ピクミンの生態の推測に関しては自分が「こうなんじゃね?」と思い考えました。
二回目の調査では新種のピクミンだけではなく、百を超える新種が発見された事で世界中はPNF-404に注目を集めていた。数回の調査でこれだけの新種が発見された事、PNF-404で発見された新種はこれまでに発見された生物とは大きく異なる特徴を持つ生物が多い事も相まって世の学者や世間の人々は皆PNF-404の生物に注目を集めていた。ピクミンは多数の色を持つ種が存在する事から、色事に「赤ピクミン」、「青ピクミン」、「黄ピクミン」、のように呼ぶ事となった。ピクミンや新種生物のグッズを作る人が更に増加した。「行ってみたい土地」というアンケートを行えば必ず「PNF-404」が1位なった。
世界中の学会は、ピクミンや新種の生物の研究に着手しようとしていた。
「皆から注目されてたな」
教授は新幹線の席内でそう呟いた。学会に出席するために新幹線に乗ったのだが通学・通勤に使う人達が教授をチラチラと見る人が多かったのだ。まるで世界的スターを見るかのように。
「ですね! ピクミンや色んな新種に注目されてる証拠ですよ! その内サインを貰えるかもしれません!」
「いや、サインまでは無いんじゃないか? 俳優や映画スターじゃないんだぞ?」
「でも気になりますよ! そりゃ~」
助手は相変わらずご満悦の様子だ。誰しも「すごい」とか言われれば嬉しいだろうが、ここまでのものだとさすがに動揺はする。教授はそう心の中で思っていた。
「はぁ、このままじゃあ学会に着くまで大変じゃないか……」
「まぁ、駅に着いたら車での送迎がありますし、駅を出れば何とかなるかと……」
「そうだな。難関は駅か……」
「もうすぐ駅ですよ、教授。此処を過ぎれば大丈夫でしょう」
もうすぐ降りる駅が近づいてきた。ホームには人がそれなりにいる。やはりこの駅でも注目されそうだと教授は確信していた。
案の定、駅でも教授達は注目された。目的地まで行くのは一苦労だった。
ようやく学会の開催場所に辿り着いた一行は発表する部屋に登壇し、PNF-404で発見されたピクミンと生態が解明された新種の生物の発表を行った。学会には植物学の権威であるブリトニー*1氏などの大勢の学者が来訪しており教授の発表を真剣に聞いていた。
「ピクミンの葉は既存の植物同様光合成を行っておりますが、葉緑体には今までに無い酵素が含まれています。これにより少量の光でも莫大なグルコースや酸素・水を生成して思考などに使うエネルギーを生成している事が分かりました」
「未知の光合成反応…… というわけか」
「PNF-404で発見されたこの生物、我々は『チャッピー』と名付けました。背中の斑紋模様は、…………
以上の実験により、同種の生態を認識していることが分かりました」
教授達の研究成果の発表は長かった。解明されたのはまだほんの一部分であるがそれでも今までに無い発見であった事から皆真剣に聞いていた。
発表が全て終わり、質問の時間となった。大勢の人が質問の為に手を挙げる。最初に指名された学者は次の質問をした。
「PNF-404の生物は我々の知る生物とは大きく異なっています。一説では遺伝子レベルで異なっているという説がある程です。その理由はどうお考えでしょうか?」
その質問を聞いた教授ははっきりと答えた。
「あくまでも仮説にすぎないのですが、生命の起源が我々と異なっている、と考えています」
学者達は教授の言葉に耳を傾ける。今まで以上に。
「生命の起源は幾つかあります。化学進化説、深海熱水孔の独立栄養生物、パンスペルミア説などがあります。どちらが正解なのかはまだ解が出ていません。あらゆる説がある中で、その内のどれか一つの説が解だとしましょう。その説により生命の起源となる物質が生成されて、生命は誕生しました。しかし、
教授の言葉に学者達は彼の言いたい事を察した。
「PNF-404は地学的に何十億年も前から奇跡的に他の地域とは完全に孤立した環境です。その地域で生命の起源となる物質が生成され、他の生物が侵入し定住する事も無く、何十億年もの歳月を経てピクミンやチャッピーといった独特の生命が誕生したのではないかと、私は仮定しています」
「……!」
教授が考える仮説に学者達は度肝を抜かれるが、その説得力を帯びている。言わばPNF-404は小笠原諸島やガラパゴス諸島のような所だが、恐らくそれら以上に孤立した環境で他所から生物は一切来なかったのだろう。結果として異質な生態系が築きあげられたのだろう。
そうして、教授は他の質問に正確に答えていった。こうして学会は終わった。
「教授、お疲れ様です。」
「あぁ、ただいま。学会は色々と盛り上がったよ」
そして学会が終わり教授達は大学に戻ってきた。雨は止んでいたので濡れることは無かった。研究室に戻って服を着替えた。
「ピクミン達は?」
「大丈夫です。皆テラリウムの中でゆったり寛いでいました」
教授がピクミンが入っているテラリウムに近付くと、ピクミン達は構って欲しいと言いたいように手を振っている。
「ワ~」
「ワ~!」
「しかし本当に私達の事を恐れないな。むしろ親と思っているように寄って来る」
「刷り込み…… いや、だったら私達が最初に会ったピクミン達は何で友好的だったんだろう?」
「警戒心が薄く好奇心が強いのでしょうか?」
「親、というよりリーダーのように接してる気がするんです」
教授と学生達はピクミンが自分達に警戒心を持たない理由を語る。多くの生物の場合、初対面の生物相手には警戒を示す事が多い。だがピクミン達は警戒心を持つどころか好奇心を持って寄ってきた。
「確かチャッピー達捕食者に該当する生物達の生息地にもピクミンは生息していた。そこで見つかったピクミン達は明確にチャッピーに敵意を抱く様子が見られました。少なくとも警戒心は持っている筈です」
「チャッピーには敵意を持って私達には持たない。一体何故……」
「……」
教授は何か考えるように手を顎にかける。しばらくすると、仮説を組み立てたのか、口を開いた。
「恐らくだが、ピクミンは“リーダー”となる生物を必要としているのだろうか?」
「リーダー?」
「そうだ、ピクミン達はチャッピーなどの生物は敵、という事が本能的に分かっている、というより遺伝子に刻まれているんだろう。だからチャッピーには警戒をしたんだ。初めて見る生物が自分達のリーダーに値する生物なのかどうか、確かめるために寄ってきたんだと思う」
「え、何で他の生物をリーダーにしようと……?」
「ピクミン自体は戦おうとすれば戦える。それは今までの実験で分かっている。だがそこまで強くはない。チャッピーのような生物の前ではなす術が無いかもしれない。だから自分達に適切な指示を出して、守ってくれる存在を求めているのかもしれない」
「共生する相手を求めている、と言う事ですか」
「恐らくな」
教授の推測に生徒達は少し納得したような表情をする。確かに自分より強い相手に守ってもらえるならそれは嬉しい事なので、ピクミンの行動も分かる気がした。しかし、もしもその相手が敵だったら自分達の身が危なくなる。かなりリスクが大きい習性だ。
「今世間の人々はピクミンに注目している…… 私達人間はある意味最高の共生相手かもしれませんね…… 何せ飼いたいって言う人までいるんですから」
助手はテラリウムのピクミンを覗きながらそう呟いた。ピクミン達は助手の方に手を振っている。純真無垢そうな振る舞いが人々の心を射抜く。
「PNF-404よりも住みやすい世界かもしれないな」
「確かにそうかもしれませんね」
教授の呟きに生徒は同意した。人間に守られれば自分達が生き残る可能性は高い。ある意味ピクミンの生存戦略が成功するのだから。もしかしたらこの世で最も繁殖する生き物はピクミンになるかもしれない。そんな気がした。尤も、それはPNF-404以外の地域で繁殖した場合の話だが。
科学的に合ってるか自信無い(泣)。