仮面ライダーワード〜言霊の統率者〜   作:津上幻夢

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第7話 氷華の新戦士

夜の廃工場、そこには一体の金色の人陰が呻き声を上げながら暴れていた。目的もなく暴走している獣はいつ人を襲ってもおかしくない、そんな様子だ。

 

 

「そこまでよ…」

 

その時、暗闇の中から青いバイザーを光らせた戦士が声を出した。徐々に現れたその姿、ワードとは違い頭部は三本の氷柱の様な飾りが生え、全身をアーマーで覆っている。彼女は、金色に光る剣先を下に向けいつでも切り掛かれる様にしていた。胸アーマーには、目立つ様に『氷河』と襷の様に斜めに描かれている。腰には、ワードライバーとは違う新たなドライバー『マウントドライバー』は、『氷河』という字を横向きに装填し、氷山の様な見た目をしている。

 

「はあっ!!」

 

その戦士は、人陰を一刀両断、倒れたところに銀色の核の様なものを押し当てた。それはワードが力を抜き取るのと同じ要領で力を吸収、『地層』という時を形作った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は、このままでいいのか…」そう汚れひとつない天井を見上げながら呟いた。それには大きな理由があった。

 

徐々に力を取り戻し、強くなっていくワード。昨日も幹部を新たな力で撃退し、勝利に近いところまで押し通した。しかし、それはワードが強いからであって、自分の強さではない…そう思うと、俺は何故この力を持っているのだろうとどんどん沼にハマっていった。

 

『お主が強いから、ワシは新たな言霊を使えるのじゃ。』そうワードは気にかけ言ってくれるが結局、自分が強くなければ変わらない…そう遠回しに言われている様な気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、日曜日だからか起きるのが憂鬱だった。だが、それを許さない者もいた。

 

「ゴン!!いるんでしょ!!遊ぼう!!」

 

インターホン越しに脳に嫌というほど響く声を上げていたのは言葉だった。彼は、ベッドから重い身体を起こし、彼女がやってきたから2分から3分後にようやく玄関を開けた。

 

「なんだよ日曜日の朝から…母さんがいないからまだいいけど。」

 

この日彼の母は隣の町へ友人と一緒に買い物に行っていた為居なかった。そう言うと彼女は「知っててやった。どうせ起きてないだろうし、起きていても暇なんだから遊んであげようと思った。」などと言われた。これを見知らぬ人にやられたら怒り心頭だ。だが、その怒りを諦めに変え、中へと招き入れた。

 

2人は、生まれてから…というより互いにお腹の中にいた頃からの付き合いだった。親が仲良くなり、必然的に子も仲良くなった。それだけだ…だがそれだけだからこそ、互いに気を許し合い、こうして休みの日に突撃されても中に入れている。

 

 

「朝ご飯作ってあげる。」そう言って彼女は冷蔵庫の中から色々取り出し、即席で作ってせしめた。三色バランス良く、非常に健康的なその朝食を見ると、「料理だけは才能があるな。」と思った。

 

 

食べ終えた彼は、いつもの服に着替え、昨日剃り忘れた乱れた髭を剃った。

「今日は何する?」彼女は眩しい笑みを浮かべながら聞く。

 

「そうだな…久々に外にでも出かけるか。」どうせ家の中にいてもやる事が限られる…それならいっそのこと外に出たほうがいい、それが彼の判断だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「知らないうちにワードと戦い、敗北して帰ってくるとは…まさに馬鹿ね。」

 

嫉は左腕の切り傷を抑えながら疲れを癒している怒を見て失笑していた。

 

「笑いたければ笑うがいい。負けは事実だからな。」怒はヤケ気味に答える。

 

「ところで、楽はどこへ。」哀がそう2人に聞く。

 

「彼も前にワードに負けた事で逃げたのでしょう…」

 

その時、近くで大きな爆発が起きた。その場所は大通り、事故でもない限り爆発は起きないところだ。

 

「どうやら、違うみたいですね。」3人はその爆発は彼が作り出した物だと感じ取った。

 

 

 

 

 

 

 

「車を集める事で楽しみを得る、面白いね。」

 

そう言いながら、彼は現場を見下ろしていた。

 

彼が新たに作り出した人陰は、全身が道路の様になっており、身体中には模型ほどの大きさの様々な標識が立っている。

 

「あれも…それもこれも、全部俺の車だ!!!!」人陰に変身した人物は、捻じ曲げられた楽しみを疑いもせず楽しんでいた。好みの会社、車種、色の車は丁寧に積み上げ、それ以外は捨てるかの如く周りの建物や道路に叩きつける。まさに残虐そのものだ。

 

 

その様子をゴンと言葉は見ていた。

 

「何あれ…」絶句する言葉、そこへ人陰の投げた車が一台飛んでくるのが見えた。

 

「嫌!!」恐怖で足がすくむ彼女は、ただ恐怖の悲鳴をあげるしかなかった。

 

「バレても文句言わないでくれよ…変身!」小声でゴンはワードを呼び起こした。矛盾の形に変身したワードは盾で車を押さえた。言葉は、目を見開き、目の前の超人に口をぽかんと開けながら見ていた。

 

「大丈夫か、お主。」ワードは車を下ろすと、中に放心状態で座っている運転手の男を外に出し、言葉に彼と逃げる様指示、そのまま戦場に向かった。

 

「…あのヒーロー…すごい。」そう呟きながら怪我人と共にその場を後にした。

 

 

 

 

『どうやらバレなかったみたいだな。』

 

「その様じゃな。」そう呟きながら人陰に立ち向かう。

 

「お前が噂のワードか、俺のコレクションを邪魔する悪党め!」そういうと人陰は左肩に生えている『止まれ』の表紙を引き抜いた。その標識は、引き抜かれたことにより本物と同じくらいの大きさとなり、大きなハンマーの様になった。

 

「変わった武器の形だな。」

 

人陰は、標識をワードのもとに振り下ろした。その標識は、ワードの盾に激突、そのままワードに強い衝撃を与えた。

 

「盾が…」それを受け止めた盾は、半壊し使い物にならない板と化した。

 

『そんな…』心の中でゴンはそう呟いた。

 

その言葉に比例するかの如く、ワードの力は徐々になくなっていく。

 

「何故だ…ゴン、何かあったのか。」

 

気づけば立ち上がることすら困難になる程までになっていたワードに強力な人陰の攻撃が降りかかった。

 

地面に倒れたワードは、再び立ち上がろうと試みるも動かない。

 

『こうなったら…剛力を…』ゴンはそうワードに言うが、

 

「今剛力を使えば、力不足で絶対に制御できない、危険すぎる。」

 

『じゃあどうしろって言うんだよ…』ゴンは、心の中で叫んだ。

 

 

 

 

 

「言操神としてかつては信仰されたワードもここまでとは…」

 

その時、後ろから女性の声が聞こえた。それと同時に2人分の足音も。

 

「そう厳しいこと言うなよ。誰だってへこたれる時ぐらいあるだろ。」

 

その足音はワードを横切り、前にたった。

 

「そういう時こそ助け合いってもんよ。」

 

ワードが顔を上げたその先には、氷の様な戦士(昨晩の戦士)と、金色に輝く巨体の戦士がいた。

 

「ワードさんよ、そこで休んでな。」金色の方はいう。その戦士の腰には、氷の戦士と同じベルトに『地層』の文字が入っている。

 

「無駄話はそこまでにしろ…『地装』。」氷の戦士はそう厳しい視線を向ける。

 

「分かったよ…『氷華』の嬢ちゃん。」金色の戦士…地装はそう答えた。

 

氷華は、逆手に持った剣を構えながら人陰に迫る。人陰はそれに応撃しようと再び武器を振り上げた。しかし、彼女はそれを狙ったのか、敵の懐に侵入、脇腹を切りつけた。

 

左足で蹴り上げ、人陰は初めて地に膝をつけた。

 

「俺も忘れんなよ!」

 

「何!」

 

地装は、両手で持ったハンマーを使って人陰の腹部に会心の一撃を見舞った。それにより、人陰の身体にヒビが入り、一気に限界が来た。

 

「私が決める。」そう言うと、ベルトのにハマっている横向きの核を縦向きにした。

 

[マウントブリザード!]ワード自身が叫ぶ必殺技とは対照的に氷華の必殺技音声は心のない機械によって叫ばれた。

 

強烈な冷気と共に人陰の身体は路面凍結したかの様になった。

 

そして、氷華は前に走りながらジャンプ、そのまま右足を突き出し渾身の蹴りを打ちつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

力を失った人陰、氷華は力を吸収し元の人間に戻した。道路の力を使わされていた元の人間は比較的若く好印象を持つ様な人だった。

 

ワードは再び立ち上がり、氷華を見つめていた。

 

「貴方の時代は終わりよ。」そう氷華は言い残すと、その場を後にした。

 

その様子をゴンとワードはじっと見つめていた。

 

 

変身を解いたゴンの後ろには、地装の姿もあった。

 

「氷華の嬢ちゃんはああ言ってるけど気にすんなよ、ワードさんよ。」

 

「わっ!びっくりした…」いきなり声をかけられたことに彼は驚いた。

 

「悪い悪い…」そう言うと地装はコアを引き抜き、変身を解いた。

 

「俺は風土鉱也だ。よろしく、ワードの坊主。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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