担当ウマ娘がダンボールかぶってる 作:徐々に奇妙な冒険
生きてますけど受験が終わるまで待て、許せ。
ある日のことである。
ハリボテエレジーのトレーニングは休暇とし、体を休めさせていた。
となるとこの放課後の時間帯、職員室にいる俺は暇になるのである。
ウマ娘の過去のレース動画でも見てようかな、あるいはゲーム配信者系ウマ娘のアーカイブでも見てようか……そう考えていたとき、俺のスマホにLINEのメッセージが来ていた。
なんとはなしに開いてみると、トレーナー同盟……まぁ、同期や親しいトレーナーのグループLINEであった。
R『暇だ』
どの世界でも放課後に業務のないトレーナーは暇らしい。
ハリボテ@獅子『どしたん』
R『いや暇なんよ。これ以上にないってくらい暇』
ぽて、とメッセージを送るとすぐさまに返信が飛んでくる。
あ、既読増えた。
肉men『じゃあトレーニング法でも考えてれば? お題は【肉】』
ハリボテ@獅子『肉ッ! 喰わずにはいられないッ! 食べた分だけスタミナがつく!』
R『そのとき、ふと閃いた! このアイディアは、ライスシャワーとのトレーニングに活かせるかもしれない!』
R『じゃなくてよ』
ハリボテ@獅子『草』
そうかぁ……ライスシャワーも頑張ってんだなぁ……。
ハリボテエレジーの目指すところが天辺な以上、いずれライスシャワーとも戦う機会があるかもしれない。なくとも、併走であったり何かしらで一緒に走らせれば掴めるものはきっとあるはずだ。
肉men『じゃあ何なん?』
R『暇だから担当ウマ娘と結婚した時のこと考えね?』
ハリボテ@獅子『ロリコン』
肉men『通報した』
R『どけっ! 俺はお兄様だぞ! ってかライスはロリじゃない! 高等部だ!』
ハリボテ@獅子『高等部でもお前は教師だから犯罪なんだよなぁ……』
しかし、担当ウマ娘と結婚したときねぇ。
…………。
◇
「はい、トレーナーさん、お味噌汁です」
「ありがとうハリボテエレジー、今日も良い素材のダンボールだな」
「えへへ。今日は結婚記念日じゃないですか。こだわっちゃいました♪」
「ははは、ハリボテエレジーは初心だなぁ!」
◇
……ふむ。
正気か
今でこそだいぶ慣れたけどそれでもやっぱりだいぶおかしいからなあいつ?
それを褒め始めたらダメなんよもう。
肉men『野菜生活は欠かせないな』
R『あぁ……野菜食べようとしないから……』
肉men『にんじんハンバーグのハンバーグ部分にペーストしたにんじん入れてやるんだ……』
R『それはもうにんじんそのものでは?』
肉men『挽肉もあるからセーフ』
肉men『でハリボテっちは?』
俺すか。
ハリボテ@獅子『ビジョンが湧けへんねん』
R『あぁ、サトシの手持ちの』
ハリボテ@獅子『それピジョン』
ハリボテ@獅子『いつの話だよあいつ今は忍者のカエルとか入れてるぞ』
肉men『それもだいぶ昔の話だぞ』
……!?
ならばサトシは今どこに……!?
ポケモンマスターじゃなくて旅が夢になってないかあいつ!?
マサラタウンのサトシのお母さんであるマサラタウンの家のマサラタウンのお母さんがないちゃうよ! マサラタウンで大号泣だよ!
R『でも良いよな、取っ替え引っ替えじゃん』
ハリボテ@獅子『日本には一夫多妻制はございませんので』
肉men『それは法が変われば彼女らを全員娶るという宣言でよろしいか?』
ハリボテ@獅子『悪いけど俺、警察の息子なのよね……』
肉men『関係ないわい』
肉men『考えたら全員娶ったら養うの大変そうだな』
R『子供産んだら養育費もでしょ? できる?』
ハリボテ@獅子『金はあるから赤ちゃんは囲えるぞ』
……何を言ってるんだ俺は。
肉men『赤ちゃんねぇ』
R『俺も養ってほしいなぁ。ウマ娘によしよしされたいお_(┐「ε:)_』
肉men『あっ』
??????
肉野郎はどうしたんだろうか。
肉men『おい待てやめろ』
肉men『あれが来る』
R『???』
ハリボテ@獅子『あれって?』
肉men『Nに決まってんだろが』
肉men『鍵閉めろ』
肉men『油断するなよ』
えぬ???
我々の業界でNといえばナリタタイシンだ。
あー、なんだ? 子供みたいって言われたらブチギレるから?
なんだ、ならまだ脅威には程遠いじゃないか。
それこそスーパークリークでも来ない限りは……。
ハリボテ@獅子『ナリタタイシンなら今日は帰ったぞ』
肉men『スーパークリークに決まってるだろが何言ってんだ』
R『話が見えない』
ハリボテ@獅子『なんでN? Sじゃね?』
肉men『
あっ(思考の強制停止)
あっ(リブート)
あっ……(今後を予測し絶望)
来る……来てしまう……。
数々のウマ娘が、トレーナーがその手と目に墜ちて来た……。
バブみ戦艦オギャリシャスが……!
今もほら、ドアの向こうに……。
コツコツと、靴を鳴らして……!
「…………」
あれ?
気配が消えた?
なぁんだ! 気のせいか!
「こんにちはトレーナーさん」
「…………ッ!?」
ばかな!?
なぜ彼女がここに!?
「この辺りから赤ちゃんの波動を感じたんですが……知ってますか?」
「し、知らない……知らない……!」
「残念です。……それはそうと……」
「ど、どうした……?」
「私最近、溜まってるんです……♡ トレーナーさんなら発散させてくれますよね……♡」
スーパークリークはこんなこと言わない……そんな淫靡な笑みを浮かべない……!
何かがおかしい! なんだ、いつもと何が違う!
…………。
「スーパークリーク……?」
「なんですかぁ?」
「その……お前の腕に抱えられているのはなんだ……?」
「あれ? 忘れてしまったんですか……? タイシンちゃん、可愛そう……」
違う。
俺の知ってるナリタタイシンじゃない。
彼女は、墜ちたりなんかしない!
「……ハッ!?」
「ナリタタイシン!!」
「逃げて! 逃げてトレーッ、もご、もご……!」
「あらあら……良い子は寝る時間でちゅよ……? 暴れちゃダメです……」
「あ……う……」
「ナリタタイシン……? おい……」
「逃げ……あ……」
「ナリタタイシィィィィィィン!!!!」
俺の目の前で、大切なウマ娘が一人墜ちた。
口におしゃぶりを加え、未だに何かをモゴモゴと呟こうとするナリタタイシンをその豊満な胸に抱き、こちらへ歩み寄って来る
あかん……ウチは今から赤ちゃんにされる……。
「トレーナーさん」
俺は、男性なら一度は触れたくなるその肌に。
「トレーナーさん……♡」
生唾を飲み込んでしまいそうになるその母性に。
「トレーナーさん……」
「……ライスシャワーのトレーナーが赤ちゃんになってみたいなって言ってたよ」
仲間を売った。
「わかりました!」
「きっ、消えた……!?」
慌ててスマホを見てみれば、そこにはLINEの通知が死ぬほど入っていた。
どうやら、肉野郎のところへ最初に行ったら「波動のありかを知っているのはハリボテトレーナーだ」と伝えたらしい。殺す。
そして。
R『待って』
R『何かいる』
R『たすけて」
R『誰かがドア叩いてるんだって!』
R『既読無視やめろよ!』
R『頼むって!』
ハリボテ@獅子『抵抗しないほうが楽だ』
肉men『楽園が待っているぞ』
R『見捨てないで』
R『あ』
R『来た』
そして、職員室まで響いてきた、何者か……恐らく男であろう人物の、
「おんぎゃああああああああああ」
という悲鳴。
今この瞬間、トレセン学園に新生児が誕生した。