春風は衝撃の如く   作:鯛と琴

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努力は裏切らない

『最終直線は2人の一騎打ちだ! ミハルストライクか! キンイロモミジか! キンイロモミジが伸びる! 先頭入れ替わってキンイロモミジ!』

行かせるか。

土煙(コントレイル)を巻き上げて。

地面スレスレの超低空飛行で。

脚の力全てを以て、前進のための勢いに変えろ。

『キンイロモミジ…いや、ミハルストライクもまだ加速する! ふたり並んだ! どっちだ、どっちだ、どっちだ!?』

モミジの荒い呼吸が聞こえる。

あれだけ早くにスパートをかけた分、スタミナが切れかけているのだろう。

とはいえ私の脚も、とっくに限界を超えた領域まで加速していた。

残り100m。

どちらが先に潰れるか。

決戦に相応しい消耗戦。

こんなにも苦しいのに、こんなにも楽しい。

『ミハルストライク! ミハルストライク! 前に出た! 前に出た! キンイロモミジは限界か!? 減速──いや、まだ──!!』

70m。

60m。

50m。

たった一歩。絶対に譲れないリード。

譲れない、譲るわけにはいかないのに。

……40m。

…………30m。

急激に、脚が重くなる。

モミジが再び隣に並んで──

『キンイロモミジが! キンイロモミジが並ぶ! キンイロモミジ交わしたか!? 僅かに、キンイロモミジが、ゴォォォォォルッ!!!』

ゴール版を突き抜けた瞬間の、モミジとの僅かな、それでいて確信的な差が目に焼き付く。

減速する世界に、限界を超えていた脚が正気を取り戻す。

熱くなりかけた目頭を、心地よい向かい風が冷ます。

負けは負けでも、初めて戦った時とは違う。

全力を出し切って、次こそは、と燃え上がることができる戦いだった。

そんなモミジの勝利を祝すように、掲示板のライトは鮮やかに灯っていた──

 

 

──青く光る「審議」の文字を除いて。

 

 

努力は裏切らない。

誰が言い始めたかは知らないし、裏切られることだってあるだろう。

それでも私は、モミジと戦うために、努力し続けてきた。

それがこんな、最悪の形で証明されるとも知らずに。

『……着順が確定しました。1番キンイロモミジは走行妨害のため6番ヒノモトリーチの後ろに降着。これにより1着はミハルストライクとなります……!』

モミジはその場にへたり込む。

釛誠はモミジに何か言おうとして、何も言えずに歯を食いしばった。

あれだけ私の三冠を待ち望んでいた観客たちも、今は言葉を失っている。

私たちの真剣勝負も、ホームストレッチの熱狂も、嘘になってしまった。

「…嬉しくなんかありません。こんな形で三冠バになっても……!」

無音の表彰式で、ウィナーズサークルに立たされた私はそう答えるしかなかった。

「私とモミジの戦いを、約束を果たすために走ってきたあの時間を、返してください…! ねえ、返してよ……!」

そんな私の叫びも虚しく、結果が覆ることはなかった。

設定資料作ったんですが、どこかに置いた方がいいですか?

  • 後書きで一人づつ紹介してほしい
  • 1話の前に小説として挿入して欲しい
  • 最新話の後に小説として挿入してほしい
  • 活動報告で小出しにしてほしい
  • いらない
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