込んだ。そんな中、言葉の身体が光の柱に飲み込まれ、性悪党5人は精神態に変わり光の柱に飛び込んだ。

 

「何が…」ゴンは、美しいとも思ってしまうその様子をただ眺めていた。

 

 

「ウギャァァ!!!!」

 

その時、光の柱から何か獣の叫び声が響いた。

 

光は徐々に収まり、獣の姿を見せる。

全身が白く、巨体の竜。人陰や性悪党の面影はなく、ましてや言葉の姿すら感じない。まさに神を屠るべくして生まれた竜…『神を屠る竜』。

 

 

「ウギャァァ!!!!」

 

 

その唸り声は、空に響き渡る…

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間前、白夜総三の研究室に、意外な人物がやってきていた。

 

「君は確か…?」

 

「初めまして…勝治から、聞いてきたんです。」彼女は、勝治から紹介を受けてきたと伝えた。

 

「そうか…とりあえずお茶を出そう。座りたまえ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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