後日、大学の研究施設でピクミンやPNF-404の原生生物の研究を行っていた。ピクミン達は自分達の研究には積極的に協力しており、教授や学生、研究員達の言う事にしっかり従っていた。原生生物はピクミンとは違う部屋で飼育・管理・実験を行っている。なんせピクミンが原生生物を見ると怖がってしまうためである。
「~♪」
「ル~」
「凄い…… 植物でありながら炎に平気なんて」
赤ピクミンは炎を宿す蝋燭の上でゆったり寛いでいる。寛ぐ場所は
「赤ピクミンの表皮は極めて耐火性能が優れている…… どんな進化をすればこうなるんだろう?」
学生は赤ピクミンの火に対する耐性の高さに驚いている。火にここまで強い生物なんて、休眠中のクマムシ位しか知らない。彼にとってはピクミンは小さいながらも驚異的な能力を持つ未知の生物のように見えた。
「こっちも凄いわよ…… 黄ピクミンを見て」
声をかけたのは別の学生。彼女もピクミンの実験を行っている。彼女が行っている実験を見てみる。ケースの中には電池・リード線・豆電球が付いている回路。そして5匹の黄ピクミンが手を繋ぐ事でリード線同士を繋いでいるのだ。黄ピクミンが手を繋ぐ回路の豆電球は立派な光を灯している。つまり、黄ピクミンに電流が流れているという事だ。しかし黄ピクミンは痺れる様子も苦しむ様子も無い。寧ろ気持ち良いように感じてるようだ。
「ル~♪」
「電気に耐性があるのか……!」
「信じられないわ……」
「こっちも凄いよ。青ピクミンなんか泳いでる。水泳選手顔負けの遊泳能力だ」
別の学生が指を指すと、水槽の中を優雅に泳ぐ青ピクミンがいた。水の中を抵抗をものともせず素早いスピードで泳いでいる。正に縦横無尽である。
「~♪」
「…… すげ―……」
「僕もあんな風に泳げればなぁ……」
ピクミンへの実験は始まったばかりだがピクミンの驚異的な生態は毎回生徒を驚かせる。生物としてあり得ないような生態が次々と発見されていく。
「あのタマネギみたいな物体はどうなの?」
「それがな、さっきの実験だと七面鳥の丸焼きをすっぽり飲み込んだんだよ」
「!? 明らかにあの物体より体積が大きいだろ!」
「でもオニヨンにすっぽりと入っちゃったんだよ。物理、というより科学を無視したような現象で、教授もよく分からないんだって」
「なんかSF染みたもんだな…… ん? オニヨンって?」
「あの物体の名前さ。タマネギを英語で“Onion”て言うだろ? 物体がタマネギに似てるからそう名付けたんだよ」
「オニヨンねぇ…… あ、ピクミン達の様子を見ないと」
生徒達は引き続きピクミン達の実験を続ける事にした。今度は紫ピクミン・白ピクミン・岩ピクミン・羽ピクミン。どんな発見があるだろうか。
教授達はオニヨンの方を調べていた。明らかに体積を無視して食物を吸収出来る現象を解明しようとしている。勿論、非破壊的検査で調べている。
「長さ1メートル位の大根まですっぽり入った。どうなってるんだ……」
「それに吸引力も凄まじいです。あっという間に食物を吸収する。だが吸収する際の吸引力は食物にしか働かず、それ以外の物には影響を受けない。うぅむ、どういう原理何でしょう?」
「分からん。もう少し調べてみよう。その前に生まれたピクミンを引っこ抜くか」
「そうですね。しかし多いなぁ……」
「ピクミン!」
「ワフゥ!」
食物を吸収する度にピクミンはどんどん増えていく。先程の大根を吸収したところ、80匹程のピクミンが放出された。それを1匹1匹抜いていく。地道な作業だ。
「まるで機械みたいですね。火を噴いて空を飛んだり光を出すといい……」
「うむ、体内で生成したガスを発火させて飛行し、ルシフェラーゼとルシフェリンによって発光してるのは最近分かった事だ」
「ルシフェラーゼとルシフェリン…… ホタルと同じ原理で発光しているんですね。あと分かってるのは、各々の色のオニヨンが合体する原理……」
「急速に細胞同士が結合している…… だとしてもあのスピードは驚きだがな」
オニヨンの事はある程度分かってきているが、それでも教授達を驚かせるには十分過ぎる生態だった。ピクミンと共生して…… というより巣であるオニヨンの解明を進めている。
それだけではなく、周囲にピクミンが100匹いる時はオニヨンからピクミンを出さないのも奇妙だった。頭頂部が葉、蕾、花になるにつれて足が速くなる理屈はまだ分かっていない。
「教授!」
すると、助手が教授の研究室に入って来る。数枚の書類を持っており、そこにはPNF-404で捕獲された原生生物が映っている。目が突き出ていて、背中に炎を纏う生物、口や皮膚はやや溶けたような形の生物が映っている。
「何か分かったのか?」
「ハイ。PNF-404で発見された炎を纏う生物、ヤキチャッピ―は、教授の推測した通り保護膜蝋と皮膚組織との化学反応で常に火を保っています。体内に断熱材が含まれてるためヤキチャッピー自身は熱さを感じていないと思われます」
「そうか。熱さを感じてないような表情だからもしやと思ったが……」
「他の生物も幾つか分かりました。背中に棘を生やす飛行生物の体内から水素が発見されました。それで浮遊していると思われます」
「水素!? 爆発しやすい気体ですよ!? どうやって反応せずに体内に留めているですか!?」
「それはまだ分かっておりません。今後の更なる実験・調査が必要です」
「しかし、本当に驚きの生態ばかりだ……」
助手が行っている原生生物の研究での報告に学生は驚きの声を上げ、教授は驚愕の気持ちを出している。ピクミンだけでも見た事の無い、今までの科学と知識の積み重ねに当てはまらない生態が多いため、原生生物でも驚異的な生態が多いと予想していたが、それでも実際に聞いてみると驚くしかない。
「この調子だと驚きすぎて夜も眠れなくなりますよ。いや~、あそこの生物は驚きばかりです!」
「私も驚きしか無いな。何というか、PNF-404で暮らしてみたい位には」
「確かに! 研究者ならそういう事仰っても可笑しくないですよね」
助手の言う事も強ち的外れでは無い。学者としては未知がまだ多い所に住めるというのは夢のような事に感じる。
「あ、あと名前も考えなければいけませんね! まだ名前を付けてない生物が多いですから!」
「あぁ、そういえばチャッピーはうちの学生が名付けたんだが、今や正式な名前になったからな」
「名付けた学生が飼っている犬の名前に由来しているんでしたっけ?*1 自分も名前を付けたいですよ」
「学名とかも考えなきゃな…… 今までの生物とは大きく異なる進化をしてるから和名や科名も考える時が来るかも!」
「自分は幾つか命名しました! ロールパンみたいな生物はパンの擬きという事で“パンモドキ”、芋みたいなカエルは“イモガエル”、甲羅を被っているような“カブリムシ”とか! あの違う色のピクミンを出す花も“ポンガシグサ”って名付けました!」
「良いネーミングセンスだな」
この調子だと今後も発見されるであろう新種の名前は、どんな名前になるのか教授は少しばかり気になった。自分もピクミンの名前を命名したが、他の生徒はどんな名前を付けるのか……