次回で最終回です。
後日、3度目の訪問としてPNF-404を訪れた。今回は更なる奥地や洞窟への探索となる。洞窟に関しては洞窟探検専門家も引き連れての探索となった。
その地でも多くのピクミンや新種の原生生物と出会った(当然調査隊は皆驚くばかりである)が、今回も一際異色な物を発見する事になった。
見た目は黒い球状の岩だが、割れ目から溶けた鉄のような、マグマのようなものが見える奇妙な岩だ。殆どの者は「触ってはいけない」という事を察していた。しかし、ピクミンはそれを普通に持っている。本当に大丈夫か? と皆不安になった。
「なんでしょう? これ。この機械によると有害な放射線は放出されていないようですけど……」
皆がその岩について不安があった。ピクミンはそれを平気で持ってるという事はピクミンでも扱える物体…… なのだろうか?
その様子を察したのだろうか、黒い岩を持っているピクミンは突然大きい岩に黒い岩を置いた。するとピクミンは声を上げながら調査隊のメンバーの元に向かっていく。
すると、黒い岩から光が漏れ出てくる。漏れる光も徐々に増えていく。
「ワ~!」
「な、何だ!?」
光が多く漏れ出て、皆が固唾を飲んでその様子を見る。すると、黒い岩が突然轟音を上げて爆発した。
「な!?」
「爆発した!?」
大きな岩は粉々に破壊され、細かい石クズに成り果ててしまった。その石クズや地面も黒く焦げて煙を上げている事から爆発の威力の高さが窺える。爆発範囲こそ狭いが爆発の威力は十分高い。
「なんつ―威力なんだ……」
「まるでダイナマイトだ……」
調査隊は爆弾のような爆発力を誇る黒い岩が存在する事から、スパロウを中心に調査する事になった。もしも踏んでしまったらその衝撃で爆発しかねないのだ。他の調査隊にも爆発する黒い岩の事を知らせた。勿論、戻る時は今まで通った道を進み、それと同時に黒い岩に注意しながら進む事になった。
「ピクミンは普通に持ってる…… 怖くないのかよ……」
調査隊の皆は心の中でそう思った。
3回目の調査では爆発する黒い岩、通称「バクダン岩」が発見された事で、スパロウを中心とした調査となった。1回目と2回目の調査で行った地域ではスパロウによる探索が再び行われたがバクダン岩は発見されなかった。結果、PNF-404の奥地で自然に生成される物質であると判明した。これから奥地での調査の場合「スパロウ」が必須となった。
「バクダン岩か…… 怖い物だな。自然に作られる爆発物……」
「PNF-404の警備が更に厳重になりましたね。無理ありません。下手すれば怪我人が出ますし、犯罪に使われる可能性もあるんですから……」
「うむ、妥当な判断だな」
教授達はPNF-404の入口の拠点で助手や他の生徒達と3回目の調査について話し合っていた。今回発見されたバクダン岩によりスパロウを使った調査となり、今後の調査の事を話し合っている。
「そういえば他にも発見があったな」
「えぇ、この新種の植物が見つかりました。それがこれです」
学生はスパロウで回収したその植物を見せる。下部から生える葉は上に向いており、茎の先端部には赤い実を5個実っている。実は一見するとブルーベリーのような形をしている。
「ブルーベリーみたいな形をしているな……」
「えぇ、この実を調べてみると生物を興奮させる作用があるんです。ピクミンがこれを使ってしまったんですけど、そしたら葉が赤く光り、ピクミンが興奮状態になったんです」
「ピクミンに使ったのか!?」
「調査したところピクミンに使用しても問題無い事が分かって使用したんです。興奮状態も30秒位で終わったため、長く続かないようです」
「そんな実もあるのか……」
「この植物を『ピキノツユクサ』って命名したんです。ピクミンが住む地域のツユクサ…… みたいな感じで」
「ツユクサ…… まぁ、良いんじゃないか?」
どうやら名前は大体決まっているようだ。学生達は最近見つけた新種の生物の名前を付ける事を楽しんでいる。無理も無い。教授自身も名前を決められるのは嬉しい事だ。それが正式な名前になるのだから尚更だ。
「あと、紫色の実を生やすピキノツユクサも発見されているんです」
「紫色の?」
「えぇ、その実には未知の成分が含まれているんです」
「未知の成分か……」
「それにどんな効果があるか試すために研究所に運ばれる事になったんですけど、運ばせていた機械が倒れて近くの機械に収納されたコチャッピ―にエキスがかかってしまったんです。そしたら……」
学生は鞄からA4程の大きさの書類を取り出す。そこにはコチャッピ―が写っている。「コ」チャッピ―と言う通りチャッピ―の幼体だが、実際にはパンモドキの仲間の生物が擬態しているのだ。勿論列記としたチャッピ―の幼体もいるのだが、どちらかというと前者の方が多いようだ。そのコチャッピ―に紫色のピキノツユクサのエキスをかける様子が写っている。
そして次の画像には……
「……!? 石になっている!?」
「えぇ、紫色のピキノツユクサには『生物を石化させる』効果があるんです。詳しい原理まではまだ解明していませんが」
生物を石化させるという効果に教授は少なくとも驚く。まるで神話に出てくるメドュ―サのような現象だ。ピクミンを始めとする相変わらずPNF-404の生物には驚きが多い。何だか自分自身が創作作品の世界に放り込まれたように感じてしまう。
「この石化は10秒程で解け、石化したコチャッピ―は何事も無く振る舞ってました。もしかしたら石化されていた自覚が無いのかもしれません」
「うぅむ…… もしかしたら我々にも効果が及ぶ可能性が……」
「あります…… まだ検証してみないと分かりませんが。あと、この時ピクミンも浴びていたんですけど石化はしていませんでした。ピクミンには耐性があるのかもしれません」
「うぅむ、ピクミンは平気なのか。やはり不思議な生物だな」
「もう少し研究が必要ですね。勿論ピクミンが痛がらない方法で」
教授と学生が話し合っていると、そろそろ空港に向かう時間となり荷物をまとめ始めた。行き先は教授が通う日本の大学。再びPNF-404の生物の研究の為に帰還するのだ。
残りの調査は別の調査隊に引き継ぎ、皆は空港に向かった。
日本に戻った教授達は再びPNF-404の生物の研究を再び始めていた。発見されたピクミンや原生生物の生態はまだ完全に解明されていない。それらの研究も行わなければならない。
「完全に解明するまで何年かかるんですかね?」
「さぁ。何十年もかかりそうだ」
教授はピクミン達が入っているテラリウムを見つめながら、学生と会話していた。教授は急須に入れた茶を茶碗に注ぎながら会話している。茶を注がれた茶碗からは白い湯気がモクモクと出ている。テラリウム内のピクミン達は気になる様に茶碗を見ている。
「ン~?」
「?」
「ン? ン?」
「興味深そうにこっちを見ている…… 何か可愛いですね」
「確かに、世間一般の感性で言えば可愛い見た目をしていると思うが……」
「ペットとして飼いたい人も出てきそうですね」
「実際それを実現させようとする動きもあるらしいが…… どうなることやら」
そうして研究の準備に取り掛かろうとしていると、助手が扉を開けて入って来た。助手の手には複数枚の書類を持っている。
「研究を支援する企業や団体が沢山名乗りを挙げています! こんなに支援してくれると予算も増えますよ~!」
「見せて下さい…… うわ、あの大企業も支援してくれるんですか!? 海外の企業まで!?」
学生が書類に書かれている支援企業の一覧を見ると、どれも世間ではかなり名の知れた企業が支援しているようだ。どれも世界の経済を左右する程の影響力を持つ企業が多い。
「凄いな…… 以前から支援する企業は多かったが、また増えたのか」
「見て下さいよ、このホコタテ運送*1は最近運送業でシェアを伸ばしてる所じゃないですか!」
「何で運送会社まで? もしや……」
「教授の察してる通りです。コガネモチに関する研究に興味を持っているのです」
コガネモチ。PNF-404で発見された生物。体内に餌を隠しているのだが、その際特殊な皮膜を覆って完全な密閉状態にしている。その中にある餌は理論上半年経過しても鮮度が全く落ちないのだ。
恐らく食品を保存する技術として利用し、生鮮食品を新鮮な内に届ける目的があるのだろう。朝一で捕れた魚を新鮮なまま遠隔地に届けられるとなれば需要は大きく増えるだろう。
「コマンマンやオオマンマン・トロロタラシやツリタラシみたいに体内に物を安全に収納する技術を開発するつもりなのかもしれません」
「ドローンとかに物を収納する、みたいにやるのか?」
「恐らく…… PNF-404の生物は凄い生態が多いです……」
学生の言う通り、PNF-404の生物は既存の生物に当てはまらないような生態が多い。そこから新たな技術を創り出そうとする人は多い。今後の自分達の生活はPNF-404の生物により大きく変化するだろう。教授はそう思った。
「これからはPNF-404が時代を大きく変える事になりますね、教授」
「うむ、そうだな」
教授はピクミンが入っているテラリウムのような籠を見る。ピクミン達は楽しそうな表情で遊んでいる。駆けっこで遊んでいるようで、足が速い白ピクミンが一番となった。紫ピクミンはビリで悔しそうな感じで地団太を踏んでいる(その度に周辺の砂が上下に少し揺れる)。その光景は公園で遊ぶ子供達のようだ。思えば此処まで純真な様子を見たのは何時以来だろうか。何だか子供を育てているような気分にもなる。
PNF-404にはまだどんな新種や物質があるのかも気になった。PNF-404の調査、ピクミンなどの新種の多数発見により世界中はPNF-404に注目している。これからも詳しい調査や研究が行われ更に新しい新種や未知の物質も見つかるだろう。PNF-404は人類にとって油田や鉱石よりも遥かに価値があるもの。これからは研究や調査で忙しくなるだろうと、教授は思った。
「ン?」
赤ピクミンは教授達を不思議そうな様子で見た。
次回で最終回かぁ…… 長いようで短かったなぁ……