仮面ライダーワード〜言霊の統率者〜   作:津上幻夢

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第3話 遭難の白昼夢

「うあああっ!!!!!」

 

 

あの山で、俺は叫んでいた…なんでかは分からない。ただ、何か心の奥底のものを駆り立てるような気がした。その獣の咆哮のようなものは、目の前の人影が見ていた。

 

紫の戦士…一体誰なんだ…

 

 

 

 

 

「はぁ…またあの夢か…」

 

あの遭難しそうになった日、俺は変な夢を見ていた。獣のように暴れ回る俺を、誰かが止める夢を…あの紫の戦士が止める夢を…

 

 

毎日見るわけではないが、1週間に3、4回くらい見る。正直、あれがなんなのかは分からない…

 

 

 

 

 

「あー畜生!また負けた…」

 

俺は漢字の小テストを返却された。50点満点で42点。ゴンは48点だった。

 

「また俺が勝っちゃったね。」

 

満遍の笑みでその台詞…殴りたくなってくる。その衝動を抑え、俺はテストをしまった。

 

またこれだ。俺は今まで自分の得意分野、走る事と社会科目以外では一度も勝ったことがない…どれだけ努力しても勝てない、悔しい以外の何者でもない。

 

でも、何故か前みたいな気分が完全に下がり切る感覚にはならなかった。何故か次こそは勝つという決意がじわじわと滲み出ていた。

 

きっとあの夢のせいか…

 

 

 

 

「勝治。」

 

その時、俺の後ろから冷たいものが首筋に当たり、背筋が本当に凍りそうになり悲鳴を上げた。

 

「神楽か…驚かせるなよ。」

 

「あら、テストでまたゴンに負けた君にラーメンを奢ってあげようと思ってね。」

 

「ああ、ありがとう。集合はいつものでいいか?」

 

いつもの、部活終わりに校門でという意味だ。

俺達はよくラーメンを食べに行く。だいたい、俺に何かあった時か彼女に何かあった時に、互いに奢りあって。恐らく今回も小テストの慰め、だろうな。

 

 

 

 

「ゴン、一緒に帰ろ。」

 

同刻、言葉はゴンと共に帰ろうと誘っていた。ゴンは快く頷き、教室を後にした。

 

「そういえば、最近ゴン何か変わった?」

 

帰り道、言葉はさりげなくその事を話したが、ゴンにとっては鳥肌ものだった。自分がワードと融合したのがばれたのか…そう思った。

 

「い、いやー特に変わってないかなー」

 

「ふーん、なんか恋人でもできたの?」

 

「えっ…」

 

俺はその問いかけに半分正解じゃないかという事を思った…が、彼女はそれをすぐに訂正した。

 

「そんなわけないか…ゴンには昔から大好きな『フウカさん』って人がいるんだからね。」

 

「フウカさんは…」

 

フウカさん、ゴンが小学校低学年の頃、何度か遊んだことのある年上の女の子だ。ある日を境にパタリと会わなくなった…というより会えなくなった。毎日顔を合わせていたのに、突然会えなくなって…

 

「ほーら、また寂しそうな顔してる。」

 

言葉が俺を現世に呼び戻した。やっぱり、あの人の事は忘れるべきなのか…

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせ、勝治。」

 

校門前で待っていた勝治の前に部活を終えた神楽がやってきた。ほのかに汗の匂いがする。彼はその匂いが好きだった。変な意味とかではなく、いろんなことに毎日手を抜かず本気でやっていると伝わってきてこっちまで頑張れる気になれるからだ。勝治は全力で物事に取り組むことが大好きだ。だからそういうものに敏感なのだ。

 

「行こうか。」

 

 

2人は、夕日が殆ど見えない空の下、駅の近くにあるラーメン店まで歩いた。

そこのラーメン屋は、2人は常連でこうして仲良くなったのもここでたまたま出会ったからという理由だ。2人はここの名物エレメンタルラーメンが大好きだ。

エレメンタルラーメンとは、ラーメンに入っているありとあらゆる具材が五大元素のようだからそんな名前が付いている。

 

 

その2人が行こうとしているラーメン屋には、サムライ風の男、怒の姿があった。

彼は丁寧な仕草でラーメンを食し、スープまで飲み干した。

 

「あんた、いい食いっぷりだね。」

 

「そうか。」

 

店主の会話を簡単に返した怒は、金をラーメンの値段丁度を出した。

 

「520円ね。」

 

「ああ、それともう一つ。」

 

「なんだい?」

 

「お前、目の前の工事業者に怒りがあるだろ?」

 

店主はその言葉にはぁ?というふうに顔に出した。

 

「もうすぐそいつらがくる。その『怒り』ぶつけてもらおうか。」

 

店主は、怒に渡された小銭を触ると、突然苦しみ出した。そして身体の各部から青い炎が現れた。

 

怒が店を出るのと同時にその工事業者達が4、5人で入店してきた。

 

 

 

 

 

 

 

「もうすぐだな。」

 

勝治と神楽はラーメン屋のすぐ目の前まで来ていた。

 

「出て行け!!」

 

その時、引き戸の扉をぶち破り、作業着をきた男が4、5人一斉に投げ飛ばされていた。

 

「なんだよ、突然!」

 

「お前達の工事のせいで音はうるさいわ、杜撰な物の管理で道に落下してきて通行人が危険な目に遭うわ…そのせいでここの客足が先月より減ってるんだよ!許せない…絶対に!!!!」

 

その時、青い炎を被ったラーメン店主が現れた。その身体は、炎が完全に体を覆い隠すのと同時に、怪物の姿へと変わった。

 

「なんだよあれ!」

 

勝治は叫んだ。しかし、神楽には驚く様子は無かったが、額には大量の汗が噴き出ていた。

 

「どうすりゃあいいんだよ…」

 

勝治はそう迷っていた…その時だった。

 

2人を飛び越えるように何かが横切った。

 

そして、目の前に立ち、怪人を見た。

 

その姿に勝治は見覚えがあった。あの夢の中で自分と戦った戦士だと。

 

「早く逃げるのじゃ。」

 

その容姿からは想像し難い声で2人に逃げるよう催促した。

 

彼はそれにとりあえず従い、その場を後にした。

 

「さて、一瞬で終わらせよう。」

 

核の力を放出させたワードは、その力を矛先に溜めた。

 

[必殺書き込み!]「パラドシカルランサー!」

 

矛先は、怪物を一瞬で貫き、ラーメン店主の姿へと戻した。

 

無だったその核には『剛力』の文字が刻み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また、あの戦士だ。」「ゴン…一体あれはなんなの…」

 

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