仮面ライダーワード〜言霊の統率者〜   作:津上幻夢

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第2話 矛盾の存在感

「ワシの眠りを妨げたのは…どいつじゃ。」

 

 

そう言い放った紫色の異形の戦士は、目の前でもがき苦しむ勝治が変身した怪物を見た。

 

「彼奴らの仕業か…」

 

戦士は右手を翳した。そして、『何か』を読み取った。

 

全てを読み切った戦士は、右手に身長程の大きな矛を手に取った。

 

「余程この男に嫉妬していたのか…今すぐその呪縛から解き放ち、正き道へと導いてやろう。」

 

怪物は、遂に暴走を始めた。

 

戦士に向かって走り出し、拳を振りかざす。

 

戦士が左腕の盾を構えその衝撃を完全に防ぐその姿は、巨壁のようだった。

 

びくともしない戦士は、矛を怪物の左肩に突き刺す。

 

 

「終わりじゃ!」

 

『ちょっと待った!』

 

その時、戦士の中からゴンの声が聞こえた。

 

「なんじゃ!せっかくいい所じゃったのに。」

 

『当たり前だ!その一撃で勝治が死ぬかもしれないだろ!!』

 

「大丈夫じゃ、あの小童は感情を暴走させれているだけ。ワシがトドメを刺せば、救える。」

 

ゴンは、しばらく考えると、答えを出した。『頼む、勝治を助けてくれ。』

 

「物分かりが良くて助かる。」

 

その戦士は、腰の『矛盾』の文字を一度上に取り外し、再び嵌め込んだ。そうする事で、戦士の身体全体に力が溢れ出す。

 

[必殺書き込み!]「パラドシカルキック!」

 

再び歯向かってくる怪物を戦士は右脚で蹴り上げた。暴走する感情と勝治を分離させ、分離した感情だけを爆散させる。

手慣れた手つきで地面に倒れそうな彼を左手で軽々と支え、分離した感情を『無』と書かれた核に吸収させた。

 

無が有に転じるように、『無』の核が『烈火』の核へと変貌した。

 

「終わったか。お主、身体を変えそう。」

 

すると、紫色の戦士の姿は素のゴンの姿へと戻っていった。

 

「なんだったんだ…一体。」

 

困惑するゴンを置いていくかの様に、謎の声と戦士は消えていった。

 

 

 

その後、ゴン達4人は捜索に来ていた教員によって救出、勝治を始めとした全員擦り傷程度で済んだ。

どこの怪我をしていない勝治の姿にゴンは驚きしかなかったが、とりあえず健康だからいいかとそのままにした。

 

 

その日の夜、自室であの場所で拾った道具を見ながらスマホを使い様々な古代の遺産を調べた。何か一致するものがあるのではと考えたが、満足する解答は得られなかった。

 

「これは一体なんなんだ…」

 

『お主、先程から触りすぎだぞ。』

 

「またあの声…」

 

先程謎の戦士の時にも聞こえた中性的な声。脳に響くその声の元を探した。

 

『ワシは、お主と共になったのだ。何処を探しても居らぬぞ。』

 

「一つになった…?」

 

『そうじゃ。言霊の統率者、言操神ワードとしてな。』

 

「ワード…あのジョーカーの仮面ライダーみたいな姿の事?」

 

『ジョーカー?仮面ライダー?聞いたことない言葉ばかりじゃ。』

 

 

今、彼の脳内ではあの戦士、ワードが目の前に居た。その目の前に居る者と会話している感覚に陥っている。

 

 

「とにかく…あの昼間の奴はなんなんだ?勝治のあの姿は…」

 

『そう逸るな、選ばれたからには一つづつ教えよう。』

 

「じゃあ、名前は…」

 

『そういえば名乗っていなかったな。我が名は、言操神ワード。言葉を操る神と書く。』

 

ワードと名乗った戦士は、ゴンの顔をマジマジと見た。

 

『お主…確か名は塾屋ゴンと言ったな。其方は何故ワシを見つけたのだ?』

 

「それは、たまたま山で迷った時に見つけた祠で…」

 

『先代が立てたあれか…』

 

「先代?」

 

『ワードは時を超えて受け継がれてある。有名な者といえば、イングランド王国のクロムウェルや日本の徳川家康、アメリカのワシントンじゃな。他にも沢山おるが…』

 

「その話はまた今度聞くよ、歴史詳しくないし。」

 

ゴンは目的から外れそうになったため、強制的に終わらせた。

 

「あの勝治の怪物の姿ってなんなんだ?」

 

『あれは人陰。人の奥底に眠る感情をあの様な怪物の姿に変え感情のままに生きる。まさに人の陰を映した怪物じゃ。先程其方の友人が引き出された感情は嫉妬。他にも怒り、哀しみ、喜び、楽しみの計5種類がある。』

 

「怪物化した人間はどうなるんだ?」

 

『怪物になった人間は、ワシの力を使って封印しなければあのまま死んでいく。つまり、ワシのワードの力で有れば人陰を元の人の姿に還すことができる。』

 

「つまり、俺じゃなきゃ助けられないってこと?」

 

『そういうことじゃな…』

 

その時、ワードは言葉を詰まらせた。

 

「どうしたんだ?」

 

『人陰じゃ、それもかなり近い。』

 

 

 

ワードの言った通り、彼の家の近くの路地で所々身体が燃えている男がいた。彼はゴンと同じ常盤高校の制服を着ていた…

 

 

「いた!彼は確か同じクラスの玄地…なんで?」

 

「塾屋…殺す!!」

 

『お主、ワシと代われ!』

 

玄地は緑の炎の怪物へと姿を変えた。緑の炎がゴンの左肩スレスレに迫る。普通の人間なら避けられないその一撃を、神の力を宿したゴンはまさに神の所業で交わした。

 

『ワシの身体に傷つけようだなんて烏滸がましい…』

 

ベルトを出現させ、右手には矛盾核を持っているゴン…ワードは怪物を見た。

 

『変身』

 

[核、読み取り][矛盾する運命…ワード、矛盾!]

 

核が嵌め込まれたベルトは紫の光を放つ。力を読み取り、それを放出し鎧に変える。左腕の盾と右腕の矛、紫の身体に翠の二つの複眼が夜の闇に現れた。

 

『奴は怒りの感情に飲まれたか…それもお主へのな。』

 

「俺に…」

 

『どうやら、いつも仲良くしているお主の幼馴染の女をお主が独占している事に苛立っている様じゃ。』

 

言葉をゴンは思い浮かべた。確かに彼女は見た目だけはいい女の子だ。

 

「勝治に続いて玄地も俺への感情で…ワード、言いたい事は分かるよな。」

 

『そうじゃな。其方の級友、止めて見せようとではないか。』

 

再び怪物は緑の炎の拳をぶつけた。ワードはその攻撃を盾で受け止め、核の力を最大限に引き出した。必殺技の発動だ。

 

[必殺書き込み!]『パラドシカルランサー!』

 

盾で攻撃を耐え、紫の光を放つ矛を怪物の脇腹に突き刺した。

 

 

 

「これで一件落着だな。」

 

変身を解いたゴンは、玄地から得た核、跳速と書かれた核を見た。

 

『やはり、お主を選んで正解じゃった。素質は十分にある。』

 

「そう、ありがとう。」

 

ワードの意識が徐々に薄れていく様な感覚がした。

 

『ワシは常にお主と共にある。だから何をやってもワシには筒抜けじゃぞ。』

 

「えっ、それってお風呂やトイレも一緒なの!」

 

『大丈夫じゃ、神に性別なんぞない。』

 

「いや、そう言う事じゃないから!!!!」

 

 

 

こうしてワードは青年の元、再び現世へと蘇った。最後の聖戦の為に…

 

 

 

 

 

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