担当ウマ娘がダンボールかぶってる   作:徐々に奇妙な冒険

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ウマ娘のレースシーン書くたんびにWikipediaで実際のレース調べてます。ハロンとか芝とかダートとか、ゲームしかしたことないしったかには辛い。


突っ走りマイスター

「もしもし、着きましたよ!」

「あ、おはようございます生芝トレーナー」

「窓の外見てください! すごい光景ですよ!」

 

言われて寝ぼけ眼で車外に目を向けると、眩しい光が俺の網膜にストレートイン。

一瞬目がぁっとなったが、次第に慣れてきて……。

 

「はは……こりゃすげぇ」

 

目の前に広がるのはいっぱいの芝。

とにかく広くてとにかく綺麗。

奥にあるのはコースか……? こんな草原、日本に存在していたなんて。

 

「走りたい……」

 

気づけばあれだけ騒いでいたウマ娘たちが窓に釘付けになっている。

先程ぼそりと呟いた彼女のように、皆走りたい思いでいっぱいなんだろう。

俺とて、こんな映画のような完璧な芝を見せられたら走るなり寝転ぶなりしたくなる。

 

「期待、できますね」

「想像以上っす……ワクワクしてきた」

「僕もです」

 

アークインパクトはいったい何者なんだろう。

こんなところを貸し切りって言ったか? 維持費が大変そうなここを、貸し切り?

最高のバ場状態で、景色が良くって、そんなところで走るウマ娘を一日中見ていられるって……。

 

「夢見たいなとこです……」

「俺、まだ寝てるわけじゃねえよな……?」

 

バスが止まる。

立ちあがろうとした瞬間、ウマ娘たちが説明も聞かずにわっとバスから飛び出した。

そのまま駆けて行ったり、寝転んだり食ったり。思い思いの行動をとっていた。

……待て今芝食ってる奴いなかったか?

 

「僕たちも出ましょう!」

「ちょ、ちょっと荷物が……準備早くないすか?」

「わーい、待て待てー」

「お姉さんも走るー!!」

 

あの二人、もう外に!?

カバン引っ提げてバスの外に出ると、見た目の期待を裏切らない踏みやすさ。

風も心地よいし、こんなところなら定期的に来たいかも……なんて思う。

 

「すごいです! よくわかんないけど……すごい走りやすそう!」

「管理がしっかり行き届いている証拠だな。つっても、俺も芝管理はしたことないけど」

「皆様、奥に見えますが交流会の拠点となる集会所です。まずはそちらで点呼・礼をした後、自由にトレーニングをしていただきます」

「「「「はいっ!!!!」」」」

 

ウマ娘たちがぞろぞろと集会所へ集まる。

ハリボテエレジーの背中を追いつつチラリと後ろをみると、どうやら普通の丘よりも高いところにあるらしい。なるほど、だからこんなに風が抜けるのか。

 

「トレーナーさん?」

「あぁ、うん、今行く!!」

 

ここでハリボテエレジーを一日で鍛え上げる。

ポテンシャルだけはすごいからな。すぐに他のウマ娘に追いつくだろう。

 

「ウマ娘諸君、そしてトレーナーの皆様。この度は交流会の参加、誠に感謝する。……この中には、メイクデビューを終えて自分に自信がついている者やもっと精進せねばと思う者もいるだろう。他のウマ娘も、さらなる高みを目指してここへ集まっているに違いない。だから、今回の交流会で必ず何かを掴んで欲しい。特にウマ娘達は、招待券を賭けて戦い、そして君たちに敗れた者の分まで」

 

えっ、なに招待券って勝ち取るもんなの?

じゃあ生芝トレーナーがさすがと言っていたのも納得だ。アークインパクトから横流しされたゲフンゲフン、直々に招待券をもらうなんて、よっぽどのことがないかぎり無いってことだろうし。

なんだか悪いことした気分。がしかしここは罪悪感は取っ払って全部吸収するぞ! せっかく貰ったんだし。

 

「以上だ。本交流会は三日のスケジュールとなっているが、家の都合や予定がある者は早退しても構わない。タクシーは呼んであるしもちろん料金もこちらが持つ。では、交流会を楽しんで行ってくれ」

 

俺たちもったいなっ。

三日のスケジュールの合宿に招待されたのに都合が悪くて一日で帰りますってバカじゃねぇの?

いや、ハリボテエレジーはやんごとなき理由があるんだと思うよ? けどさ、俺くらいはここに残っても良いんじゃ……ダメか。教師の仕事あるわ。……有給? 有給使っちゃう? っていうかこれトレーナーとしての力を高めるための交流会で、この知識は授業にも使えるんだから学園側から勉強頑張ったね手当とか貰えないかな。

 

「……理事長なら普通にくれそう」

「?」

「あぁいえなんでもないです高砂トレーナー」

「そうですかぁ? よしっじゃあ行きましょう! トレーナーさんちょっと付き合ってくださいよ! 私、ちょっと見たいレースがありまして! それが! 今日! 交流会で見られるらしいんですよ!」

「ほうほう。誰のです?」

「メジロマックイーンちゃんですよ!! メジロマックイーンちゃんの綺麗な走りは一度見てみたくって! ……あ、ハリボテエレジーちゃんですね! どうぞよろしく、高砂って言います! ね、ハリボテエレジーちゃんもどう?」

「えぇっ!? わ、私もいいんですか?」

「遠慮すんなって、お前のために来てんだぞ。なんならメジロマックイーンと一緒に走れるかもな」

「そ、それは恐れ多いですよう!! ……でも、見てみたいです!!」

 

高砂トレーナーが決まりだね、と指を鳴らす。

三人でコースまで移動するとすでにそこには長蛇の列が。

中央に立つはやはりメジロマックイーン。メジロマックイーンの性格からしてずっと芝にいるんだろうなって思ったよ。

 

「次ウララ! ウララが走る!」

「わかりましたわ。こちらへ」

「わたしも! わたしもお願いします!」

「メジロマックイーン! 勝負よ!」

 

ぬ! 名もわからぬウマ娘が多いぞ! 一人知ってるやついたけど!

 

「では……そちらの女性トレーナー、合図をいただけますか?」

「おふっ、私!? えっ、いいの? えへへ……」

「はい。では、この旗を」

 

高砂トレーナー、抜粋される。

メジロマックイーンが構える。他ウマ娘たちも続々と。

高砂トレーナーが旗を大きく掲げ、大仰に振り下ろした!

 

「ッ!」

「!!」

「速い……」

 

先行、ばびゅーんと飛び抜けるメジロマックイーン。

ハルウララが最後尾、他はそこそこといった成績。

メジロマックイーンが突き放す。スパート、早くかけすぎじゃないか?

 

「差は2バ身くらいか」

「どんどん開いて行ってます!」

「やっぱ速いなメジロマックイーン。天才だ」

 

遠く遠くへ行くメジロマックイーンをドローンが追う。

設置されている液晶パネルに上空からの図が映され、その明確な差を俺たちに見せつけた。

 

メジロマックイーンが早すぎて忘れそうになるが、他ウマ娘のレベルもかなり上だ。

アークインパクトの招待券を賭けて戦い無事獲得した者なのだから当たり前だが……ハルウララまで来るとは思わなかったな。

最後尾ではあるけど、あいつはあいつでかなり速くなってない? え? なってない? そう?

 

そして決着は思ったよりも速くつく。

もちろんメジロマックイーンが一着。ハルウララは五着。……五着!? あのハルウララが!? メジロマックイーン相手に!?

 

「いやあ……レベちだな」

「レベち?」

「レベルが違うで略してレベち。……実際メジロマックイーンはすげえだろ。目測だけど5バ身くらい離して勝ったぞ。しかも一回も追い抜かされてない」

 

うん、まず追いつくのは無理だな。

そんな俺の呟きを聞いてハリボテエレジーが不安そうに俺を見上げてきた。

 

「ハァッ、ハァッ……少し、休憩を入れますわ……」

「ほー……早めにスパートをかけたのはミスじゃなくて自分に負荷をかけるトレーニングのためか」

「ふぅ……えぇ。ただレースをするだけでは、頂点は目指せませんもの」

「さすがだなメジロマックイーン」

「はい。その節はどうも」

 

息は荒い。勝負服じゃないからバフがかかってないのだろうか。

にしては速いもんなぁ。ジャージでよくあれだけ走れたもんだよ。体操服でもないのに。

ウマ娘のバフ装備は 勝負服〉体操服〉ジャージ の順。というかそもそもバフがかかるのは体操服だけでジャージは単なるトレーニングウェアなんだよな。

 

「メジロマックイーン。回復したらでいいから、コイツと走って貰えないか?」

「えぇ!?」

「ハリボテエレジー……噂には聞いていましたがその、かなり奇抜な格好ですのね」

「え、えへへ……」

 

褒めてないですわよ。

メジロマックイーンの目が助けを求めるように俺を見た。

気づかないふりをすると諦めたように肩を落とした。

 

「レースをするのは構いませんけど、その大きなマスクで走れますの? ……いえ、メイクデビューでとても速い追い込みをしたと聴きますし、もしかしたら(わたくし)と同じように負荷トレーニングを……?」

「コイツそんな深いこと考えてないぞ」

「えへへ……」

 

褒めてないですわ!!

 

そんな意を感じた。

 

「……ふう。とりあえず、少しは回復しましたわ。始めましょうか」

「いいのか? 万全の状態の方がいいんじゃ」

「万全の状態だとトレーニングの意味がありませんもの」

 

ふふふと笑ってみせるメジロマックイーン。

脚は震え、疲れが見える。がしかし本人は走るという。

多分一番狂ってる。走ることに対して執念がすごい。

 

「いや、万全の方がいいだろう」

「……シンボリルドルフ会長。来てたんですか」

「やあトレーナー君、最近は良く会うな。……メジロマックイーン……私とも勝負をしてくれないか」

「おっと?」

「光栄ですわ」

「それと……あと一人、追加したい。四人でのレースにしたいんだが……」

「構いませんわ。どなたですの?」

 

その時、俺の隣からもう一人ウマ娘が出る。

……正直驚いた。

 

「オグリキャップ……」

 

俺含め三人とも初めましてなはずだ。

 

「シンボリルドルフ会長。オグリキャップは引退したんじゃ?」

「ハリボテエレジーの練習相手としては十分だろう」

「むしろ豪華すぎるくらいなんですが……」

「だが、トレーナー君のその心は?」

「めっちゃワクワクしてます」

 

メジロマックイーン、シンボリルドルフ、オグリキャップ、ハリボテエレジー。

この四人でレースとか、成長以外のなにものにもならない。

 

「ハリボテエレジー、行ってこい」

「!?」

 

隣でガクガクと振動し始める。

そんな不安かね。

 

「どうせ負けるのが確定……とか考えてるんだったら、せめてその背中から何かを学べ。歴史に名を残すウマ娘の走りを間近で目に焼き付けてこい」

「でも……」

「ええい、俺がこのレースをみたいんじゃ!! お前が否と言っても俺が了と言えばレースには出ざるを得ないんだよ! 言ってこぉい!!」

 

背中を軽く押すと、ハリボテエレジーが諦めたように芝へ出る。

メジロマックイーンの体力はこの間に完全に回復していた。なんてやつだ。

会長オグリキャップも準備万端。元からジャージだしな。

 

となれば、俺がやることはただ一つ。

 

『さあ会場のボルテージはマックスでありますアークインパクト主催ウマ娘交流会オリジナルカップ! 実況は俺が勤めます! 異論は認めぬ!』

「え、あ、何してるんですか?」

「作り込んだセットですねぇ。どこから出したんですかね」

『あぁ樹トレーナーいいところに! ささ、解説席へ』

『は〜い』

「樹トレーナー!?」

 

ガタガタと引っ張り出した即席実況席に座り、レースを晒しあげる。

ふふ、一度こういうのやってみたかったんだよな。

 

 

 

『今回のレースはオリジナルカップですが、出場ウマ娘は名馬揃いであります! 一番人気、1番! メジロマックイーン!』

『先程までトレーニングをしていたと聞いています。慣らしは完璧でしょうが、スタミナはどうでしょうかぁ』

 

『二番人気は3番シンボリルドルフ! トレセン学園からの刺客。生徒会長としては知る者も多いでしょうが、その走りやいかに』

『流石にトレーニングは続けているようですが、現役と比べるとかなり劣ってしまうでしょうね』

 

『三番人気は2番オグリキャップ』

『引退からの一時的な復帰です。交流会に備えてのトレーニングをしているという話は聞いていませんが、どうでしょうかぁ』

 

『四番人気、4番ハリボテエレジー。先日ダンボールの全面部を二枚重ねにして強度を上げていました』

『これに関してはまったく意味がわかりません。何かしら狙いがあるのでしょうか』

 

 

 

樹トレーナー、できる男だ。

少し間延びした語尾は出てしまっているが、完全に解説としての役割を果たしている。

うむ、いい兆しぞ。

 

『今回のコースは芝2400。600メートルずつで区切りやすいです』

『特設のコースですから細かいことはナシにしましょうかぁ。上空からのドローンで何が見えるのかに期待です』

『さあ各ウマ娘、位置につきました。合図の旗は高砂トレーナーが握ります。振り下ろされたらスタートです』

 

アイコンタクトすると、高砂トレーナーが旗を振り上げた。

ウマ娘たちが身構える。

そして、高砂トレーナーが腕を───。

 

『スタートしました。出だしは各ウマ娘好調に見えます。先頭を進むのは1番メジロマックイーン。その後をシンボリルドルフ、オグリキャップがぴたりとくっつく。2バ身離れてハリボテエレジー。やはり比べるとスピードに難ありか。……先行、先行、差し、追込の作戦順。っとメジロマックイーンが速くもスパートをかけた!』

『負荷をかけるというトレーニングを忠実にこなしています。今回ばかりは普通に走ってもいいと思いますが……』

『さぁシンボリルドルフ後方からオグリキャップが迫ってきている! 後ろを気にする様子を見せましたシンボリルドルフ、速度を落としている! メジロマックイーンを抜かすことは諦めたかシンボリルドルフ! これはションボリルドルフ案件か!?』

『ションボリ……? しかし、まだ脚を溜めているようにも見えます。なにか企みがあるのでしょうか』

『オグリキャップ! シンボリルドルフを抜いて二位へ! メジロマックイーンとの差はおよそ3バ身! 後方シンボリルドルフとハリボテエレジーとの差は1バ身! あげてきているハリボテエレジー! ここでカーブ! あえなく失速! もう一度速度を上げることはできるのかハリボテエレジー! ……メジロマックイーン、最後のカーブへ差し掛かります。オグリキャップがカーブで速度を落とす。やはり不安が強いか』

 

ハリボテエレジーはこのままじゃ一度も抜かせない。

ここで掛けられなきゃおしまいだぞハリボテエレジーっ……!!

 

───[優勝トロフィー作成キット]───

 

ハリボテエレジーが踏み込んだ。

 

『ハリボテエレジーが速度を上げた!その剛脚で距離を詰める! ハリボテエレジー、シンボリルドルフを抜か……ッ!?』

 

ハリボテエレジーが、抜かせない。

シンボリルドルフが前に立ち、完璧な立ち回りを見せている。

してやられた! 体力を残していたのも失速したのも、諦めたんじゃない!

 

『メジロマックイーンに、届かせないため……』

『トレーナー? 大丈夫ですか?』

 

スピードだけじゃ衝突してそのまま骨折コースだ。

だから、他を寄せ付けないパワーが必要なんだ。

最終直線、ハリボテエレジーは加速して大外周りで全部を引っこ抜く。

でも、意図的に前に立たれたら加速もできやしないんだ。

 

『エレジーッ、揺さぶれ! 内だ!!』

 

実況を放棄して叫ぶ。

樹トレーナーがふうとため息をついた。

 

『駄目ですね』

『ッ、どういうことですか』

『ドローンの映像見てください』

 

ハッと目を向ける。

下からハリボテエレジー、シンボリルドルフ、並んでオグリキャップ、4バ身離れてメジロマックイーン。

……は?

 

オグリキャップが、なぜそこにいる?

 

二人並ばれるともうどうしようもない。

今のハリボテエレジーに、二人の合間を縫う技術はない。

 

『…………』

『じゃあ僕が。残り200Mを切りました、先頭変わらずメジロマックイーン。隊列を変えましてオグリキャップ、シンボリルドルフ、ハリボテエレジーと続きます。そのままゴールイン。メジロマックイーン、最後には4バ身を離してのゴールとなりました』

『…………』

『ハリボテエレジーはパワーが足りませんでしたね。速度やスタミナは本調子ですが、ほかの技術点があまり伸びていませんでした』

『……そう、ですね。シンボリルドルフ会長とオグリキャップがそれを示してくれました。上に登ろうとする姿勢は勇敢ではなく無謀と打ち付けるようです。……これにてアークインパクト主催ウマ娘交流会オリジナルカップは終了となります。ありがとうございました』

 

ハリボテエレジーが目の前で四つん這いになっている。

肩を大きく揺らし、あれだけ外そうとしなかったダンボールをずらしてまで酸素を取り込もうとしていた。

対してメジロマックイーンはそこまでスタミナを消費したようには見えない。シンボリルドルフ会長とオグリキャップも同様に。

 

…………。

 

とてつもない喪失感だ。

いい線は行けると思っていたのに、競るどころか届きもしなかった。

バ群に入ればいやでもこうなる。本番の厳しさを教えてくれたのだろう。

 

「……ハリボテ、エレジー……」

「ごめんなさっ、ごほっ、げほ……負けちゃいました」

「いや……俺のせいだ。悪い」

「……大丈夫です。次は、次こそは」

「次があるとは限りませんわよ」

 

声のするほうを見ずともわかる。

メジロマックイーン。

 

「レースは一度きり。もし(わたくし)がこのレースで引退すると言っていたらどうするつもりでしたの?」

「…………そんな言い方、ないんじゃないか」

「あなたは甘い。今この場の誰よりも甘いですわ。あなたの育てるウマ娘だからとレースを受けたのに……まだ、こんなものでしたのね」

「返す言葉も無い。だがなメジロマックイーン。こいつは素質あるぜ。ただ成長が遅いだけだ」

「その成長の遅さで! ……取り返しのつかないことになったらどうするつもりですの? もしも、もしも脚に怪我でもしたら、成長もできませんわ」

 

メジロマックイーンは泣いている。

俺にはどうしようも無いことだ。

 

「……ハリボテエレジーさん」

「は、はひ……」

「基礎はできています。ですが対応力がまだありません。鍛えてください。ありとあらゆる知識をトレーナーから貰って、鍛えてください。……私は、あなたに期待しています」

「…………はい」

「ハリボテエレジー。この交流会、自主練にしようと思ったけどやめだ。パワーと根性を上げるぞ。目標にするのはゴルシ。……できるな?」

「はい!」

「その意気ですわ。……ふぅっ、少し疲れました。休憩にしますわ」

「悪いな、メジロマックイーン。トレセン学園であったら購買のパフェ奢るわ」

「悪魔ですか? 減量中と知ってのことで?」

「ははは、知らなんだ。……じゃ、代わりの詫びは考えといてくれ」

「はい」

「じゃあな、メジロマックイーン」

「あっ、待ってください!!」

 

息を整えようと歩くハリボテエレジーを追おうと走り出したとき、呼び止められた。

なんだなんだと振り返ると、メジロマックイーンが寂しそうに立っていて。

 

「……ぁ……えと……帰ってきては、くださらないのですか?」

「ちょっと、なんの話かわかんないかな。人違いじゃない?」

 

俺はメジロマックイーンから視線を外し、ハリボテエレジーの元へと駆けた。




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