朝起きたらラージャンになってた   作:驚愕したスゲージャン

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ゴリラじゃねえ!ラージャンだコレ!

朝、何時ものように目を覚ました俺の視界に入ったのは見慣れた天井……ではなく、どこまでも広がる青空だった。

 

……ん?

 

いや待て、俺の記憶が確かなら俺は昨日自宅のベットで寝たはずだ。こんな風が心地よい青空の見える場所で寝ているわけがない。……もしかして誘拐だろうか?いや、だったらもっと縛るなりなんなりされているはずだ。とりあえず、上体を起こして辺りを確認しよう。何かわかるかもしれない。

 

上体を起こし辺りを見渡そうと思った時、俺はあることに気づいた。目線が高いのだ。世の中にこんな高さに目線が来る人間がいたら、そいつはきっとギネスに乗れるだろう。しかし、残念ながら俺はそんなノッポマンじゃない。どちらかと言うとちいさ……いや、この話はよそう。とにかく、目線の高さを不思議に思った俺は立ち上がろうとしてそのまますっ転んだ。

 

なんだこれ!?俺の身体じゃないみたいだ。どうやって立てば良いんだ?すっ転んだ体勢のまま、俺は何となしに手を見て驚愕した。そこにあったのは人の手ではなくゴリラみたいな手だった。嘘やんと思いつつも、もう一方の手も確認するがやはりゴリラみたいな手だった。そこで俺は思い至った。もしや、俺は今ゴリラなのでは?と。記憶にあるゴリラの立ち方を真似てみると、驚くほどしっくり来た。やはり、何故か俺はゴリラになってしまったのか。目線の高さはゴリラにしたって高い気はするがな。

 

……するがな。じゃねえよ!いや、え?なんで俺ゴリラになってんの!?立ちたいあまり冷静にゴリラになってしまったとか言ったけど、普通に考えて可笑しいだろう!てか、まず此処何処だよ!!

 

辺りを見渡して分かるのは、ここが草原だということ。少しばかり目線を奥にやれば、ちらほらと雪が乗っている草木が見える。なんなら目線を上げれば雪山だって見える。逆方向には、草原が広がっているが、相変わらずここが何処かは分からない。だがしかし、雪山から流れているのであろう川を発見した俺は、とりあえず自身の顔がどうなっているか確認するため覗き込む。そこに映った顔を見て、俺は驚愕した。

 

確かにゴリラみたいな顔はしていたが、頭部から生えた二本の大きな角がゴリラではないことを強く伝えてくる。そう、そこに映っていたのはゲーム、モンスターハンターに出てくるモンスターの一体、ラージャンであった。

 

     *

 

自身がラージャンになってしまったと飲み込むのにたっぷり十分ぐらい使ってしまった。残念ながら、顔面を殴りつけても痛みしか感じなかったのでこれは夢ではない。ついでに言えば、衝撃のあまり硬直している俺を安全と見たのか、隣で呑気に水を飲んで帰って行ったケルビが、ここはモンハンの世界であることを教えてくれる。つまり、俺が現代でラージャンになったんじゃなくて、モンハン世界のラージャンに転生、あるいは憑依したのだろう多分。ラージャンと言えば、モンハン界でも数少ない古龍種と渡り合える生物である。俺の好きなジンオウガですら古龍種相手には逃げ出したというのに、ラージャンは古龍種の一体であるキリンの角を食う位にはやばい奴である。そんな奴に転生or憑依してしまったのか俺。

 

しかし、なってしまった以上悔やんでも仕方ない。ここがもっとほのぼのとした世界ならいざ知らず、残念此処はモンハン世界、すなわち弱肉強食の世界である。強ければ生き、弱ければ死ぬのだ。そうじゃなくてもハンターも俺を見つければ狩りに来るだろう。流石に死ぬのは避けたい。捕獲だったら色々調査されてはするものの、生かして返してくれる場合もあるらしいけどね。

 

とりあえずここから移動しよう。目指すは雪山の頂上だ。どうせなら、キングコングよろしく雪山の頂上でドラミングしながら雄たけび上げてやる。ラージャンは氷属性に弱かったような気がするけど、まあ平気でしょ。

 

     *

 

慣れない歩行に四苦八苦しながら、漸く雪山の頂上付近にやってきた。死ぬほど疲れたんだが?いや、身体はラージャンだから疲れてないけど、気を抜くと完全な二足歩行に戻ろうとする人間であった頃の癖と戦うのがすげー疲れた。ここに来るまでに何回すっ転んだだろうか。体中が微妙に痛い。後、寒い。最初はまあ寒いかな?程度だったけど、途中で嵐と言っても過言ではないような猛吹雪になった辺りからすげー寒い。体毛も若干凍ってるし。

 

しかし、大型モンスターと会わなかったのは幸運だったな。小型の好戦的な奴とも会わなかったが。てか、ここまでで会ったのあのケルビ達だけやんけ。運が良かったのか、偶々か……まあどっちでもいいか。

 

俺の最初の目標達成まであと少しと来た時、そいつは現れた。いや、現れたというか俺の進行方向にいただけなんだけど。しかも寝てるし。ユニコーンを巨大化させたような姿を持つそのモンスターの名はキリン。ラージャンの餌である。普通のラージャンならここで襲い掛かり角の一本でもへし折ってスナック感覚で食べるんだろうが、俺は生憎まだこの身体に慣れていない。襲い掛かっても角で一刺しされる未来しか見えない。なまじ道が細いため、避けて通るなんてことは出来そうにないし、跳び越えようにも上手く跳べるかどうかわからない。こうなると、元来た道を変えるか、キリンを起こして逃げてもらうかしかない。ただ、起こして襲い掛かられたらアウトだ。

 

どうしようか等と考えている俺を他所に、キリンは目を覚ましてしまった。ラージャン()がデカいだけかもしれないが、立ち上がったキリンは思ったよりも小さかった。いや、小さすぎじゃね?俺の半分もないんだが。そんな事を考えている俺を他所に、キリンは辺りを見渡し欠伸をしあろうことか俺に近づいてきた。

 

なんだ!?やる気か!!?

 

脚を震わせながら、精いっぱいのファイティングポーズを取る俺を気にも留めずキリンは俺の目の前で止まった。

 

終わった。まともに抵抗も出来ずにキリンに刺されて死ぬんやな俺は。

 

そんな諦めに似た感情を抱いてる俺に、キリンはあろうことか頬ずりを開始した。いや、なんで?手を上げれば、まるで撫でろと言わんばかりに頭を出してくる。とりあえず撫でてやった。なんとなく嬉しそうだが、俺はこいつに何時刺されるかとヒヤヒヤしている。目の前に、というか撫でてる腕をちょっとでも動かせば角に触れそうではあるが、そんなことして命を散らしたくはない。

 

一通り撫で終わった後、俺は再び山頂を目指す。相変わらずキリンは俺に付いてくるが、今の俺じゃどうしたってこいつにゃ勝てんのだ。勝手にさせておこう。

 

てか冷静になったから気づいたが、こいつグレーに近い色してるけどキリンってもっと白くなかったっけ?ゲームだから強調されてただけか?

 

そんなことを考えながら、俺は山頂へと向かった。いつの間にか、嵐ともとれそうな猛吹雪は止んでいた。




ラージャンになった男

主人公。モンハンシリーズは飛び飛びでしかやってないので割と無知。どうせならジンオウガになりたかった。ラージャンの中ではデカい方。知らずにモンスターすら例外を除き近づかないような猛吹雪の中山頂を目指していた。

キリン

独自及びオリジナル設定の被害者。例外を除き、モンスターすら好んで近づこうとは思わない猛吹雪の中で生まれる。なんでかラージャンに懐いている上、グレーぽい色をしている。なんでやろね?
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