仮面ライダーワード〜言霊の統率者〜   作:津上幻夢

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第18話 全力の救出劇

「哀…共に護ろう!」

 

氷華は、一呼吸おくと、竜に向かって右拳を顎に向かって突き出す。

 

竜はそれを空に飛ぶことで回避した。そして、氷華に向かって右脚で強烈な蹴りを放った。その攻撃が当たれば、氷華どころか地面すら消えてしまう、そう思わせる勢いだった。

 

氷華は、それを青色に輝くシールドを張ることで防いだ。そして、竜が勢いを失ったタイミングでジャンプし、右拳を再び顎に向かってぶつけた。

 

その攻撃に竜はバランスを崩した。そして、そのまま勢いよく地面に倒れた。周りの地面がひび割れ、まるで天変地異が起こったかの様に変わり果てた。

 

 

「今だな!」紅蓮は、斧に紅鎌核を装填した。

 

[最大!最強!最火力!][爆炎撃斧!]斧が炎を纏い、大きな鎌へと姿を変える。

 

「オリャーー!!!!」大きな炎の車輪の様になった紅蓮は倒れている竜に自分ごと回転し振り下ろす。そして、振り下ろしたと同時に大きな爆発が起き、周りを焼き尽くすかの様に炎が広がった。

 

「ウギャァァ!!!!」竜は、痛みに耐えきれず叫ぶ。炎が周りに上がり、それらが身体を包み込む。

 

 

「やったか?」紅蓮と氷華は、竜が炎に包まれる姿を見てそう言った。

 

『…まだだ。』ワードがそう言った直後、竜は再びその足で立ち上がった。しかし、その様子は明らかに以上だった。身体中血管や筋肉が浮かび上がり、頭部からは光が漏れていた。背中からは血が湧き出ているかの様にも見える赤い炎が上がっていた。それは強化された、というよりも秘められていた力が暴走を始めたと言った方がいいだろう。

 

「ウギャァァ!!!!ウォァァ!!!!」

 

「…みんな避けろ!!」ゴンがそう言った直後、竜は口から光を放つ。真っ白だったはずの攻撃は、赤い光も混ざりより強化されていた。直撃を免れたとしても、強い衝撃波が4人を吹き飛ばした。

 

 

その攻撃に土埃が舞い、しばらく周りが見えなくなった。

 

しばらくしてそれが晴れると、竜は再び戦士たちに照準を合わせていた。そして、光を放った。先程までなら、それを放つためにはある程度の周期が必要だった。しかし、暴走状態となった今では、その周期が短くなった。というよりも無くなったと言った方が正しいだろう。

 

「どうする、このまま戦っても勝ち目がないぞ。」紅蓮が言うように、確かにこのままでは相手の強化された攻撃ばかりを避け続けなければならない。

 

「避け続けるのもだいぶキツいわよ。」続けて蒼刃も言う。

 

「…誰かが囮になって敵を引き寄せる。そしてその間に他の誰かが叩くしかないん」氷華が言う。しかし、相手には既に光の効き目が薄い事が分かっており、囮になるのは難しい話だった。

 

「なら俺がそれを引き受ける。」そう名乗りを上げたのはゴンだった。

 

「大丈夫か?」紅蓮が聞く。「…大丈夫だ。」と彼は返した。

 

「行けるか、ワード。」

 

『…もちろん、ワシはお主の無茶を共に乗り越えて来たのじゃからな。誰かを助ける為には無茶を惜しまない…それがお主の良いところじゃ!』

 

[跳躍する速さ…ワード、跳速!]

 

跳速の形に変身したワードは、左手の弓を引いて竜に攻撃をした。

 

「こっちだ!」ゴンは、意を決して翼を羽ばたかせ空へ飛んだ。それに釣られて竜も飛ぶ。竜は光をワードへ次々と放った。ワードはそれを後ろを振り返ることのない華麗な身のこなしで回避して飛んだ。そして、ある程度の高度で竜の方向へ振り返った。

 

『スピードスナイパー!』翠色の矢が竜の左翼を貫いた。しかし、それと同時に竜もまた光を放っていた。その光はワードの左翼を焼き尽くし、飛行能力を失くさせた。

 

片翼を失い墜落するワードに竜は両足の爪で切り裂こうと迫る。

 

[剛力の魂…ワード、剛力!]しかし、それを青のワードが強靭な鎧で防いだ。

右手に持つ剣で竜の左翼を切り裂いた。先程の矢の攻撃もあり、竜はバランスを崩した。そして、そのままワードと共に地面へと墜落する。

 

『マッスルストライク!』剣に青色のエネルギーを纏い、背中から墜落する竜に振り下ろした。腹部に受けた攻撃で墜落速度は増し、勢いよく地面に叩きつけられた。

 

左翼を失い、飛ぶことのできない竜は、ただ立ち上がる事しか出来なかった。しかし、それが戦士たちにとって絶好のチャンスだった。

 

「俺達は、お前達を超える!」[マウントファイア!]まず紅蓮が必殺技を発動させる。

 

「嫉妬の心を自分のプラスにして、」紅蓮は、自分が抱いていたゴンへの嫉妬心の別れと共に脚部の炎をぶつける。

 

「悲しみの心を、押し込めたままにしない…」[マウントガーディアン!]次に氷華が、自分の父親の死と哀を重ね、氷を纏った一撃のキックを貫く。

 

「怒りの心を、落ち着かせ。」[マウントリーフ!]蒼刃は、あの時何もできなかった自分への怒りを省みながら、深緑のエネルギーを纏った蹴りを解き放つ。

 

 

[光芒の如く輝くワード、光芒!]

 

地面に降り立ったワードは、新たな核を使い変身した。光のワード、光芒の形へと…。ゴンとワードは竜を見た。

 

『「喜びの心で、全てを救う。」』『スパーキングダイナマイツ!』ワードとゴンは、光の速度で空へと飛ぶと、右脚を突き出した。人を救う事に喜びを感じていた彼らは、それを再認識し、言葉を助けるという強い思いと共に神を屠る竜へ渾身の一撃を叩き込んだ。

 

 

4人の必殺の一撃を喰らい神を屠る竜は完全に弱っていた。しかし、それでも立ち上がり爪で攻撃しようとした。その時だった。

 

「みんなとの楽しい心を、無くしたくない…またみんなに会いたい!」言葉は、神を屠る竜の中からそう胸のうちを叫んだ。

 

「貴様…やめろ!」喜の叫ぶ声が聞こえた。喜だけじゃない、同じような趣旨の言葉を怒、嫉、楽も叫んでいた。自分達がこの世界を変えたいと、そう願っていた。しかし、その独善は、叶うはずも無く徐々に力を失った。

 

とうとう竜の形はなくなり、言葉だけが地面に倒れた。

 

「言葉!!!!」変身を解いたゴン達が近寄った。そして、ゴンは彼女の身体を起こした。

 

「しっかりしろ、言葉!」ゴンの目には、輝く涙が写っていた。死んでしまったのか、そう感じていた。

 

 

「…そんな大声出さなくても、生きてるよ。」言葉は口をハッキリと開いた。立ち上がる事はできなかったが、はっきりと生きていた。

 

 

「…よかった…よかった…!」ゴンは、感嘆のあまり涙を流した。それに気づいた言葉は、こう声をかけた。

 

「ありがとう…ゴン。」

 

 

 

神を屠る竜によって荒れ果てた大地に、彼ら5人はいた。5人は、長きに渡る性悪党と言操神の戦いに決着をつけた。

 

救いがもたらされた大地を、彼らは歩いていく。その先には、白夜総三の姿があった。彼がいた研究室は当然潰れてしまった。しかし、彼は生きていた。

 

「みんな、ご苦労だった。そして、言葉君、君が無事でよかった。」顔も何も知らないおじさんに突然こんな事を言われ彼女は困惑したが、味方であると感じありがとうございますと言った。

 

「ゴン君、ワードの力を君が手にしていてよかったよ。」総三は、ゴンの方を向いた。

 

「…俺は、俺ができることをしただけです。」

 

ゴンのその顔には、今までにない程の笑顔があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1週間後…

 

世界の危機は去り、俺たちは元の生活に戻ることになる。

 

 

「見舞い、ありがとよ。」

 

市内にある病院に、怪我を負った鉱也さんは入院していた。そこへ勝治が見舞いに来ていた。

 

「元気そうでよかったです。」彼はいう。

 

「俺としては、もう退院したい気分だが…まだ1ヶ月くらいはかかるって…」

 

鉱也は見た目に反して、身体中に包帯が巻かれている。こんなので退院されたら、周りの人が絶対に心配する。

 

「…退院したらどうするんですか?」勝治が聞く。

 

「…そうだな、ジョーカーを辞めて、旅人にでもなろうかな。それも世界を旅する旅人に。大量に貯金があるし、気分転換になるし。」

 

「…いいと思いますよ…」

 

「だろ?」

 

勝治は、時計を見た。自分が来てから既に30分経っていた。

 

「俺、そろそろ行きますね。」そう言ってパイプ椅子から立ち上がり、椅子を片付けた。

 

「待った…最後に一つ。」

 

「なんですか?」鉱也は彼を止めた。

 

「…ライダーの力、お前に任せる。」

 

「…もちろん、俺に任せてください。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、白夜総三が居た大学のある研究室は、何もない空間になっていた。そこには、総三と神楽が居た。

 

「ライダーの力を返す?」総三は彼女に問いかけた。

 

彼女は、マウントドライバーと青葉核を彼に手渡す。

 

「私には、世界を守るよりも、もっとやりたい事があって…。」神楽は総三の目を見る。

 

「それはどんな?」総三は聞く。

 

「…剣道で頂点を極めたいんです。私、ずっと剣道をやってきて…もっと強くなりたいって…ダメですか?」

 

総三は、彼女に笑みを見せる。

 

「仮面ライダーになる事を、強制させるつもりはないよ。むしろ、正直に言ってくれて嬉しいよ。有能な人材を手放すのは少し残念ではあるが。」彼は、ベルトと核を受け取り、ケースに収納した。

 

「…また、君に会える日を楽しみにしているよ。それじゃあ、私は仕事があるので、ここで帰らせてもらうよ。」そう言ってスーツケースと共に部屋を出て行く。

 

「お疲れ様です。」彼女はそう言って見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、今日はどこ行くの?」

 

その頃、大通りをゴンと言葉は歩いていた。言葉はいつものようにゴンとデートができて嬉しかった。ゴンもまた、彼女が元に戻ってとても嬉しい。

 

「たまには、行き当たりばったりでもいいんじゃない?」彼ははそう提案する。彼女はそれに驚いた。しかし、すぐに笑って返す。

 

「それも楽しそうだね。」

 

そう言うと、2人はまた歩き始める。

 

 

 

『…この平和が、一生続いて欲しいのう。ゴンが戦うことのない、平穏な世界が…』

 

 

 

 

 

 

 

 

「寒いな…」

 

刹那は、大学からの帰路に着いていた。バスを降り、冬の寒さに身体を震わす。彼女は左を向いて歩き出す。

 

彼女の前にバスから出た女性もまた、同じように左に曲がる。

 

その時だった。彼女のズボンの右後ろのポケットから、安物の財布がこぼれ落ちた。

 

彼女は、咄嗟にそれを拾った。そして声をかける。

 

「あの、財布を落としましたよ。」

 

女性は、その声に気づき後ろを振り返った。

 

「あっ…ありがとうございます…?」女性は、刹那の顔をじっくり見た。

 

そして、言葉を発する。

 

「もしかして、刹那じゃない?」

 

その声と顔で、刹那もまた彼女が誰であるか気づく。

 

「…風香?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





「一応、念のため見に行ったが、中々やるじゃん、あの連中。」

「そうだな。だが、私としては、康介と一美君、道永のペアには及ばないと思っているがね。」総三は、誰かと電話越しに会話していた。

「…そうか?俺達はそんないいペアじゃない。アイツらの方が上だ。」

「…康介、また何かあったら頼むぞ。」

「それぐらい分かってるよ…父さん。」






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