誕生日プレゼントが魔法少女だったんだが 作:段ボールのようなもの
私が覚えてない頃に離婚してバツイチで平凡なシングルファザーとなっている私の父親が16歳のプレゼントしたのは少女だった。
何を言っているのか分からないと思うが現実として目の前には黒を基調とした胸や腰周りが隠れているとは思えない程に際どいスーツを着た私よりひと回り幼く可愛らしい少女が私よりひと回り大きいカプセルとしか言いようが無い機械の中で眠っていて父親はそれを16歳になる私への誕生日プレゼントだと言っているのだ。
現在起こっている事に対して混乱させている私の頭で考える。
私の父親はこんなことをするような人間だっただろうか。
いや、私の父親は今まで平凡という文字を擬人化したような生活をしていた人間で、これがもしドッキリだったとしてもこんな事をしないだろう。ましてや本当に誘拐をする事などどのような理由があったとしてもするような人間では無い筈だ。
となってくると考えられるのは何者かが父親と成り代わっているか、父親が今まで息子である私にも本性を隠していたかだが、前者は父親に変装してまで一般人である私に少女を渡そうとする理由がなさすぎる為ありえない。となると、
「えっと……お父さん、これって誘拐ってやつ?もしかして今まで何か後ろめたい事でもしてきたの?」
「ああ、お前が高校生になったというのに彼女の1人や2人を作ってなかったからな。お父さん頑張って捕まえて来たぞ。しかもこの娘は魔法少女だから少し乱暴に扱っても良いからな。」
やっぱり息子である私にも今まで本性を隠していたのか。
しかしながらこの少女は魔法少女なのか。だが、魔法少女だからといって乱暴に扱っても良いと言う父親は結構倫理観がイカれているようだ。
50年程前から現れるようになった不可思議な生物、通称魔獣。
この魔獣はこの世界の物理法則を捻じ曲げており、通常の兵器での攻撃が全く効かず人を襲う為、出現数がそこまで多くなくても被害が多く出ていた。
そして、それと同時にその魔獣を倒す為に現れたのが魔法少女と呼ばれる少女達であった。
魔法と称される物理法則を捻じ曲げる特殊能力を使い魔獣を蹴散らす姿に人々は見入り、魔法少女は研究の対象とはなっておらず現在の立ち位置にいる。
そんな魔法少女を誘拐する事は普通は不可能だろう。
現に誘拐しようとした人が返り討ちに合うニュースはよく見かける。
しかしそんな不可能をこの父親はやっているのだ。これは只の変態ではないだろう。
そう考えながら私はもう一度少女へと向き直る。
父親は「催眠もさせておいたから柔順だぞ」などと悪びれる事も無く言っているからこそ私は不安と絶望がまざりながらも目の前少女を目覚めさせる事にした。
「初めましてご主人様。私は大神美奈と申します」
ああ……その言葉はクラシカルな服装で言うべきなんだ。
ましてやアニメに出てくるような女怪人が着てそうな服装はもってのほかだ。
私にはそういう性癖は無い。
「私はご主人様の所有物です。なので私をどのようにしても構いません。そして______」
目の前の少女はタレ目を細めて光悦とした表情で言う
「私のことをめちゃくちゃにして下さい」
もはや元に戻すことは不可能だなこれ。
しかしながらこんな事をしていたら出来るかどうかは分からないがこの娘の両親の抗議の1つや2つは来そうだな。
そう思っていたが父親は「両親も催眠にかけて連れてきたから大丈夫だ」と言う。
その顔は如何にも悪い事やっていますと言っているかのようで、やはりこれは現実なのだと実感させられる。
さて、ここまで避けていたのだが、父親が魔法少女と言い張っているのだ。
本名だけでは詳しい事が分かっていない現状、私は変身する事でこの少女の詳細が分かるだろうと踏んで申し訳無い気持ちが占める中変身をするように頼んだ。
「はい、ご主人様の命令ならもちろん構いませんよ」
そう言った彼女は顔を赤らめながら目を閉じ変身を始める。
黒を基調とした際どいスーツは消え去り、顔を除いた全身が光に包まれる。
その後両足、左手、右手、胴体とポンという効果音と共にフサフサとした姿に変わっていく。そして最後に顔が光に包まれた後今までよりも派手な効果音を立てながら変身が終わった。
これは___
「マズル有りの獣人か。まさか性癖バレしているのか」
銀色の髪を全身に生やしたかのような体毛、凶暴性を表した爪と牙、それとは不釣り合いで優しさを感じるタレ目。
これは私の性癖どストライクな姿だった。やはりこんな事をしているのだ。性癖はバレているのだろうか。
こんな事をしている父親だ。十分にあり得るだろう。
そう考えていた私だが、ここでもう一度少女を詳しく観察してみる。するとある魔法少女と似通っている事に気付く。
『魔法少女フェンリル』彼女は狼の耳と尻尾、そして大型の爪を有する手足で魔獣に対して肉弾戦をする魔法少女だ。
そして目の前の少女は全身が狼に似通っているのだ。これは魔法少女フェンリルで間違いないだろう。
「魔法少女フェンリル、いいえご主人様のペット『ポチ』。私はご主人様のどんな命令にでも従います」
そう言って彼女は服従の印なのだろう、お腹を見せるように寝転がった。
どこか撫でてほしそうな目をしているのは間違いではないだろう。
この姿に私はこれからの日々をどうやってこの少女を隠しながら過ごしていけば良いか考える羽目になった。
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「おはよう御座いますご主人様。朝ご飯出来ていますよ」
朝起きたらやはり少女がいた。朝ご飯を作っていたのは意外だったが。
しかしながら服装はとても際どいアレである。そして、このようにした原因である父親は
「おはよう。今日は俺、地下にある研究室にいるから何かあったらその娘に言ってくれ。何か要望とかあったら夜に聞いてやるからな」
白衣を着てこんな事を言っている。
しかしながらもう息子に対して何も隠さなくなったようだ。これが良い事だとは思っていないが。
そう考えていた私は用意されている朝食に目を配る。悪堕ちした魔法少女が作るものだから如何にも黒っぽくて悪そうな感じのものが出来ていると思いきや、用意されている朝食はご飯に味噌汁、目玉焼きとウインナーととても普通で、味も
「普通に美味しい」
なのである。
こうして朝食を食べ終わったのだが、やはり気になるのが
「やっぱりこの服装は変えたほうが良いな。変な気でも起こしたら後が怖い」
服装についてである。
正義の魔法少女と戦ったり悪の組織での会合でこの服装ならギリギリ何とかわかるのだが、朝食を作るときにこの服装では違和感があり過ぎるのである。なので変えてほしいのだが、その服を着ている本人は
「変な気だなんて、私は大歓迎です!!ぜひ、ぜひ私をめちゃくちゃにして下さい!!」
やはり改造で頭もおかしくなっているのか頭の中がピンクになっている。やはりここは服装程度でも変えていかないとこの少女はまともにはならないだろう。
と、魔法少女を悪堕ちさせる父親がいるからだろうかここで悪い考えが頭をよぎる。
「そうだ、メイド服にしてみよう。それもメイド喫茶のやつじゃなくて本格的ややつで」
そう思い立ったが吉日。すぐさまネットでメイド服を取り寄せる事にした。
そこまでは良いのだが、彼女のサイズが分からない。あんな服装を用意したであろう父親に聞ければよかったのだが、生憎今は何処にあるのか分かっていない研究室に籠もっていて聞けない。となってくると___
「聞くしかないのか……」
そう言った瞬間、彼女がずいっと真横に近づきピタッと身体を引っ付けてくる。
服装が服装なだけに結構身体のラインが出ている事に加え、夏だった事で私が薄着であった為彼女の体温まではっきりする位肌と肌が合わさりとてもいやらしい気分になってしまう。
しかし、そこを何とか理性で抑えると彼女に対して質問をする。
「美奈ちゃんで良いのかな……新しい服を買うから体のサイズを知りたいんだけど分かるかな?」
「はい、身長は151センチスリーサイズは上から73·56·76です。後、私のことはどうぞポチとお呼びください。」
これで服を買うための情報は分かったし、部屋に戻って注文してくるか。これで彼女が少しでも普通になってくれれば良いのだが。と、今にもよだれを垂らしそうな程に顔を緩ませている魔法少女を見て心から願った。
書くのに結構時間かかったので多分続かない