「ウガァァ!!!!」
神を屠る竜は空へ雄叫びを上げた。
「なんだよ…あれ?」紅蓮があまりの壮大さと恐怖で驚いていた。
『あれこそ、神に等しい力…神を討ち滅ぼすべくして生まれた竜。』
ワードが、竜について話した。
その時、竜の口元に先程の白い柱の様に明るい光が今にも溢れ出さんとしていた。
「避けろ!」氷華が言う。その時には既に光は龍の口元から放たれ大地を二つに割るかの如く伸びた。
それを撃ち終えると、今度はその脚を使い大地を揺らしワード達の動きを鈍らせる。身動きが取れない彼らはその場に手をついた。
竜は再び光を放つ構えに入った。今度こそは避けられない、誰もがそう感じた。
避けられることができない、喰らったらタダでは済まない攻撃、彼らには絶望しかなかった。
光は、一瞬にして彼らに迫る。
[マウントリーフ!]
その時だった。彼らの目の前に木の葉の盾が現れた。それが救いの手だった。一瞬できたその隙を逃さず3人は回避した。
そして、その場を退却した。
「…間に合った…。」
救いの手を伸ばした彼女もまたその場から姿を消した。
光が放たれた場所は地面が抉れ、焼けていた。それから目を逸らし、神を屠る竜は空へと旅立った。
3人は、近くのビルの影に隠れて竜が退却するまで凌いだ。
そして、自分達に気づかず退却した事にホッと息を漏らした。
「ゴン、勝治、無事だった?」突然後ろから声をかけられた事に2人は声を出して驚いた。
そこには、かつて楽が変身していた蒼刃の姿があった。しかし、スタイルが楽の頃の様な男性体型ではなく女性の様に見える。
「…えっと、どちら様?」紅蓮が聞く。
「あっ、そっか。」彼女は、ベルトから青葉核を引き抜き素顔を見せた。
「私だよ。」蒼刃に変身していたのは、紛れもなく万葉神楽だった。これには氷華も身体が前に出た。3人も変身を解いた。
「神楽が蒼刃だったのか。」勝治はそう言った。
「とりあえず、総三さんが貴方達を呼んでたからそこに行きながら話しましょう。」
話の内容を要約するとこう言う事だった。
勝治から、今起きている言葉を守る為の(失敗してしまったが)戦いをしていると聞いた。それを受けて、自分が今何が出来るかと考えて彼女はジョーカーの社長である白夜総三の元へ行った。
「なるほど…何か自分にできることはないかと聞かれてもな…」総三は、彼女の熱意ある頼みに真剣に考えた。そして、一つの答えを出した。
「なら、君も戦ってみる?」そう言うと、なんと言うことか。彼は余っていたマウントドライバーと青葉核を彼女に渡したのだ。ジョーカーの社長がそんなのでいいのかなんて聞いちゃいけない。
「これで私は、みんなの力になりたい。そして、言葉を助けたい。」
「一緒に頑張ろう。」ゴンは彼女を見て言った。
「ああ、期待しているぜ。」勝治も続けて言う。
「任せてよ。こう見えて強いんだから。」神楽は自信満々に言った。
友人同士で話しており、その中に入れない刹那はずっと考え事をしていた。
『もういらない。お前にやる。』哀に言われたあの言葉が気になった。
私は渡す前に見てしまった。ペンダントの中身を。そこには生前の哀と、一緒に女性が写っている写真があった。2人は影ひとつない笑みを浮かべていた。
『人間だった頃の記憶を捨てれない。』
きっと、彼女の事を忘れられないのだろう。そして、彼は悪になろうとして思い出を必死に忘れようとしている。だから、いらないと言ったのか?そう思うと、何か感情が込み上げてきた。それが何か分からない。でも、ただ一つ分かることがある。このままで良いはずがない、という事が。
「無事だったか。」あって早々、総三は彼らの心配をした。
「とりあえず…」ゴンはそう言った。
「神を屠る竜は、私が作ったライダーでもギリギリ、ワードですら対応できるか分からない。誕生させてしまったことは、正直遺憾だね。」
「ごめんなさい…」ゴンは、彼の言った言葉に対して謝罪を述べた。それは、守れなかった
「…だが、勝てないとは言っていない。君達が、本気で彼女を救おうとし、諦めなければ…一応学者の端くれなのに感情論を訴えるのもどうかと思うがな。だが、人の感情は全ての事柄に影響する。例えば、『怒りで見えてなかった剣を、相棒が彼の怒りを抑えた事で勝利に繋がった』事もあるからな。」
「…俺達は、負けるつもりはありません。言葉を絶対に助けます。」
その言葉に、後ろの3人も頷いた。
「…君からその言葉を聞けてよかった。私は、もう戦えない。見ているだけなのを許してくれ。」
「…俺達が救えると信じて貰えるだけでも、嬉しいです。」
ゴン達は、すぐに駆けつける事が出来るようにと総三の研究室にしばらく居座る事にした。
勝治と神楽は昼飯を近くの弁当屋に買いに行き、総三も会議で席を外しており、部屋にはゴンと刹那の2人だけだった。
気不味い雰囲気漂う部屋に、ゴンは窮屈さを感じていた。いくら肩を並べて戦うとしても、自分を否定した相手に気を使うのは当然だった。
そんな時だった。
「…少し聞きたい事があるんだが、いいか?」刹那は、口を開いた。その驚くべき事にゴンはしばらく彼女の顔を見てしまった。
「…いいですけど…」
「実は、この前ペンダントの落とし物を拾ってな。それを、持ち主に返そうとしたんだ。だが、『もういらない』と言われ『忘れたい』と感じられる様な事を言われたんだ。お前なら、それでも返そうとするのか?」彼女はその相手が哀である事を隠して聞いた。
「…僕なら、絶対に返します。忘れていい事なんてない、このままで良いはずないって…」
またそれか…彼女はそう思った。それはなんだと…
「…刹那さんはどう思ったんですか?」
「…私も、同じ事を思った。こういうの、なんて言うんだろうな。」彼女は正直に話し、そう聞いた。
「…それが、本当の優しさだと思います。刹那さんはそう言っても否定するかもしれませんけど…」
本当の優しさ…そういうことなのか…刹那は、右手でペンダントを強く握りしめた。