ワードは、光芒の形で言葉の元へ急いでいた。しかし、そこへまた別の人陰が邪魔をした。
「なんだ…こいつは…」
その人陰は翼を生やし、巨大な体を持っていた。
『光芒では相性が悪そうだのう…』
「だったらこれで!」
[覚醒する神話鳥…ワード、神鳥!]
ワードは、光芒の形から橙色の形態、神鳥の形へと変身する。そして、迫る人陰に巨大なロボットアームを振り下ろす。
その攻撃で逃げようとする人陰をワードは翼で飛び押さえつけた。
そして、そのままロボットアームを振り下ろし撃破した。
『反応が近い、もうすぐじゃ!』
「分かった。」
ゴンは言葉の元へ急いだ。
「ウギャァァ!!!!」
言葉が限界を迎え暴走した神を屠る竜は、街の中にある大通りに陣取っていた。時々雄叫びをあげている姿は、まるで誰かを呼んでいるかのようだった。
その周りには、様々な人陰が竜を守るように囲んでいた。
「言葉!!」そこへ現れたのは、烈火の形に変身したワードだった。
ワードの登場に、人陰達は一斉に動き出す。十数体の人陰はワードへ波のように押しかけた。
彼はそれを炎の槍で薙ぎ払う。弾き飛ばされた人陰は次々と壁や地面に打ち付けられ、人へ戻っていく。
一体の人陰が氷を放った。山寺美月が変異した人陰だ。
その氷を盾で防ぐ。そして必殺技を発動させ、炎を纏った左拳のパンチでその人陰は吹き飛ぶ。
しかし、人陰は次から次へと迫る。ワードの四方八方は人陰に埋め尽くされていた。
「これじゃ、言葉のところに行けない…」
『一体一体倒すのは埒があかない…』ゴンもワードもこの状況に絶望を感じていた。このままではダメだ。そう思った時だった。
[マウントブリザード!]
人陰の背後から次々と氷の斬撃が放たれた。人陰はその攻撃に倒れた。
「刹那さん!!」現れたのは、氷華に変身した刹那だった。彼女は、ワードに言った。
「待たせたな、ゴン。人陰は私に任せろ。お前は彼女を救え!」
氷華はそう言うとベルトに守神核を入れ、氷華護神へと変身した。
「お願いします!」ゴンはそう言うと人陰の間を駆け抜けて神を屠る竜の元へ走り出した。
「いくぞ、哀!」
氷華は、迫る人陰に対して次々と的確に攻撃をしダメージを与えていく。
氷を纏った斬撃は人陰を次々と倒していく。
「ウガァァ!!!!」竜は、ワードがやってきた事に反応して叫んだ。
「言葉…お前の苦しみは、俺が断ち切る!」ワードは、炎を纏った三叉の槍を突き出した。
「ウギャァァ!!!!」竜も口から閃光を放った。その攻撃にワードは盾で防ごうとする。しかし、あまりの勢いで盾が焼かれてしまった。
「盾が!」『余所見をするでない!』ワードの声で、竜の爪の攻撃が迫っている事に気がついた。それを回避するが、その直後にやってきた地響きで倒れてしまった。
「ぐっ…こんなところで終われるか!」ワードは立ち上がると、再び槍を構えた。烈火に燃えるワードは、炎を纏い竜に突撃する。その炎は、竜に対して有効なダメージを与えられると…
しかし、そう上手くはいかなかった。ワードは槍も弾かれ、再び地面に倒された。
武器を失ったワードは、己の拳で立ち上がり、拳に炎を纏った。
「まだだ…俺は!」ゴンは、その炎を竜の胴体にぶつけた。しかし、蹴り飛ばされ地面に転がる。
『無茶じゃ、核を代えよ!』そうワードは言った。
「でも…今ある俺の最大限の力は烈火だ。それを変えたら、戦闘が長引いて言葉が余計苦しむ。そんなのは嫌だ!」
『分かった。ならワシに策を考えさせてくれ…』
ゴンのその言葉に、ワードは言い返せないと感じ、口を閉じた。そして、何かを考え始めた。と言うよりも、策は既に一つしかなかった。しかし、それをする覚悟を決める時間が欲しかった。
「言葉…!」ゴンは我武者羅に拳をぶつける。しかし、それら一つ一つは焼け石に水だった。その度に竜はゴンを振り払い、蹴り飛ばし、閃光を浴びせた。
…だが、彼はそれでも倒れなかった。倒れる訳にはいかなかった。勝治から受け取った烈火核、刹那に周りの人陰を任せている。そして相手の言葉は苦しんでいる。そんな状況で負ける訳にはいかなかった。
「…俺は、俺は聞きたいんだ…!!」
何度目か、ゴンはまたその地に自分の足で立ち上がった。
「あの時…君が言いかけていた言葉を…教えてほしい…。俺はそれを知りたいんだ!
ゴンがそう言ったが、暴走した竜はそんな言葉に気にも留めなかった。
そして口から閃光を再び放った。その攻撃をワードは真正面から受けた…受けてしまったと言った方が正しい。
「ゴン!!」刹那が叫ぶ声が響いた。
そもそも無謀だったのだ。前よりも強化された敵に、一人で挑もうだなんて…
そう誰もが思うだろう…だが、そんな話は彼には通用しない。
彼は、無謀でも戦う。大切な人の為なら、世界の笑顔のためなら…何度でも!
閃光が晴れたそこには、炎に包まれたワードがいた。
炎を身体に纏わせる事で一時的に鎧として使い、光から身を守ったのだ。
「バーニングガイザー!!」
ゴンは、ワード最強の必殺技を発動させた。空へジャンプし両脚を竜に向かって解き放った。爆炎を纏った両脚で竜に特攻する。それが彼にとって最後の賭けだった。
両脚が竜に激突すると、天まで届く炎の柱がその場に湧き上がった。
ワードも竜も巻き込んで。
炎が止んだ時、一つの影が見えた。それはワードのものだった。
しかし、その背後にはまだ暴走が止む気配のない竜の姿もあった。
力を使い果たし、今にも倒れそうなゴン、そこへ竜が右爪で攻撃を仕掛けた。
最早それを避ける術も、防ぐ術もなかった。
それを受けて終わり…そうなる筈だった。
次の瞬間ワードは、紫の矛盾の形へと変身し、盾でなんとか軽傷で済ませた。
「ワード?」
それを操ったのは、ワード本人だった。
『お主、戦いはしばらくワシが引き受ける。その間、休憩がてら覚悟して欲しい…勝つための方法を!』
ワードは、盾で防御しながら矛を巧みに使いこなし竜の身体に次々と攻撃を繰り出す。それがダメージに入ってはいないが…
「勝つための方法って…?」
ゴンが聞く。ワードは、その問いに自分の覚悟と共に話した。
『ワシがお主と完全に一つになるという事じゃ。』ゴンは最初、その言葉の意味が分からなかった。
「俺がワードと?」今も一つじゃないのか、そういう意味も含めて聞いた。
『そうじゃ。今はあくまでお主の身体にワシが居座っている状態。それが、完全に一つになるというだけじゃ。』ゴンは、この時何かあると感じ更に聞いた。
「もしそうなったら、俺達はどうなるの?」
『お主は、ワシの全盛期の頃と同じ力を手にする。そして、その力で神を屠る竜を倒し言葉を救える。じゃが…』前半だけ聞けば、彼にとってこの上なく嬉しい事だった。だが…
『…そのかわり、ワシは力を全て託してしまう事で、意識も消滅する。』その言葉を聞いた瞬間、ゴンは絶対に無理だと拒絶しようとした。今までずっといた自分の片割れのような存在を、犠牲にするなんて…そんな事できないと…
「俺は…ワードが居なくなるのは嫌だ!」
そう泣きそうな声でゴンは言った。
『…消えると言うても、意識だけじゃ。その意識を保っていた力がお主の最強の力となる。』
ワードはそう優しく言った。しかし、それでもゴンは頑なに答えを出そうとしなかった。そのあまりにも彼らしくない態度に、ワードは顔を顰めた。
『お主は言葉を救いたいのではないのか!お主はそんなに腑抜けなのか!』
その言葉に、ゴンは何かに気がついた。と言うよりも、全ての物事の前提を忘れていた。
俺は言葉を救いたいと、
「…ワードはそれでいいのか?」ゴンは聞く。
『お主の為になるのならば大歓迎じゃ。まぁ、こうして会話できなくなるのは残念じゃが…』
ワードは、今までのゴンとの思い出を振り返り、涙が溢れそうになっていた。
『お主は、ワシが今まで共に戦ってきた人間の中で一番心の芯が強く、優しい人間じゃった…そんなお主に力を託せるのに後悔はない。』
ワードはそう言い切った。
竜は、ワードに対して閃光を放った。ワードはそれを空中に飛ぶ事で回避した。
『どうする?全てはお主の意志で決まる。』ワードがそう言うと、ゴンは一呼吸した。
そして、残酷だが希望のある答えを口にした。
「…ワード、力を託してくれ!俺は言葉を救いたい!」
『よく言った。力を託そうぞ!』
そう言うと、突然ワードの体が虹色に光り始めた。そして、ワードが持っている様々な核が空を飛びワードに力を与えていく。
『ワシは…お主のような戦う人が必要ない、平和な世界を見たいのう…』最後にワードはそう言った。
「…なら、俺が実現しよう。その世界を。」ゴンは、ワードに笑顔で答えた。
『ありがとう…』その言葉を最期に彼の心の中にあったワードの心は、消えていった。
それは、その力が完全にゴンのものになったと言う事を示していた。
徐々に湧き上がるその力に周りは風が起き、その勢いで土埃が舞う。
「ウォォォ!!!!」
彼の目の前には、『天獄』『下弦』『無尽』『双翼』の4種類の核が並んでいた。それらの核は、一つに合わさり新たな核を生み出した。
『天下無双』それが新たな核の名前だった。
虹色の光が収まり、ゴンは完全にワードと一つになった。そして、天下無双核を手にした。
「俺は俺の力で救う…救ってみせる!」
[四字核、読み取り!][天下御免、最強無双ワード!天下無双!]
新たな核は、ワードに最強の力を与える。白と銀色を基調としたその身体、身体には白銀のローブがつけられ、より神々しさを増す。矛と盾をそれぞれ象っていた複眼は、整った大きな複眼に変化し、頭部中央には虹色の龍の紋章が現れていた。
これが新たなワード、天下無双の形だ。
[邪剣][機械]二つの核が召喚されると、それらが一つの核となり、新たな武器を生み出した。
[改剣ブライトブレード!]剣の正面に巨大な円板が載せられた大剣をワードが握ると、その円板にワードがこれまで使った5形態の核が並んだ。
ワードはその剣を竜の胴体に斬りつけた。
跳速の速さ、剛力の強さ、光芒の鋭さ、烈火の焼き切る力、そしてそれらを基本である矛盾が支える事で最強の剣となる。
その剣で切り裂かれた竜は初めて悲鳴を上げた。
「これならいける!」
[白鷺][神鳥]今度は二つの鳥の核がワードの背中に吸収された。
すると、背中から虹色に色付けされた巨大な翼が生えた。
そして、その翼で空を飛び、剣を片手に竜の身体を次々と切り裂いていく。
「ウギャァァ!!!!」竜は更に悲鳴を上げた。
地面に着陸したワードは、竜を見た。
竜は最後の攻撃に、再び閃光を放とうとした。
[地層][青葉]
その閃光を、ワードは地層と木の葉でできた巨大な壁で防いで見せた。
竜は、それで完全に力を失ったのか、ふらついていた。
「…これで終わりにしよう。」
[超・必殺、書き込み!][グレートライダーキック!]
ワードは再びその翼で空を飛んだ。そして、両脚を竜に向かって突き出した。
「言葉…!」
[道路]
今まで手にした核がエネルギーとして並び、それが竜への道筋となる。
全てのエネルギーを貫いたワードの脚部は虹色に輝いていた。
それを、神を屠る竜にぶつけた。そして、その蹴りは竜を貫いた。
ワードは、竜がいた方向に振り返った。そこには、天から舞い降りるように、言葉の姿があった。
「言葉!!」ワードは、彼女を受け止めた。
「しっかり!」
彼女は、ゴンの声で目を覚ました。
「…私は…何を?」
言葉は、お姫様抱っこされている自分に驚いていた。
「よかった…もしよければ、さっきの続きを聞かせて欲しい…」ゴンは、そう言葉に聞いた。
「…だから、2人でそれぞれ幸せになろうねって…言おうと思ってたんだ…」
「そうだな…そうなれるといいな。」
皆さんこんにちは、津上幻夢です。仮面ライダーワード最終回までご覧いただきありがとうございます。
ワードのリメイクもまた、最後はかなり変えました。ワードリメイクは、ワードという力が神のものであったり、総三が後半にしか関わらないという点が大きく変わった点ですね。
それはさて置き、今回のワードは20話と前作より短めですが、その分たくさん詰め込むことができたと思います。
津上幻夢の活動期間は、後もう少しで終わりになりそうな気が…そんなだいぶ先のことは今は考えないことにしましょう。今投稿している仮面伝説と津上幻夢をもう少しの間よろしくお願いします。