『関東地方の週末の天気は、どんよりとした雲が空を覆い、時折雨が振ることになりそうです。お出かけの際は傘の準備をしておきましょう』
皐月賞を目前にして、天気予報はそんなことを言い出した。
週末の中山は不良バ場になるかもしれない。
そう思うと、胸騒ぎがするのはどうしてだろう。
不良バ場では、小柄な私の方がの方が有利になるはずなのに──
「あれ、私、どうして中央広場に来たんだっけ…」
気付くと私は三女神像の前に立っていた。
まるで導かれているような気がして、女神像をじっと見つめてみる。
前世の記憶がある以上、非科学的と切り捨てることもできないし。
そんなことを考えながら、手を合わせてお祈りをした。
「明日の皐月賞、いつも通りの力を出し切れますように…!」
「ねえ釛誠。皐月賞、どうするつもりなの?」
「いろいろ考えてみたが、ミハルの言う通り、逃げで行くつもりだよ」
「ふーん……」
「お前はそろそろデビューするつもりになったか?」
「そうだね、多少は」
「そうか、やっぱりまだだよなぁ……って、え? 今なんて!?」
「デビューするつもりだよ。ただし、ミハルが皐月賞で勝ったら、だけど」
「本当か…!?」
「ああ、本当だよ」
モミジは空を見上げる。そして、
「……だって、勝てるハズないんだから」
釛誠に聞こえない声で呟いた。
そして──
『いよいよこの日がやってきました。クラシック三冠、その初戦、皐月賞!』
『予報通りの雨でバ場は大荒れとなりましたね』
『そうですね…このバ場状態で実力を出すことができるか。3番人気、ヒノモトリーチ。8枠16番での出走です』
『前回は僅差で届きませんでしたからね。雪辱を晴らせるか』
ヒノモトリーチがこちらを睨んでくる。
前走のようなトラップには引っかかってくれないだろう。
しかし、実力は五分、バ場状態はこちらに利があり、弱点のカバーも十分にやってきた。
勝てない相手ではない。ならば、勝たなければならない。
『そして対するは7枠14番、ミハルストライク! 無敗での皐月賞制覇に期待がかかり、堂々の1番人気!』
のしかかるプレッシャー。大歓声が緊張を誘う。
私はそれを振り払うように、観衆に向かって微笑んで見せた。
『さあ各ウマ娘がゲートに入って…ミハルストライクもクラウチングの体勢に入る』
「ミハル……まだ気づかないの?」
『これで準備が完了し──今スタート!』
ゲートが開き、踏み込んだ瞬間……ずるり。
脚は濡れた地面を上手く捉えることができずに滑っていった。
『あっと!? ミハルストライク大きく出遅れた! クラウチングスタート失敗!』
「しまっ……!」
『先頭にヒノモトリーチが立ち……ミハルストライクは最後方からのスタートだぁ!!』
「ミハル!?」
「……やっぱり」
失念していた。クラウチングの欠点は滑りやすいこと。それが慣れない不良バ場ともなれば尚更出遅れの危険性は高まる。
スタートの練習の甲斐あって、なんとか集団に置いていかれることは避けられたが……この状況は、かなりマズい……!
プチ設定資料 ヒノモトリーチ①
実は先行で走った方が強いということに、彼女自身気づいていない(逃げB/先行A)。誕生日は4月16日。
設定資料作ったんですが、どこかに置いた方がいいですか?
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後書きで一人づつ紹介してほしい
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1話の前に小説として挿入して欲しい
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最新話の後に小説として挿入してほしい
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活動報告で小出しにしてほしい
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いらない