興味がある方はぜひ、感想などお願いします。
俺の名前は朝倉陸。
どういう偶然か分からないが、ウルトラマンジードの主人公である朝倉リクと同じ名前のただの大学生である。
最近になって親元から離れて、大学に通う為にアパートを借りて一人暮らしを始めた。
アパートは一人暮らしをするには十分すぎるぐらいの広さで、設置されている本棚には、バイト代を溜めて買った歴代のウルトラマンシリーズのBlu-rayが飾られていた。
残念ながら、変身アイテムはさすがに買えないが、それでもその日の気分ですぐにウルトラマンが見れるのは、とても良い。
「さて、こんな感じで良いか」
そう言いながら、俺はできた料理を運び、二人分の皿と箸を持ちながら、晩飯の準備をしていた。
その準備を行っている間、既にテレビにはウルトラマンティガが流れていた。
「できたよ、ムジナ」
そう言いながら、俺のベットの上に座りながら、ティガを見ていた女性、ムジナに話しかけた。
「・・・んっ」
それと共に俺が食事の準備を待っていた女性を見つめる。
この人はムジナ。
世に言う絶世の美人とも言え、そこそこあるお胸と大胆に晒した太腿が目を向けてしまう程の女性だ。
今は俺の部屋にある適当な服を着ているが、俺が出会った当初や、どこかに出掛ける時にはなぜか白い軍服を思わせる衣装を着ている謎の女性だ。
そんな彼女がなぜ俺の家にいるかと言うと、それは一ヶ月前の出来事に理由がある。
この町に引っ越したばかりの俺は、この町の地理を覚える為に歩いていた。
その時、謎の事故に巻き込まれ、死にかけたのだ。
事故の詳細は未だに分からず、あの時何が起きたのか、未だにマスコミが騒いでいた。
その奇妙な事件はこの前起きた謎の怪獣同士の戦いのように、まるで怪獣が暴れた跡だけが残っていた。
一瞬の出来事で何が起きたのか分からなかったが、気絶した俺を助けてくれたのがムジナだった。
なぜ、その時にムジナがいたのか、どうして助けてくれたのか分からない。
だけど、その時俺は何か御礼はできないかと尋ねた。
「だったら、家に住まわせて」
その一言がきっかけだ。
それから俺の家に住むようになったムジナは、ほとんど俺の家で過ごしていた。
「それにしても、ムジナは住む家はないのか?」
「5000年前の家なんて、もうない」
「5000年前って、ティガのような超古代から復活したのか?」
「復活というよりも、生き返った」
そう言って、未だにどこから来たのか教えてくれない。
未だに笑った顔を見たことがない彼女だが、
「まぁ、あの時に命を助けてくれたし、こうして一緒に食べてくれるの、結構嬉しいかも」
一人暮らしは思ったよりも寂しく、一人で食べる食事はつらかったが、ムジナと一緒に食べてくれる食事は以前よりもずっと美味しかった。
「んっ、そう」
ムジナは無表情で、そのまま食べ続ける。
「私も、好きだな」
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陸が出掛け、ムジナも出掛けていた。
彼女は怪獣が世界を導く存在と主張する集団、怪獣優先思想というメンバーの一人である。
そのメンバーは、ムジナと同様5000年の時を経て現代に生き返った存在であり、怪獣を操る事ができる怪獣使いだった。
彼女自身は隠し事をしているつもりはなく、陸に対しては全て本当の事を話しているつもりだった。
それでもあまり信じて貰えないようだったが、ムジナは特に気にした様子はなかった。
目の前で、怪獣思想のメンバーが操るグレージョムという怪獣と敵対するダイナゼノンが戦いを繰り広げていた。
分離したダイナゼノンの一部である直立したままのダイナソルジャーを何となしに眺めていて、ムジナはポツリと呟いた。
「そういえば、陸、今日、大きなカニカマ買ってきて欲しいって言っていた」
その赤い身体を見て、ふと陸の一言を思い出したのだ。
偶然見たカニカマの天ぷらが美味しかったから、試しに作りたいと言っていた。
だからこそ、ムジナも興味を持っていた。
「早く終わらないかな」
その戦いは既に終わりに近づいており、結果が見えていた。
だからこそムジナは、今は使命よりも家に帰る事に意識が向いていた。
ムジナにとって、最近はメンバーと共に行動するよりも、家で過ごす日常を大切だった。
5000年前にはなかった陸が作った料理に、一緒に過ごす時間。
それらは経験した事がなかった。
そうして、その日の戦いを終えると共に、
「これ終わったらもう帰っていいの?」
ムジナは家に早く帰りたがる。