朝起きたらラージャンになってた 作:驚愕したスゲージャン
相変わらず外の吹雪は止む気配を見せない為、正確に何日経ったなんてわからんが間違いなく一か月は経ったと言えよう。この一か月での一番大きな出来事と言えば、横穴からあのギギネブラ亜種が縄張りとしていた洞窟へと移り住んだことだろう。まあ、引っ越すのは今日なんだが。
若干の名残惜しさを感じながらあの洞窟へと向かったんだが、現地であの時のメラルーと再会した。なんでもこの洞窟にもメラルー達の集落へと繋がる穴がいくつかあったんだが、ギギネブラ亜種がこの辺りを縄張りにしてしまった所為で使おうにも使えない状況だったらしい。俺はもちろんそんな事知らなかった訳だが、結果的にまたメラルーを助けたことになるわけで。本当は集落のメラルー達総出で横穴に出向いてお礼をするつもりだったらしいが、俺たちが洞窟へ向かってしまった為、代表でこのメラルーが先回りしてここで待っていたらしい。
お礼の一つとして、人間の下で料理の腕を磨いたらしいメラルー数匹が作るヒンヤリダケやらマヒダケやらをふんだんに使ったキノコ料理や、彼らでも狩れるモンスターの肉で作った肉料理なんかを振舞われた。ただ、流石に洞窟内とは言え寒いのには変わりないので、温かい料理なんかは作ったとしても所謂厨房がある集落から俺たちの所まで持ってくる間に冷めちまうから作ってないらしい。まあ、当然だわな。なんなら同じ理由で凍っちまうかもしれないからスープ系もないしね。
何にもしてないのに隣で遠慮無く出された料理を食ってるキリンに負けじと料理を食ってると、一匹のメラルーが話しかけてきた。見た目は他のメラルーと大差ないが、他の奴より幾分か落ち着いた雰囲気を纏っている。もしや、長老的な立ち位置の奴か?
えーと何々?あ、そうだったのね。
長老的メラルー曰く、彼らは最近別の場所からここに引っ越してきたとのこと。俺の見つけたメラルーがあんな所で雪に埋もれて倒れてたのも土地勘の無さ故だったらしい。そういや、あの時のメラルーも集落に帰る為の穴を探してるって言ってたな。てことは、割とマジで俺が助けなきゃあのメラルー死んでたかもしれんってことか。
今度お礼の品を持ってくると言うメラルーに、別に気にするなと返しておく。下手にネコ毛の紅玉なんて渡されたら、それこそ俺がハンター共にアイルーやメラルーを虐殺しまくってると思われかねない。しかし、それでは納得出来ないとの事らしいので、ここに来るまでにどんなモンスターを見てきたか教えてもらうことにした。ないとは思うが、イビルジョーなんていた日にゃ俺は即刻ここから離れなければならない。あんな暴君、出来るだけ会いたくないものだ。
話を聞く限り、メラルー達が見てきたモンスターの中には該当するような奴はいなかった。ただ、俺の知らないモンスターも結構いた。これが俺のやってないモンハンに出ていたモンスターなのか、それともこの地域で独自に進化したのかは分からんが。
メラルーの話を聞くために食事の手を休めてたら、俺がもう食わないとでも思ったのかキリンの奴が俺が食ってる途中だったものまで食い始めやがった。流石に全部食われるわけにはいかないので、俺も食事を再開し、キリンと競うように目に付くものを片っ端から口に放りこむ。
飯が終わればメラルー達の感謝の意を表した踊りが始まったり、どうしても何かお礼の品を渡したいらしい長老的メラルーに折れて、渋々余り貴重過ぎないのでと頼んだりした。
結局解散したのは、体感もう夜遅いだろって思い始めたころだった。楽しかったから良いんだけどね。キリンの奴も気づいたら寝てるし、もう俺も寝ることにする。お休みー。
*
翌朝、俺は何かの気配を感じて目を覚ました。上体を起こし、辺りを見渡してみるも俺とキリン以外の生き物は見当たらない。ともなると、俺やキリンを見て逃げ出した可能性がある。これが小型モンスターか何かなら別に気にする必要は余りないのだが、商業人や俺らに敵わないと考えて撤退したハンターだった場合はいくつかの問題が出てくる。
気配を感じた場所は、何かに踏まれたように雪が乱れていた。よく見れば、足跡の形は人間の足というか靴に近く、人間が俺らを見て逃げた事を表していた。
マズイ。ラージャンとキリンの討伐なんてクエストが出されりゃ歴戦のハンター共が俺らを狩りに来るのは想像に難くない。未だ気光ブレスはおろか、キリンの角食ってるはずなのに電気関連すらも使用できない俺では勝つことは難しいだろう。てか、なんで電気使えないんだよ。力付くでもぎ取った角じゃないとダメなのか?
原因がわからない以上どうしようもないのでこの話は一旦置いておくとして、この後どうするか考えなければ。
一番簡単なのはここから逃げる事。山頂から見た感じ、遠くには火山が見えたし樹海や砂地もあったから逃げ場には困らない。が、それだといずれ追いつめられることは目に見えている。
……戦うしかない、か?
キリンだっているし、こいつが共に戦ってくれるなら負ける可能性は間違いなく減るだろう。なんか知らんが俺に懐いてる以上、俺が襲われてたら助けてくれるはずだ。それに、どうしても勝てなさそうだったらそこで改めて逃げればいい。ゲームじゃハンターは、逃走するモンスターに基本追いつけなかった訳だし、クラッチクローとか使われたらどうしようもないが。
散々迷った挙句、結局俺はハンターを迎え撃つ事にした。思考がモンスター寄りになってるのか、それとも俺に元々殺人願望でもあったのか、人間であるハンターを殺してしまうかもと考えても特に何かを感じることはなかった。流石にこっちが殺されるかもと考えれば死にたくはないとは思うが、所詮この世は弱肉強食なのだ。どっかの秘剣使いも強ければ生き、弱ければ死ぬって言ってるしね。
……まだ見ぬハンター共、来るなら来やがれ。何時でも相手になってやろうじゃないか。
そんな風に覚悟を決めた俺はその証として咆哮を上げたのだった
次回はハンター視点をやってみたりするかも