「お土産、落花生」
そう言いながら、ムジナは手に持ったエコバックをこちらに渡してきた。
俺は思わずエコバックの中を確認すると、本当に落花生が入っていた。
「ムジナって、普段は何をしているの」
「普段?
なんかよく分からないけど、声に従って行動している」
そう言いながら、ムジナは特に気にした様子もなく、そのまま部屋の中に入っていった。
「まぁ、もう別に良いけど。
とりあえず、晩ご飯はできているよ」
「今日は何?」
そう言いながら、料理を確認すると
「厚焼き卵に、かに玉に、茶碗蒸しだよ」
「卵ばっかり」
「今日のスーパーで卵が大安売りだったからな。
いやぁ、本当に助かった」
「そう、まぁ美味しいから良いけど」
そう、特に気にした様子もなく、食べていた。
「そういえば、今日はいつもよりも遅かったね」
「あっ、それか」
そう料理を食べていた時に、ふとムジナが出した話題。
「いやぁ、実は今日のバイトの引き継ぎの人が来るのを遅れてしまったんだ。
まぁ、向こうも謝っていたし、普段は助けて貰っているから、特に気にしていないけど」
「そう」
そう、俺が話していると、すぐに興味が無くなったように、茶碗蒸しに手を伸ばすが
「確か、ガウマさんだっけ」
その名前を言った瞬間、ムジナの手が止まった。
「・・・ガウマ」
「あぁ、ガウマさん。
知り合いか?」
そう言いながら、俺は質問するが、ムジナはその手に伸ばしていた茶碗蒸しを零した。
だが、同時に俺は謎の浮遊感に襲われる。
「へっ」
何が起きたのか分からない間に、俺はそのまま寝転がっていた。
疑問に思っている間に俺はベットの上に吹き飛ばされており、ムジナが俺の上に馬乗りになって、こちらを睨んでいた。
「陸、あんた、ガウマの仲間か」
「えっ突然、どうしたんだ」
それは普段の様子からは考えられない程に怖い表情をしていた。
「答えて」
「えっと、仲間というかバイト先でよく知り合う人だよ」
「それ以外は」
「えっ」
「ガウマとの関係」
その言葉に、俺は恐怖を覚えた。
「いや、俺とガウマさんは本当にただのバイト仲間だよ。
どっどうしたんだよ、ムジナ」
俺は何が起きているのか分からず、言う、
目の前にいるムジナが本当に先程まで、一緒に食べていたムジナと同一人物なのか、どうか。
「・・・嘘、言っていない」
「あぁ、本当だよ」
俺がそう言うと、ムジナはそのまま俺に抱きつく。
「っ!!」
何時ものように寝ている間に行われたのではなく、正面から抱き締められ、俺は思わず身体が固まる。
「むっむじなさんっ、一体何を」
身体が動かせない間、ムジナはそのまま強く抱きついたまま、動かけなかった。
「マーキング」
「まっマーキング!?
一体、どういう事ですかっ!?!?」
「5000年前にはこんな感じでやっていたような気がする?
よく覚えていないけど、別にどうでも良い」
そう言いながら、ムジナは抱き締める。
「向こう側に行かないように。
ガウマは別にどうでも良いけど、陸はそっちには行かせない」
「ムジナ?」
そう、俺はどう声をかけたら良いのか分からなかった。
結局、その日、最後に残っていた茶碗蒸しだけを残して、その日の食事は終わった。