ハイスクールD×D 赤龍帝を宿し転生者   作:END

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部長の愛と眷属志望の屑転生者

「イッセー、また襲われたでしょう? さっき結界の歪みでわかったわ。何故隠すの?」

 

「……バレましたか」

 

 

あの後、転生者の処理を終えた俺はオカルト研究部の部室に戻ってきたが先程の転生者との戦いを知られてしまった。

 

やはり俺の小さな魔力じゃ隠しきれないのだと内心落ち込むとリアス部長に弁解する。

 

 

「隠すつもりはありませんでしたよ。俺が襲われるのは日常茶飯事だし部長も分かってるじゃありませんか。俺と初めて会った時も戦闘の最中でしたし」

 

「そうね。貴方が一年の時、複数の者に襲われていたのを察知した私達が現場に駆けつけた。それから私は貴方を悪魔にしたわ。でもだからって襲われ続けるのはおかしいのよ。それにここの所、駒王町には特殊な力を持った存在が集まっている。ハッキリ言って異常としか言えないわ」

 

「それは悪魔に転生前言ったじゃないですか。詳しくは話せない相手だって。俺自身で普通に対処できるので部長の手を煩わせるわけにはいきませんよ」

 

「……」

 

リアス部長は無言になると机の上にお札を取り出した。

 

 

「イッセー……今日遅れたのも、またカツアゲされたからでしょ? その娘から魔力で取り返してきたわ」

 

「……すみません。やっぱり手間をかけてしまいましたね」

 

「そんなこと思ってないわ! 私が言いたいのは一人で片付けようとしないでってこと! 小猫の時だってそうだわ! 真犯人を探すなら私にもできたもの」

 

「……あんな扱いは慣れてましたから。そこまで頭が回りませんでした」

 

 

その言葉にリアス部長は我慢ならないような顔で椅子から立ち上がると、俺を抱きしめた。

 

 

「少しは相談しなさい。貴方は私の可愛い眷属なの。貴方が傷つけば私も傷つく。だから貴方には正直になって欲しい……お願いね」

 

「…ありがとうございます」

 

 

……本当に俺は、この人の眷属になって良かったと思う。最初は転生者の標的にされる元凶と思い最悪な気分だったがこのように部長は眷属である俺を愛してくれている。だからは今は、こんな状況でも構わないと思える自分がいた。

 

 

と、そんな時。部室の中央に魔法陣が展開され、そこから朱乃さんが現れた。

 

 

「部長、ただいま帰りましたわ。それで少しお話しが……あらあら、お邪魔でしたか?」

 

「あ、朱乃っ!? べ、別にそんなんじゃないわ! またイッセーが襲われたからそれについて話していただけよ」

 

「本当ですか? ここの所多いですわね……やはり魔王様に相談された方が良いのではありませんか?」

 

「いえ、多忙である魔王様に対処してもらうのは迷惑だわ。それにイッセーは私の可愛い眷属。自分のものの問題は自分で解決するわ」

 

「あらあら、良かったですわね。イッセーくん」

 

「……はい」

 

 

朱乃さんの言葉に同意し、改めて俺はリアス部長に感謝するのだった。

 

 

◇◇◇

 

 

 

「そんな事があったんだ。一誠君は愛されてるね」

 

「うるせえな。あんまりそこは掘り返すなよ」

 

 

翌日の昼、駒王学園の屋上。

 

 

俺は昼食のパンを齧りながら、昨晩の話を同級生である沖平優介に話していた。

 

 

沖平優介は俺と同じ転生者であり、その中でも特典を悪用する転生者を始末する命を受けた特別な存在だ。数ヶ月前にこの学校に転入してきて同じクラスとなった。

 

 

最初の頃は学校の悪評と憑依転生者であることで優介の仲間の志乃に警戒されていたが、その後俺が事情を話したり、実際に転生者に襲撃された時に助けてもらったりした為疑いは晴れ、今ではこうして昼食を食べる程仲の良い関係になっていた。

 

 

沖平は彼女のお手製と言われている弁当を食べながら話を再開した。

 

 

「ごめんごめん。一誠君が話したかったのは転生者の方だね。確かにここの所転生者は動きが活発化してる。アーシアがいない事で一時期はおさまったけど次はリアス先輩のイベントだから再発したんだろうね」

 

「アーシアにリアス部長のイベント……原作知らない俺からしたらチンプンカンプンだな」

 

「あはは。でもその知識がないおかげで君が兵藤一誠のポジションを悪用せずに済んだんだ。僕としては安心したんだよ?」

 

「知らねえよ。ともかく転生者の件はそっちも対処手伝ってくれよ? あまりリアス部長には迷惑かけたくないからな」

 

「分かってるよ……屑転生者はこの手で始末するさっ……あ」

 

 

優介は一瞬声を低くしてそう呟く。しかしその時持っていた箸が力み過ぎて唐揚げが落ちてしまう。

 

その時、屋上の扉から志乃がやってきた。

 

 

「優介〜話は終わった〜……て、なにやってんのよ優介! 私が作った唐揚げ落とさないでよ〜!」

 

「ご、ごめん志乃。ちょっと手元が狂っちゃって」

 

「もうっ! 折角丹精込めて作ったのに〜」

 

「だ、大丈夫っ! 三秒ルールだから落ちても食べられるから!」

 

「いいわよそんな。地面に落としたんだからバイ菌がついてるかもでしょ」

 

「気にしないよ。むしろ志乃がつくってたんだから残さず食べないとね」

 

「ゆ、優介……もう、次から気をつけてね?」

 

「俺は何を見せられてんだか……」

 

 

突如としてできた優介と志乃の桃色空間に俺は若干殺意を覚えながらパンの残り一口を放り込んだ。

 

 

 

 

すると懐に入れていた携帯に着信が入り、俺はそれを確認する。差出人は部長からだった。

 

 

「どうしたんだ、こんな時に……て、またか…」

 

「どうしたの一誠君?」

 

「どうやらリアス部長へ眷属になると売り込んできた奴が来たらしい。だから放課後優介達も来てくれってさ」

 

「また? それって十中八九転生者でしょ。本当懲りない奴もいたもんね」

 

「らしいな。という訳で放課後オカ研の部室に来てくれ」

 

「分かったよ。今度の転生者は暴れないで欲しいね」

 

「だといいんだが……」

 

 

俺は不安になりながら微妙な表情を浮かべた。

 

 

 

 

 

そして放課後、俺は優介・志乃・他クラスでいなかった誠也を連れて旧校舎の部室に来ていた。

 

 

「部長。優介達を連れてきました」

 

「ごくろう様イッセー。優介君達も来てくれてありがとうね」

 

「お久しぶりですグレモリー先輩。いえ、前みたいな大事になったら大変ですからね」

 

「そうですよ。私達も協力できるなら全力で頑張ります」

 

「大船に乗ったつもりでいて構いませんよ! リアス先輩!」

 

 

優介達はそれぞれリアス部長に挨拶する。

 

 

彼等とリアス部長達が知り合ったのは今回のようにヒロインを手に入れようとした転生者がリアス部長の眷属へ売り込みに来た時だった。そいつの正体も転生者でリアス部長が眷属入りを断ると逆上し襲いかかってきたのだ。

 

この時に屑転生者の情報を手に入れた優介達が俺たちの元に現れ共に始末して、知り合ったのだ。

 

 

因みに転生者の存在や優介達の立場もリアス部長達には詳しく話していない。優介曰く面倒になるから時が来るまで内密に済ませて欲しいとのことだ。襲われている時点で内密もクソもないと思うが……。

 

 

そんな事を考えていると、木場と顔の整った一人の男が入室してきた。

 

 

「部長、連れてきました」

 

「ごうろう様祐斗。下がっていいわ……さて、改めてこんにちは、一ノ瀬くん」

 

「どうも、リアスせーんぱい?」

 

 

開幕に発せられたのは、そんなふざけた口調だった。

 

彼の名前は一ノ瀬昴。この学校の二年で成績優秀、スポーツ万能、ルックスも完璧といった傑物だ。しかし女癖は悪いらしく、二股や三股はザラという噂があった。

 

 

「今回は俺の為に時間を割いてもらってすみませんね。先輩も忙しいでしょうに」

 

「構わないわ。私達の事情を知って眷属になりたいと言うなら話くらいは聞くもの」

 

「ハハッ、それはつまり僕に脈ありって事ですか? こっちとしても嬉しいですね。新しい仲間としてこれから励めそうですし」

 

 

何が脈ありだ。既に眷属入りなのを確定したかのような態度に俺は内心イライラしていた。見ればそばにいた優介も取り繕って入るが口元をピクピクさせ志乃と小猫ちゃんは侮蔑の表情で昴を見ていた。

 

我慢できず俺は発言する。

 

 

「いい加減止めたらどうだ一ノ瀬。いくらなんでも勝手が過ぎるぞ」

 

「……あ、いたんだお前。てか話しかけんなよ性犯罪者。誰もお前に何も言ってねぇ」

 

「…………」

 

俺は三秒ほどで撃沈した。俺の発言に意味はないかと内心ため息を吐いた。昴の方は俺を無視してリアス部長に話しかける。

 

 

「リアス先輩。こいつを側に置いとくのはやめた方がいいですよ?」

 

「……貴方には関係ないことよ。私は彼が私の眷属に相応しいと思ったから眷属にしたの」

 

「はぁ……俺は貴方ために言ってるんですよ? こいつと関わったってロクなことがないんですから。小猫ちゃんもそうでしょ? 前にこいつは下着を盗んだんだからさ」

 

「………余計なお世話です」

 

 

小猫ちゃんはそういって俺の制服の端を掴んだ。彼女自身の俺へ対する気遣いなのだろう。俺は「ありがとう」と小猫ちゃんにお礼を言った。

 

 

「……まあいいか。それよりもはやく転生の儀に移りましょうか。俺もはやく眷属としてーー」

 

「お断りするわ」

 

 

リアス部長は堂々と宣言した。昴は何を言われたか分かっていないような間抜け顔をしたがすぐに我に帰ると若干焦りながら話をする。

 

 

「お、俺の聞き間違いですかね〜? 今お断りって聞こえたんですけど…」

 

「ええ、そう言ったの。私は貴方みたいなふざけた態度の人を眷属にする気はないの」

 

「ちょ、ちょっと待てよ! 俺はこの場にいる誰よりも強いぜ!! こんな俺を手放すなんて、勿体無いにも程が……」

 

「確かに貴方の力はオーラを見れば分かるわ。でも私が重要視してるのは力じゃないの……貴方みたいな品性のないチンピラを眷属にしようとは思わないわ」

 

「チ、チンピラ……?」

 

 

部長の言葉に、部室にいたメンバーは思わず吹き出した。小猫ちゃんでさえフルフルと笑いを堪えているのを見ると相当おかしかったらしい。昴は顔を赤くしながら顔を歪ませた。

 

 

「分かった? この話はおしまい、早く帰ってもらっていいかしら。この後約束(・・)があるの」

 

「……ふざけるなよっ! 原作のヒロインは俺の思い通りに動けばいい癖に、馬鹿にまでしやがって!! なら力づくでやるだけだ!!!」

 

 

 

昴は立ち上がり手元に槍を出現させた。どうやら実力行使をするらしい。

 

 

それにより部長達オカ研メンバーと優介達は戦闘態勢に入る。

 

 

 

 

 

そして戦いが始まろうとした刹那、

 

 

 

ゴオオオオッ!!

 

 

突如として部室の床に魔法陣が出現し、炎が舞い広がった。その魔法陣はグレモリーの紋章とは違う鳥を模したかのような形をしていた。

 

 

「ーーフェニックス」

 

 

木場がそう呟く。次第にその炎が収まり始めると、いつの間にかホストの格好をした金髪の男が立っていた。

 

 

「久しぶりに来てみれば……厄介ごとのようだな。リアス」

 

「ラ、ライザーッ!?」

 

 

な、何だ? この男とリアス部長は知り合いなのか? 

 

 

「嘘だろ……グレイフィアさんはまだいないのに、何故奴がここに来るんだ?」

 

 

俺が困惑している近くで誠也がそう呟く。グレイフィア? 一体誰なのだろうか。もしやこれは原作に関係する何らかの事なんだろうか。

 

だが俺はそれより先に部長に確認をとろうとした。

 

 

「部長。この人は誰なんですか?」

 

「……ライザー・フェニックス。純潔の上級悪魔にしてフェニックス家の三男。そしてグレモリー家の次期当主の婿。つまりは…私の婚約者よ」

 

 

俺はその言葉に、思わずフリーズしてしまった。

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