仮面ライダーワード〜言霊の統率者〜   作:津上幻夢

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第6話 怪力の豪剣士

「よおゴン!」朝、片名勝治はいつも通り塾屋ゴンに声をかけた。

 

「あ、おはよう。」いつもならおはようと返すゴン。しかし、今日は答える前に数秒の間があった。

 

ゴンはそのまま教室の自分の席に座った。

 

勝治は首を傾げながら自分の席に座った。

 

「勝治が考え事だなんて珍しいわね。」

 

隣の席の万葉神楽が珍しい姿を見せる彼に聞いた。

 

「いや、あいつ最近なんか雰囲気変わった気がするんだよな。」

 

「雰囲気が変わった?」

 

神楽は一瞬、ワードのことかと思い身構えた。ワードの事は何がなんでも隠せと彼に言われているからだ。

 

「ああ、なんか学園祭の後から上の空って感じで。もしかして一目惚れとかか?」

 

「さぁ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「って事があったんだけど。」

 

昼休み、神楽はゴンを連れて屋上で弁当を食べていた。

 

「へぇ…」ゴンは生返事で返す。

 

「へぇって貴方ね…自分のそう言う事言われて嫌って思わないの?」

 

「だって、事実だし。」ゴンはそう呟いた。確かに学園祭の日、自分の初恋の人物と再会した…

 

「事実なら確かに嫌って言わないわね…え?」神楽は固まった。驚きの表情でゴンを見る。

 

「って言っても小学生の頃の話。『フウカ』って言う人なんだけど、年上の人で仲良くしてくれたんだ。でも、ある日を境に連絡が取れなくなって…」

 

「そんな事が…」

 

 

 

 

 

 

その様子を、扉の陰から勝治と言葉が見ていた。

 

「まさか…そんな訳。」言葉が怒りを込めて呟いた。

 

「そんな訳って?」勝治が聞き返す。

 

「あの2人が付き合ってるってことよ!そんな事実許さない!!」

 

「あの2人が…確かに、お似合いかもな…」

 

正直、悔しかった。口ではそうなんとでも言えるが。そう勝治は思った。何故だが分からないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても、ここ最近人陰の事件が増えたわね。」部活のない神楽はゴンと帰っていた。

 

「そうだね。ワードの復活と関係があるのか?」ゴンはワードに聞く。

 

『恐らく、ワシが復活したことで彼奴等は警戒しておるのだろう。』脳内でワードが答える。

 

「ワードを警戒して…」

 

「それなら、確かに納得だわ。敵が再び現れたのなら誰だって警戒するしね。」

 

 

「警戒って何に?」

 

その時、2人の後ろに誰かが近寄った。

恐る恐る振り返ると、そこには目を斜めに吊り上げている言葉の姿があった。

 

「げ!言葉!」

 

「何よ!2人してイチャイチャしちゃって!許さないわよ!」

 

「え、違うよ!」

 

ゴンは詰め寄ってくる言葉に驚き上手く言葉を返せない。

 

「しょうがない…ゴン。本当のこと話すよ。」神楽が口を開いた。

 

「実は…」

 

「ダメだ!言っちゃダメだ!!」ゴンが叫ぶが神楽はやめない。

 

「私達、今度貴女の誕生日にサプライズしようと思って…それで警戒されない様にって話をしてたのよ。」

 

 

 

 

「なーんだ!そう言うことか!よかったよかった!!」言葉は先程の怒りを忘れてすっかり笑顔になっていた。

 

「バレるかと思った…」ゴンとワードはこの一瞬で疲れ果て倒れそうになった。

 

 

 

言葉は、ありもしない誕生日サプライズを知ってしまった謝罪に2人に流行りのパフェを奢った。ゴンはチョコ系、言葉は生クリーム系、神楽はいちご系のパフェを頼んだ。

 

街中を歩きながら、彼らはパフェを頬張った。

 

 

 

 

 

 

 

「そうだな…どの人間にしようか…」

 

ゴン達がすぐそこにいる街の一角で怒は標的を探していた。目立つ黒のサムライ姿は、周りの人間達が目を惹くほどだった。

 

「…この時代は歩きづらいな。」そう呟いた時、人が騒ぐ声がした。

 

その方向を見ると、少年がゲームソフト数本を手に持ち走っていた。その後ろには、ゲームショップの店員であろう人物が追いかけていた。

 

「待ちなさい!その子ども捕まえろ!万引きだ!」

 

その少年は真っ直ぐ怒の方へと走ってきた。

 

「丁度いい。」

 

怒は、タイミングよく迫る少年の腕を軽々と掴み上げた。

 

「おじさん!離せよ!」少年が騒ぐ。

 

「そうだよな。俺が捕まえなければ万引き犯にならないからな…もっと怒れ!」怒は自身の力を少年に流し込む。

 

「その『怒り』、俺の為に使え!」力を流し込まれた少年は、徐々に身体を変化させ、ロボット玩具の様な見た目へと変化した。

 

その姿を見た通行人は叫び、逃げ始めた。

 

 

その叫びはゴン達の元にすぐ様届いた。

 

「何?」言葉が振り返る。

 

「俺行ってくる、言葉と神楽は安全な所へ。」ゴンはそう言いながら走り出す。

 

「分かった。」神楽は走り去るその背中を見ながら頷く。

 

 

 

ゴンは変身しながら現場へと急ぐ。

 

 

『場所は近い!』ワードがそう言った途端、目の前に銀色のブリキのおもちゃの様なロボットが暴れていた。

 

「あれは…おもちゃ?」ゴンは想像とは違う見た目に驚いた。

 

『いや、人陰じゃ。しかし意志が弱い。すぐ様倒す。』ワードは的確に分析し、核をドライバーに再装填した。

 

[必殺書き込み!]『パラドシカルランサー!』槍にエネルギーを纏わせたその一撃は、一瞬にして人陰の身体を貫く。

 

ワードは核を吸収し、少年は元の姿に戻った。彼から作り出された核は機械だった。

 

『あっけないな。』そうワードが呟いた時、後ろに誰かがいる事が分かった。

 

「久しいな、ワード。」

 

『その力強さは相変わらずじゃな、怒。』ワードの背後には、怒の姿があった。彼は腰に帯刀している刀を左手で触っていた。

 

「また、地獄へ送ってやろうか?」

 

『怒、ワシに抗う者こそ、地獄がふさわしい。』ワードは再び槍を構え直した。

 

「言ってくれるじゃないか。なら本気で戦おう。怒り…抜刀!」

 

怒はそう声を出すと右手で刀を引き抜いた。妖刀怒鬼と呼ばれる紅い炎を纏ったその刀から力が湧き出す。

怒はその身の筋肉を隆起させ、強張っている顔はより厳つく変化させ、赤くなる肌を見せた。

 

「なんだ…あれは?」ゴンはそう言う。

 

『あれは怒の真の姿。怒はその名の通り怒りを操る者。』

 

「いざ…参る!」怒は、妖刀を前に突き出し迫る。ワードはそれを盾で抑える。

 

「すごいパワーだ。」『やはり矛盾では力不足か…』ワード達は口を揃えてそう言う間にも怒は迫る。

 

「余所見をするな!本気で斬る!」

 

怒はワードに妖刀を再び振り下ろす。ワードはそれをギリギリのところで回避し、後方へと下がる。

 

『何か打開策は…』ワードは考える。矛盾では太刀打ちできない。跳速でも敵うわけない…

 

「力が有ればいいんだろ。なら、『剛力』がいいんじゃないのか?」

 

剛力核、ラーメン屋の店主の怒りから作り出したあの力。ワードはそれなら見込みがあると矛盾核を引き抜き、剛力核を構えた。

 

ワードライバーにそれをセットした。

 

[核、読み取り][剛力の魂…ワード、剛力!]

 

ワードの身体は、紫から青へと変化する。装備の大きさが一気に巨大化、頭部には四角い兜が装着され、そこから翠の眼が現れる。

 

両脚には、脛当てが装備され、完全なパワータイプの戦士が現れる。盾は消失し、右手に持っていた矛は形を変えて剣になる。まさに「怪力の豪剣士」、ワード剛力の形だ。

 

「姿を変えたところで変わらん!」

 

怒はワードに妖刀を振り下ろした。しかし、それは鎧に弾かれ、甲高い金属音を出した。

 

「なんだと?」

 

『ワシの力を甘く見るでない。』ワードは右手の剣で動揺する怒の左腕を斬りつける。重い一撃を振り下ろされた怒は後退する。

 

「今日は…この辺りにしておいた方がいいか…」

 

そう言うと、怒は姿を消した。

 

 

『逃げたか…』

 

ワードは剛力核を引き抜き、ゴンの姿に戻った。

 

 

 

 

 

その様子を、先日会った茶髪の女は見ていた。その傍らには、2m近い身長の大男が立っている。

 

「あれがワード、塾屋ゴン。」

 

「…どれだけ強くなるか楽しみだぜ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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