インフィニット・ストラトスの物語層。
そのストーリーラインの一つ。
そこには数多の転生者が多く存在していた。
男はその全員が在学しているIS学園を遠くの山から見下ろした。
彼はポケットから赤いボタンを取り出すと、躊躇なく押した。
仕事は一瞬で終わりだ。
かつての学園には、キノコ雲が立ち上がっていた。
そして男は消えていった。
育ての親の一人、エージェント"マドリンガル"の墓前でLast and First Manは手を合わせた。
彼は非公式パンフレットなどを通して、工作員に戦い方を教えていた。
色々な兵器のコツや注意点、敵との戦い方・・・。
彼のおかげで、ヴェール崩壊以前のGOCは強さを保っていたと言っても過言ではない。
そして、今でもGOCは強い。もっと強くなった。
「やあ、ラフム」
花束を抱えた少女が声をかけてきた。
故D.C. al Fineの孫娘、事務次長の一人でもあるD.C. al Fine3世だ。
D.C. al Fineもまた、Last and Firs Manの育ての親の一人だった。
その縁からか、二人は知り合いだった。
「al Fine、久しぶりだな」
「本当に久しぶりだねえ。君の作戦記録は読ませてもらってるよ。
相変わらずどっちつかずというか・・・冷酷なのか慈悲深いのかわからないね」
「仕事はやれてるからいいだろ?」
「まあそりゃそうなんだけどね・・・問題はこれだよ」
彼女は報告書を見せた。
「神を殺したって・・・本当かい?」
「ああ、本当だ。まあ弱かったけどな・・・。
転生者に死ねない呪いをかけていたから、殺したんだ。
というか、個室に仕掛けられたカメラにも証拠はあるだろ?」
自室とはいえ、メンタルチェックのためにもカメラが隠されているのだ。
新人はたいていこのことを知らない。そういうわけで、後で悶死する。
Last and First Manは事前にマドリンガルから予習していて事なきことを得た。
「そうそう、突然ベッドの上に現れた君が映ってたよ。
そして、君、報告書に嘘を書いてただろ?」
彼女はある一節を指さした。
「他の神格を粛清しようとしたら、何者かに妨害された・・・。
少なくとも、君のことをある程度知っている僕からするとありえないわけだよ。
君は記憶にない家族を探そうとして、そして結城友奈に押し戻された、違うかい?」
「・・・正解」
「だと思ったよ。そうじゃなきゃ、記念写真に悪態なんてつくはずないし。
そういうわけで、またいつか減給するからそのつもりで」
「そりゃひでえよ」
彼女は煙草に火をつける。
「・・・それで、あのクソ記者から話は聞いてるだろ?」
「ああ、強い転生者が揃ってるっていうストーリーラインのことか?
もちろん聞いたさ。雫からもまた接触があったし」
「それで君の興味の惹けそうな話があるんだ」
「へえ、どんな話だ?」
「マギアレコードの舞台は神浜市っていうらしいんだ」
まったく関係ないはずの左手に痛みが走った。
Last and First Manは溜息をついた。
「俺が復讐するのは、あくまで転生者だけだ」
「そう言うと思ったよ。だけど、少しは興味を持ってくれただろ?」
彼も煙草に火をつける。
「al Fine、つまりアンタは俺に行ってもらいたいんだろ?マギレコとやらに」
「ご名答!すでに基地はいくつも設置済みだ。
君には、最も最前線の基地に配属してもらうことになるだろう」
「望むところさ」
「あと、他の団体もなんか企んでるって噂だ。
ぜひとも、気を付けてくれよ」
「まあ、いつものことだ」
二人は笑いながら墓地を後にする。
大仕事が二人を待ち構えている。
仕事を終わらせた男は元の世界の拠点・・・恋昏崎に帰還する。
見上げると五行結社と
「やあ、お疲れ。今日は何を使ったんだい?」
男に話しかけてきたのは異常調査事例局トップの米津元帥だ。
「ちょっとした爆弾だ」
「・・・そうか。ちょっとした爆弾か」
GOCのアポーテーションシステムは監視が行き届いている。
米津元帥は中性子爆弾が使われたことをを知っていた。
「さて、俺は次の世界に行くつもりだ」
「おっと、待ってくれ。先ほど、al fineから連絡があった。
君が行きたがっていた、あの世界のことだ」
それを聞いた男は笑った。
怒っているのか悲しんでいるのかよくわからない、血に飢えた表情で。
Last and First Manの表情に、よく似ていた。