世界オカルト連合"転生者”事件簿   作:ryanzi

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オリキャラも登場します。ご了承ください


灰色の中の休息

「・・・ここは?」

 

Last and First Manは灰色の部屋で目を覚ました。

灰色、というのはその場の正確な表現ではないだろう。

ただ、そんな印象を受けたのだ。

これなら、まだ彼の部屋の方が彩りがあるかもしれない。

部屋に少女が入ってきた。

 

「ようやく起きたの、おじさん?」

 

「・・・俺に何があった?」

 

「ノイズの大群を殲滅した疲労で倒れてたよ」

 

思い出した。戦記絶唱シンフォギアのストーリーラインの一つに来たのだ。

そこで転生者にさっそく会敵したのだが、逃げられてしまった。

そいつはノイズを大量に召喚しやがったのだ。

まあ、GOCの邪径技術であれば、ノイズも殲滅可能だ。

だが、いかんせん数が多すぎた。

こういった事態には慣れっこなので死ぬことはなかったが、神経を消耗する。

最近、働きづめだったのも影響しただろう。

そして、目の前の少女は立花響だろう。

別のストーリーラインで見かけたことだけはあった。

・・・それにしても、ずいぶんと荒んでいるようだが。

 

「ああ・・・そういえばそうだったな」

 

「それで・・・おじさんは国連の人?」

 

彼女はGOC手帳をぽいっとLast and First Manに投げ渡した。

ただの紙の手帳ではない。精密機械も奇跡論も組み込まれた手帳だ。

この手帳が実現したのは、壊れた神の教会のとある一派によるものが大きい。

 

「・・・そうだけど、この世界の国連じゃない。

君はパラレルワールドか並行世界という言葉って聞いたことはあるかい?」

 

「あるけど・・・別の世界の国連からやってきたっていうの?」

 

「そんなもんさ。そして、その下部組織として俺のいる世界オカルト連合(Global Occult Coalition)が存在するんだ。

おっと、この話は秘密にしてくれよ。もう形骸化したけど、五大任務の一つは・・・」

 

隠蔽(Concealment)、でしょ?わかってるって」

 

「そこまで読んでしまったんなら、まあいいか」

 

「それに、話したところで変人扱いで黄色い救急車だよ」

 

「それもそうだな。俺の世界だとそうじゃなくなったけど」

 

窓の外は曇り空で、灰色だった。もうすぐ雨が降りそうだ。

 

「そうじゃなくなったって・・・隠蔽できなかったの?」

 

「俺たちが隠蔽していても、他が隠し通せなかったんだ。

転生者とかいうクソッタレな奴らのせいでな。

そして、奴らの同類がこの世界にもいるんだ。俺はそれを粛清しに来た」

 

そんなLast and First Manの表情を見て、響は何か納得したようだ。

おそらく、また油断して雫に指摘された表情になったのだろうか。

 

「おじさんも何か奪われたの?その左手以外に」

 

彼は驚いて左手を見た。黒い手袋ははめられたままだ。

つまり、彼女は手袋一回外してから、もう一度付けたのだろう。

 

「・・・左手以外にも、たくさん奪われたさ。

家族も、友達も、家も、通っていた保育園か幼稚園も奪われただろうな」

 

「だろうって・・・物心がつく前だったの?」

 

「いや、物心はとっくに付いてた・・・と思う。

もう、何もかもがあやふやなんだ。

ただ、とても暖かったことだけは覚えているんだ。

それが最初の記憶だとは思うんだけどな」

 

そして、その後は・・・

 

「・・・その後は、首が折られた大量の死体の山」

 

「出だしからして最悪じゃん・・・」

 

彼はベッドから立ち上がろうとしたが、ふらついてしまった。

 

「まだ休んでなよ、おじさん。すぐに終わらせなきゃいけない仕事でもないんでしょ?」

 

「・・・まあ、そうだけど。後で色々と書き立てられるかもしれないんだ。

人殺しが女子の家でのうのうと休んでいたとか、そんな感じに。

この前、コンビニで弁当買った時のようにはなりたくないんだよな」

 

「言いたい奴には勝手に言わせておきゃいいじゃん。

そういった奴らの言うことを気にしてたらきりがないよ」

 

彼女は財布をポケットに入れた。

 

「それじゃあ、何か弁当買ってくるから待ってて。

サイレンが鳴っても、心配しなくていいし、外に出ないでね。

出たところで、その体調じゃノイズにも転生者とかにも勝てないでしょ」

 

「・・・わかった」

 

そんな彼女の表情からは、怒りと悲しみの混ざった何かが読み取れた。

それで彼女は納得していたのだ。おそらく、親近感を感じたのだろう。

だが、Last and First Manと違って血には飢えていないようだった。

通信機に着信が入る。

 

「やあ、ラフム!休んでいるところ悪いね!」

 

ラフムというのは、Last and First Manに付けられた渾名だ。

その方が呼びやすいからである。

かけてきたのは、恋昏崎新聞の記者であるイングリッド小林だ。

コンビニで飯を勝ったLast and First Manを報道しやがったルポ記者野郎だ。

あの記事がきっかけで、友人になってしまった。なりたくなかったのに。

 

「次は"人殺し、のうのうとヒロインの家で休む⁉"か。また読ませてもらうよ」

 

「張り合いがないなあ。やめてくれ、とか待ってくれ、とか言ってくれりゃいいのに」

 

「言いたい奴には勝手に言わせておきゃいい、って教えてもらったばっかりなんでね」

 

「なるほど、ある意味彼女らしいというか・・・本題は別なんだよ」

 

「そうかそうか、とっとと話せや」

 

向こう側で相手が泣いているのが聞こえた。面倒だ。

 

「・・・第八特殊重装評価班は知ってるよね」

 

「名前だけはな。あまり詳しいことは知らんが」

 

第八特殊重装評価班 "蘇利古"、謎の多い評価班だ。

彼らだけでなく、特殊重装評価班自体が謎が多いのだが。

主に危険な敵対的実体が多い物語層で展開されることが多い。

最近では、魔法少女まどか☆マギカも活動対象に認められたそうだ。

戦記絶唱シンフォギアはまだ

 

「君、この前、マギレコとかいう物語の子と行動を共にしてたよね?

その子のいたストーリーラインで、第八特殊重装評価班が転生者と会敵したんだ」

 

「それで、どっちが全滅した?」

 

「どっちも死人は出てない。でも、評価班が負けを認めた。

オレンジ・スーツも持ち出したというのに、負けたんだよ」

 

「よっぽど強い転生者なんだな」

 

「そして、文明的で理性的な集団だったそうだ。

彼らはある文書を評価班に渡した。

要約すれば、彼らのいるストーリーラインに対する不干渉だ。

まあ、君たちのことだから・・・」

 

「当然、吞むわけないさ。そんな文書」

 

「だろうね。報道は僕たちだけに独占させてくれよ」

 

「まあ、考えといてやるよ。上司がな」

 

通信を切った後、大きなため息をついた。

また会うことになってしまうかもしれない。

サイレンの音が響く。ノイズが出現したのだろう。

だが、すぐに鎮圧されたと放送される。

そして、どういうわけか任務完了の通知。

響が帰ってきたので、コンビニ弁当を食べながら聞いてみた。

すぐに帰らなくてもいいのだ。

すぐに帰らなくてはいけない場合は強制転移だからだ。

 

「・・・ノイズで転生者が死んだのか?任務が終わったって知らされたんだけど」

 

「ううん、私が殺した。幼馴染だったけど」

 

「おう・・・なんか色々な意味でご愁傷さまだな」

 

「なんかね、曇らせプレイとかいうのしたかったんだって。

すっごくムカついたから、消し炭にしといたよ。隙だらけだったし」

 

「もう忘れたほうがいいさ・・・あと、すまんな。俺の仕事だったのに」

 

「大丈夫だよ、おかげで復讐できたし・・・でも、おじさんの復讐を奪っちゃったかな」

 

「大丈夫、他の世界にもまだまだたくさんいるし」

 

こうしたことは意外と珍しくないのだ。

原作キャラに先を越されるというのはよくあること。

この前の無惨もいい例でもある。

まあ、とくに処罰されることもないし、逆に手柄にもなるのだ。

あくまで、目標は何が何でも転生者に死を与えること。

だが、困ったことが一つあるのだ。

 

人殺し、ヒロインの家でのうのうと休んだ上に、そのヒロインに仕事を丸投げ⁉

 

イングリッド小林だったらやりかねない。

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