ウルトラマンオタクと怪獣使いの居候   作:ボルメテウスさん

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一歩も動けない一日

「想像以上にやばかった」

 

それは、俺が変身したシャイニング・ミスティックの感想だった。

 

シャイニングゼロ自体の力が時を操る能力という事もあって、1分程度しか変身する事ができず、さらには今はこうしてベットで寝ている事しかできない程に疲労が激しい。

 

指一本、動かす事ができず、今はただ体力の回復を行う事しかできない程に疲労している。

 

「それにしても、ムジナ、良いのか、どっか出掛けなくても」

 

そう、先程までムジナが電話をしている相手とどこか出掛けるはずだった。

 

だが、俺がずっとベットで寝ている事に気づいたムジナはそのまま電話の相手に来れない事を伝えると、そのままベットの横にある椅子に座りながら、ぼーっとしていた。

 

「別に。

ずっと動いていない陸を置いて、出掛けたくないし」

 

「そうなのか?」

 

「うん」

 

それだけ言うとムジナはそのまま何も喋らなかった。

 

あの時、なぜ俺がいたのか、そういう事をムジナは話さず、ただ一緒にいてくれた。

 

「・・・前に私が5000年前から蘇ったって、話したよね」

 

「あぁ、聞いた」

 

ムジナが5000年前から蘇った事も、彼女達が所属している怪獣優生思想の事も。

 

「正直、どうでも良いと考えていた。

もう5000年前の事だから、オニジャ達は積極的に人類を皆殺しにしようと言っているけどね」

 

「はぁ、人類をですか」

 

そう言いながら、俺はそのままムジナの話を聞く。

 

「陸は、そういうのを止める力があったら、私達と敵対するの」

 

そう、俺を見つめながら、そう呟く。

 

それに対して俺はただ

 

「・・・する」

 

そう、正直な言葉を言う。

 

それを言った瞬間、さっきまで少し笑っていたはずのムジナが少し悲しそうな声が出た気がする。

 

それでも

 

「人類の為とか、正義とか、そういう事の為に戦うというのは、正直に言うと俺は分からないと思う。

ただ、俺はそれ以上にムジナを守りたいから、敵対する」

 

「訳が分からない」

 

「まぁ、俺も全然分からない。

だって、全然想像できないから」

 

そう、俺は現状、そうなっているはずなのに、答えを濁す。

 

「だけど、人類を皆殺しにしたら、その先は全部無くなるから。

全部無くなって、思い出も何もかも無くなるのなんて、一番悲しいじゃないか。

だから、俺は」

 

「もういいよ」

 

それだけ呟くと、ムジナは俺の瞳を見つめていた。

 

「陸が、本当に馬鹿で良かった」

 

「馬鹿って、何をいきなり」

 

「別に、ただ言いたかっただけ」

 

それだけ呟くとムジナもまた、そのまま動けない俺の腹を枕にしながら、そのまま天井を見る。

 

「今だったら、あいつの言っていた事も分かる気がする。

そっか、こういう気持ちなんだね」

 

「ムジナ?」

 

その言葉と共に俺は見つめると、ムジナから聞こえたのは寝息だった。

 

「この体制で、たく」

 

そう呟きながら、俺もどんどん睡魔に襲われていく。

 

ゆっくりと、こくりと


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